フリー・クライミングのあれこれをお届けする独断と偏見のページです
(問) クライミングを始めて一年になりますが、なかなか上達しません。 どうしたらいいでしょう?
(答) うまいへたは相対的なものです。 みんなうまくなりたいと思っているのです、クライミングをやめるまでは。 でも、これでは答になりませんね。 上達するのは簡単で、要は、回数と密度と集中力だと思います。 クライミングの技術や力の向上のために、最低でも週に一回はクライミングしましょう。 多く登れば登るほど早く上達します。 あなたは週に何回登ってますか?
月に二回の頻度で一年間登っても、かぶった壁はぜんぜん登れるようにならないでしょう。 しかし週に二〜三回のクライミングを三ヶ月続ければ、かなり上達すると思います。
真剣に登っていますか?
自戒をこめて書きますが、「はってー」とか「テンション」とか言っているようではダメです。
「はってー」と言いながらホールドを保持できるのなら、危なくない限り、次のホールドを取りにいきましょう。
落ちるかもしれませんけれど、とにかく手をだしましょう。
手をださないと次のホールドは絶対にとれません。
どうせダメだと思っていても、ひょっとしたらとれるかもしれません。
集中して登るためにはリードした方がいいです。
あまりにトップ・ロープに頼りすぎると精神的に弱くなってしまいます。
私のような 5.13 をまだ一本しか登っていない中級レジャー・クライマーが言っても説得力がないかもしれませんけれど、5.13 程度までは努力に比例して上達するのではないでしょうか。 うまい人はそれだけ努力しているということです。 うまくならない人は.....。
人それぞれリーチや身長や体重や持って生まれたものが違うので、同じように努力しても上達の早さに個人差があるのは当然のことです。
他人をうらやんでいても仕方ありません。
自分なりに努力を続ければ必ず上達します。
続けるためにはクライミングを楽しむことも大切です。
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(問) クライミングのためのトレーニングについて教えてください。
(答) もしあなたがまだ 5.11 を一度も登ったことがないなら、いろいろな種類のルートやボルダーの課題を楽しくたくさん登ることがもっとも良いトレーニングになるでしょう。 実際にクライミングしたりボルダリングしたりする時間が取れるのなら、そちらを優先させるべきです。
ただしトレーニングのためのクライミングにならないように気をつけましょう。 楽しみながら真剣にクライミングすることが結果としてトレーニングになるのであり、 トレーニングのためにクライミングするのではありません。
クライミングを始めてしばらくすると、自分の力のなさをなげく人が多いです。 「力がないから登れない」と。 しかし多くの場合それは間違っています。 力がないから登れないのではなく、技術がないから登れないのです。
誰しも自分がヘタであるとは認めたくありませんが、力がないことを登れない言い訳として使うのはやめましょう。 力がないという言い訳を許してしまうと、今の力で登れるルートや課題でも登れなくなってしまいます。 力不足かもしれないことは忘れて、目の前のルートや課題に集中しましょう。
登れるグレードがだんだんと上がっている間はトレーニングのことを特に考える必要はないでしょう。 ある程度登れるようになってくると自分の長所や短所が分かってきます。 そうなってから自分の短所をおぎなうためのトレーニングを始めればよいのではないでしょうか。
実際のトレーニングについては
「パフォーマンス ロック・クライミング」
や
「フリー・クライミング上達法」、
また、英語の本ですが
「How to Climb 5.12」
をご覧ください。
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(問) クリップがへたなんですけど、どうしたらいいでしょう?
(答) コンペで上位にはいるような人は例外なくクリップが上手ですね。 私もけっしてうまくはないのでエラそうなことは言えませんが、これは練習するしかないでしょう。
ロープの切れはしを腰につけて、どこかにヌンチャクをぶら下げて、クリップしては引き抜くという動作を繰り返し練習します。
カラビナのゲイトの向きが右と左、クリップする手が右と左、四通り全ての場合に素早く確実にクリップできるようにしましょう。
練習すれば確実に上達します。
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(問) ルートを登る時、どうしても途中でテンションが入ってしまってつづけられないんです。 持久力不足でしょうか?
