前田の算数

前 田 の 算 数  実 践 事 例
九九の授業アイディア×7
 かけ算の授業に関しては、数多くの書籍に様々な実践例が載っている。
その中から、実際に授業してみて特にお薦めの7つを紹介する。

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1、新幹線の座席を決めよう
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やり方

※ 新幹線の座席は、3列+2列で並んでいる

 @ 男子12人、女子13人で新幹線に乗った時の座席の座り方を考える

 A いろいろな人数で、一人ぼっちができない座り方を考える




お薦めポイント
 生活場面にかけ算を生かそうとする姿勢が育まれる。

 男子12人、女子13人で新幹線に乗った時の座席の座り方を考える。例えば、男子が3人掛けに女子が2人がけに座ると、一人ぼっちで座る子が出てきて、かわいそうである。そんなやりとりをしながら「1人ぼっちを作らない座り方を考えよう」というルールを作っていく。
 
 女の子3人を3人掛けの席に移動させると、きれいに5人ずつ5列で座れる。


 仲良く、男も女も関係なく25人と見ると、様々な座り方が考えられる。
それらは、「3×3+2×8」「3×7+2×2」など、座り方を式で表すことができる。

 
 さらに、25人ではなく、13人、17人など、いろいろな人数で一人ぼっちができない座り方を考えてみる。調べてみると、どんな人数でも一人ぼっちができない座り方ができることが分かる。さすがは新幹線、よく考えられた座席である。






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2、サイコロを積んで
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やり方

 @ 机の上にサイコロを4つ積み上げて、その上にノートを乗せる。

 A かくれたところの目の数の合計はいくつか考える
 (“かくれたところ”とは、サイコロとサイコロがくっついているところと、
  机やノートにくっついているところのこと)

 B 答えは28。7×4で求められる。



お薦めポイント
 発想の転換が面白い。大抵の子は、最初、見える4つの目を確かめて、そこから残りの目を想像する。しかし、発想を転換して考えると、サイコロがどんな向きで積まれようと、サイコロの上と下の目を合わせると“7”になる。サイコロが4つあるので、7×4で28になる。
 ちょっと空いた時間や、他のクラスの自習に出た時などに、こんな問題を出してやると、子供たちが喜ぶ。


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3、九九をこえよう
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やり方

 @ 10の段を考える

 A 11の段を考える

 B 12の段を考える

 C 12の段のきまりを見つける(10の段+2の段になっている)


お薦めポイント
 10の段と11の段については、子供たちは容易にきまりを見つける。10の段は、10、20、30…。かける数のお尻に0をついている。11の段は、11、22、33…。かける数が2つ並んでいる。
 面白いのが12の段である。12×1=12、それに12を足して12×2=24、24に12を足して12×3=36と作っていく。そこまで見ると、十の位は1、2、3…。一の位は、2、4、6…と増えていくきまりが見えてくる。
 しかし、「あれ?」「どうして?」が生まれるのは12×5以降である。12、24、36、48、60、72…と、十の位が、1、2、3、4から6、7へと飛んでしまうのである。ここで、見方を変えてきまりを修正しなければならなくなる。12を10+2、24を20+4、36を30+6、48を40+8、60を50+12と見方を変えると、きまりが成り立つ。つまり、12の段を10の段+2の段と見るのである。この考えを発展させて、もっといろんな段を作っていっても面白いと思う。例えば、17の段なら10の段+7の段で作ることが出来る。
 この考えは、3年生で学習する筆算の考えの素地になる。
12×1=12 10+2
12×2=24 20+4
12×3=36 30+6
12×4=48 40+8
12×5=60 50+10
12×6=72 60+12
12×7=84 70+14
12×8=96 80+16
12×9=108 90+18

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4、点字ブロック
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やり方

 @ 点字ブロックの丸の数を工夫して数える


     


お薦めポイント
 かけ算九九を覚えた後に、九九を活用して問題を解決する場を設ける。かけ算を使うと、速く確実に数えられることを実感できる。
 様々な数え方が考えられる。その数え方を式に表す。友達の作った式を読む。式に表したり、式を読んだりと表現力が高まる。

 このアイディアを参考にした実践例は、こちら


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5、かくれた数はいくつかな
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やり方

 @ 問題@の四角に入る数を考える。(答え15)

   
 A 問題Aの四角に入る数を考える。(答え18)

   


お薦めポイント
 四角に入る数を考えながら、九九表のきまりを見出すことができる。
 問題@では、子どもたちは最初11だと予想する。少しずつ空欄の数を提示していくと、だんだんきまりが見えてくる。答えは15。九九表の一部なのである。四角に入る数を推理していく中で、かける数が1増えるごとに答えはかけられる数ずつ増えていくきまりを見出していく。
 問題Aでは、答えは18と一致するのだが、40を5×8と見るか8×5と見るかで、2通りの埋まり方ができる。2通りの埋まり方が出来た理由を考える中で、九九表の答えは線対称に並んでいることに気付き、かける数とかけられる数を入れ替えても答えは同じというきまりを見出していく。


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6、九九たんけん
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やり方

 @ 学校内を探検して、九九を使って数えられるものを探して問題を作る。

 A 友達の作った問題を解き合う。

 A 九九を越えたものの数え方を考える。
  (例:縦に3個、横に14個並んだロッカーの数)

お薦めポイント
 生活の中に九九を活用する。校内を探検すると、例えば、掲示物の画鋲が4か所ずつ留めてある。水道の蛇口が6つずつ並んでいる。それらを九九を使って数えてみる。
 そのうちに、九九を使えそうだけど、九九を越えたものが出てくる。例えば、縦に3個、横に14個並んだロッカーの数。これも、3×7+3×7。3×10+3×4と、分けて計算すれば求めることができる。かけ算を使える場面が拡張されるのである。
 分けて計算して後から足す考えは、3年生で学習する筆算の素地になる。


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7、チョキは何回かな?
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やり方

 @ 紙をきって紐をつくった時の、切る直線の長さを工夫して求める。


お薦めポイント
 例えば[切り方B]なら、5+4+4+3+3+2+2+1+1。その中の数をうまく組み合わせれば5×5になる。たくさんの数の和を求める時に、その中の数を組み合わせて同じ素のまとまりをいくつか作ることによって、計算が楽になることがある。こうした考えを、日常生活の中でも使えるようにしていきたい。

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