華麗に進化?、SDR−4Xの舞台デビュー

Dream Theater by SONY


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(c)2002 Sony corporation

今回のSONYのブースは前回よりも更にエンターテインメント性をアピールしようと、ステージを文字通り舞台にしてしまった。その名も"ドリームシアター"。入場はチケット制にし、次の開演時間前に希望者に配布し(もちろん無料)座席を確保。公演が始まると如何にもブロードウェイなんかで居そうな(ある意味古典的な)紳士風の服を身に纏った進行役が登場し、ロボットによる演目を紹介していくという構成になっていた。
演目の内容は先にも記した新機能を盛り込む形で上の写真のように紹介されていったのだが、驚いた点としてはとにかく動きが柔らかい。それは遅いとかいうものでは無く、ゆったりといった感じ。踊っている時の腕の振り、体の揺れなどはSDR−3Xの時はまだカクカクした印象があったが、今回はそれを然程感じさせなかった。また、ダンスパフォーマンスにおける複数のSDRの連携については、どの程度プログラミングされたものなのか不明なところもあるが、連携が良く取れていた。動作の面においては、このように現段階で持つ機能について順調に進歩しているようだ。
一方別の機能ではその能力が十分に発揮できていなかった。顔・色識別や会話能力については、デモンストレーションの中では必ずしも上手くいってはいなかった。だがこれについては、こうしたイベント会場という場所が、これらの機能を発揮する上で非常に良くない条件になっているという事情もある。音声認識においては雑音が多いと特定の相手の音声だけを拾えないし、視覚機能もフラッシュや照明の具合によって左右される事が多々あるようで、こうした環境においてもその機能を失敗無く実行できるようになるにはまだまだ多くの壁がある(これはSDRに限らない事だが)。それにこの分野での方法論というのは、動作面以上にその手法が多岐に及んでいて、なかなかスタンダードとなるシステムが確立していないようにも見られる。器の仕上がりは流石SONYと言えるところに到達していても、そうしたソフトウェア的な部分については他の機関の方が圧倒的に優れたものを持っていたりするのである。この辺りは今後の技術交流の拡大に期待するところか。
さて、後はこのロボットをどう扱うかという問題についてだが、先に述べた通り「役に立たないロボット」を作るといったコンセプトを持っているのがSONYのロボットだ。もちろん本気で役に立たないものをという字面通りの意味では無いだろうが、仮に友達ロボットとして見た場合どの程度需要があるだろうか。AIBOはペットの代替として上手い具合に家庭内におけるその地位を獲得できたが、今度は人型である。人が人に期待する事は何なのかを考えた場合、果たしてこのSDRはその地位を得られるのかまだ疑問は多い。プログラム化された動きや会話というものにどの程度人は喜び、癒され、それを頼みと感じるのだろうか。その要求は明らかにペット型よりも高くなってくるはずである。また、それが一家に一台必要とされる社会、エンターテインメント故に飽きられてしまえば消費され廃棄される社会となった時、新たな倫理観の問題が生じて来るだろうが、フィクションでは既に多く語られたこの問題を今度は現実のものとして徐々に考えていかなくてはならない。
余談だが、購入する側の判断材料の一つとして価格というものがどうしても気になるが、何と2002年度中には販売したいというその価格は乗用車並になるという話だ。
果たして、これは高いのか、安いのか・・・。

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