クライミング・ビデオ

 私が見たクライミング・ビデオの紹介です。 ★(面白さの程度)は私の独断と偏見で付けています。 三つ星が最高です。

日本のビデオとDVD

外国のビデオとDVD

小川山ボルダリング 1997 - 2000

室井登喜男製作所、57分、2000円 ★

 室井さんの小川山でのボルダリングをただひたすら撮影したビデオ。 5級から四段まで48個の課題が撮影されている。 初段程度の課題を多く登っている。 カメラは固定のことも多く、BGMもなく、楽しめるビデオではない。 小川山のこれらの課題を登ってやろうとか、ムーブの研究をしようとか、目的がなければ眠くなるだけのビデオだ。

 個人的には、水晶スラブ下ボルダーのスラブの課題「頭痛 二段」を登る映像が印象に残っている。 トーフ岩をトラバースする様子を岩の上からずーっと撮っているのはつまらなかった。 2000円と安いし、小川山のボルダリングに興味がある人には楽しめるビデオ・トポ。

不朽神話 IMMORTAL KOMBAT YUJI HIRAYAMA

PUMP、2001年、64分、4200円 ★★★

不朽神話

 平山ユージの2000年の「ワールドカップ総合優勝までの道のりを、熱いクライミングシーンとともに収録した、ドキュメントビデオ」。 収録されているのはフランスの岩場(オークレー、ボーデイユ、ヴォルクス、カランク)と2000年ワールド・カップの第4戦と第5戦の様子。

 平山さんの登りは美しくなめらかで、見ているだけでうまくなりそうな気がする。 平山さんがインタビューに答える声の大きさと比較してナレーションの声が大きすぎるのが気になる。

不朽神話2 One Life One Way

PUMP、2009年、56分、3800円 ★★

 前作から9年間にわたる平山さんの活動の軌跡をたどったもの。 これまでのDVDなどで紹介されたことのある映像が多いけれど、 それぞれの出来事や活動について平山さん本人が語っている内容は興味深い。 杉野さんの話も面白かった。

フリークライミングテクニック アウトドア編

山と溪谷社、1997年、45分、3600円 ★★

 杉野保・杉守千晶・保坂風美枝・小山田大が次のルートを登るビデオです。

 ビデオを見たらオンサイトではなくなると思い「ジャーマン・スープレックス」・「小川山レイバック」・「彩花」の部分は早送りで飛ばしました。 外国のビデオと違い、自分が知っている岩場やルートなので楽しい。 天候のせいもあるのでしょうけど、ビデオを見る限り、二子山より小川山のルートの方が見栄えがする。 「イエロークラッシュ」はいつか登ってみたい。

フリークライミングテクニック インドア編

山と溪谷社、1997年、45分、3600円

 パンプ2で、木村夫妻がいろいろなテクニックを披露しています。 しかし、ただ見せているだけで、どうしたらそういうムーブができるようになるかとか、そのムーブをおこなうための要点は何かなどの説明がない。 例えば、初心者がおちいりがちな体のフリがないクライミングという話が出てくるけど、どうしたらフリのあるクライミングができるのかという疑問には答えてくれない。

 これからクライミングを始めてみたい人やクライミングを始めたばかりの人がインドアでのクライミングがどのようなものかを知るにはいいかもしれない。

御岳ボルダリング

製作・編集:室井登喜男製作所、販売元:IGNIUS、64分、2800円 ★

御岳ボルダリング

 室井さんたちの御岳でのボルダリングを撮影したビデオ。 7級から三段まで、御岳の代表的な62個の課題が撮影されている。 3級から1級程度の課題を多く登っている。 見て楽しむためのビデオではなく、室井さんたちのムーブを観察するためのビデオだ。 これらの課題を登ってみようと思わない人にはつまらないビデオだろう。

 同じような内容の『小川山ボルダリング』が2000円なのに、これは800円高い。 きれいなプラスチックの箱代が800円ということか?

