農業風景の日常詩
あぜみち・10
   

9/4付
 台風接近の日、総選挙の結果は民主の圧勝、自公の敗退と、国政を変えたいという歴史的審判が下りました。大きな一歩ではありますが、私達農家にとって手離しで喜べません。
米価が暴落しつつある今、民主党は「日米FTA協定」推進の立場を取っています。選挙の前日には一万トン以上のミニマムアクセス米も輸入されています。
新米ができる時期、農家は大きな不安の中にいます。農機具や肥料が高騰しても"水より安い米"納得がいきません。
不足を補助金でと言う民主党ですが、物を作ってこそ農民です。自給率を上げる為にもしっかり監視して行かねば。
日米FTAやオーストラリアEPA等、絶対許されません。
(猪鼻)


9/8付
 総選挙も予想通り自民党の大敗に終り、日本農業も少しは良い方向に変わる事を期待していますが、これ迄減反政策の失敗や、無秩序な海外からの農産物輸入等で、農家経営は行き詰まり、自給率の低下にもつながってきました。
更には平成の大改革と言われた品目横断的対策も、ごく一部の農家しか恩恵がなく、その不満解消に出てきた農地、水、環境保全対策事業に至っては典型的な税金の無駄使いで、私の住む小さな集落にさえ、5年間で2,500万円もの税金が使われますが、農家の懐には金は入らず、面倒な事務処理や雑用ばかり押し付ける、全く農家をバカにした愚策です。
これからは是非、農家の生の声を反映させた農政を望むところです。
(塚原)


9/15付
 急に朝夕涼しくなりまして、本格的な秋です。
今年はもう彼岸花が咲き始めました。いつもの年より1週間から10日早いかな、びっくりしています。
梅雨どきの日照不足などがあり、心配になった稲の収穫ですが、台風にいたずらされる事もなく、無事終りそうです。今年は倒れた稲を直す作業がなくらくらくであっという間に作業が進みます。
やっぱり日本人、おいしいごはんがパワーの素。味わって食べてくださいね!
(五月女)


9/29付
 彼岸過ぎても晴れると30度近くまで気温が上がって地べたに近いところは灼熱の炎のよう。でも季節は確実にすすんで、ツクツクボウシの鳴き方が最終章はなんとなくせわしい。わずか二週間と、地上での命をいとおしむのか、やがてくるその終焉の自らへの挽歌なのであろうか。
 ブロッコリー畑の草とり、流れる汗、来月半ばには皆さんのお手もとにと思っています。
では又。
(国母)


10/6付
 朝夕めっきり冷え込んできた県北です。我家の稲刈りも佳境に入り、やきもきした雨の上がったたんぼへ。寄せ刈りをする目に、薄紫のかわいい野菊の清々しさが目に止まり、しばし見入っていると、夫から「コンバインが故障」の連絡。致命傷で農機具屋へ。稲刈り中止、アーアッとため息です。仕事の遅れはもちろん、修理代もバカにならず、買うにはもっと手も届かず、毎年このくり返しです。
 本当に再生産可能な米価がほしいです。自国の食糧を担っている一生産者として!!
(猪鼻)


10/13付
 以前から計画していた直売所を10月10日にオープンしました。
栃木産直センターとしては初めての事業なので、どれ位の人が来てくれるのかと心配しましたが、10日、11日のオープンセールでは、何とか目標を達成することができました。
当面は金、土、日の3日間の営業になりますが、今後はもっと品揃えを充実し、毎日営業できる体制を早く作りたいと思っています。皆様も近くまで来られた時には、是非お立ち寄りください。
(塚原)


10/19付
 秋桜の花が風にゆれています。百恵さんの歌のように、陽だまりで過ぎし日をのんびりふり返るなんて、乙女チックでいいですね。
苺農家のおかみさんである私にとって、それは夢の中の出来事として、苺の芽かき、ハウスのビニール張りと大忙しの毎日です。
 この時期、イチゴにとって、冬にそなえてしっかり根をはって体をつくりたい時です。晴れの日が続いてくれるのはありがたいです。
つやつやと輝く葉をひろげる様子は、成長期の子どもを見ているようで、うきうきとした気分になります。
(五月女)


10/31付
 冷たい雨の降りしきる中、ブロッコリーの収穫。
雨合羽をしみ通る冷たさが身にこたえる季節になった。
 コンテナを軽トラに積んでいると、何やらざわつく羽音、
おびただしいニウナイスズメの大集団。
近くの電線に止まり、ずらっと並んで何やら相談中?か、
南下コースの打ち合わせかな。
そこへ百舌(モズ)が縄張り宣言、「キギー」の一声で
一斉に東の空へ飛び去った。
「又来るであろう恋の季節にやって来いよ」
この時期によく出合う光景。
仕事はつらいが結構たのしませてくれる季節の移ろいか。
では又。
(国母)


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