イ ン フ ル エ ン ザ |
インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされるカゼ(カゼ症候群)の一種です。 しかし普通のカゼと異なり、高熱で全身症状が強く、肺炎、脳炎などの合併症をよくおこします。 また時に大流行し、大きな社会問題になることもあります。 インフルエンザは普通のカゼではありません。正しい理解が必要と対応が大切です。 |
原 因 |
インフルエンザウイルスが鼻や口から感染することでおきる病気です。 インフルエンザウイルスにはA型(A香港型、Aソ連型)、B型、C型の3つのタイプがあります。 毎年どれかのタイプが流行します。そして毎年少しずつウイルスの形(抗原性)が変化し、 また10年から15年毎に大きく変化することがあるといわれています。 そのため大規模な流行になることがあります。 |
症 状 |
全身のだるさ、関節痛などを伴った急激な高熱がインフルエンザの特徴的症状です。 感染して1〜2日で症状がでて、いわゆるかぜ症候群に比べて全身症状が強く以下のような症状がでます。 @熱・・・・・・・・・急激に発熱し高熱になります。一度下がってまた再び発熱することもあります。(二峰性の熱) 典型的には約1週間ほど続きます。 *急激に高熱がでるため、ひどい寒気がして身体がプルプルと震えることがあります。 この時けいれんと間違いやすいですけど、意識があればまずはけいれんではありません。 熱があがってしまうと、寒気はなくなるのも特徴です。 A全身症状・・・全身のだるさが強く、食欲がなくなります。 B筋関節痛・・・頭痛、筋肉痛、関節痛、腰の痛みをおこすこともあります。 C消化器症状・腹痛、吐き気、下痢を起こすこともあります。 D呼吸器症状・熱がでてしばらくして、咳、鼻汁、のどの痛みを伴うことがあります。 |
診 断 |
咽頭ぬぐい液などを使って、外来でも簡単に検査できるようになりました。 今年当院でもA型、B型を区別する検査キットを採用しました。 |
合 併 症 |
@肺炎・・・・・・頻度的、重症度からみて重要なのが肺炎です。インフルエンザウイルスが原因のこともありますが 一般的には細菌の2次感染によるものが多いです。 流行すると肺炎死亡者数は人口10万人10人を越えそのほとんどが65歳以上の高齢の方です。 咳が長引く、一旦下がった熱が再び発熱した時などは注意が必要です。 A熱性けいれん・インフルエンザは高熱のため、熱性けいれんを起こすことがあります。 熱性けいれんを起こしやすいお子さんは、けいれん止めを使うなどの対策をたてておきましょう。 Bインフルエンザ脳炎・脳症 インフルエンザの合併症で最も恐ろしいのがこのインフルエンザ脳炎・脳症です。 発熱48時間以内に発症します。けいれんや意識障害がおこります。 一旦発症すると死亡率も高く(年間100〜200人が死亡)、 命が助かっても重度の後遺症が残ることもあります。 インフルエンザの診断時にはお子さんが脳症になるかどうかは判断できません。 発熱後48時間は繰り返すけいれん、急に呼びかけに反応しなくなる、何度も戻す時など 意識がおかしい時は注意が必要です。必ず医療機関を受診しましょう。 入院して管理が必要になることもあります。 |
治 療 |
インフルエンザに対する治療薬が最近開発されました。 @シンメトリル・・・A型インフルエンザの治療薬です。この薬で熱の期間が短縮されます。 しかし1000人中2,3人ですが、幻覚を見たり、寝言、うわ言を言ったり、興奮したり、眠れない などの副作用があります。この時は中止が必要です。医療機関を受診しましょう。 Aリレンザ、タミフル A型、B型ともに有効な薬です。リレンザは吸入薬、タミフルは内服薬です。 この薬は小児には適用がありません。(今年は小児用が発売予定) これらの薬は発熱して48時間以内に始めないと効果がありません。 インフルエンザ?と思ったら早目に受診しましょう。 熱が高い時に、状態を見ながら熱冷ましを使います。 細菌感染の合併を疑うときは抗生剤を使うこともあります。 その他咳、鼻汁などの症状を軽減する薬を投与します。 |
家 庭 で 気 を つ け る こ と |
★なんといっても休むこと・安静が一番です。 ★保温:寒くない程度の暖房で十分です。暖かくして、加湿をして休ませてあげてください。 厚着をさせすぎたり、暑がるほどだと、かえって体力が消耗します。暖めすぎは注意しましょう。 ★高い熱がでますが、それで「頭がおかしくなる」ことはありません。 高熱時は薄着にして、布団や毛布を1枚減らし、アイスノンなどで身体を冷やしてあげましょう。 そして落ち着いてお子さんの様子をみましょう。 お子さんが暑がっていれば、熱のこもりやすい部分(わき、首筋、股など)を冷やして上げましょう。 ただ冷やすことで熱が下がるわけではありません。お子さんが過ごしやすくするのが目的です。 お子さんが気持ちよく過ごせるように工夫されてください。 そしてできるだけ側について、お子さんの不安をとってあげることも大切です。 ★食欲がなくても水分だけでも取らせてあげて下さい。 水分はミルク、お茶、赤ちゃん飲料水でもいいです。 食事は食べれるだけ、すきなだけで構いません。 消化のよいもの、のどごしよいもの、好物のものを少しでも食べれればOKです。 ★お風呂は、熱があるときは基本的に体力が消耗するので止めときましょう。 ただ禁止ではなく、本人がさっぱりしたいようであれば、体力が消耗しない程度なら 可能です。 →「小児科の部屋:病気の時、家庭での対処:熱がでた時」を参考にされてください。 ★熱が下がってから2日以上過ぎたら学校、保育園、幼稚園にいけます。 |
注 意 が 必 要 な 時 |
★ひきつけを繰り返しおこしたり、けいれんがいつもより長く続いた時 ★何度も嘔吐したり、顔色が悪く、呼びかけに応じないなど意識がおかしい時 ★水分をあまりとれず、ぐったりしているとき ★一旦熱が下がった後、高熱が続いたり、咳などの症状がひどくなった時 などの時は早目に受診してください。 |
予 防 |
インフルエンザワクチンがあります。しかし接種したからといってインフルエンザにならない訳ではありません。 接種したら高熱の期間が短かったり、症状が軽くて済む、脳炎などの合併症を起こしにくい などのメリットがあります。 また65歳以上の高齢者、気管支喘息、糖尿病、免疫不全症などの基礎疾患がある方は、 インフルエンザに罹ると重症化します。 また受験や仕事などのためインフルエンザにかかりたくない方にも接種をおすすめします。 →「小児科の部屋:予防接種について:インフルエンザワクチン」を参考にされてください。 |