PROLOGUE we're talking about dai koyamada

PUMP、2003年、60分、4200円 ★★★

PROLOGUE

 2000年から2002年にかけて、小山田さんのハード・ルートの初登やレッド・ポイントの様子を、小山田さんの語りとともに収録したビデオ。 その登りはあまりにスゴすぎて参考にはならないけれど、気迫は十分に伝わってくる。 色々と語られる話も面白く、見ているだけでモチベーションがあがってくる。

Moment Vol.001 2004/01

Frontier Sprit Production、70分、2900円 ★

Moment Vol.1

 2900円と、少しお値ごろな「映像型クライミングマガジン」です。 箱には、平山さんのエルニーニョや小山田さんの白道も含まれていると書いてありますが、実際にはそれらの映像はほんの少ししかありません。 御岳や小川山や福井や鳳来でのボルダリングのシーンが大部分です。 テンポもよくて、ボルダリングが好きな人には楽しめる内容だと思います。

Moment Vol.002 2004/11

Frontier Sprit Production、100分、2900円 ★

Moment Vol.2

 「映像型クライミングマガジン」の第二弾。 次の映像は良かった。

 全体的にまのびした印象がぬぐえず、もっとシャープにテンポよくやってほしいという感想を持った。 「ハルコ爆発」はオマケという位置づけだと思うが、これでお金を取っているわけではないよねと言いたい。

 DVDにバグがあり、好攀一代男(大西さんの小川山でのボルダリング)をメニューから見ることができない。 最初から順番に見ていくしかなく、非常に使いづらい。

 また、メニューからall play以外を選ぶと、その映像が終わると必ずメニューに戻ってきてしまう。 DVDプレイヤーのボタンを押せばメニューにはいつでも戻れるのだから続けて次を再生すべきだ。 同様の理由から、DVDを自動的に最初から再生するようにしたほうが良い。 毎回つまらないタイトルを見せられて、all playを選ばないと再生が始まらないのは面倒としか言いようがない。 『Moment Vol.001』ではこんなことはなかったのにどうしてしまったのだろう?

The Wheel Of Life

Frontier Sprit Inc.、80分、3900円(税別) ★★

The wheel of life

 2004年の4月から5月のかけて行われたオーストラリア・ツアーの様子と、ツアーから帰国後に日本で行われたインタビューを収めたもの。 天井をひたすら這っていくような The Wheel Of Life V16 のノーカットの初登シーンが収録されている。 インタビューの内容も興味深い。 楽しむためのビデオというより、記録映像といった感じの作品です。

 カメラの揺れが気になる部分が多い。 また、インタビュー時のバックが汚く感じられ、もう少しなんとかならなかったのだろうかと思う。 The Wheel Of Life での映像とマッチした音楽はなかなか良かった。 英語版も発売されるそうです。

Live in Japan 平山ユージの世界 日本の岩場を登る

山と渓谷社、70分、3500円(税別) ★★

Live in Japan

 平山さんが日本の代表的岩場のルートを登る様子をおさめたDVDです。 小川山、城ヶ崎、二子、有笠、備中、鳳来、城山で、それぞれ3本のルートを登っている。 DVDだけに含まれている特選映像「IN THE GYM」も含まれている。

 登りはあいかわらずすばらしいが、個人的には、平山さんの話の内容が面白かった。

Moment Vol.003

Frontier Sprit Production、63分

Moment Vol.3

 「映像型クライミングマガジン」第三弾の内容は次の通り。

 小山田さんのカタルシスとスペイン人二人のクライミング、松島暁人さんのケレンジのクライミングがまあまあ楽しく見れた。 ほかは私には面白くなく、全体的にこれといった印象が残らないDVDだった。

forte

frontier sprit production、85分、3900円(税別) ★★

forte

 小山田さんたちが2004年秋に行った50日間のヨーロッパ・ボルダリング・ツアーの様子を収めたもの。 スイスのキロニコ、マジック・ウッド、クレシアーノ、フランスのフォンテーヌブロー、帰国後の栃木の野立岩でのボルダリングが収録されている。 日常生活の様子などがちりばめられた落ち着いた感じのDVDです。

