【アニメ】 ふたりはプリキュア 8話(テレビ朝日)【3月21日】
最初の頃は後半パートのほとんどを敵との戦闘に時間を割きすぎたのが災いして、変身したヒロイン達のピンチばかりが強調され、そこから何事もなかったかのように必殺技で強引にフィニッシュする展開が非常に鼻についていた。ところが、久し振りに今回の放送を見てみたところ、かなり面白かったというだけでなく、今後の製作方針に関しても一つの指針になるような興味深い展開が繰り広げられていた。
個人的に堪能させてもらった最大の要因は、物語の比重を主人公2人(美墨なぎさと雪城ほのか)の心理描写に重点を置き、敵との戦闘はおまけ程度にしたことである。今回は彼女達の友情に亀裂が生じるというありがちな話ではあるが、互いに素直になれないところを様々な手法を用いて丁寧に描くきることで、非常に好感の持てる内容にまで昇華させている。仲直りするまでの過程にしても、2人の感情を前面に押し出すことで不自然さを感じる隙を与えない演出は、圧巻であった。
内容の充実も然ることながら、「何事に於いても徹底的に考えるのが一番大切だ」ということを、真摯に伝えようとしていたことにも感心した。なぎさとほのかが、互いの気持ちを親身になって悩んだからこそ、今まではっきりしなかった部分が朧気ながらも理解できた訳だし、それによって相手を許そうという気持ちも生まれたのだと思う。
おそらく、彼女達が真剣に考えるのは今回限りかもしれないが、出来ることなら今後も、自分や周りとの関係や敵との戦いで、試行錯誤していく様子を中心に展開していけば、ひょっとしたらダークホース的な存在になるかもしれない。
『電波系ソング(「ふたりはプリキュア」主題歌)について』
(3月31日加筆修正)
主題歌「DANZEN! ふたりはプリキュア」が一部で「電波系」と噂されているが、どうしてなのだろうか。その理由を考えると、「普通では考えられないくらい執拗にタイトルを連呼する」ことが原因ではないかと思われる。
リフの至るところで「プリキュア」を連呼してるし、関連するワード(プリティーでキュアキュアなど)も無駄に充実している。最後もオーケストラヒットによるインパクトのあるリズムと共に「プリキュア」を二度繰り返して終わらせることで、強い印象が残る工夫を凝らしている。こうした一連のクドイ手法が一部の大人にとっては「電波系ソング」として聞こえてしまうのだろう。
考えてみるとプリキュアの主題歌は作品同様、非常にオーソドックスなスタイルをとっていると思う。お子様向けあることを意識した単純明快な歌詞なんかは、まさにその典型である。だとすると、周りが評する「電波系」というよりは、「一昔前の懐かしいアニメ主題歌を再現しようとしていた」と考える方が、むしろ妥当ではないだろうか。
『黒と白』
おまけで言わせてもらうと、どうしてなぎさが「キュアブラック」で、ほのかが「キュアホワイト」なのかを考えてみたところ、彼女達の苗字がそれぞれの色に対応していたことに気がついた。つまり、美墨なぎさには「墨」、雪城ほのかには「雪」、というように黒と白を連想させる漢字を当てはめていたからだった。判ってみればなんてことないのではあるが、それでも、黒と白を振り分ける設定までもきちんと考えていたことに、今更ながら驚いた。