農業風景の日常詩
あぜみち
    最新版

3/3付
 舞い上がる土埃、外に誰もいない、風の吹きぬける。飛ばされないようにあっちこっちと駆け足で補修に精を出す。小さいブロッコリーの苗が寒さにふるえながらもビニール一枚で氷点下の夜もすごす。一巡して家に入る前に土埃を落すのに一苦労する。まさに「埃高き男だ」。若い時分に見たジョンウェンの西部劇「誇り高き男」ならと思わず苦笑い。すんなり来そうにない春、庭先でトラクターの暖機運転の音があたりの静けさを消してやかましい。今日もいそがしいのです。(国母)


3/10付
 先日、近所の人から、高齢のため畑を全部(70a)耕作して欲しいと頼まれ、一応引き受けはしたものの、さて何を作ったら良いのか困っています。面積を増やしても人間一人の働きには限界があり、更には今の価格ではパートを頼んでも給料が払えず、結局余った畑は遊休農地となるからです。中国製冷凍餃子事件以後、自給率向上に関する声が高まっていますが、まず、国内で生産できるものは輸入を制限し、更には価格保障することで、他産業並みの収益が得られるようにする以外に、自給率を上げる方法はないと思います。(塚原)


3/17付
 つい先日、お正月が終ったな〜と思っていたらもう春のお彼岸です。気が付けば、朝霜で真っ白という日もなくなりました。暖かくなれば、カエルや虫たちと同じく私の体の動きも良くなってきました。春といえば、確定申告の季節。我が家も3月はじめには提出しました。一生懸命働いたお金。経費を引いて、生活費はと考えている時、税金はこれだけですといわれると「そんなにー」とため息が出ます。こんなため息を集めた税金。これこそ国の宝、大事に大事に使ってくださいね!(五月女)


3/24付
 ”雨が降ります雨が降る。遊びに行きたし、金は無し”で、晴耕雨読なんて柄でもありませんが、先日、本屋で買ったあの一冊を思い出した。吉沢久子さんの「心豊かな四季ごよみ」。日ごろの忙しさにかまけて、ついつい見過ごしてしまいがちな四季の移ろいの中での「食」との日常的な関り合いをさらりと書いておられる。「食」の問題がざわめいている今、日本人の「食」をあらためて認識させられた。日曜週刊誌に時折、その季節に合ったエッセイを寄せられていたが、1918年生まれ、お一人暮らし。自然を見つめる確かな目。「老」を恐れず、嘆かず、むしろ楽しむ、キュートで素敵な生き方はさすが。ところで、オレ今年はラッキーセブンのぞろ目、つまり77才。何かいいことありそうな予感。でも、あまり欲張らずにぼちぼち行こうかと。外では雨まじりの風が強くなってきたようだ。(国母)


3/30付
 桜の花が咲き、陽気が春めいてくると、農家も何となく日々忙しい気分になってきます。というのも、気温の上昇と共に、今迄土ぼこりがたっていた田や畑に、またたく間に雑草が伸び出してくるのと、これから夏に向けて、どこの畑にどんな作物をどれ位作付けするのかなど具体的に決定する時期でもあるからです。もっとも最近はこれに減反した田も加わり(今年の減反面積は167a)、とても全面積を有効活用できないのが現状でした。ところが嬉しいことに、フリーターをしていた二男が農業に興味を示し、毎日農作業を手伝ってくれる様になったために、今年からは思いきって規模拡大をしようと考えています。(塚原)


4/7付
 桜も咲いて、いよいよ春本番。田んぼの準備も始まりました。畔を修理したり、堀をさらったり、肥料を散布したり次々と作業が待っています。米を作る農家にとって、一年の始まり。子どもたちが、少々の不安と期待を胸に新学期を迎える気持ちに似ています。今年はどんな天候になることやら・・・。無事収穫の秋にたどりつきますようにとの思いをこめて、毎日の作業をしています。食料の自給率を上げようというのなら、減反を無くして欲しいな。日本人の"胃袋"、健康は私たちが支えているんだと誇りを持って仕事ができる日が来ることを願っています。(五月女)


4/14付
 「吉野桜が満開を目安に、トンネルは時期を逃さず取り外してください。そうしないと、軟弱さが進行して花芽の生育に重大な障害をきたします。」「センセ、そうは言ってもさ、この天気じゃトンネルもはずせねえべさ。その軟弱とやらも、どうにもなんねえべ。こんな時はどうすればいいべえ。」この4月から新任ホヤホヤのお嬢さん普及員、「それは・・・その天気の回復を待って・・・」と一瞬詰まった。「今日みてえに雨降りだったら、近くの温泉にでも入ってゆっくりして、天気よくなってからで大丈夫さ。作物はなんでもそんな柔じゃねえべさ。」オレの助け船で話はチョン。お開きになってすぐ、新任普及員さん、さっと寄ってきて「今後ともどうぞよろしく。」降りしきる雨の中、ブロッコリー現地検討会。ビニールトンネルにはじける無情の雨しぶき。ああ恋しやいとおしや、おてんと様々。  (国母)


4/22付
 我が家では、ようやく春レタスが終了したところですが、周りの農家では大根の出荷が最盛期になり、朝早くから働いています。ところが最近、大根は重いのと、高齢化のために、生産者は年々減ってきて、代わりに葉物など少量多品目の野菜を作って、直売所や道の駅等に出荷する人が増えてきました。自分で値段を決められる点や、毎日売り上げがあることが面白いらしく、特に女性が頑張っています。これまで農家は、作ることはできても売ることが下手だといわれてきましたが、中国製食品に対する不信感もあり、安くて新鮮な野菜が手に入る直売所は、これから流通の一端を担う欠かせない存在になっていくと思われます。(塚原)


4/28付
 街はギラギラとした新緑に染まっています。赤、白、ピンクとつつじの花。さわやかな初夏の風も吹いてー。のんびりハイキングに行ってみたいとつぶやきつつ、苺の収穫、パック詰め、加えて田植の準備と一年中で一番忙しい私なのです。「大事な用事は忙しい人に頼め」というそうですが、確かに忙しい時は体を動かし、仕事も雑用もこなしてしまいます。これが、苺の収穫も終わりのんびりという時は、どうという事無く一日が終ってしまいます。この忙しさももう少しのがまんです。そうしたら、本当にゆっくり、だらだら、のんびり山歩きがしたい私です。(五月女)

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