 ドリーム・タイム(8c)を登るシーンは当然すごい。 ブローでの初登の様子を収めた付録ではジャッキー・ゴドフなどと楽しそうに登っているのがつたわってきてよかった。 ばんばんボルダリングするという感じの構成ではないので悪く言えば眠くなる。

ACTION DIRECT DAI KOYAMADA

frontier sprit production ★

Action Direct

 小山田さんが「アクション・ディレクト」を登るまでの様子をドキュメンタリー風に撮影したDVD。 「アクション・ディレクト」にまつわる小山田さんの思いがたくさん語られている。 そのぶん登っているシーンは少なく物足りない。 もっと小山田さんが登っているところを見たい。

Moment Vol.004 2006/11

Frontier Sprit Production、90分、3045円(税込み)

Moment Vol.4

 「映像型クライミングマガジン」第四弾の内容は次の通り。

 印象に残って何回も見たいと思うのはジェイソン・キールと平山さんと草野さんの映像くらいだった。 他のものは一度見れば十分と感じた。 この内容で3045円は高いのではないだろうか?

 大工さんの幻のビデオを発掘した草野さんの映像はなかなかよい。 他の大工さんのビデオも復刻してほしい。 草野さんと柘植さんがジョン・ギルの課題をたずねたツアーのビデオももう一度見てみたい。 「映像マガジン」とうたっているので新しい映像を追うことは必要なのだろうが、古いけれど現在でも価値のある映像を発掘する作業も続けてほしい。

dai's video diaries vol.1

2008年、3990円(税込み)

dai's video diaries vol.1

 小山田さんの2007年の活動を日記風にまとめたDVD。 ドイツのフランケンユーラでのボルダリングと、塩原、鳳来、青厳峡などでのクライミングの模様が収録されている。

 一部の映像はカメラ・アングルの悪いものがあり、これで3990円は高いと思った。 個人的なことだけれど、このDVDを編集しているハネス・フーフと彼の家族にフランスのシャトベーの岩場で会った。 その彼らの映像を見れたのが私には楽しかった。

a day in the Life - 5 women who climb

a video paul dusatko, integrity productions, 60 min.

a day in the Life

 5人の女性クライマー (Stephanie force、beth Rodden、Brandi mulligan、roXanna brock、tiffany Levine campbell) がクライミングや人生などについて色々と語り、そして登ってくれる。

 もう少し登っている映像が多いほうが私の好みです。 英語が良く理解できれば話している内容がわかって楽しいのだろうと思いますが。

Dosage vol.1

a Josh Lowell film, 2001 bigUPproductions, 80 min. ★★★

dosage1

 The Mandala(V12) と Realization(15a) を登るクリス・シャーマ、 Spectre(V13) と Buttermilker(V12) を登るデイブ・グラハムをはじめ、クレム・ロスコットやリサ・ランズなどのボルダリング・シーンが満載です。 ボルダリング・コンペの映像も楽しい。

 あいだに挿入されているジョシュ・ローウェルの変な余興みたいなものは要らないと思う。 Realization の核心部分をクリアーし、開放されたような声を出すクリス・シャーマの映像になぜか感動した。

Dosage vol.3

2006?, bigUPproductions ★

 次の6つの映像を含む。

 やはり圧巻はクリス・シャーマのボルダリングをおさめた映像だろう。 カウクは太ったおじさんになっていてちょっと・・・という感じだ。

EVOLUTION REVOLUTION

a film by udo neumann, 1999, 60 min. ★

EvolutionRevolution

 クレム=レスコットのボルダリングがメインのビデオ。 ドイツ語で話している場面では英語の字幕が表示される。 南アフリカでのボルダリング、オフィドゥス・クライミング、ドイツのフランケンユーラでのボルダリングで構成されている。 象が出てきたりして、マイナーなイメージが漂う、少し不思議な感じのビデオだ。

