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おの あんな

小野アンナ

おの あんな

1890.3.14(明治23)〜 1979.5.8(昭和54)

昭和期のヴァイオリニスト、音楽教室主宰者

埋葬場所: 6区 1種 5側 11番

 本名はアンナ・ディミトリエヴナ・ブブノワ(Anna Dmitrievna Bubnova)。 父親はロシア帝国の官僚のドミートリイ・ブブノフ、母親のアンナ・ニコラーエヴナは名門貴族ブリフ家出身で声楽家。姉のワルワーラは美術家、画家。妹のマリヤはピアニスト。
 6歳よりピアノ、10歳よりヴァイオリンを学び、1908〜1913ペテルブルク音楽院で、レオポルド・アウアーに師事。 “フリー・アーティスト”の称号を得る。1917(T6)5月ロシアに留学していた小野俊一と結婚。 翌年、ロシア革命で混乱していた故郷を離れ、28歳で来日。日本で、小野アンナ音楽教室を主宰し、多くの門下生を育てた。 俊一との間に俊太郎を儲ける。音楽の早期教育の必要性を唱えていたこともあり、俊太郎をヴァイオリニストにすべく育てていたが、俊太郎が14歳の時に医師が急性盲腸炎と気づかず、またアンナが誤って患部を温めてしまったため没してしまう不幸にあう。 その二年後、俊一とアンナは協議離婚。アンナは離婚後も日本に留まり、小野アンナ名義で日本のヴァイオリン演奏の進展に寄与し続けた。 俊一は浪子と再婚し子も儲けていたが、自宅にアンナとアンナの姉のワルワーラを住まわせた。
 '46武蔵野音楽大学教授として後進を指導するかたわら、請われて桐朋学園の子どものために音楽教室も務めた。 小野アンナ門下からは、諏訪根自子、厳本真理、前橋汀子、潮田益子、浦川宜也、三木鶏郎など数多くのヴァイオリニスト、音楽指導者、作曲家等を輩出した。'58小野俊一が歿す。 これを機に、アンナは姉のワルワーラとともに惜しまれつつソ連に帰国。40年間の日本での生活にピリオードを打った。 '59日本政府から今までの功績を評して、勲4等瑞宝章を賜わる。 帰国後、ジョージア(グルジア)のスフミ音楽院にてヴァイオリン科教授に就任。スフミにて永眠した。

<日本女性人名辞典>
<音楽家人名事典など>


おの えいじろう 墓所

*小野家の墓所は正面に小野英二郎の墓が建つ。裏面は「元治元年六月廿三日生 昭和二年十一月廿六日永眠 春秋六十有四」と刻む。左下に十字が刻む根石墓誌「みどりの のにふさせ いこいのみぎわに ともないたもう」と刻む。裏側は墓誌となり、小野松子、静子、美子、山田貞子、浮田直樹、小野十二子、信也、菊泉、狩野てる、小野妙子が刻む。

墓所左側 墓所右側

*小野家の墓所左手側は右から「小野俊一 浪子 之墓」墓石、その左に「故 小墅總裁記念」碑が建つ。右手側は左から和型「小野康平家墓」、裏面は「ダミアノ 小野康平 1904.2.26-1989.1.24 / マリアローザ 小野伊佐子 1909.4.11-1973.5.3」と刻む。その右側は和型に十字が刻み「愛児 ドミトリイ 小野俊太郎墓」、右面は句が刻み、裏面は「大正八年二月二十四日誕生 昭和八年十月二十五日永眠」と刻む。

墓所

*小野家の墓所右手側手前に新しく三基建つ。これは小野有五が発起人となり、2016.5.15(H28)ワルワーラ・ブブノワと小野アンナの記念碑除幕式が行われた。記念碑建之と共に、多磨霊園の外国人墓地にあったワルワーラ・ブブノワと小野アンナの母親の「アンナ・ニコラーエヴナ・ブブノワの墓」と、ワルワーラ・ブブノワの夫の「ウラジーミル・アレクサーンドロヴィチ・ゴローフシチコフの墓」がこの地に改葬された。

墓所 アンナ・ニコラーエヴナ・ブブノワ

 三基は左から十字を刻みロシア語でウラジーミル・アレクサーンドロヴィチ・ゴローフシチコフ(1897-1947)、裏面はカタカナで「ウラヂミル ゴロフチコフ」と刻む。その右隣は十字を刻みロシア語「Анна ниKоДАевна Бубнова」(アンナ・ニコラーエヴナ・ブブノワ)と生没年月日が刻み、裏面にカタカナで「ブブノワ・アンナ 1854-1940」と刻む。その右隣に「小野アンナとワルワーラ・ブブノワ 記念碑」が建つ。両者の簡単な略歴も刻む。碑の下に「小野アンナ記念会・ブブノワ先生に感謝する者一同 有志・小野家 2016年」と刻む。なお、小野アンナとワルワーラ・ブブノワの墓はスフミ市のミハイロフスコエ墓地に葬られた。

*墓誌に刻まれている小野菊泉は田安徳川家老女で柳川藩士小野家の養女。本墓は谷中霊園だがここにも名が刻む。小野英二郎は筑後の柳川の藩士の小野作十郎の子で家督を継いだ背景がある。


※墓所内に記念碑が建之されたこと、前夫(小野俊一)、息子(小野俊太郎)、母(アンナ・ニコラーエヴナ)の墓石があり眠っていることから、本人の墓石や刻みはないが、歴史を学ぶ一環として独立ページを設けます。



第170回 日本のヴァイオリニストを育てた異国の母 小野アンナ お墓ツアー


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