農業風景の日常詩
あぜみち・34
   

9/3付
 厳しい残暑の中、私の地域でも早くも稲刈りが始まりましたが、高温が続いたので平年より一週間位作柄が進んでいるようです。作況指数も良い為か、米価の方は安値設定でガッカリです。
 期待のアベノミクスも農家経済にとっては燃料費や肥料の値上がり等、マイナス効果ばかりで、全く恩恵が感じられません。TPP交渉も正念場を迎えていて、結果次第では日本農業崩壊の危機にもつながりかねませんので、一部大企業の利益優先の外圧から、豊かな国土を荒廃させない為にも、食糧主権だけはなにが何でも守ってもらいたいです。
(塚原)


9/10付
 暑さにふりまわされた夏も終りがみえてきました。
 いよいよ収穫の秋、稲刈りです。コンバインで収穫、乾燥機で乾燥してあっという間に終ってしまうのですが、農家にとって稲刈りを始める頃はいつもそわそわします。お隣で始めればすぐに我が家も始めたい。早いからといって利点があるとは思えないのですがね。
 よそより早いとすごく働いた気分になります。そんなにあわてなくても、と毎年思うのですが、始まりはうずうず落ちつかない気分です。
 今年も無事収穫できることに感謝の気持ちでいっぱいです。
(五月女)


9/18付
 台風一過、今日は抜けるような青空。各地に大きな被害をもたらした18号台風。皆さんの所は大丈夫でしたか?
 被害を受けられた方々に心よりお見舞い申しあげます。特に収穫直前の農作物の被害は、いつも思うことですが、胸がえぐられるような気持ちです。
 我家でもまだ青い水稲が倒れて水浸し。早く水が引いてくれるのを願うばかり。稲刈りもいよいよ本番、晴天が続くことを祈るばかりです。
 TPPを見越してか、米価が暴落と言われていますが、災害の多い日本、「国際競争力云々」と政府、アメリカ言いなり、自国の農業つぶしは許されません。
 こんな美味なお米、そして米作り、渡せるものですか!
(猪鼻)


9/25付
 この夏、母が腰痛で動けなくなってしまい、父が面倒を見る事となり、農作業を手伝ってもらえない状況が続いた結果、アッという間に畑中が草だらけになってしまいました。とりあえず除草剤をかけた後、何日もかけてやっとキレイにしましたが、改めて老人パワーの偉大さに敬服。
 最近、国は国際競争力をつける名目で盛んに規模拡大政策を推進しようとしていますが、我が国のように国土も狭く、高温多湿の条件下では、病害虫や雑草対策の面で限界もあり、やはり人の手が絶対に欠かせません。ムリに拡大をしようとすれば、大量の農薬や除草剤に頼る事は必至で、最終的にアメリカのように「遺伝子組み換え作物」ということにもなりかねません。安全な物を食べるには、それなりの手間とコストが要るということです。
(塚原)


10/1付
 天高く、の秋らしい日がやっときました。サラッとした澄んだ空気は、本当に気持ちがいいですね。そうなれば「食欲の秋」。新米、サンマ、大根おろしだ!とスーパーに行ってみました。すると、大根230円、サンマも200円、きゅうりもキャベツも台風のせいか猛暑のせいか高価です。
 二週間もすれば、キャベツも大根も安くなると思うけど、改めて自然の力にびっくりでした。
 この頃のガソリンの高値安定、電気料金の値上げ、これで消費税まで上がったらと思うとため息が出ます。少々落ちこんだ秋の一日でした。
(五月女)


10/8付
 何日か振りの快晴、金木犀の香りですがすがしい朝を迎えました。
今日は残っている田んぼ一枚の稲刈りです。やっと刈り納めできそうです。
でも米価の暴落により大きな減収が見込まれ、我家の家計は"火の車"状態。農機具代、肥料、燃料代の高騰、これからの支払いで米代金はなくなりそう。借地代も入れると…。本当に頭が痛いです。
 そこに消費税の大増税と秘密裏に進められているTPP交渉。『怒り』の一文字です。何としても中止させなければ!!私の天職を奪われないために。

 稲の露もきれた様なので寄せ刈りです。
(猪鼻)


10/15付
 今年は気温や降雨量においても記録づくめの年だったようですが、その影響は農作物にもハッキリと現れています。水稲に関しては、しばらく見なかったイネ縞葉枯病(ユーレイ病)が多発し、特に早植えのコシヒカリに大きな被害が出たそうです。
我家でもネギが暑さと雨で、根が腐る軟腐病が大発生し、人参は葉が伸び過ぎたためか、黒葉枯病が広がり、奇形果や腐れも目立ちます。
 今また大型台風接近中とのこと(10月14日時点)、急いでナス畑の防風対策や、ハウスの補強をしようと思っています。
(塚原)


10/22付
 台風26号、すごい風でした。苺のビニールハウスも古いビニールに穴があいたり、風の力でパイプが曲ったり、補修が大変でした。それなのに次の27号もまた大きい台風のようです。
被害が出ないで、静かな秋に戻りますように、と願うばかりです。
 ここ数年、次から次に大きな災害が起きています。様々な文明が発達しても、人間は大自然の中で生かされている生命体の一つにすぎないようです。こんな時は神様、仏様にたよりたくなります。
大昔から、生きている人々の心は変わっていないのでしょうね。
(五月女)


10/29付
 甚大な被害をもたらした台風は我家にも。納屋の屋根のトタンが何枚か吹き飛ばされ修理中。野菜の高騰もあり、ネギの出荷に追われ、なかなか休みもとれません。
それでも米価の値下がり分、取り戻さなければ、と必死です。
 TPPをにらんでか、来年は減反をやめ、補助金をカットし、国際競争に打ち勝つ農業を目指す、とか?
屋根の下で作る工業製品と一緒にしてもらっては困ります。自国の食糧は自国でまかなうという「食糧主権」は、どこの国でもあたりまえになってきているのに。
 今、野菜の高騰の原因を見れば、自然と共生しながらの農業は、机上では計算できないことがハッキリしています。
(猪鼻)


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