(答) つづけられないというとすぐに持久力不足だと考えがちです。 確かに筋力的な要素が足りなくて落ちてしまうこともあるでしょう。 しかし力を無駄使いしていることも多いものです。 今ある力を有効に使う、および、トレーニングして持久力をつける、という二つの点について書いてみます。
なるべく力を使わないで登り、少しでも回復させて、終了点まで力を持続させましょう。
持久力のトレーニングをする前に考えておかなくてはならないのは、
持久力トレーニングをしても最大筋力はアップしないが、
最大筋力をアップさせるトレーニングは持久力のアップにもつながる
ということです。
したがって(私みたいに)パワーに自信のないクライマーは、最大筋力のアップを目標にトレーニングする方が効率的だと思います。
実際のトレーニングについては
「パフォーマンス ロック・クライミング」
にくわしく書かれています。
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(問) 最近、なんだか登る気がおきなくて、岩場やジムへ行っても、以前ほど楽しく感じられなくなってきました。 かといって、何もしないと力が落ちてしまうような気がして不安です。
(答) うーん、これは難しい問題ですね。 しかしながら、ある程度の期間クライミングを続けていれば、誰でも、一年中登る気満々、常に全力投球で、いつも絶好調、というわけにはいかないでしょう。 調子の悪いときや、登る気がしないことは誰にもあります。 しばらくの間、何か別のことをして、クライミングから離れることで新たなモチベーションがわいてくることもあります。
モチベーションが低下しているという現象の背景に何があるのかを考えてみるのもいいかもしれません。 例えば:
クライミングがマンネリになっていると感じたら、クライミングやトレーニングの内容をとにかく変えてみましょう。 例えば:
私もよくモチベーションの低下に悩まされます。
落ち込んだ状態から抜け出すには、最終的には自分から動いて、現状を変えていくしかないみたいです。
何事も、やれば、やっただけのことは自分に返ってくるのではないでしょうか?
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(問) キャンパス・ボードでおこなうパワー・スロー(Power Throws)などのトレーニングについておしえてください。
(答) パワー・スローはキャンパス・ボードを使ったエクササイズとしては基本的なものです。
メトリウスのパンフレット
(キャンパシング)
を訳したのでそれをご覧ください。
また『岩と雪 166』にも詳しい解説が載っています(もう手に入らないか?)。
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(問) グリップ・セイバー・プラスとはどんなものですか。
(答) メトリウスが2200円程度で販売している指をトレーニングするための器具です。 赤いボール一個と黒いゴム二本、日本語の使用説明書がついています。 指の拮抗筋をトレーニングし、指や手首の障害を予防するものです。
クライミングは基本的に指を閉じるための筋肉を酷使する傾向があります。 グリップ・セイバー・プラスは、指を開く反対側の筋肉を刺激し、 筋力のアンバランスをなくすことで障害の予防に役立てようというものです。
やわらかいボールと、指を通すための五つの穴があいたゴムからできています。 ゴムは二つ付属していて、手や指のサイズに合わせて変更できるようになっています。 ボールを握ってから手の平を広げ指を伸ばすという動作を繰り返してトレーニングします。
実際に使ってみた私の感じでは、ボールを握った感触はやわらかくてよいです。
しかし、ゴムを通している指の部分が締め付けられて痛いです。
普段はあまり使わない筋肉をトレーニングする器具なので、使い始めは動作の回数を少なくした方がいいと思います。
障害を予防するためのトレーニングをして故障したのでは全く意味がありませんからね。
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(問) 人工壁で指にテープピングして登っている人をよく見かけます。 テーピングの方法などについて教えてください。
(答) 昔はテーピングといえばクラックでジャミングしたときに手や指をすりむかないようにするためのものでした。 今は指の障害を予防したり皮膚を保護するためにも使われています。 指の関節と関節の間に二回ほど巻いて腱の保護に使ったり、サイドにサポートとしてはってじん帯の保護に使ったりします。
人差し指、中指、薬指のそれぞれ二ヶ所、計六ヶ所が対象となります。 手のひら側に×字のサポートをつけて二ヶ所をつなぐ方法は指を伸ばしきってしまうのを防ぐ目的で使われます。 指のテーピングについての正しい知識を得るためには、本屋さんでテーピングの本を何冊か立ち読みするのがいいでしょう。
指の障害を予防するには、テーピングに頼るだけでなく、次のことに気をつけましょう。
筋肉痛ならすぐに直りますが、関節や腱の痛みは急性障害を意味します。 無理をすると何ヵ月も、ひょっとすると一年くらい直らなくなります。 難しいことですが、無理せず早め早めに休むことが大切です。
クライミング中毒になって頻繁に登るようになると、指の第一関節と第二関節にいろいろな障害を起こしやすくなります。
クライミング中に多い障害とそのケアについては
『クライマーズ・ボディ』
をご覧ください。
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