Masumi Vineyardが出来るまで
 2006年冬 父 城戸比佐志が長年栽培してきたナイヤガラの50アールの畑を大部分改植することになりました。長年育てたブドウの木を切るのは寂しい思いもありますが、また新たなブドウ品種への挑戦もあり、寂しさ、不安、期待などさまざまな思いが交差します。
2006年
2006年1月22日
チェーンソーでナイヤガラのブドウの木を切断していきます。棚の上に伸びた太い枝もチェーンソーで切っていくのですが、枝に針金が絡んでいたりしてとても危険な作業です。
棚の上の枝をすべて切断し棚を軽くしてやったのち、最後に地面から立ち上がった一番太い枝を切断します。
最初から立ち上がりの太い枝を切ると棚いっぱいにはりめぐった巨大なブドウの木が頭の上に落ちてきてとても怖いです。
2006年2月6日
枝の切断は終了し、今度は棚の針金を取り除いていきます。長い針金を小さく束ねていくのはとても指の握力がいります。数十年と使った針金なのでかなり傷んでいました。
ブドウのツルがが絡まったりしてなかなか簡単にはたぐれません。
海で漁師が網をひいている気分です。
2月28日
切ったブドウの枝を集めて燃やしました。
相当な量になるので燃やすのもひと苦労です。
1週間くらいはかかりそうです。
まだ切断して間もない木は水分が多いのでなかなか火が着きません。
そんな時は灯油をかけて火を着けます。

3月22日
棚の上のブドウの枝は片付きましたが、今度は地面に埋まっているブドウの切り株を片付ける必要があります。ブドウ棚の下に入ることが出来る小さなバックフォーで切り株を掘り起こします。
小さなバックフォーなので一気に掘り起せるほどのパワーが無いため、まずは周りの土を掘りながらブドウの根を切ることからはじめます。
根が大体切れたあと切り株の頭を押さえつけて強引に倒します。
バックフォーが倒れてしまいそうになるくらいなかなか手ごわいものです。
1本の木にを抜くのに15分くらいかかります。全部で80本くらいの木を抜くのに4日間ほどかかってしまいました。
抜かれたブドウの切り株。
樹齢30年以上の物もあるので根も太く、長さ20メートル以上の物もたくさんありました。
切り株だけで大きな山が4つも出来ました。
これがまた燃えなくて大変なんです。

4月6日
ブドウの苗が全部揃いました。
今回改植するブドウ園に植える品種はピノノアール90本、ピノグリ100本、カベルネソーヴィニヨン180本、メルロー130本です。
苗は4月8日(土)と4月15日(土)に植え付ける予定です。
苗屋さんから来た苗はこんなに根が長く張っています。
植付けの時にこんなに長くては植えにくいことやこんなに長く最初は必要ないことを考え、根を切ります。
思い切り切り落とし、3分の1くらいの長さにします。
根の長さを切りそろえられた苗木。
短く切られましたが地面に植え付けると毛細根と呼ばれる細かい根が伸びてきて、この毛細根が地中の養分やミネラルを吸い上げていきます。今見えている太い根は実はそんなに重要ではなくこれから伸びてくる毛細根が本当の重要な役割を果たします。
植えるまでにまだ数日あるので一度地面にまとめて仮植えをしておきます。
苗は来ましたが畑がまだ植付けできる完全な状態になっていません。
あす一日で何とかしなくてはいけません。
4月7日
あと苗植えまで1日しかありません。
まだ地面の中にはこんなに太い根が残っています。
以前に重機で株を取り除きましたが根は切れて地中に残ってしまいました。
これでは苗を植える時に邪魔になってしまいます。
地中に根を根切りと呼ばれるオノを使って切れ目を入れていきます。
かなり体力がいります。
切れ目が十分に入ったところでねじ曲げて根を切断します。
最後にトラクターをかけて何とか苗を植える準備ができました。
苗を植える明日が晴れることを祈るだけです。
4月8日
午前中は雨が降り、今日はダメかと思いましたが午後になり雨もあがり苗を植えることが出来ました。
「ブドウの苗をぜひ植えてみたい」というお客様に参加して頂き、苗を植えてもらいました。
遠くは千葉県から来られたお客さんもいらっしゃいました。
まずは植え方について説明しました。
生まれて初めての経験という方も多く、興味津々で質問されるお客さんもいました。
この日はピノグリ、ピノノアール、カベルネソービニヨンを植えました。
男性の方が多かったので穴掘りもはかどり250本の苗を1時間少しで植え終わりました。
大変お疲れ様でした。
4月15日
二回目の苗植え会です。
この日は穏やかな天候で穴堀りをしていると汗ばんでくるくらい暖かい日でした。
ご家族で参加されたお客様もいました。
これからずっとブドウの成長を見守ってくださいね。
この日はカベルネソービニヨンとメルローを植えました。
男性の方が少なかったので250本を植えるのに2時間くらいはかかりました。
途中で休憩を入れてワインとパンとチーズで体力を回復させました。
休憩後もうひとがんばりして何とか終わりました。
皆さん本当にお疲れ様でした。
5月12日
4月8日にお客さんに植えて頂いたピノグリです。
小さな葉っぱが出てきました。
ホッとひと安心です。
苗を植えた4月は例年より気温が低く、ブドウの生育も5日〜7日ほど遅れていました。
しかし、5月に入り暖かい日が続き、だいぶ遅れを取り戻しました。
4月に植えたピノノアールとメルローもところどころ芽吹きはじめています。(写真はピノノアール)
カベルネソービニヨンだけはもう数日かかりそうです。
5月18日
一番芽吹きの遅い品種であるカベルネソービニヨンも芽が出てきました。
まだ芽吹いていない苗もありますが、芽は膨らんできているのでもうすぐでしょう。
8月19日
高さ180センチの棚の上まで伸びた木がだいぶあります。
2007年
2006年7月19日
2年目はこのブドウ園の栽培方法となる「スマートマイヨルガーシステム」の基本の形を作るため木を左右に1本ずつ伸ばしてT字を作ります。

2006年8月20日
2年目では木が若いためほとんどブドウの実はなりませんが、ピノノワールとピノグりがほんの数房なりました。写真はピノノワール。

2006年8月20日
こちらはピノグリ
2008年
2008年4月15日
3年目の今年はいよいよ初収穫となります。「スマートマイヨルガーシステム」は結果母枝(今春芽が出てくる元の枝)が東西にT字になるよう剪定します。あとは芽吹きを待ちます。

2008年7月3日
自然に枝を伸ばすと東西に位置する結果母枝(緑の枝が出ている元の茶色の枝)から南側と北側の両方に枝が伸びてゆきます。「スマートマイヨルガーシステム」では南側に出た枝はすべて落とし、北側に出た枝だけを伸ばしてゆきます。


2008年8月2日
下からみるとこんな感じです。
葉が重なることなく、それぞれ平行に伸びてゆくため光合成の効率が非常に良いのが特徴です。




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