 オープニングの一部で、帽子を飛ばしながらボルダリングするシーンが出てくる。 これはハッピー・ボルダーの The Hulk V6 を T社長が登っている映像で、スポットはN美さんだ。 The Hulk には良い思い出もあるし、2400円で買ったので、まあまあ満足といったところ。

FAST TWITCH yank on this too

a film by mc productions presented by (pusher)、1997年、45分、$24.95 ★

 クリス=シャーマがバージン・リバー・ゴージの「ネセサリー・エビル(5.14c)」とスミス・ロックの「ジャスト・ドウ・イット(5.14c)」を登っています。 ブーン=スピードなどによるボルダリングのシーンもたくさん含まれています。

 クリス=シャーマの登りには強さを感じるけれど、うまさは感じない。 ルートを登る場面よりもボルダリングの場面の方が私には面白かった。 どこかのクライマーが「スパー・ツイーク(5.14b)」を登る映像はなかなか良かった。

 ただ時々カメラの揺れが激しいのが気になる。 「Masters of Stone」シリーズと比較すると、映像の質、カメラのアングルなどが今一歩だと思う。 少し素人っぽいビデオに見えてしまう。

free Climbing the Nose by Lynn Hill

1997年、25分

 エル・キャピタンの「ノーズ」を23時間でフリー・クライムするまでのリン=ヒルの軌跡を描いたビデオです。 彼女自身がナレータをつとめています。 コンペでの優勝、ノーズのワンデイ・アッセント、フリー化、23時間でのフリー・クライムと続きます。
 「ノーズ(VI 5.13c)」 核心のピッチは「グレート・ルーフ(5.13a/c)」と「キャンプ6上のコーナー(5.13a/b)」だそうです。 『フリーダム 平山ユージの世界』にもこの「グレート・ルーフ」が載っています。 彼は 5.13d 以上はあると書いています。
 リン=ヒルのあの蟹のような足使いを私もまねしたい。

Leeds 89 the first international indoor climbing comptition

CHRISFILM & VIDEO、1989年、110分

 1989年のワールド・カップ第1戦として行われた英国リーズでのコンペを記録したビデオです。 一昔前の有名クライマーが沢山出ています。 でもリン=ヒルが出場していないのは残念です。 男子の優勝はジェリー=モファット、二位はディディエ=ラブドゥ。 女子の優勝はロビン=アーベスフィールド、二位はイザベル=パティシエ。 日本人は女子で15位になった大島三枝さんがちょっとだけ写っている。

 だらだらとコンペの様子を写しているだけのつまらないビデオだと昔見たときは思ったのですが、今見るとそれなりに楽しめました。 あらためて、ムーブが一人一人違うのに驚いてしまいます。 イザベル=パティシエのコントロールされた華麗な動きと、ディディエ=ラブドゥのスタティックな動きが印象的でした。 モファットとロビン=アーベスフィールドの登りには強さを感じます。

Lisa Rands THE HIT LIST

2004年?、Video by Wills Young、25分 ★

TheHitList

 リサ=ランズがアメリカ西海岸の色々なエリアで高難度のボルダリングを行っている様子をおさめたDVD。 怖そうなハイ・ボールが多く、落ち方を少し間違えれば骨折間違いなしというような課題も多い。

 淡々と登っているだけで変化にとぼしいと感じた。 時間も25分と短め。

Masters of Stone

Eric Perlman Productions、56分 ★★

 有名なアメリカのクライマーが色々なルートを登っています。 鈴木英貴さんも出てくる。 ジム=カーンやブーン=スピードが若い。 ダン=オスマンやピーター=クロフトがロープをつけて登っている珍しい(?)シーンはこのビデオで初めて見た。 オーエンス・リバー・ゴージで「エンタープライズ(5.12b)」をフリー・ソロするジョン=バーカーが印象的だ。

 このころのアメリカのクライマーはキョンをほとんど使ってないみたいだ。 かぶった所でも、正体で引きつけ、デッド・ポイントかランジで登っている場面が多い。 それだけパワーがあるということだろうけど。

