前田の算数
前 田 の 算 数 実 践 事 例 | |||
2年生 「はこの形」 ステキな たからばこを つくろう! | |||
第4時:素敵な宝箱作り ふたなしの箱を作る 【60分】 川を挟まないと、向かい合わないよ! |
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高校数学において、空間図形はセンスの差がはっきりと出る。 空間図形のセンスがいい人というのは、何も、3次元の世界を頭の中でイメージして考えているわけではない。 頭の中で3次元の世界を2次元に置き換えて考えているのである。 そうした立体図形を平面上でイメージするえる感覚は、小学生の頃から養っていきたい。 本時では、いろいろな展開図を考える中で、何度も箱を組み立てたり、開いたりし、立体(箱)を平面(展開図)でイメージする感覚を養った。 本来、展開図を扱うのは第4学年の内容であるが、第2学年で発展的に取り扱った。 ただし、ここでは「蓋のない箱」の展開図を取り扱った。 「蓋のない箱」の展開図なら、2年生でも無理なく取り組むことができた。 |
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ わあ、綺麗!作りたいっ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ この日は、ふたのない箱を作ることを子どもたちに告げ、その中に「魔法の鍵」を入れることを説明した。 「魔法の鍵」とは、図工で作った作品である。 見本の箱を提示すると、子どもたちは、 「先生、魔法の鍵を入れてみて」 とせがんできた。 そこで、魔法の鍵を箱の中に入れてみせた。 すると、子どもたちは 「わあ、綺麗!」 という歓声をあげた。 こうして、箱作りへの意欲を高めていったそんな子どもたちに、 緑(7p×12p)2枚、 黄(7p×18p)2枚、 黒(12p×18p)1枚の 合わせて5枚の色板を使うことを説明した。 |
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ それじゃあ、箱にならないよ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「先生も途中まで作ってみたんだけど、 残り一枚をどうやってつなげたらいいのか、迷っているんです…。」 と言って、4枚までT字型につなげた展開図を提示した。 その展開図を見て 「卵のお寿司の形だね」 と子どもたちは言い、 「残りの1枚、わさびを付ければ完成だ」 「下についているわさびの場所がヒントになるよ」 と解決への見通しを立てていった。 卵のお寿司とは面白い。 黄色が卵、黒が海苔、緑がわさびのことである。 |
卵のお寿司だ |
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「ここにつなげてみようかな、それともここにしようかな…」 と緑の色板を動かしてみせた。 わざと辺の長さの合わないところに間違えてくっつけてみせると、子どもたちから「だめー」という声があがった。 「ちゃんと辺と辺の長さが合うようにぴったりくっつけないと」 というのである。 |
ぴったりじゃないから、ダメ― |
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そこで今度は、緑の面の下にもう緑の面をつなげてみせ、 「同じ長さの辺同士をぴったりとくっつけたよ。これで、どう?」 と問いかけた。 子どもからは、またもや「だめー」という声があがった。 「それじゃあ組み立てた時、箱にならないよ」 「半分間が空いていてしまうよ」 「底抜けになっちゃうよ」 というのである。 展開図の授業では、平面上で考えたり、それを立体で試したりと、平面と立体を結びつける活動が大切である。 ここで、実際に立体に組み立て見せる場を設け、箱にならないことを確認してみせた。 箱にならないことを確認した子どもたちは、 「ほら、やっぱりダメだよ」 と言い、 「先生、海苔のところにつければ、箱になるよ」 「卵のところに付けてもできるよ」 と教えてくれた。 まずは、「海苔につければいいよ」という子を指名して、その考えを聞くことにした。 |
ぴったりだけど… |
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 川を挟まないといけないよ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「海苔につければいいよ」という子に前に出て来てもらい、実際に緑の色板をつなげてもらった。海苔というのは、黒い色板のことである。黒い色板に緑の色板をつなげると、十字型の展開図が出来上がった。 「こことここがこうくっつくから、箱の形になるよ」 と、その子が展開図を指さしながら説明した。その説明に合わせて、展開図を組み立て、実際に箱の形にして見せた。この展開図が箱の形になることは、みんなも納得した様子であった。 |
