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考えるヒントのお蔵  生と性と聖の棚  第2番
保険で救われるものは

20世紀の終わりから21世紀のはじめにかけて、改正男女雇用機会均等法、ストーカー規制法、DV防止法、児童買春・児童ポルノ処罰法、児童虐待防止法etc.と、女性や子どもに対する差別や暴力にかかわる様々な法律が成立しました。

一つ一つをつぶさに見ると、まだまだ多くの問題はあるのですが、長年に渡る多くの人の「闘いの成果」であることにまちがいはありません。

しかし、毎日の新聞やテレビのニュースでは、学校でのいじめや体罰を受け、助けも求められず身の置き所もなくなって自殺する子どもたち、家庭で虐待されて殺される子どもたち、職場でも学校でも電車でも家庭でも、場所を問わず性暴力の被害に遭う女性たちのニュースが絶えることがありません。

こうした差別や虐待・暴力に対し、「人権擁護推進審議会」は2001年5月25日に「人権救済制度の在り方についての答申」を行いました。
これを受けて今後様々な対策や法整備が進むことを期待、というよりその実現を後押しすべく声を挙げ、足を運んでいくことが私たちにも求められています。

また、個々人の意識のレベルでは、朝日新聞の連載「私の暴力論4」で北原みのりさんが語っているような、「コミュニケーションの再構築」が必要なのかもしれません。

その一方、この機を逃さず抜け目なく「商売」を考え付く人々もいるようで、いくつもの保険会社から相次いで、学校や女性対象の保険が発売≠ウれています。

特に注目されるのはエース損害保険の私立学校法人向け保険「スチューデント・ケア」。「スチューデント・ケアは、学校の補償制度を充実させ、子供の死を受け止めることの大切さを尊重し、たとえいじめの疑いからの自殺であっても、『お見舞金などの費用』と考えて速やかに保険金を給付して日本の風土に合った解決をサポートします。」というのが謳い文句。

被害者になり得る人にとっての救済手段としての保険ならまだしも、『加害責任を問われた時の保険』とは……。

「いじめ・セクハラ・体罰や生徒の自殺に対応した保険に入ってますのでご安心下さい」と書いてある学校案内を目にする日も近いのでしょうか?

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