安元亮祐プロフィール&略歴 |
安元 亮祐 Ryosuke Yasumoto |
■1954年、兵庫県姫路市生まれ。肺炎からくる高熱が原因で聞こえなくなった。小学校の頃から絵に熱中、画家になろうと決意して1972年に東京教育大(現、筑波大)付属聾(ろう)学校美術専攻科に進んだ。恩師の大原省三先生のろうあ者は不幸なのではない、不便なだけだ。自信を持って歩け。」の言葉は、その後の画家の支えとなっている。1972年(18歳)で光風会展に初入選、以後毎年出品。1975年(21歳)筑波大学付属聾学校中退。学生時代から独特の色彩感覚など日本人離れした感性で頭角を現した。日展に6回入選したほか、1988年(34歳)には安田火災美術財団奨励賞受賞。1989年(35歳)セントラル美術館油絵大賞展・佳作賞受賞、1992年(38歳)安井賞展出品。具象絵画や彫刻の新人登竜門といわれる第27回昭和会展(日動画廊主催)では昭和会賞を受賞し一躍注目を集める。 |
■現在−茨城県在住 ■個展 不忍画廊(東京)1989年〜、画廊香月(現.ギャラリーモリタ)(福岡)1990年〜、 日動画廊(東京)1995年・昭和会賞受賞記念展、 ギャラリー・サンセリテ(豊橋) 他 全国で個展開催。 1997年 高島屋主催「美の予感展」出品 (東京、京都、大坂、横浜巡回。) 「文字のない詩・安元亮祐の世界展」開催 -BunkamuraGallery、 個展-不忍画廊 ■パブリックコレクション 安田火災東郷青児美術館、笠間日動美術館、福岡女子商業高校、豊田市ほか |
1954 | (昭和29年) | 兵庫県姫路市に生まれる |
1972 | (昭和47年) | 光風会展初出品(以後毎年出品) |
1974 | (昭和49年) | 日展に20歳で初入選(以後6回出品) |
1975 | (昭和50年) | 筑波大学附属聾学校美術専攻科中退 |
1976 | (昭和51年) | 渡欧 |
1979 | (昭和54年) | 光風会展にて奨励賞受賞(82年同賞受賞) |
1982 | (昭和57年) | 千葉県美術展にて美術館長賞受賞 |
1985 | (昭和60年) | 千葉県美術展にて県知事賞受賞 |
1986 | (昭和61年) | 千葉県美術展にて県知事賞受賞 |
1987 | (昭和62年) | 光風会展にて会友賞受賞 |
1988 | (昭和63年) | 光風会、安田火災美術財団奨励賞受賞 |
1988 | (昭和63年) | 昭和会展に出品 |
1989 | (平成1年) | 安田火災美術財団奨励賞展にて新秀作賞受賞 |
同財団収蔵作家となる | ||
セントラル美術館油絵大賞展にて佳作賞受賞 | ||
個展開催−不忍画廊 (以後毎年開催) | ||
「文字のない詩/安元亮祐作品集」刊行 | ||
1990 | (平成2年) | 光風会展にて中村研一賞受賞 |
「YASUMOTO RYOSUKE FIRST ALBUM 1990」刊行 | ||
1991 | (平成3年) | 個展開催−画廊香月(福岡) (以後毎年開催) |
光風会展にて江藤純平賞受賞 | ||
1992 | (平成4年) | 第27回昭和会展にて昭和会賞受賞 |
第35回安井賞展に出品 | ||
日本洋画商協同組合1992年展に出品(洋協アートホール 1998年まで毎年出品) | ||
1993 | (平成5年) | 太陽展に出品(日動画廊 〜95年) |
日動展に出品(日動画廊 〜95年) | ||
日本ろう者劇団とデフパペットシアターひとみの合同公演「真夏の夜の夢」美術担当 | ||
1994 | (平成6年) | 房総の美術−昨日から明日へ−に出品(千葉県立美術館) |
7artistes Japonaisに出品(パリ日動画廊) | ||
現代の裸婦展に出品(日動画廊 〜95年) | ||
1995 | (平成7年) | 昭和会賞受賞記念展(日動画廊) |
「昭和会賞受賞記念展 図録」刊行 | ||
1996 | (平成8年) | 詩画集「風の神話」刊行(詩・松永伍一) |
個展「風の神話展」(詩人・松永伍一とのコラボレーション)(不忍画廊) | ||
アーティストによる100点の腕時計&原画展出品 | ||
1997 | (平成9年) | 高島屋主催「美の予感展」出品(東京・京都・大阪・横浜巡回) |
個展「沈黙の詩劇展」(不忍画廊) | ||
個展「文字のない詩・安元亮祐の世界」展(Bunkamura Gallery) | ||
それぞれのアーティストによる腕時計とその原画展出品 | ||
1998 | (平成10年) | 「NHKハート展」出品(Bunkamura Gallery他巡回) |
SIGHT・サイト映像展の実験映像 短編「風の記憶」制作(銀座ソニービルSOMIDOホール) | ||
1999 | (平成11年) | 日本洋画商協同組合主催:JADA展出品(2000年も出品) |
第6回国際コンテンポラリーアートフェスティバル「NICAF TOKYO’99」にて「新作展 PARTT」(東京国際フォーラム) | ||
個展「新作展 PARTU」(不忍画廊)/「10年の歩み展」(金井画廊)同時開催 | ||
2000 | (平成12年) | 個展「安元亮祐−小さな神話−」(Bunkamura Gallery) |
