デジタルホームにいたる3つの段階

第一段階 情報、AV機器の融合

作成・横田真俊

a 情報の同期化


家電がデジタル家電になるといっても、いきなり全部がデジタル家電に はならないと考えずらい 家電の中でもっとも早くネットワークにつながるデジタル家電になるのは 携帯電話やWorkPadのようなPDAであると考えられる。 なぜなら これらは情報を扱うための機器であるために、 他の機器よりも早くネットワークにつながらなければならない理由がある。

その理由の一つは情報の同期化が必要であるためだ。 私たちが多くの情報機器を扱うようになってから、情報を入力する 物が多くなってきた、普段私たちはシステム手帳やPDAやパソコン そして、それらが無いとき適当な紙に自分のスケジュールや相手の電話番号 そして自分の思いついたアイデアなどを書き込むが、情報を入力するのは バラバラであるため、何処に書き込んだか忘れてしまったり、手帳を忘れたため別の予定を同じ時間に約束してしまうなど、自分のスケジュールなどの情報がバラバラに管理されているため様々な弊害があった。

しかし、インターネットに接続できたり互いに相互接続できる情報機器の登場で 書き込む機器は違っていても、引き出す情報はすべての機器で同じ情報を共有できる 例えば、外出先で電子手帳を忘れていてもインターネットに接続できる携帯電話があれば自分のスケジュールを見る事もできるし、新しい約束をとりつけたらスケジュールを更新する事も可能だ、更新された情報をダウンロードすれば、PDAやパソコンでも わざわざ入力する事もなく最新のスケジュールを使うことができる。

このような機能の特徴は携帯電話を買い替える時にも有効だ、 一般的な家電に比べて携帯電話の買い替えのサイクルは約9ヶ月と早い これは、携帯電話の値段が安いため買い替えがしやすいのと 比較的携帯電話が壊れやすいので買い替えのサイクルが早いのであろうが 携帯電話を買い替えたら、新しい内蔵メモリーに今まで使っていたアドレスやスケジュールをまた入れ直さなければならない、しかしネット上にデータがあるならば そのデータを入れ直すだけで良い、データのバックアップとしてもこのような 今までのやりかたよりも優れている。

さらに、携帯電話は手帳などよりも持っている時間が長いと考えられる。 ちよっとした外出に手帳を持っていく人は少ないが、携帯電話をもっていく人は 多いだろう。携帯電話にメモ機能などが付いていれば、インターネット経由で他のメディアと情報を共有する事ができる。

メモやスケジュールといった情報の他にも、銀行口座の残高などが見られるサービスも既に始まっている。さらに、郵政省も、インターネットで郵便貯金の残高照会や口座間の送金などが出来る新サービスを導入する方針を明らかにした。まず、携帯電話でインターネット接続するNTTドコモの情報サービス「iモード」での残高照会サービスを年内にも始め、来年初めにはパソコンを使ったインターネット経由の試験サービスを開始する予定だ。

携帯電話と個人の情報との関係はますます深まってくるだろう。 将来的には、携帯電話の中に自分の健康データやドナーカードを入れておくサービスも出て聞くだろう。携帯電話などの情報端末が個人データの固まりになる事は間違いがない。

もちろん、異なるメディアで同じ情報を使えるようになる、情報の同期化は 自分のスケジュールのような個人のプライベートの情報だけではない。 例えば、電車の時刻表や市街地図、レストランガイドなどはインターネットに接続されたパソコンを使えば利用できるが、これらの情報は携帯電話などのモバイルメディアで活用された方がより便利に使う事ができる。

このようなサービスは既にiモードなどで活用されているが、問題は今後の発展だ。 DDi,IDOはcdmaOneの一部機種に対応させているEzwebというiモードのようなサービスを本格的に展開させようとしている。今年はiモードの動きが注目されたが、 cdmaOneがインターネットに対応すれば、かなりの影響が出ると予想される。 さらに、Jーフォンもネット接続サービス「J-スカイサービス」を開始する、 携帯電話3グループが携帯電話でのネット接続サービスを行うことでネット接続サービスはますます発展していく事だろう。