Masters of Stone III - Third Stone from the Sun

1994年、56分 ★★★

 「もしあなたが楽しく長い人生を送りたいなら、このビデオで実演しているような過激なクライミングをしようとしないように。」という意味の注意書が最初に流れます。 その通りの過激でちょっとクレイジーなビデオです。

 ジム=カーンの空中遊泳のようなボルダリング、5.14 を登るトリブ、「シュカ」でのゲルハルト=ヘールハーガのランジが印象的です。 ほかにも、ブーン=スピード、ロン=カウク、フレデリック=ニコル、ロベール=コルティジュなどのボルダリングやクライミング・シーンが満載です。

 ジム=カーンの次の言葉が印象深かかった。

 People always ask me for some kind of magic formula to improve their climbing. And I think that once people get to the state where their desire to improve climbing, really overrules everything else in their life, then how to train and what to eat and all other things become clear itself. I have nothing else to say.

(クライミングがうまくなるための魔法の薬みたいなものはないかっていつも聞かれるけど、俺はこう思うんだ。 うまくなりたいっていう気持ちが、人生のほかのすべてのことを支配するような状態に一度なってしまえば、 どんなふうにトレーニングをするかとか、何を食べるかとか、その他の色々なことは自然にわかるようになるってね。 他に何も言うことはないよ。)

Masters of Stone 4 - PURE FORCE

Eric Perlman Productions、1997年、56分 ★★

 見せ物としてのクライミングが満載のビデオです。 ダン=オスマンのスピード・フリー・ソロはすごい。 文字どおり壁を走って、飛んでます。 そのほかにもクリス=シャーマ、ロン=カウク、JB=トリブなどがハード・ルートを登ってます。

 私にとってクライミングとは自らやる遊びであって、見て楽しむだけのものではありません。 スピード・フリー・ソロおよびシャワー・クライミング、バンジー・ジャンプなどは自分ではやってみようとは思えないので、「すごいなー」と思うだけでおしまいになってしまい、興味が持てなかった。 そういった、私にとって興味の持てないシーンが多いと感じたビデオです。

Masters of Stone V

A film by Eric Perlman、1999年?

Masters of Stone V

 フリー・ソロ、ハイ・ボールのボルダリング、綱渡り、パラパントなど、危なそうなクライミング(?)ばかりのビデオです。 1998年に死亡したダン=オスマンの軌跡を振り返っているところもあります。

 ディーン=ポッターのノーズでのクライミングとダン=オスマンのバンジー・ジャンプがすごかった。 でも、ダン=オスマンは、あんなことをやっていたらそのうち死ぬだろうなと思わせるような映像ばかりです。 私にできそうなことは一つもなかった。

MOVING OVER STONE

1988年、Range of Light Productions、U.S.A.、58分 ★★

 前半が初心者向けの基本的なムーブの解説、後半が有名クライマーによる登攀シーンという構成です。 クライミングの基本はムーブにあるという考えに基づいて作られています。 クライミング・ギアをいらないと言ってどけたり、クライミング・シューズだけ履いて裸でボルダリングするシーンにそれがよく表れています。

 リン=ヒル、シュテファン=グロバッツ、ジェリー=モファットのクライミング・シーンが私には面白かった。 昔見たときはとても良いビデオだと思ったのですけど、最近のビデオと比較すると迫力がない気がします。 初心者が見るビデオとしては良いと思います。

MOVING OVER STONE II

55分

 「MOVING OVER STONE」はムーブに焦点を当てた良いビデオだと思いましたけれど、第二弾のこのビデオは今一歩焦点がボケている気がします。 「MOVING OVER STONE」の続編を期待していると裏切られます。

 オンサイト、フラッシング、レッド・ポイントの違いを説明したり、グランド・アップによるルート開拓と懸垂してボルトを設置するルート開拓の違いについての説明があったりします。 そんな本を読めばすぐに分かるようなことよりも、ビデオでしか見れないムーブを見せて欲しかった。 フエコ・タンクスで登っているトッド=スキナーはすごいルートを登っているのだろうけれど、力だけで登っているように見えてしまい、うまさが伝わってこない。