海苔につければいいよ |
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ここで、箱になる展開図とならない展開図を比較する場を設けたいと考え、子どもたちに、 「さっきのつなげ方と比べてみよう。どうして、今度のつなげ方だと箱になるの」 と問いかけた。 子どもたちは、 「今度のは、同じ色と色がくっついていないもん」 「さっきのは緑と緑がくっついてたからダメだったんだよ」 と言い、 「だって、緑と緑は向かい合わせの面だから、くっつけちゃ駄目なんだよ」 と、その理由を説明した。 この「向かい合わせ」という言葉を受けて、ある子が 「緑と緑の間に、川をはさまないといけないんだよ」 と発言した。 「緑の面同士は向かい合わせだから、川をはさまないと、向かいにならない」 というのである。 「川をはさむ」というのは、つまり、間に1つの面を挟むということである。 こうした図形の見方の変化は大切にしたいことである。 子どもたちは、これまでに箱の形を観察して「向かい合う面の形が同じ」ということは学習してきた。 そこでは、面と面との位置関係に着目して、「向かい合う」ということをとらえていたのである。 それを展開図上で見つめ直すことによって、「向かい合う」とは間に1枚色板を挟むことなのだと新たに気づいていった。 「向かい合う」ということを、面と面のつながりに着目してとらえていったのである。 子どもの中で、「向かい合う」ということへの見方が広がったのである。 |
比較すると… 川がないと向かい合わないよ |
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 卵につけてもできるよ! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ さて、ここで、 「卵につけてもできるよ」 という子の考えも聞いてみることにした。 卵というのは、黄色い色板のことである。 前に出てきてもらい、実際に緑の色板を黄色に色板につなげてもらった。 すると、さらに別の子が「逆でもできる」と前に出てきて、反対側の黄色い色板に緑の色板をつなげてみせた。 出来上がった展開図を見て、多くの子どもたちは「あれ?」と不思議そうな表情を浮かべた。 本当に、これが箱の形になるのだろか。 それまで、十字型の展開図しかイメージしていなかった子にとっては、驚きである。 「これ、本当に箱になるの」 そう子どもたちに尋ねると、 「なるよ」と自信満々の子どもたちが、前に出てきて色板を動かしながら説明を始めた。 「この辺とこの辺が、こうやってくっついて箱になるよ」 「辺の長さが同じだから、つながるんだよ」 緑の色板を回転させると、さっきの展開図と同じ形になる。 この動きは、いろいろな展開図を考えていく際に大切になる動きである。 教師が、もう1度ゆっくりと動かしてみせた。 子どもたちは、 「バタンってするんだね」 「ガチャンってするんだね」 とつぶやき、頂点を中心に回転させて別の辺につなげると違った展開図に変身することを、感覚でとらえていった。 |
卵でもできるよ バタンって動かすと… |
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ だったら、こんな形もできるよ! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ こうして子どもたちは、いろいろな展開図を作る見通しをもち、 「もっと、できそうだよ」という声を高めていった。 そこで、子どもたちに5枚の色板を配り、いろいろなつなぎ方を試してみる場を設けた。 子どもたちは、つなぎ替えたり組み立ててみたりと何度も試行錯誤を繰り返し、立体を平面でとらえる感覚を養っていった。 作っていく中で、「似ているのがあるよ」というつぶやきが生まれてきた。 そんなつぶやきをとらえて、全体の場で紹介した。 「色板の縦と横の向きを反対にしただけで、つなげ方が似ているのがある」というのである。 その発見を受けて、 「だったら、他の形だって縦横だけを変えれば、別の形に変身できるよ」 と展開図の作り方のアイディアが広がっていった。 こうして、作り方を工夫しながら、子どもたちはいろいろな展開図を考えていった。 |
だったら、こんな展開図も こんなにできたよ |
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ステキな宝箱が出来たよ! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 出来上がった箱に、図工の時間を使って、色画用紙やキラキラ光るテープで飾りを付けた。 そして、オシャレに飾り付けた箱に、自分の図工作品(魔法の鍵)を入れてみた。 「ステキな宝箱になったね」 と子どもたちは大満足であった。 |
わあ、綺麗 |
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