新世紀は神奈川から、RoboFesta神奈川2001

ASIMO 骨格公開

やっぱり出ました、ASIMOの内部公開。
SFの世界では常套手段でしたが、今度のはフィクションではありません。ホンモノです。
HONDAのブースでは定期的にデモンストレーションを行い、動作中のASIMOの内部がどのようになっているのかについて解説をしていました。
簡単に下図写真でわかる事について説明すると、頭部にCCDカメラを搭載し、腹部の白い部分にバッテリー、背中のランドセル部分が頭脳にあたるコンピュータと外部からの指令を受信するアンテナを搭載している場所となってます。ボディの素材には軽量化を実現する上で有効であったマグネシウム合金を使用。最近ではノートPCを始め、様々なAV機器に使われているので十分知られている素材ですね。間接各所にはモーターと動力を伝達させるベルトが剥き出しになっていますが、ASIMOは立っているだけで常にバランスを取るために各種制御を働かせていますから、この場で展示されている間はずっと忙しくモーターも動いている事になります。その為独立での連続稼働時間が30分のASIMOですから、今回はケーブルで電源を外部供給しているという状態になっている訳で、マニアな人間はアンビリカルケーブルだ等とどうでもいい事を口走ったりしてしまう始末です。それともう一つつまらん事ですが、冷却ファンが異常に多い事には驚きます。特にランドセル部分には確認できただけでも左右5個ずつ。脚部にも腿の裏などに取り付けられていました。やっぱり機械、車もコンピュータもロボットも同じ。熱対策には神経を使うんですね。騒音問題が今から心配になります。

ASIMO前面
ASIMO背面

さて、話は戻ってデモンストレーションについてですが、解説のお姉さんがASIMOとの対話形式で前述のような説明をした後、様々な動作について実演を披露してくれました。最初は手を振ったり叩いたりといった上半身の動作。次に脚部のモーターの動きをよく理解してもらおうと足踏みをする動作。
ところがここでハプニング。ASIMOが足踏みをしてくれません。それまではお姉さんが「ASIMO、手を振って」とお願いすると、愛想よく「はい、手を振ります」とか応えていたのに何故か沈黙・・・。顔はにこやかながらも次第に周囲を見回し心中穏やかで無さげなお姉さん。静かに慌て始める周囲のスタッフ。意外と冷静なお客さん。
どうやら足踏みについてはNGとなってしまい口頭で進める事になったようで、脚部を指差しながら冷静に説明を続けるお姉さん。しかしその指先は先程よりも明らかに振幅が大きくなっていました。お気の毒様です。
ところがこのデモンストレーションにはもう一山ありました。

「ASIMOは立っているだけで常にバランスを取る為の制御をしていますが、そのバランス性能をもっと知っていただく為に、これから私がASIMOを押してみせます」
「大丈夫なのか、おい?」流石にちょっとざわつくお客さん。
確かにASIMOの歩行技術は、あらゆる揺れの状態に対して倒れる方向を予測しながら踏み足を出したりバランスを取ったりと、その素晴らしさはこれまでの様々な場で紹介され理解していますが、今この時は非常事態。どんがらがっしゃんと倒れこんでしまう様を、一瞬でも想像というか期待してしまった客は少なからずいた事でしょう。

様々な思惑を胸にその瞬間を凝視するお客さん。

「では、押します!」(・・・ちょこんともたれかかる仕草)

・・・ま、そんなもんだよな。お姉さん、ご苦労様。

デモンストレーションはどうにか終わりその場は散開。
その後のお客さんがまばらになったステージ上。
次のデモンストレーションに向けての調整で元気に足踏みができる様を回復させたASIMOがとっても意地らしげでした。

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