・ドロシー・L・セイヤーズ著「ピーター卿シリーズ」(創元推理文庫他)

    <短編集>
    1:『ピーター卿の事件簿』        ★★★
    2:『ピーター卿の事件簿2 顔のない男』 ★★★★
 
    <長編>
    1:『誰の死体?』           ★★★
    2:『雲なす証言』           ★★★
    3:『不自然な死』           ★★★★★
    4:『ベローナ・クラブの不愉快な事件』 ★★★
    5:『毒を食らわば』          ★★★★★
    6:『五匹の赤い鰊』          ★★
    7:『死体をどうぞ』          ★★★
    8:『殺人は広告する』         ★★★★
    9:『ナイン・テイラーズ』       ★★★
    10:『学寮祭の夜』           ★★★★★
    11:『忙しい蜜月旅行』         ★★★
 
    現在、上記の計13冊が文庫版にて出版されています。
    ……この感想を書こうと思った当初は、長編の11は新書版(ハヤカワ・
   ポケットミステリ)でしか出てなかったんですけどね。今年7月に新訳で
   文庫版が出ました。……そもそも読んでからどんだけ時間が経ってるんだ
   全く(爆)
 
    このシリーズを読もうと思ったきっかけは、大好きな作家さんの一人で
   ある荻原規子さんが、ご自身のサイトにて短編集の2(上記一覧参照)を
   紹介してらしたことです。読む順番としては同じく短編集の1を先にした
   方が良さそうだったので、そうしました。……印刷の字体とか、訳の文体
   のせいもあったかも知れませんが、妙におどろおどろしい雰囲気を感じる
   話が多い、と思った覚えがあります。その後、もう一方の短編集を読んで
   みて、ちょっとコワイ短編もあったんですが、基本的にはユーモアのある
   ……それも、頭の良い人独特のユーモアに満ちた文章だなー、という印象
   を受けました。
    それで長編も読みたくなりまして、短期間の間に出てるもの全部を購入
   (ちょうど前年夏に長編の10が完訳出版されたこともあってか、ほとんど
   の作品は主要な本屋なら揃っている時期でした)。
 
    私は(あくまで個人的に)外国ミステリを読むのがあまり得意ではあり
   ません。このシリーズ以前にまともに読んだのはシャーロック・ホームズ
   ものぐらいで。
    なんか、文章が読みにくいな−って感じることが多かったんです。特に
   アガサ・クリスティーの作品においては何故か顕著で、せっかく(ほぼ)
   全作品を親戚から譲ってもらったのに、いまだに大半は読めていません。
    ところがこのシリーズの場合、たまに話運びの難しさにつっかかること
   はあっても、基本的には結構楽に読み進められたのです。特に長編の方は、
   訳者の方の文章がかなり分かりやすく、読みやすいと思いました。
 
    個人的な読後評価は、上の通りです。星5つで満点。
    もう少し具体的に言うと、2つは「話自体がちょっとわかりにくい」、
   3つは「面白さも感じるけどやや難しいor展開があまり好みではない」、
   4つは「全体的にけっこう好み」、5つは「個人的に最高レベル」です。
 
    星5つの長編のうち、3と5は、謎解き物としての面白さ・スリリング
   さは最高級なんじゃないかと思ってます。3の方は、ほぼ初めから犯人は
   提示されてるんですけど、完全犯罪だったはずのそれを明らかにしていく
   過程がいろんな意味ですごい。
    10は……実はミステリとしてよりも、恋愛小説として好きなのです(笑)
   そういえば、この作品には前記の3と5も関わってくるのですよね。3は
   主人公が作中で持ち出す話題に出てくるし、5は主人公とヒロインが最初
   に出会う作品なわけだし。
 
    厳密に言うとこのシリーズには、あと1作未邦訳のものがあるのですが
   (原作者が亡くなって未完になった原稿を、別の作家が引き継いで完成)、
   そちらの邦訳はまだまだ先かなぁ……長編の11が新訳で出されたことだし、
   あまり遠くない日に出版されるといいなぁと思ってます。
                                                    (02.1〜2/05.11.4)
 
 

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