誕生の時、未来は今

未来の物語の始まり

銀色のASIMOも目にし、これで全ての目的を果たせた感のある今回のROBODEXだが、実はもう一つ、折角今日この日に来たのであれば観ておきたいイベントがある。
それは明日物語上の誕生日を迎えるアトムの生誕前夜祭。冒頭の頁でしれっと載せておいたあのアトムの目覚めの儀式が催されるというのだ。
始まるのは13時過ぎ。場所はこのままメガステージ。まだ時間はあるのだが、引き続きこの場でその時を待った。

ロボットパレードを含む幾つかのコーナーを経てその時間が近づくと、メガステージとアトムが眠るブースとを結ぶ通路の通行が封鎖され、二つの場所が接続された。
そしていよいよ始まるのかという緊張感の中、突然スタッフが客席の前に現れて思いもかけぬ言葉を発した。
「ここからは撮影禁止です!」
はあ?という気分である。コンサートじゃあるまいし何故今更。今時の事情が色々あるのかもしれないが、折角の催し物、こうした今この瞬間を記録しておきたいと思う気持ちを抑制してしまうのも如何なものか。
そんな気持ちを他所に儀式は始まった。
ロボットパレードで登場した多数のロボット達がステージ中央を取り囲むように佇む。そこへ天馬博士に扮した故手塚治虫の長男手塚真氏が、アトムの眠るベッドを伴ってロボット達の輪の中に現れた。
雷鳴を思わせる照明と轟音の中、天馬博士は仰々しく両手を掲げ、天を仰ぎ、降ろした手を開いたままになっていたアトムの心臓部の蓋へ持って行き両手でしっかりと閉じる。しばし置いて閉じた手を離し、天馬博士は数歩身を引く。
ゆっくりと上半身を起こすアトム。そしてゆっくりと目を見開き、近くの天馬博士を認識する。天馬博士が再び近寄り両手を差し伸ばすと、アトムも応えるように右手を差し出し、二人は固く握手を交わした。一応感動の場面である。
その瞬間から数秒後、場内に更なる大音響で音楽が流れ始め、二人の後方にその音の主が現れた。
その時不意に「撮影禁止の主因はこいつらか!」と得心した。
ちょうどこの日からオンエアとなったアニメ版新アトムのOPを歌う、ZONEという十代の女の子達のグループだ。
「うーん、結局番組のプロモーションなのかなあ?」
まあ時期も時期だし、別に悪い事でも何でもないよくある企業活動なんだが、ちょっと流れ的にね。
「わーい、生ZONEだ。ラッキー」(棒読み)くらいにとっておこう。
悔し紛れの代価も納めたしね。

という訳で今度こそ今年のROBODEXはホントに終了。
また次回を待つ事にする。
悔し紛れの代価悔しいが一応自主規制


[参考]
ROBODEX2003パンフレット
<<prev|next>>
|01|02|03|04|05|06|
<<prev|next>>