クライミングFAQ - 3

クライミング・シューズ

クライミング・シューズはどれがいいの

(問) フリー・クライミング用の靴を買おうと思います。 どんな靴がいいでしょう。

(答) クライミング・シューズはクライミング・テクニックに最も大きな影響を与える道具です。 感覚的には、シューズが変ると登り方(足使い)も変るほどのものです。 目的に応じて複数の靴を履き分けることも普通におこなわれています。 クライミング・シューズは次の点を考慮して慎重に選びましょう。

大きすぎてもダメだけど、小さすぎるとイヤになる。

 サイズ選びは初めはかなり難しいと思います。 理想的には、足に隙間なくぴったりとフィットし、足先に力を入れても爪先が靴の中で動かず、 足首の自由がきき、なおかつ痛くないようなサイズということになります。

 すごく伸びる靴もあるし、ほとんど伸びない靴もあります。 買ったときはよかったけど、少し使ったら伸びてしまい緩く感じられることもあるでしょうし、逆に、伸びるだろうと思って小さめのを買ったら、全然伸びなくて足がいつも痛くてイヤになるということもあるでしょう。 このあたりのことは経験を積むか、その靴を履いている複数の人に聞いてみるしかないでしょう。

 サイズ選びの一応のめあすとしては、足が入る一番小さいサイズから一つから二つ上のサイズでしょう。 5.5がギリギリ入ったら6.0か6.5程度を選べばよいのではないでしょうか。

紐締めか、ベルクロか、スリッパか

 一般的には、紐締め > ベルクロ > スリッパの順に靴の中で足が動きにくく小さなフット・ホールドに立ちやすくなります。 逆に、脱いだり履いたりは面倒になります。 一足で人工壁から自然の岩場までつかうのなら紐締めがよいでしょう。 最初は人工壁中心で登ろうと思うなら、紐のないスリッパ・タイプが脱いだり履いたりが簡単で快適です。 ベルクロはその中間といったところでしょう。

痛くないもの

 これはサイズ選びと関係しますが、痛いと登るのがイヤになってしまいます。 メーカーやモデルによって靴の形が違うので、自分の足の形にあった、なるべく痛くないものを選びましょう。

足裏感覚のよいもの

 フット・ホールドにのっている(立っている)感覚がダイレクトに伝わる靴がいいと思います。 ただし、小さいフット・ホールドに立ちやすい靴は、概して靴底が固く、感覚は伝わりにくいという傾向にあります。 また、足裏感覚のよいものは、概して靴底が柔らかく、小さいフット・ホールドに立ちにくいという傾向もあります。

その気にさせる靴

 その靴を履くことで気分がよくなるような靴を選びましょう。 その靴を履くことで、「大丈夫、登れる」という気持ちになれることが一番大切だと思います。

フリー・クライミング専用の靴

 「フィーレ・クラシック」などのアルパイン兼用の靴は買わないでください。 こういう靴は長時間履いたままでの使用を前提に作られているので、正確でさまざまな足使いが必要なフリー・クライミングには向きません。 早く上達したければ専用の靴を買うことです。

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素足ではくの

(問) フリー・クライミング用の靴は素足ではくものなんですか?  夏は暑くて靴の中が汗でグチャグチャになって気持ち悪いし、冬は足が冷たく感じます。 靴下をはいてはいけないですか。

(答) 一般的な話として、足にぴったりフィットした靴を素足ではいた方が小さなホールドに立ったり、足裏の微妙な感覚がつたわりやすいということはいえます。 だからといって、常に素足ではかなくてはならないということもないでしょう。

 例えば、ホールドの大きなどっかぶりのルートを登るような場合には、少しゆるい靴で靴下をはいて登ったとしてもほとんど影響ないと思います。 また、人口壁ではホールドが大きいので、靴下をはいて登っても、そんなに違いが感じられないかもしれません。

 私は人口壁を登るときには、外で使って底がすりへり、伸びてゆるくなった靴で靴下をはいて登ることもあります。 特に夏場は汗で靴の中がヌルヌルになってしまうので靴下をはくと快適です。 でも岩場では常に素足で靴をはいて登っています。

 靴下をはいた方が快適ならばそれも選択肢の一つです。 最近は専用の靴下も見かけるようになりました。

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クライミング・シューズにも気をつかおう

(問) クライミング・シューズの取り扱いで、何か気をつけることがありますか?

(答) 私は次のことに気をつけています。

底をきれいに

 登る前に、クライミング・シューズの底の泥や砂をきれいに落としておくのは基本的なことです。 しかし実行していない人をかなり見かけます。 どんなにすばらしいフリクションをもつソールでも泥や砂がついてしまってはだいなしです。

 『MOVING OVER STONE』 というビデオの中で、リン・ヒルは「ギュッギュッ」と音が出るほど手で靴底をこすってきれいにしています。 また、トリブが手にツバをはいて靴底をきれいにこするシーンが 『ROC'N WALL '97』 にもでてきます。 靴底をきれいにすれば世界の一流クライマーになれるとはいいませんが、汚れた靴底では実力は出し切れないでしょう。

 一度きれいにした靴底には泥や砂がつかないように気をつけましょう。 せっかくきれいにしても地面にそのまま立ってしまっては意味がありません。 私はロープ・バッグのシートの上で靴をはき、そのシートから登り始めます。 小さなマットや雑巾をルートや課題の取り付きに置いてその上から登り始める人もいます。

 時々は靴底を水洗いしましょう。 専用のブラシがお店に列んでいたのを見たことがありますけれど、タワシで底を洗って雑巾で拭けば十分です。
 買った頃のフリクションがなくなったと感じたら、粗い目のヤスリで靴底のゴムの表面を削り落としましょう。 驚くほどフリクションがよくなります。 でもゴムは減りますよ。

暖かくする

 伊豆方面の岩場のように冬でも暖かい所では問題ないけれど、寒い所では靴にも気を使いましょう。 さもないと、足の汗が靴の中で冷えて、次に靴を履いた時に冷たく感じ、つま先の感覚がすぐになくなってしまいます。 靴を脱いだら、次に登る時のために、ジャケットの下に入れるなどして体温で暖めておきましょう。 暖かいほうが靴底のフリクションもいいし、足によくフィットするし、なんといっても快適です。

靴に乾燥剤

 私は足も汗をかく方なので、暑い季節は特に、登り終わると靴の中はグチャグチャのヌルヌルになってしまいます。 風通しのよい日陰に置いても、つま先はなかなか乾きません。 次にはいたとき、つま先が乾いていなくて気持ち悪かったりします。 お菓子や海苔とかに入っている乾燥剤をつま先に入れて新聞紙を詰めておくと、けっこう乾きますよ。 同じような悩みを持っている人は試してみてください。

慣らす

 新しいクライミング・シューズを買ったら、岩場やジムで使う前に慣らしましょう。 炬燵の中に入れたり、ドライヤーなどで靴の中を十分暖かくした後、靴を履き、紐やベルクロを目いっぱい締めます。 しばらくテレビを見たりして普通に過ごし、痛くなったら脱ぎます。 こういうことを数回繰り返すと、靴が足になじんできます。 そうなってから本番で使うと快適です。

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