農業風景の日常詩
あぜみち・4
   

9/1付
 雨もやっと上がり、久々の青空。畑に出向いてフーッとため息。思った以上に雑草は元気。田んぼの稲の倒伏も、全国の被害を見れば・・・です。収穫できないほど水没してしまった田んぼ等、気の毒で何ともいえません。その上今年の物価上昇で経営が困難な中です。燃料代、肥料代、農業資材は2倍強に。
 自然と共生する農業にとって、災害はいかんともしがたいものです、しかし、世界的な食糧危機が現実でも、亡国農政をひた走る自民、公明の与党は、さらなる減反を押しつけ、中小農家を切り捨てる品目横断対策を続行。こんな政治はただちにやめさせなければ!
米価も指し示さず、年末の支払いがこわい!?(猪鼻)


9/8付
 まだ残暑が厳しい8月末から9月にかけては、ニンジン播種やレタス、ハクサイ等の秋冬野菜の作付作業が重なる為に、毎日の天気予報が絶対に欠かせません。特に今年はゲリラ豪雨なる強い雨が続き、畑が水浸しになったり、一部陥没した所もあり、心配していたニンジン畑も、何とか7割程度の発芽状況に、少しホッとしています。逆にレタスやハクサイ等は、適当な雨がないと枯れたり、生育が極端に遅れたりするので、潅水(かんすい)をしなければならず、これも手間がかかります。
 どちらにしても露地野菜は天候に支配される宿命にありますが、その分自然の恵みもタップリと受けているので、健康のためにも大いに利用して下さい。(塚原)


9/16付
 8月後半の大雨、きびしい残暑と荒れた天候が続きました。この時期、稲刈りにしても、苺の定植にしても、気を抜くことができない大事な仕事があります。それなのにあの大雨、ぬかるんで苺の定植床をつくるのに苦労しました。あちらこちらで稲も倒れてしまいました。暑い中での苺の定植も大変でした。
幸い我が家の稲は大雨にも負けることなく倒れませんでしたので、稲刈りは順調に進みホッとしています。倒れた稲を刈るのは時間がかかるし、疲れるし、で重労働になります。こんなに苦労をして収穫する米、大事にしてほしいもの。生産者も消費者もそう思っているのに・・・。なんだか大切にされていない気がします、日本のお米。(五月女)


9/22付
 ひと時の雨の合間。昨日午前中に刈った田んぼのコンバインのクローラの跡に真っ白に水がたまっている。刈り残った稲に無情の雨が降りつづく。止まない雨はないわけで、晴れたらまた刈ろう。
 食品偽装が広がっている。食の根本は農業。もう長いこと食即工業、いわば工業用にしかならないものを食品として食わされたわけだ。わるい奴はわるいにきまっているが、その根元は年間70万tにもなるミニマムアクセス米の輸入。総選挙目当ての党首選びの茶番劇がつづく。少しずつでも毒を食わされ、それでも怒らない人々がいるとすれば・・・。決戦は近し、一人でも多くの人にと思っているこの頃です。
 では又。(国母)


9/30付
 那須おろしが急に冷たく感じる曇天の下、県北は稲刈りの真っただ中。雨が降る前にとあちこちでコンバインのうなる音がせわしなく響いています。天候不順だったことしの収穫量も気がかりですが、喜びはひとしおです。
 食品偽装や輸入食品からの農薬検出など、食品の安全性が崩壊寸前。又しても起きた汚染輸入米の食用転用事件は、大臣の暴言とは裏腹に全国に広まり、我が県の給食にも使われていたとは、本当にショックで怒りは納まりません。
 裏では農水省と業者の深い癒着が明らかになったとの報に、驚きというより「やはり」という思いだったのは、私だけではないと思います。事件の徹底解明はもとより、汚染米は輸出国に戻させること、そして自国の農業にさらなる減反を押しつけ、米価を市場まかせで大暴落を企て、不要な、義務でもないMA(ミニマムアクセス)米の輸入をやめさせるべく、早く審判を下さなければ、生産者も納得できません。(猪鼻)


10/6付
 コシヒカリの収穫が終り、思ったより豊作にホッとしています。この後、あさひの夢やモチ米の刈取りをする予定ですが、今年は例の汚染米の影響でモチ米が値上がりしています。
あの毒入り餃子事件以来、つぎつぎ問題をおこしている中国製品に対しては、不信感が増す一方ですが、自給率わずか40%の日本にとっては、それでも輸入せざるをない現実が何とも情けない限りです。
年々高齢化が進む中、一日も早く、国会議員の様に二世、三世の後継者が生まれるような農政に転換して欲しいものです。(塚原)


10/16付
 夕焼け小焼けで日が暮れて〜…カラスが帰ったあとからは〜まあるい大きなお月さま〜。歌そのものの美しい静かな夕暮れ、見とれてしまいました。
 毎日のニュースを見ていると、世の中の流れはどうなっていくのか、不安だけを報道されているようで、やーな気分です。弱い私たちの生活を守るためでなく、ちがう方向に世の中が流れていかないよう、しっかりみていかなくては、と思っています。
 雨が降れば雨にぬれればいいし、風が吹けば吹かれればいい。冷静に腰をすえて、あわてず、お金だけにふりまわされない生き方をみつけたいもの。けれども節約とはほど遠く、これといった強い信念もない私の暮らしぶりをふり返ると、そんな生き方をみつけるのは大変だなーっとため息です。(五月女)


10/20付
 米の力。
時は春、田毎に映る月の夜、広々とした青田をよぎる夏の風、そして稔るほどに黄金の波を見とれて人々は心を満たされる。日本人の食糧としての米はそんな一面もあるのです。
 ところで今、地球規模の穀物不足、金融不安、その元凶はアメリカの横暴。とうもろこしのバイオ燃料の原料化で一気に米、大豆からの転換、加えて穀物市場の先物取引にまで介入する始末。日本から飛行機で数時間のフィリッピンでは異常気象に加えてアメリカからの米輸入が全面ストップ。米を、米をのデモから一部暴動のところも、とマスコミは伝える。中流と言われる公務員の人でも一日二食がやっととか。
日本はと言うと、来年もこのまま減反を続ける方針とか。そんな場合か。荒れ果ててしまった田んぼは、わずか二、三年でその機能を失うものなのです。もういても立ってもいられないもどかしさ。皆さんならわかっていただけると思って、それで表向き何とか平静を保っています。では又。(国母)


10/27付
 澄んだ秋空の下、那須連山の紅葉もどんどん里山へと下っている様子がくっきり。見事な景観にしばしウットリ。仕事の手を休め、疲れも和らぐ。
 義母の介護、家事と農作業の時間が逆転し始めて一年余り。外での仕事は気分転換になり至福の時です。自然に包まれながら思い切り汗を流し働ける農業は、やっぱり大好き!と再々確認、そしておいしいと食べて下さる方の顔を思い浮かべ、畑の真中で一人ニンマリ。赤とんぼといっしょに、心も軽く飛びたい思いでーす。と感じたら、アーお腹空いた、もうすぐ昼食、あと一踏ん張り、がんばらなくちゃ。(猪鼻)


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