高橋是賢
たかはし これかた
明治・大正・昭和期の実業家、子爵、貴族院議員
東京出身。高橋是清(8-1-2-16)、柳（同墓）の長男として生れる。弟の高橋是福(6-1-1)は実業家。
学習院高等学科卒業。横浜正金銀行本店支配人を務めていた父のところへ入行。1899(M32)父が日本銀行副総裁に就任した年に、横浜正金銀行ロンドン支店詰行員として渡英。そのため父が後に日露戦争戦費調達のためにロンドン滞在中に、是賢もロンドンにいたため連携して取り組んだと推察する。
1909(M42)ベルギー、ブラッセル大学政治経済科を卒業。帰国後は、農商務大臣官房及び日本大博覧会各事務嘱託を務め、'19(T8)欧米視察。その後、実業家として台湾生薬、日本理化工業、日本精工の各社長。富士屋ホテル、満州開発、東満州産業の各取締役や、大和醸造、東京火災保険の各監査を務めた。また、中央賃金委員会委員、復興金融金庫設立委員等を歴任。
'25(T14)父の是清が衆議院選挙に出馬するため、隠居して子爵の爵位を譲り受け襲爵し当主となる。貴族院議員（子爵議員）として研究会に属し、'32.7(S7)から貴族制度廃止される、'47.5(S22)まで務めた。この間、'36 二・二六事件で父が暗殺されて以降は、高橋家の一族の長となる。従3位 勲3等。享年72歳。
＜大衆人事録 東京篇＞
＜歴代閣僚と国会議員名鑑＞
＜平成新修旧華族家系大成など＞
＊是賢の父の高橋是清の墓所（8区1種2側16番）は管理事務所で配られている案内でも有名であるが、高橋家先祖代々墓はここの9区1種1側の墓所である。「高橋家先祖代々墓」は五輪塔が建ち、裏の台座に「昭和十六年十二月 子爵 是賢 建之」と刻む。右側に高橋家墓誌が建つ。先に高橋是清墓が建ち、代々墓はその5年後に建てたことがわかる。是賢の戒名は大乗院春喜是賢居士。妻の愛子(1888.12-1971.7.24：本乗院賢窓慈愛大姉)は黒木為�呂肇劵筌�(共に8-1-2-15)の二女。
父の是清の戒名は報國院殿仁翁是清大居士。母の柳(里ゆう：1884.8.4歿・行年29才：柳芳院眞應貞鏡大姉）は西郷利右衛門の娘。弟の高橋是福は分家し多磨霊園の6区1種1側に墓所がある。是福次女（是賢の姪）の福子は伊藤博文の孫の伊藤博精に嫁いだ。妹（是清長女）の静は6歳で早死(1883.12.9歿：同墓）、妹（是清二女）の須磨も2歳で早死(1884.1.25歿：同墓）。母の柳が若くして亡くなったため、父の是清は後妻に 志な（品子：1865.1.9-1946：墓誌に刻みなし)を娶り、4男1女を儲ける。異母弟妹は、三男は不明（墓誌に刻みなし）。四男の是道(1889 M22.10.17歿・行年1才：同墓）は早死。三女の和喜子(1891.5-1964) は大久保利通の八男の大久保利賢に嫁ぐ。和喜子の息子がロッキード事件で有罪判決を受けた丸紅専務の大久保利春である（大久保家の墓は青山霊園1ロ12-7/10）。五男の高橋是孝(1893.6.30-)はボルデイ製鋼所日本支店長を務めた実業家。六男の高橋是彰(1901.1-1995)はピアコムジャパン社長を務めた実業家。加えて、是清は妾の子が4人おり養子として同じ家で育てたため、認知された異母妹に、真喜(銀行家の岡千里に嫁ぐ)、喜美、美代（荒居商店の荒居賢太郎に嫁ぐ）、栄（塚越喜一郎に嫁ぐ）がいる。
＊是賢と愛子は3男4女を儲ける。長男は賢一(1914.3-1999：同墓：墓誌に刻みがない)。賢一の妻は美千代（大日本体育協会理事の牧田清之助の長女）。賢一は東京帝国大学農学部卒業、陸軍獣医少尉を経て農林省で官僚を務めたのち北海道議会議員となり議長も務めた。他方で是清が北海道伊達市に創業した高橋農場の3代目場主として農場をサラブレッド競走馬の牧場に転換し、1977(S52)東京優駿（日本ダービー）優勝馬のラッキールーラなどを生産した。なお8区の高橋是清の墓と、9区の高橋家の墓の二ヶ所とも、賢一が亡くなるまで墓所管理者を務めた。
長女は慶子(1911.3.19歿・行年1才：同墓）。二女の照(1912.12-)は東成行に嫁いだ。二男の高橋豊二(1915.9-1940.3.5：(皋羽)翔院環山道豊居士：同墓)は第11回ベルリンオリンピックの日本代表サッカー選手。三女は艶(1916 T5.12-1940.1.5・行年25才：同墓)。三男は康三(1919 T8.11-1944.12.27・行年25才：同墓)。四女の多惠(1921.10-)は横浜正金銀行の小野八寿雄に嫁いだ。
※(皋羽)は「皋」に「羽」を合わせた一文字。