<短編集> 1:『ピーター卿の事件簿』 ★★★ 2:『ピーター卿の事件簿2 顔のない男』 ★★★★ <長編> 1:『誰の死体?』 ★★★ 2:『雲なす証言』 ★★★ 3:『不自然な死』 ★★★★★ 4:『ベローナ・クラブの不愉快な事件』 ★★★ 5:『毒を食らわば』 ★★★★★ 6:『五匹の赤い鰊』 ★★ 7:『死体をどうぞ』 ★★★ 8:『殺人は広告する』 ★★★★ 9:『ナイン・テイラーズ』 ★★★ 10:『学寮祭の夜』 ★★★★★ 11:『忙しい蜜月旅行』 ★★★ 現在、上記の計13冊が文庫版にて出版されています。 ……この感想を書こうと思った当初は、長編の11は新書版(ハヤカワ・ ポケットミステリ)でしか出てなかったんですけどね。今年7月に新訳で 文庫版が出ました。……そもそも読んでからどんだけ時間が経ってるんだ 全く(爆) このシリーズを読もうと思ったきっかけは、大好きな作家さんの一人で ある荻原規子さんが、ご自身のサイトにて短編集の2(上記一覧参照)を 紹介してらしたことです。読む順番としては同じく短編集の1を先にした 方が良さそうだったので、そうしました。……印刷の字体とか、訳の文体 のせいもあったかも知れませんが、妙におどろおどろしい雰囲気を感じる 話が多い、と思った覚えがあります。その後、もう一方の短編集を読んで みて、ちょっとコワイ短編もあったんですが、基本的にはユーモアのある ……それも、頭の良い人独特のユーモアに満ちた文章だなー、という印象 を受けました。 それで長編も読みたくなりまして、短期間の間に出てるもの全部を購入 (ちょうど前年夏に長編の10が完訳出版されたこともあってか、ほとんど の作品は主要な本屋なら揃っている時期でした)。 私は(あくまで個人的に)外国ミステリを読むのがあまり得意ではあり ません。このシリーズ以前にまともに読んだのはシャーロック・ホームズ ものぐらいで。 なんか、文章が読みにくいな−って感じることが多かったんです。特に アガサ・クリスティーの作品においては何故か顕著で、せっかく(ほぼ) 全作品を親戚から譲ってもらったのに、いまだに大半は読めていません。 ところがこのシリーズの場合、たまに話運びの難しさにつっかかること はあっても、基本的には結構楽に読み進められたのです。特に長編の方は、 訳者の方の文章がかなり分かりやすく、読みやすいと思いました。 個人的な読後評価は、上の通りです。星5つで満点。 もう少し具体的に言うと、2つは「話自体がちょっとわかりにくい」、 3つは「面白さも感じるけどやや難しいor展開があまり好みではない」、 4つは「全体的にけっこう好み」、5つは「個人的に最高レベル」です。 星5つの長編のうち、3と5は、謎解き物としての面白さ・スリリング さは最高級なんじゃないかと思ってます。3の方は、ほぼ初めから犯人は 提示されてるんですけど、完全犯罪だったはずのそれを明らかにしていく 過程がいろんな意味ですごい。 10は……実はミステリとしてよりも、恋愛小説として好きなのです(笑) そういえば、この作品には前記の3と5も関わってくるのですよね。3は 主人公が作中で持ち出す話題に出てくるし、5は主人公とヒロインが最初 に出会う作品なわけだし。 厳密に言うとこのシリーズには、あと1作未邦訳のものがあるのですが (原作者が亡くなって未完になった原稿を、別の作家が引き継いで完成)、 そちらの邦訳はまだまだ先かなぁ……長編の11が新訳で出されたことだし、 あまり遠くない日に出版されるといいなぁと思ってます。 (02.1〜2/05.11.4)