農業風景の日常詩
あぜみち・23
   

11/1付
 山々では紅葉も始まりました。寒い冬はすぐそこです。
家や職場を失った人たちの冬の準備は大丈夫なのかしら、と心配になります。
 私たち農家にとって無事お米の販売も始まってホッとしているところです。
しかし今度はTPPの問題です。どうも国は「農業は大切にしなくては」とは言うものの、本当にそう思ってはいないのではと思わせる農政が続きました。
農業にとって何が大切なのかゆっくり考えてほしいナー。
ころころ変わる農政はもうやめにしてほしいです。
(五月女)


11/8付
 丹精こめて、この半年間育てた我家のお米。今月から配送されます。3月11日以来放射能汚染を心配し、不安でしたが、すべて「不検出」で皆様にお届けすることができ、本当にうれしく、ホッとしています。どうぞご賞味ください。
 原発の事故以来、すべての食糧の安全性に不安がもたれています。神経をピリピリしながらの日々、その上TPPの中身を知らせないまま参加しようとする政府の対応に怒り心頭。関税を引き下げられれば農業も米作りも立ち行きません。
未来を壊す原発はいらない。TPPも絶対に許せません。
"安全で安心な食糧は日本の大地から"を何としても未来に繋いで行くためにも!
(猪鼻)


11/15付
 来年から息子に経営移譲(農業者年金をもらうため)する事になり、その手続きを始めましたが、余りの書類の多さと煩雑さに閉口しています。
市役所からスタートして法務局、共済組合、税務署、JA、土地改良区等を回り、更には田畑の利用権を設定している本人や故人、或は共有地等は、その子ども達の印鑑をもらいに歩き、同じ役所に何度も行くこともあり、「ほんの僅かばかりの年金をもらうために」とグチもこぼしたくなります。
 ネット社会の現代、この縦割り行政とハンコの多さは何とかならないかと思います。
(塚原)


11/22付
 やっと木の葉が色づき始めました。雨が降り気温が高めの日が続き、畑の野菜たちは信じられないくらい大きくなりました。まさに豊作貧乏です。ほうれん草も白菜も、出荷の手間代にもならないとがっかりしています。農家の仕事はこんな事の繰り返しです。
それでも諦めないでまた種を蒔き、肥料をあげて育てる。これってもしかしたら資本主義にはありえないこと?もしかして次の時代はこんな反資本主義のほうが良いなんて事になったら、人間らしい暮らしができそうな気がします。
 農業の本当の良さはこんなところにあるのかも、とこの歳になって気づきました。がんばろう☆
(五月女)


11/29付
 曇天の下、雨が降る前に野菜を収穫、冷たさが薄い手袋を通し伝わってくる。那須連山も頂上から白く綿帽子。冬が日一日とせまってくるのを感じています。
 大阪のくやしいニュース(知事選、市長選)とあいまって、今日の心模様も曇天です。
 TPPもあらたな段階に入っていますが、我家の農作業は変わらず進行中。来年、再来年と続いていくとは思いますが、やはり不安は募ります。
ここからが正念場、撤回を求めて行くのみ。安心して農業が続けられるように!!曇り空を晴らして、きらめく太陽の下で!
(猪鼻)


12/8付
 先月、JAの研修旅行で宮城方面に行き、震災や津波の跡を見る機会がありました。仙台港は比較的被害が少なかったといわれていましたが、それでも海辺の建物は1階部分が水に浸かったり、道路も壊されるなど、相当ひどい状況だった様です。
 特に印象に残ったのが、仙台東部道路(高速)から東側一帯に見える広大な水田。塩害で作付け不能になっている様子には、改めて驚きましたが、科学の粋を集めて作られた筈の原発でさえ、コントロール出来ないことをみても、自然の摂理の前には所詮、人間は全く無力だと知るべきです。
(塚原)


12/18付
 さてさて過日は、会員の皆さまから、心からのおもてなし、恐縮しています。
ほんのひととき書きとめた農のこころの一こま一こま。皆様の心にとどめいただいた事、うれしく思います。
 是非もない所用で、お一人お一人にお礼も申し上げず帰らせていただいたこと、唯々お許しを。一言御礼にと割り込ませていただきました。
 アッ、今庭木の下枝に"キビタキ"が一羽。うす茶色の羽色が淡い昼の日差しによく似合います。これからが冬本番、どうぞご自愛を。
(国母)
※先日行われた『産直交流会』に、農業をご引退された生産者の国保さんに講演していただきました。"農のこころ"はそのときに作りました小冊子です。この「あぜみち」の以前からも当産直BOX内のおしらせに掲載させていただきました国母さんのコラムの傑作選です。


12/20付
 様々なことがあった2011年でした。本当に心が痛む報道ばかりでした。
 先日福島の農家のおじいさんが言っていました。
「仕事がないのが何よりつらい。田んぼも畑もある故郷へ帰れない。田んぼや畑があれば、せめて自分が食べる野菜が作れる。戻って畑仕事がしたい」
涙がでます。田畑があるのがあたりまえ、と思っていたけれど…。
 減反なんかして、せっかくの農地を台無しにして、今まで私達は何をしてきたのでしょう。
この怒りや虚しさはいつ消えるのか。笑っていても心の奥に暗い影を感じます。
 来年は現実をしっかり見つめ、前へ進まなければと思っています。少しでも明るい方へ進みましょう!
(五月女)

今年は今回で終りです。次は来年の1月10日以降になる予定です。
少し早いですが、皆様良いお年をお迎えください。


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