Top Pageへ戻る

考えるヒントのお蔵  生と性と聖の棚  第1番
あなたの隣の人と

毎日毎日、新聞は人の「死」を伝え続けています。その多くは、天寿を全うした死や闘病の末の死ではなく、不慮の事故か殺人、そして自殺です。
(※ ProjectG/死因と自殺の統計表の部屋をご覧ください)

2002年に交通事故で亡くなった方8326人に対し、自殺で亡くなった方は3万2143人。1997年には2万4391人だった自殺者は、翌1998年に一気に8500人増えて3万2863人、1999年には3万3048人となり、2002年まで5年連続3万人台を推移しています。自ら命を絶つ人が毎日90人もいる日本の社会を、どう考えたらよいのでしょうか。
自殺、5年続け3万人超 昨年 理由、「生活苦」は大幅増 (No .N127a030725m1)


1999年の内閣府男女共同参画審議会「男女における暴力に関する調査」によれば、女性が殺されるとき、それは通りすがりの他人ではなく、もっとも身近な夫や恋人によるものが多いそうです。毎年100人以上の女性が夫に殺されているという事実をどう考えたらよいのでしょうか。
DV防止法成立/暴力夫#シ年接近禁止も/警官の研修求める声 (No .N174a010407m34)


児童虐待防止法が制定された2000年、国内では139人の子どもたちが、せっかん、育児放棄、無理心中などによって亡くなっているという統計があり(capna 子どもの虐待防止ネットワーク・あいち)、毎年20人以上の子どもが親からの虐待で殺されているという家庭を、どう考えたらよいのでしょうか。
虐待死の子、400人超  90年代/法医学会調査「ごく一部」 (No .N126a010412m29)

そして悲しいことに、子どもへの虐待は母親によるものが一番多く、その母親の多くはみずからも虐待の経験を持っていたり、夫からの暴力に苦しんでいます。
家庭内の暴力/絡み合うDVと児童虐待/同じ視点で解決を (No .N174k010518m4)


もう一つ、あまり知られていない悲しい事実があります。それは同性愛者を初めとするセクシュアルマイノリティの自殺率の高さです。その自殺防止を目的に取り組まれているのがホワイトリボンキャンペーンです。その趣旨紹介をYoshinoriさんのサイト「ホワイトリボンキャンペーン」より一部抜粋し以下転載します。
アメリカでは、5時間に一人の割合で思春期の同性愛者が自殺すると推測されており、1989年のアメリカの保健社会福祉省の調査では思春期に自殺した若者の30%は同性愛者によるものであり、思春期の同性愛者は、そうでない若者に比べ2〜3倍、より自殺を試みやすいと報告されています。

自らの性的指向と折り合いをつけようとしている同性愛者は、毎日、家族や友人、社会からの否定的な発言や、社会的孤立、そして人生におけるとても難しい時期での支援態勢の不足に直面しています。

このホワイトリボンキャンペーンの目的は、思春期の同性愛者の自殺が相次ぐことを広く知らせ、彼ら/彼女らが、必要としている情報をより簡単に得られるようにすることです。

私たち生身の人間がこのサイトの中にいるわけでもないですし、直接、情報を提供することもできません。情報を求めている人々が必要かつ役に立つ情報に、より簡単にたどり着くためには、このキャンペーンに賛同するできるだけ多くのホームページがリンクによって結ばれ、それぞれが掲げるメッセージを提供することです。

自分の存在を肯定し、共に暮すパートナーをいつくしみ、生まれ出た命をしっかりと育てていける社会と人間関係を、どう作っていくか。そのことに「関係ない」人など、どこにもいないでしょう。


一方、多くの人が自分や身近な人のこととして直面しながら、誰もがどう向き合っていいのかわからなくなる病気があります。

それは、厚生労働省の2002年人口動態統計月報年計の概況に掲載された右のグラフのとおり、日本国内で一番多く死をもたらしている悪性新生物=癌(がん)です。

医療技術は年々向上しているとはいえ、癌は簡単に治療できる病気ではありません。
2002年の年の瀬、毎日新聞のWEBページに掲載された「友人や親類は、頑張るように私を励ます。しかし、もう私は疲れてしまった。人生は悲しいことばかり。だから、今は静かに見守ってほしい」という、乳癌にかかった歌人宮田美乃里さんの手術拒否宣言は、大きな波紋を生みました。

励まし、共感、戸惑い、批判 etc. 一人の思いを巡って様々な人々が発した言葉からは、人が他人と向き合うことは自分の人生と向き合うことに他ならないということを思い知らされます。

時間があれば花と悲しみ〜魂の軌跡 宮田美乃里 特別室を覗いてください。

(2003年8月6日一部更新)
図書紹介
サイト紹介
記事紹介
  • N354 子どもの自殺
    • ある自殺/14歳 未送信の遺書/2日前 悩み届かず/母「苦しくても、生きていさえすれば」
「夜の窓 死の扉」はこちら
生と性と聖の棚の目録にもどる