農業風景の日常詩
あぜみち・17
   

11/2付
 "国敗れて山河あり、城春にして草木深し"思わず口にして、西空の茜雲を見る。その美しさは今も昔も何の変りもなし。
あえて言ってみれば、ここまで激しい戦いをくぐりぬけてきたわたし共年代の、いわば百姓一代の顔々・・・。この頃みんなシワが急に深くなったようだ。
 大戦直後は本当に「米作って飯が食えなかった」そして今、それが再び厳しいその現実をつきつけられている。一挙に1俵当り、3000円の急落。その3000円で今まで暮らしをたて、再生産の資金にしてきた。
 国は食料主権の全面放棄、すべて市場に放り出した。その結果がこのザマだ。今、農家の苦悩は計り知れない。差し迫った今年の支払いはどうしよう、暮らしは・・・。
 もっと書きたいけれど、今日はこの辺で。
 では又。
(国母)


11/9付
 秋を満喫する間もなく立冬を迎え、相変わらず時間に追われながらの毎日。ネギを出荷する途中のもみじ通りの日々一刻美しく変身していく紅葉をめでながら行くのが、ほんの少しの安らぎと活力のもとです。
 政府がTPPに参加を検討しているという。今でも"米を作ってメシが食えない"状況なのに、さらに自由化されたら農業をこれ以上続けられなくなります。大企業に強く推され、自国の農業を破壊するTPPの真のねらいを多くの人に知ってもらい、食料主権を守り、自給率向上をさらに要求して、みなさんと共に頑張りたい!
冬が来る前に。
(猪鼻)


11/16付
 11月14日は、直売所「大地の恵み」の収穫祭と恒例の「いも掘り」も行い、しばらくぶりに賑やかな1日となりました。ただ惜しいことに今回は出品数が少なく、早々と完売になったものも多く、課題を残しました。
 昨年の秋野菜は大豊作で価格が暴落した為、豊作貧乏に泣きましたが、今年は夏の猛暑の後遺症で、秋野菜全般に生育が遅れたり、作物によっては壊滅的な被害を受けたものもあり、価格は高くても「売れるもの」が少ないという皮肉な年となっています。
(塚原)


11/23付
 秋も深まり、各地でお祭りや収穫祭が開催されています。どこも野菜の直売が人気です。より安く、おいしい野菜を求めて人が集まります。観光地のおみやげより、甘いものより、直売所の野菜のほうが喜ばれるようです。
こんなふうに直売の野菜のおいしさがもっと広がればいいですネ。
 大規模農業とか高価な農機具や資材を使った近代化農業といった農政もやめて、本当に、本当に守らなければならないところに私たちの税金を使ってくれる時代になってほしいもの。
どうぞ夢で終りませんように!
(五月女)


12/7付
 今年もあと一ヶ月になりました。
 ところで米価暴落で私んちでも三ヶ月分の生活費がふっとぶことになります。年末の支払い、来年の営農資金の確保と多くの農家もきびしい状況です。そしてTPP。参加が決まれば私共農家の存在そのものが否定されかねません。
 今どう考え、行動したらと思いながら、差し迫った仕事は休めませんので、それをこなしながら、一日一日多忙の日を送っています。
おだやかな、小春日和を背負いながら。
では又。
(国母)


12/7付
 12月とは思えないほどのポカポカ陽気、畑仕事では汗だく。着ている服を一枚一枚と脱いでいく始末。温暖化が進んでいるのでしょうか。あとが怖いです。
 この暮れにきて政府のTPP参加表明、そしてマスコミもそれをあおるような世論づくり、怒り心頭です。今年は米価が最低価格で、近所の専業農家の人達も話せば不安ばかりが返ってきます。
"安心、安全、安定した食糧をこの豊かな日本の大地から"と大きく広め、全国でも拡がっているTPP反対運動に、私たち生産者は腹の底から怒りの声を上げ、行動をおこして行きたいと思います!
(猪鼻)


12/21付
 今年もあと僅かとなりましたが、我々農家にとって、ことし最も印象に残った出来事は、夏の猛暑と米価の大暴落、そしてTPP問題です。
 先日ある大学教授の講演を聞く機会があり、その内容の不合理性と数字のデタラメさに腹が立ってきました。そして我々の体のエネルギーの60%も海外の食料に依存している日本人は「日本産」ではなく「アメリカ産」「中国産」というべき、との話には全く同感。
日本人であり続ける為にも、ぜひ国産品を食べてください。
(塚原)


12/21付
 今年も残り少なくなりました。振り返れば、太陽が出ず、寒い日が続いた冬。桜の花が咲くというのに大寒波。6月は雨続きでした。そして暑い暑い7、8、9月。こんな年はこりごりです。特に夏の暑さは作物にとっても、農作業をする私にとっても大変でした。
来年はもう少しおちついて農作業ができる天候であってほしいと願っています。
 時代が大きく変っていくのを感じますが、まじめに努力して生きている人が安心して暮らしていける時代になってほしいです。
 平成23年が皆様にとって、ゆったりと安心して暮らせる一年でありますように。
(五月女)


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