ONE SUMMER BOULDERING IN THE PEAK with Ben Moon

1994年、50分 ★★

 ベン=ムーンが英国のさまざまな岩場でボルダリングしています。 ランジのシーンが多く、ベン=ムーンの鍛え抜かれた肉体が躍動しています。 フレンチ・グレードで8bの課題に何度も何度も挑戦し、ようやく成功した後で「Yes!」と叫ぶ場面が印象的でした。

 トップ・ロープで登る場面一つを除いてルートを登る場面は出てきません。 ボルダリングが好きな人にお勧めです。 ビデオで登っている課題のグレードが一番最後にだけにまとめて表示されるのはチョットいただけない。

ON THE ROCKS

1984年、OTR PRODUCTIONS、U.S.A.、29分 ★

 クライミング・ビデオの古典です。 有名クラック・ルートを登るシーンもでてきますけど、ボルダリングのシーンが面白い。 特にジョン=ギルの実際のボルダリングが見れるのが私には楽しかった。

PERFORMANCE ROCK CLIMBING

Dale Goddard and Udo Newmann、77分 ★★

PerformanceRockClimbing

 同名の本のビデオ版です。 ビデオ版の技術解説書です。 したがって背後に音楽がかかっていてバンバン登るといった最近のアメリカのビデオとは趣が異なります。 クライマーが登っているのを英語で解説したり、デール=ゴダードのインタビューに色々なクライマーが答えています。

 本にも出ていた、平山さんとルグランの登りを比較して解説している部分は興味深い。 マルク=ル=メネストレルがフォンテーヌ・ブローで登る所も私には面白かった。 しゃべっている内容が理解できればもっと面白いのだろうとは思います。

Rampage

A Josh Lowell Film, presented by PUSHER、1999年、75分 ★★★

Rampage

 クリス=シャーマ達の二ヶ月間にわたるボルダリング・ツアーの様子を撮影したビデオです。 主にカルフォルニアが舞台で、最後にカナダ(スコーミッシュ)も出てきます。 1999年の夏に行われたXゲームでのクリス=シャーマのボルダー・シーンも含まれています。

 いろんな場所でとても難しそうなシャーマ・プロブレムをばんばん初登しています。 雄叫びの嵐ですが、クリス=シャーマはとても楽しそうに登っています。 成功した課題にグレードをつけないのはなぜなのか、少し気になりました。 ずっと同じ展開で変化に乏しいです。

Return2Sender

A Peter Mortimer Film、2005年(?)

 米国のインディアン・クリークでのクラック・クライミングの映像が多くをしめています。 他には、 グリーン・ランドでのティム・オニールたちによるビッグ・ウォール・クライミング、 10歳の少女によるビショップでのV10課題のボルダリング、 綱渡り、 ベース・ジャンプ、 クライミング犬「ビスケット」のドッグ・クライミングなど、多彩な内容が含まれています。 ボーナス・トラックのビッグ・ウォールの歴史では、アニメで平山さんも登場します。 でも全然似てません。 2005年度の複数の映画祭でベスト・クライミング・フィルム賞を受賞した作品です。

 クラック・クライミングやビッグ・ウォール・クライミングが好きなら楽しめるDVDだと思います。 そういうクライミングをほとんどやらない私にとっては、あまり面白くありませんでした。 また、英語が得意でないのでティミー・オニールの冗談(?)の内容もあまり分かりませんでした。

