農業風景の日常詩
あぜみち・2
   

5/5付
 小学校の同級生で隣の集落のいわば同期の百姓のSやんが、農作業中に突然の事故死。エンジン付農薬散布機を背負って畦脇の用水路に誤って転落し水死した。最近、エンジン付の散布機が売り出され、彼もしつっこく勧められて、買ったと聞いていた。薬液は普通18リッター入り、機重約10kgで全重量28kg。これを背負っての畦道歩行はかなり厳しい。今の用水路はすべてU字型のコンクリート製。水深は左程なくても、つかまるものなし。背中の重量物とともに100メートルほど押し流された果ての水死だそうだ。何もエンジン付でなくても手動式の軽いものが良かったと思うが。今の企業のあくなき利益追求と商業主義の黒い影がこんなところにも。遺影のSやん、働き者だった。さらば友よ、あの深い森の彼方で安らかに眠れよ。(国母)


5/11付
 育苗マットをサーッとめくると、オッ!!きょうも元気。朝露を輝かせながら、天空に向って真っすぐにのびいる。日々成長している喜びは、子育てと同じだとつくづく思います。
 田んぼに無事植え終わるまではお天気とニラメッコ。気が抜けません。今年の米作りの第一歩です。秋にはおいしいお米ができるようガンバルゾ!!乞うご期待!!
 頭を悩ますニュースが多い昨今、ある政党が示した農業再生プランに一条の光も見えて、ホッと一息。庭の藤の色が今朝はいっそうさわやかな風をよんでいます。(猪鼻)


5/19付
 大型連休中に田植えをすませた農家も多かったようですが、我家では5月25日頃に予定しています。米作り農家にとっては、昨年米価が大幅に値下がりをした上に、今年は更に減反割当てが40%にも強化されたことで、これ迄まじめに減反政策に協力してきた人達の間にも「正直者がバカをみる政策だ」と怒りの声が出ています。
 今、世界的に穀物相場が高騰し、アジアでは米不足が深刻な問題になっている時に、日本だけが相変わらず食料を外国に依存し続け、多くの農家には全くメリットのない、ムダな補助金をバラまくだけの無策ぶりには本当に腹が立ちます。(塚原)


5/22付
 田植えも無事終りました。初夏のさわやかな風が吹いて、いい季節になりました。
 先日、イチゴの収穫をしていると、カラスがすぐ近くを飛んでくる。変だなと思ったら草かげにキジの親子がいるみたい。どれどれと見に近づいてみると、母鳥は羽をいっぱいに広げ、子どもを守ろうとする。それに加えてどこかに隠れていたのか、オス鳥が現われて私を敵だと思って向ってくる。びっくりしましたが夫婦で力を合わせて子どもを守る姿には感動しました。どうやら母親と7羽のヒナが散歩中にカラスにねらわれたようです。私の姿が見えなくなり、しばらくすると巣があると思われるやぶのなかに帰っていきました。
 勇気ある親に見守られて育つヒナは幸せだな〜。私たち人間は大丈夫かしらと思いました。(五月女)


5/26付
 田植も大方すんで一段落と言うことで小学校(実際は当時国民学校)の同級会、13人が集ってくれた。介護センターから介護士さんつきで4人、家族の送迎つき3人、残りは自分できてくれた。先ず先日不慮の農作業事故で亡くなったSやんを偲んで黙祷。ひとときの昔話に花が咲いた。
 その中で誰か「いたづら三人衆」の話を持ち出してきた。二人はもう故人、残りの一人は何をかくそうこのオレ。或る日「国旗掲揚塔に登ってやろ」と言うことで放課後決行。先ず二人が八分通りで断念。最後にオレが、どうやら先端まで登りつめ、てっぺんの金の玉にタッチしたところで教頭に発見され、丁度開戦一年前の当時、いやしくもかしこくも何たる行為とのことでバケツ両手に2時間立ちの極刑?
 その話でもちきり。楽しい一日だった。(国母)


6/2付
 梅雨近し、空はどんより、それよりもガソリン等燃料の値上げ、肥料、食糧の値上げラッシュに、心身どしゃぶり気分。怒り心頭、将来を見据える気もなえてくる。
そんな事どこ吹く風、専用機でヨーロッパへの豪遊の方も。
先進国の中で自給率最低、農業をつぶしておいて"環境問題"サミットにむけて話しあいとはお笑い種。何をかいわんや、である。
 今日、我家では、大切に2ヶ月育てたネギ苗をやっと定植。一日雨が降らないことを祈るばかり。こんな心配で…オッと、うねが曲がりそう。気をつけなければ!(猪鼻)


6/14付
 田植えもすっかり終わり、除草剤の散布もすんで、毎朝晩の水まわりだけになったので、ようやく夏にんじんの出荷やナス、ネギなどの手入れに専念できるようになってきました。
 今年は例年になく梅雨入りも早く、台風も多そうですが、何と言っても農業は天候に支配される部分が多く、そういう意味では異常気象や地球温暖化現象も人間の生活と密接な関係があるといわれているので、この先、我々の子孫の食料を守るためにも、食のあり方を含めて、生活スタイルを根本的に見直す時期にきていると思います。(塚原)


6/16付
 苺の収穫が終りました。今までにたまっていた遊びの予定がつまっています。そんな中でも秋に植える苗の手入れが始まっています。
 少しでも収穫を多くと思えば、今から準備をきちんとしておかなくてはいけません。何事も努力が大事、しばらくは仕事をしたくない私ですが、ここはガマン!あとかたづけをしたり、苗の手入れをしたりとがんばっています。でも、出荷がないと時間に追われなくてもすむので、ゆっくり昼休みをとってのんびりペースです。この時期に心の休養も充分にとっておきたいです。(五月女)


6/23付
 「農業って、赤字でどうして生活できてるの?」 県母親大会in足利『食の安全と日本の農業の現状』の分科会に参加されたあるお母さんの鋭い質問。「ま、わずかの年金とか、わずかの貯金を取くずしたり、食べるものは殆んど自給ですので」とその場はなんとか取りつくろいましたが、考えて見れば農業ってその昔から不思議な職業なんですネ。江戸時代は油搾りの原料にされたり(「百姓とゴマの油は絞れば絞るほど出るものなり」というのは徳川幕府が言ったとされる言葉)しながらも、今も歴然と生きつづけてます。
 しかしわたしんちでも、このところスーパーに行くのがめっきり減ったし、二人共通の唯一の趣味、美術館行きがこのところパッタリ。農業資材の急騰、肥料類は近く2倍とか
。 一揆が起きても不思議ぢゃネエ。50部取り寄せたパンフ(農業再生の道をつづったもの)は残りあと2〜3部、わたしのささやかでしなやかな一揆なのだ。では又。(国母)


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