農業風景の日常詩
あぜみち・20
   

5/11付
 春は瓦礫の連なる東日本の海沿いを駆け抜け、そそくさと北国へ旅立った。
それまで遠慮がちに足踏みしていた夏がきのうあたりは少し、元気を取り戻したようです。
 所用でホームセンターでの買物の帰り道、街を通ったら、Tシャツ姿の若者を何組、何人と見かけた。そういえば私は冬の長袖、季節にも鈍くなったのも年のせいにはしたくないのだが。
でも田んぼに水が入り、蛙のコーラスを聞くと、不思議に元気になれる。少し早起きして、長年つきあってきた、見かけはオンボロでも整備点検は欠かさなかったトラクターの準備にかかる。
燃料満タン、準備OK。馬力全開、まだまだいけそう!
 新緑が朝日に映える。
では又。
(国母)


5/17付
 我家も今日で田植えも最終日です。種蒔きから一ヶ月余、季節を追う様に、自然と共生しながらの農作業です。
 大震災から二ヶ月が過ぎ、原発事故で田畑も家もあるのに故郷から追われる農民の悔し涙、怒りの声が、同じ農民として胸にひしひしとせまってきます。
 私達の所でも風評被害も伝わってきて、収穫まで不安がいっぱい。憤りを禁じえません。
 生命とくらしをおびやかす原発はいらない!!春の花々と共に突きつけたい。
(猪鼻)


5/24付
 気温が上昇し日も長くなってくると、作物の成長が非常に早くなり、そのスピードに人間の方がついていけない感があります。
特に5月6月は田植えを始め、ネギやナスの定植、その後の管理作業に早生じゃがいもやたまねぎ、夏にんじんの収穫や出荷作業、といった具合に、まさに猫の手も借りたい位の忙しさです。
しかし仕事があるということは有難いことで、働くことは健康にも良く、毎晩のビールが楽しみでもあります。
(塚原)


5/31付
 ずいぶん早い梅雨入りとなりました。
 今年は雨が少なめでありますように、と願わずにはいられません。まだ不自由な日々を送っている人たちに、これ以上の苦労をかけないでほしいのです。
帰る家がない、家族が友人が被害に・・・。涙があふれてきます。
 がんばろうとか言うけれど、辛い時はだれでもつらい。つらい事を口に出さずがんばる姿を見ると、「そんなにがんばらないで」と声をかけたくなります。人間はそんなに強くないのです。つらくて立ちあがれない時こそ、「そのままでいい」とやさしく言える行政であってほしい。
降る雨にこんなことを思いました。
(五月女)


6/7付
 このところTVのニュースを見るたび腹がたつという人も多いのでは。国民そっちのけ、被災地の人々の塗炭の苦しみも見えぬようだ。目に余る「椅子取り競争」「止めろ」「やめぬ」なら「いつ止める」。あっちもあっちならそっちもそっちだ。
 原子力エネルギーという未完の代物、「想定外だった」と逃げまどう政府とそれを推進した前政権。それに相乗した企業の責任も重い。
 時ははや夏、風薫り木々の緑も目に眩しい。ちょっと気を休めて自然の恵みにゆったりとしたい。とその時、もう一人の私が気合を入れてきた。「義を見て為さざるは勇なきなり」と、義とは正義、人の道、務め、社会的責任。忙しい忙しい。 では又。
(国母)


6/21付
 ひと雨ごとに緑を深め、稲田もネギ畑も順調に、力強く育っています。日々勇気をもらいながら、改めて農作業が出来る喜びをかみしめています。あの3月11日を経験して、さらに感じます。
 復興に乗じて、消費税増税や、何よりも農業の死活問題であるTPP、そして放射能と心配は募りますが、今は被災地に想いをはせ、復興を願いつつ、この危機を打開できるよう、真っ直ぐに前に進まねばと・・・。
 きょうは梅雨の貴重な晴れ間、ネギに負けじと伸びる雑草を退治へ!悪政も一緒に退治したい、一刻も早く!!
(猪鼻)


6/28付
 ナスの収穫が始まり、毎朝の早起きにもだいぶ慣れてきました。
今年はこの時期にしては珍しく、ナスの価格が高騰していて、うれしいのですが、5月末の台風2号の影響が大で、我が家でも収穫間近のナスの木が折られたり、倒されたりで、復旧作業に何日も要しました。
 5月に台風が来たり、先日の猛暑といい、大震災以降、お天気も政治の世界もどこか異常に思えてなりません。
(塚原)


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