開発動機(2005.4.19)
「Picmv」の開発で感じた、ディレクトリ構造以外による写真の整理を実現してみようと思い作成しはじめました。また最近のPC のものすごい GPU の能力をゲーム以外でも使ってみたらどうだろうと思ったこともあります。
これまで、私は撮影月ごとにフォルダを作って写真をコピーし、フォルダごとにサムネイルによる閲覧が可能なビューワを使ってきました。
フォルダを月ごとに作るのは、バックアップ作業するにはとても便利です。また時刻を使った整理は一貫性の点で優れています。時刻情報は将来にわたってぶれないからです。それから撮影時期の記憶が鮮明な場合、検索をするのもそう大変ではありません。
しかし、何かの場所・イベント・人物の記憶しか残っていない写真を探すのはとても難しくなります。そうすると、フォルダを場所・イベント・人物などのテーマごとに作るわけですが、これらのテーマを同時に扱おうとすると時刻での管理のように単純な1軸では足りません。なぜならここでいうテーマとは属性情報であり、同時にいくつも付加されるかもしれないからです。木構造が適していないのです。
そうすると配置する空間が2次元または3次元以上必要になります。スマートでない方法として、写真ファイルを各フォルダに重複しておくとか枝のエイリアスを配置するといった方法も考えられますが、枚数の少ないうちは問題ないでしょう。しかしこのようなエントロピーの大きな方法でずっと先までうまくいくとは思えません。私はこのような管理はフォルダ分けだけでは無理があると考えました。
これを解決するには多くの管理ソフトがそうするように、タグ付けを行うのが簡単です。バックアップのことを考えると、時刻ごとのフォルダにいれた写真ファイルをタグ付けするのが最良に思えました。Picgl でも結局ここに落ち着きそうです。Picgl では時間軸+任意軸の2次元空間配置とフォルダ分けとタグ付けのハイブリッドでの管理を実現しようとしています。
もう一つの管理方法は4次元以上の多次元空間は無理としても、実際に3次元空間に写真を配置することです。 Picgl では OpenGL を使っているので自由配置ビューでこれを開発初期にやりかけましたが、所詮2次元のスクリーンへの投影にすぎないので管理の実感のわかないビューになってしまいました。これをうまく解決できないものでしょうか。
ところで、デジタルカメラの普及とストレージが安価になることにつれ、数万枚から数千万枚の写真を一台のPCで保持するのも今後普通になってくるでしょう。スピードやボリュームの問題は時間が解決するので今は考えないとして、管理の質の問題は今すぐ考えることが可能でしょう。人力を使った管理は難しくなるでしょうから、ロボットにうまくやらせる(ようなアルゴリズムを考える)か、もっと単純な方法を誰かが考えつくか。興味は尽きないわけです。
開発動機(2005.10.21 追記)
Apple の Aperture のクイックツアームービーを見た。素晴らしいルックアンドフィールだ。 Aperture に限らず Google、Microsoft、Adobe、IBM、Apple などアメリカに所在する企業でアメリカ人や外国人の作る凄いソフトは本当に凄い。それから地域的にはだいたい北米とヨーロッパ諸国・ロシアのオープンソースのコミュニティで作られる凄いソフトもやはり凄い。
ところが日本の国産ソフトに関しては、もはやゲームを含めて、それらについていくのが精一杯という状況になっているように思える。何故こうなっているかというと、(自分もそうだが)日本人の英語力の低さがかなり効いている(もっと遡れば戦争に負けたというのが影響していると思う)。
ついでに言えば、面白いアイディアが浮かんだり、革新的なユーザインターフェイスを考え付いたとして、何かアプリを開発したくなったとしても、就職したいと思わせる企業・団体が日本に見当たらない。
日本は自動車と精密機器の製造技術に関してはかなりのものだと思うが、ソフトウェア産業に関しては教育から見直さないと先はないと Aperture を見て思った。