農業風景の日常詩
あぜみち・3
   

7/1付
 梅雨時の晴れ間をぬって田畑の除草にあけ暮れる日々。田んぼをわたる風がさわやか、トンボも飛びかい始めて除草の後もとっても気持ちよく、痛む腰も少しいやされます。
 週日の県母親大会「食の安全と日本の農業」での活発な討論の中で申し合わせた三つの事項。地産地消、生産者と消費者の交流、未来につなぐ確かな農業の実現、は私たち生産者に大いに勇気とやる気を奮い立たせてもらいました。風前の灯とされるこの国の農業と言われるけれど、本当に地道に、生産者は"百姓"をしていると思います。
 母親大会の申し合わせ、これこそ日本農業再生への道と確信して…。(猪鼻)


7/15付
 暑い日がつづきます。まだ梅雨あけ宣言はありませんが、本格的な夏がやってきました。こうなると農作業をするのがつらい、かといって家の中でダラダラしていると一層暑さがこたえる。
水分補給のペットボトルを持ち、保冷剤をポケットに入れ、汗止めタオルをしっかりまいて、意を決して苺の苗の手入れをする。クーラーなしでもなんとか過ごせる。
こんなエコな生活をできるのも健康のおかげ。体の健康が一番のエコであることに気づいた私です。(五月女)


7/22付
 少しづつ人々の記憶から消え去ろうとしている太平洋戦争。しかし当時を生きたものにとってはなかなかそうも行かない。
野崎昭如原作の映画「火垂るの墓」が再制作され一部で上映されたようだが、その原作者が新聞のエッセーでその裏話を書いていた。神戸の戦災で焼野原に放り出され、両親とも死別した兄と妹。14歳の兄(作者)が妹に食べさせるお粥を悪いとは思いつつも自分には粒の部分を、残りを妹に、日毎に痩せ細って行った。力の限りふりしぼっていきながらも戦争は自らの人間性をも奪い去ったとも書いていた。
 わたしのすぐ上の兄、昭和20年7月20日フィリピンのルソン島で戦死。享年22歳となっているので、毎年その日を命日として何も帰ってこなかった墓地に季節の花と香を上げているが毎年この時期には気が重い。でも今年はその墓地に浜ヒルガオがきれいに咲いていた。(国母)


7/28付
 梅雨明けでも蒸し暑い日が続き、毎日雷雨と。畑の草取りもままならず、田んぼの草とりに精を出しています。稲田も穂ばらみ始め、雑草は負けじと白い花を咲かせ生き盛んです。向こう岸にたどり着かない間に腰のかごがくい込み、背伸びをしてはまた水中にはいつくばり、終了頃には汗と泥水で全身ビッショリ。これで稲にも栄養がたっぷり行き渡ると思えば心はスッキリ!
"気持ちいいーーー!!"です。
 来月は又食料品の値上げラッシュ。農業資材、特に肥料は昨年の2倍の値上がり。もうお手上げです。小麦の高騰で米の需要が増えているとは言え、生産者価格がどうなるかはわかりません。
 現在の市場経済至上主義の流通過程のどこかで大儲けしている事は真実です。これを根本から改めさせなければ根本的な解決はありえません。国に責任を果たさせるまで戦い続けるのみです。(猪鼻)


8/4付
 ガソリンに続いて農用資材、農業機械、肥料と相次いで値上がりしていますが、特に肥料の値上巾の大きさには呆れるほどです。中でも土壌改良に不可欠のヨーリン(燐酸)は、ほとんど中国からの輸入に頼っていたので、これが輸出規制で2倍くらいハネ上がってしまいました。他の化学肥料も1袋(20kg)で1,500円位上がるのではとの予想もあり、これでは農家はとてもやってゆけません。
私も急きょ取引業者から値上げ前に確保しておいたと言う肥料を200袋買うことに決めましたが、価格は未定です。こんなことは40数年農業をやってきて初めての経験です。
 今までは外国からいくらでも買えると思っていたものが、突然手に入らなくなる、そんな予感が現実になってきています。(塚原)


8/12付
 田んぼの稲も穂をつけて、いよいよ夏も後半といったところ。
今年はずっと晴れ続きで遊ぶには良い気候、でも農業にとってはキツい状態です。昔から"日照りに不作なし"なんて言われたりしているんですが、こう雨が降らないのはやはり大変なようです。聞いたハナシですが、今年はどうやら木のなりものはよくできてようで、逆にツルものは不作な様子。米は豊作だとか。豊作、不作、様々あるのが自然の植物というもの、「無い物は食べない!」で、国産のものを食べる。自給率を上げるのは国の政策と、後はやはり買って食べる方の問題。もっと国産、地元産のものを食べていただければ嬉しいですネ。
 小麦の高騰でお米の人気が再び上がってきているそうで、何よりです。ただ農家にとっては米は安い、というのが定説、かつ実感です。米だけをつくって農家として生活していくのは、今の日本では至難の業。安心してお米が食べられるのもいつまで続くのかと心配してしまいます。自分の身近にいる農家の人達は、それでも米をつくるんだという気骨のある人ばかりですが、やはり政策として守っていかなくては日本の農業はダメになってしまうのではないかと思ってしまいます。『安心、安全な食料は日本の大地から』ですよね。(職員 com)


8/18付
 あれほど暑い日が続いたのに、びっくりするほど涼しい日がきてほっとしています。
お盆中はオリンピック一色のテレビに少々うんざりでしたが、記録をめざす姿は美しい。どこの国の人であれ1番でも10番でも、勝っても負けても目の輝きに心打たれました。商業主義になりつつあることを知りながらもつい見てしまうのはそんなところにあるのかもしれません。世の中努力したからといって1番になれるわけじゃない。がんばって最下位ってことだってある。でも一生懸命自分なりに納得がいく結果です、という姿に心ひかれる。
毎日学校へ行き、結果だけを求められている日本の若者たち。それだけではないことを先生も生徒もわかってほしい。自分に合った満足感を心の栄養にして育っていってほしい。子育てを終った今になって気づいた私です。(五月女)


8/25付
 北京と甲子園にうつつをぬかしていたら突然のゲリラ豪雨と竜巻のような強風。たわわに頭を垂れてきた稲も無残、そして非情。倒伏もあちこちで、わたしんちも植えたばかりのブロッコリー(まだ一部ですが)が強風で地上にうちのめされたが、ここ3、4日してむっくり首を上げてきたではないか。おまえって強いよなあ。そしてそのけなげな姿についホロリ。
 さて、このところそんなに小さくもない秋のようですが、まだぎらつく夏も、そうあっさり引き下がるはずもないでしょう。でもそのうち天空いっぱいに広がる青い空に泳ぐ鰯雲、茜に染まる夕映えの大天然ショーに胸ときめかす秋はすぐそこに。それも生きててこそ。それにしても生きてるってステキなんですよね。
 では又。(国母)


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