南アフリカ編−第2話 波に揺られてアザラシの島
  3月26日(月)

  朝食を終え部屋に戻ってくると、ドアの下からメッセージが差し込まれていた。中身を見て
 みると、8時45分にピックアップすると書かれてある。こうやって知らせてくれると安心だ。
  時間になったのでロビーに降りてみると、セイン・カミュ風(似てないが)の兄ちゃんが迎えに
 来ていた。名前は、スティーブン。今日1日、彼の世話になる。
  車に乗り込むと、もう1組一緒にまわる客がいると説明がある。まずは、その客を拾うため、
 ホテルへ向かう。合流したのは、アルゼンチンから来ている夫婦で、年は50〜60代と言った
 ところか。彼らはスペイン語を話すのだが、スティーブンはスペイン語が出来る(日本語は出来
 ない)ため、ぼく達への説明は、英語とスペイン語の2ヶ国語で行われることになった。つまり、
 スティーブンにとっては同じことを2回繰り返して説明するので、倍時間がかかるわけだ。特に
 このガイドさん、仕事熱心なのかすごく詳しく説明してくれるため、常に英語かスペイン語で
 説明をしている状態になった。だから、よく聞いていないと、いつから英語になったのか、逆に
 英語の説明が終わったのか、わからないのだ。これは、なかなか大変である。

  スティーブンの説明によれば、これから観光しながら、半島の先へと進んで行くそうだ。進行
 方向の右手に大きなスタジアムが見えてきた。ここでは、フットボールやサッカー、コンサート
 が行われており、マイケル・ジャクソンもここでやったことがあるそうだ。
  まず最初の観光地は、カンプス・ベイである。この先の海岸でも多く見られたが、白い砂浜が
 とてもきれいだ。遠くてはっきりとはわからないが、海面には、なにやら茶色い物がたくさん
 浮いている。説明によれば、キャラップ(?)と呼ばれる昆布の仲間だそうで、寿司など(?)の
 料理に使われるらしい。
  また、近くに2隻の沈没船があるそうだが、そこは有名なダイビング・ポイントになっている
 とのこと。都心部からすぐ近くではあるが、海はきれいそうだ。

カンプス・ベイ

  車はさらに南下して、ホウト・ベイへ。ここから船に乗り、アザラシの住むシール・アイランド
 (デイカー島)に行く。港では、陽気なバンド3人組に迎えられ、船に乗る。波は、それほど
 荒れているようには見えないが、船は大きく揺れ、座っていても飛んでいきそうになる。港を
 出ると、右手に空へ向かって突き出したような岩山が見えてきた。そう言えば、ケープタウンの
 近くでも、特徴的な岩山を見た。この辺りには、このような岩山が多いようだ。
  しばらくして、前方に島が見えてきた。見た感じでは、島と言うよりも、海面に浮かぶ岩の
 テーブルと言った方がいいだろう。そこに、寝転がったアザラシがいっぱいいる。岩の上は、
 アザラシの糞で白くなっていて船までにおいが漂ってくる。この島には上陸が禁止されて
 いるが、されてなくても、上陸はちょっと嫌かもしれない。
  島の周りでは、泳いでいるアザラシもいるが、多くは岩の上で寝ている。天気が良く暖かい
 ため、甲羅干しでもしているのだろうか? もう少し動きまわっていて欲しいところだ。
  そんなアザラシの姿をしばらく眺めた後、船は来たコースを通って港へ戻った。おみやげ屋
 さんでちょっと休憩して、次の目的地へ向け出発する。

アロエの仲間

 今度は、内陸へ入って行き、カーステンボッシュ植物園へ。ここは広大な敷地があり、全部
 まわるにはとても時間が足りないので、一番短い周回コースをまわる。アフリカには、2万2千
 種類もの植物が生息してるのだが、ここには、そのうち9000種類が植えられていると言う。
 南アフリカの国花であるプロテアはたくさんの種類があり、様々な形の花を咲かせていた。

スティーブンの後ろ姿

  また、この日は遠足にでも来ていたのか、子供達がたくさんいて、とても賑やかだった。
 白人の子、黒人の子が一緒に楽しくわいわいと話している姿は、今ではなんの違和感もない
 けれど、わずか10年ほど前までは、あの悪名高きアパルトヘイト(人種隔離政策)が行われて
 いたのだ。長い歴史の中、世界各地で様々な過ちを繰り返してきた人類であるが、再びこの
 ような過ちを犯すことがないよう願うばかりである。

子供達



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