 いきなり、スポンサーの宣伝がたくさん流れてきて、見る気がうせます。 スポーツ・クライミングやボルダリング嗜好の人にはお勧めしません。

ROC'N WALL '97、 L'esprit de la Grimpe

Concerto Vertical、1997年、60分 ★

 エトランジェ、トリブ、ルグラン、ロンバードなどのクライマーが主にフランスの岩場を登っている。 画像はきれいでアングルもよいと思うけれど、クライマーが次々とルートを登るだけで変化に乏しい。 8c とか 8c+ とかのルートを登っているのだが、すごさを感じさせず、一見すると普通のビデオにしか見えない。 フレデリック=ニコルのボルダリングも含まれているけれど、あっけなく終わってしまい、どれほど難しいのか見ている人には伝わってこない。 また、エトランジェの人工壁でのボルダリングのシーンはつまらなかった。

 体や足の使い方を研究しようとか、何か目的を持って見ないとつまらないビデオだと思う。

the professionals

2001 movement films、60 min ★★

Professionals

 2001年の春に行われた francois legrand と平山ユージの米国ツアーを記録したもの。 Smith Rocks の Just Do It 14c、Logan の Supertweek 14b、Fortress の kryptonite 14d などのハード・ルートに挑戦する二人の姿をインタビューを交えて追っている。

 淡々とした静かなビデオです。 ハード・ルートへの挑戦の結果は見てのお楽しみ。

THE REAL THING - Ben Moon and Jerry Moffatt on the ultimate bouldering road trip.....

Positive Power presents a SIMON TUCKER film、1996年、53分 ★★★

 ベン=ムーンとジェリー=モファットによるボルダリングのビデオです。 フォンテーヌ・ブローでのボルダリングが中心です。 イギリスのピーク・ディストリクトやジムでボルダリングするシーンもあります。 すっかりパパになって髪の毛も少なくなったマルク=ル=メネストレルや、レッド・ポイントという言葉の発祥の基を造ったという伝説のクルト=アルベルトもブローで登っています。

 パワフルなシーンが多く、やぱりボルダリングは力と瞬発力だと思わせます。 こういうビデオを見ていると自然の岩でボルダリングしたくなる。

THREE WEEKS & A DAY

Featuring Dale Godard and Boone Speed, An epic climbing film、1995年、80分 ★★

ThreeWeeks

 ブーン=スピードとデール=ゴダード達による22日間のクライミング・ツアーの様子を記録したビデオ。 「チャイルド・オブ・ザ・ナイト(14a)」でのクライミングを終え、ギアを片づけ、最後にルートを見上げるブーン=スピードが寂しそう。

 長期のツアーに行きたい気分にさせてくれるビデオです。

Top 20 Classic Boulder Problems of North America

2007年 ★

Top20

 北米のクライマー500人に、一つの地域から一つずつ、ベストと思われる北米のボルダリング課題を三つあげてもらい、その中で上位二十番までにはいった課題を女性クライマーが登る様子をおさめたDVDです。 フエコ、スコーミッシュ、ヨセミテ、アイベックスなどの課題がでてきます。 それぞれのエリアの印象などをクライマーが述べている部分も多い。 ボルダラーがすべて女性ということもあり、たんたんとした静かな内容のDVDです。

 英語があまり得意でない私には、話している内容が完全には理解できない部分もあり、そのせいか少し退屈でした。 バター・ミルクの課題はたくさん含まれているのに、ハッピーの課題が一つもなかったのは意外でした。

WEST COAST PIMP - California Bouldering and Beyond

A film by Steve Montesanto & Tim Steele、2000年、75分 ★★★

WestCoastPimp

 カルフォルニアでのボルダリングを紹介したビデオです。 実際に岩を登るシーンが多く楽しめます。 しかし、同じアメリカのボルダー系のビデオである『Free Hueco』や『Rampage』と比べると少し物足りない気がします。 ローカルな感じがするからでしょうか?

 『Free Hueco』と『THE REAL THING』のパロディーがあるそうです。 パロディーの個所が分かれば、あなたは立派なクライミング・ビデオ批評家になれるでしょう?  私は言われるまで全然わかりませんでした。 (英語力がないだけかも?)

 二回目のアメリカ・ツアーに行ってからは、実際に見たり触わったりした課題や風景が多く出ていて、個人的には楽しいビデオになりました。

Copyright 1997-2010 Hirosawa Makoto