色彩銅版画集「小さな神話」刊行 | ||
風の市プロデュース「RASYOMON−鳥・風の迷路−」美術担当 | ||
手話・企画室米内山プロデュース「コクトーの遺言−詩人が死んで蘇る−」演出・美術担当 | ||
2001 | (平成13年) | 新作展「いのちのざわめき」(不忍画廊) |
デフパペットシアターひとみ公演「オルフェウス」美術担当 | ||
第7回国際コンテンポラリーアートフェスティバル「NICAF TOKYO’01」出展 | ||
個展(アサヒギャラリー・甲府) | ||
2002 | (平成14年) | 新作展「BOX ART 2002」(不忍画廊) |
風の市プロデュース「雨月」美術担当 | ||
個展「安元亮祐展」(美術サロンゆたか) | ||
デフパペットシアターひとみ結成20周年記念公演「オルフェウス」美術担当 | ||
新作コラボレーション展「道化師と、花と、音楽と。」(Bunkamura Gallery) | ||
「大島哲以遺作展+気になる作家5人展」(不忍画廊) | ||
2003 | (平成15年) | 「時を刻むふたり−安元亮祐全版画展+駒澤博司陶彫展」(不忍画廊) |
「〜文字のない詩〜安元亮祐の世界展」(横浜そごう) | ||
「安元亮祐展」(カフェ・エルエテ・デ・ミュゼ) | ||
第8回国際コンテンポラリーアートフェスティバル「NICAF TOKYO’03」出展 | ||
「VISAGE パート2 顔の秀作」(不忍画廊) | ||
「安元亮祐の”ライムライト展”」(不忍画廊) | ||
2004 | (平成16年) | 「洋画新世紀展」出展(洋協アートホール) |
「安元亮祐2004 〜新作と、この15年の軌跡〉展」(不忍画廊) | ||
2005 | (平成17年) | 「安元亮祐展」(ワイアート・ギャラリー) |
「安元亮祐展〜風へのオマージュ」(アサヒギャラリー) | ||
2006 | (平成18年) |
「安元亮祐2006〜風へのオマージュ」(不忍画廊、ワイアート・ギャラリー、山口画廊) |
「作品集刊行記念展〜安元亮祐クロニクル2001〜2006」(Bunkamura Gallery) | ||
作品集「YASUMOTO WORKS 2001-2006」刊行 | ||
2007 | (平成19年) | 「安元亮祐展2007 イ・キ・モ・ノ・ノ・カ・タ・チ」(不忍画廊) |
現在、茨城県在住 |
■作品によせて■ | |
松永 伍一・詩人 安元亮祐さんの絵を見せられたとき、「うらやましいな」と思いました。画家に対する詩人の嫉妬だったのかもしれません。安元さんは夢の世界を伸びやかに描いていて、何の気負いもなく「夢中の主人公」の眼であたりを散策しています。そこいら中を歩きまわっても疲れる様子もなく、無心の少年のように足どりも軽く、星の光とそっくりの澄んだ目で風景と向き合っています。私は安元さんの描く聖化された虚構にはげしく嫉妬します。健康体に奢っている人間の愚かさがつくづく恥ずかしくなります。あれもできる、これもできるという我侭は実は何一つ発見していないということです。あらゆる音を耳にしているのに永遠が放つ純粋な音をきき取れずにいるじゃありませんか。俗世の苦味にいよいよ耐え難くなった時、私は安元さんの描く夢の世界を散策しあの澄んだ音を聞きたいと思います。 (1989年不忍画廊個展案内状より抜粋「純粋な音がきこえる」 松永 伍一・詩人) |
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藤原 作弥・エッセイスト 安元さんは音声が聞こえないので日本映画より字幕スーパー付きの洋画を好んで観る。フェデリコ・フェリーニの世界がとりわけ好きだという。ピエロやサーカスの人間像のモチーフもその辺に由来があるらしい。斎藤真一の世界にも通じている。太陽、月、建物、人間、馬、花....など安元さんの描く対象は、一つ一つは孤独に見えるが、その一つ一つが見る人の魂の郷愁に訴え、絵全体として楽しい幻想の世界を形作っている。それは音声や文字よりもはるかに雄弁なデジャ・ヴュ(既視の世界)誰しもが、いつかどこかで見たことのある懐かしい心象風景なのである。 (1991年不忍画廊個展案内状より抜粋「懐かしい心象風景」 藤原 作弥・エッセイスト) |
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池田満寿夫・版画家、作家、陶芸家 そのたまらない孤独な光景はしかしどこか淋しく、どこか生あたたかい。遠い昔、どこか出会った光景のような気もするし、夢とうつつの間で漂った時間のような気もする。音のない静寂な空間だが遠くの方で波のさざめきがかすかに聞こえてくる。安元亮祐の絵から受けた最初の印象である。異質な世界となつかしい世界とが叙情的にとけあっているのだ。不安でありながら、マチエールに塗り込められた澄んだナイーブなこの感性は、画家が音のない世界で現実の中に心象を求めながら制作しているからだと分かった。松本竣介と共通する海辺や町並みを濡らす驟雨のようにデリケートでしっとりとした画肌は私たちを限りなくなつかしい詩人の風景へと誘ってくれる。 (1994年不忍画廊個展案内状より抜粋「音のない世界」 池田満寿夫・版画家、作家、陶芸家) |
管理者:あじさい