しかし、問題なのは各社が独自の言語を使っており、お互いの互換性が低いという事だ。例えば「iモード」は「コンパクトHTML」という言語を使っており、cdmaOneは「HDML」、j-フォンは「MML(Mobile Markup Language)」を使っている。

今はiモードが先行しているが、いずれ他の2つのサービスも無視できない数に成長していくと思われる。そうなればページ制作者にとっては一つのページを作る時に複数のサービスに対応させたページを作らなければならないし、サービスをうける側としても自分の持っている携帯電話が対応していなければそのサービスを受ける機会が減ってしまう。今後は各社が共通の言語を使うか、互いの言語を変換できるシステム(例えばiモ-ドのコンパクトHTMLで作られたページを元にしてEzwebのHDML用のページを自動的に作ってくれるソフト)を作られる事が考えられるが、しばらくは各社バラバラの規格で進むようだ。

さらに、様々な端末がインターネットにつながる事で今後は PDAなどの小型端末でのアクセスの事も重要視しなければならない。 携帯電話やPDAの画面はパソコンの画面に比べると小さく、グラフィックを多様したサービスは受けにくい。 niftyは画面表示がパソコンと異なるモバイル端末機器などで、快適にWebコンテンツを利用することができる、Webコンテンツ変換サービスを会員向けに行っている。 このようなモバイル向けのサービスはPDAが普及するにつれ急成長すると思われる。今後は携帯電話、PDA、パソコン用のそれぞれのコンテンツを同時にサポートしなければならなくなるだろう。

b 情報端末とEC


相変わらず日本ではオンラインショッピングが相変わらず進んでいない

米アンダーセン・コンサルティング社は『エコノミスト』誌の8月号で、日本人消費者が昨年、オンライン上での商品/サービス購入に650億円(5億ドル相当)を費やしたが、これは米国のたった3%に過ぎないと報告している。

これは、私たちがプライバシーや セキュリティの問題からクレジットカードを使う事に抵抗感じているためとも 言われており、このままではオンラインショッピングが普及するにはかなりの時間を必要とする事になるだろう。

しかし、iモード向けの有料情報は好調のようだ、 代表例が、バンダイの「いつでもキャラっぱ!」。「たれぱんだ」「ハローキティ」といったキャラクター8種類の画像を、月額100円で日替わりで配信するサービスだ。携帯電話の待ち受け画面にスクリーン・セーバーのように表示できる点も受けて、6月1日にサービスを開始して以来、わずか3カ月間で利用者が18万人を突破した。  ウェザーニューズ(千葉市)の「天気Plus」(月額100円)は、8月末までに3万5000人のユーザーを集めた。現在iモードは200万ユーザーを越えているが 6月の段階では60万弱のユーザーだった。そうなれば約30パーセントもの人間が 加入している計算になる、100円とはいえ有料コンテンツに30パーセントもの人間が加入しているとは現在のオンラインショッピングの状況に比べると驚くべき数字だ。

なぜ、インターネットでのオンラインショッピングよりも、携帯電話などのモバイメショッピングの方が普及しているのだろうか? 理由の一つとして、iモード端末を持っていれば、誰でも利用できるという点だ。 パソコンでのオンラインショッピングの場合、クレジットカードの番号を入力したり 配達してもらうために自分の住所などを入力しなければならない。 しかし、iモードの場合毎月の電話料金と一緒にコンテンツ料金を回収してくれるので サービスを利用するのにクレジットカードのなどの情報を送らなくともサービスを利用する事ができる。(iモードでもクレジットカードなど、回収代行以外の手段で決済している企業はあるが、これらの企業はiモードでは情報提供が主な利用方法のようだ)

もうひとつの理由が、取り扱う商品が「物(アトム)」から「情報(ビット)」へ変化しているという事だ。 いままで、オンラインショッピングというと、「本」や「CD」、「靴」や「バッグ」「オモチャ」 などの品物だった。

しかし、iモードで人気があるサービスは「品物」というよりも「情報やサービスといったほうが良いかもしれない」前述した「いつでもキャラっぱ!」や「天気Plus」は「品物」というよりは情報商品だ。さらにナムコ、コナミ、などのゲームメーカーもiモード向けのゲームを提供しており、任天堂も携帯電話に対応した「ポケットモンスター」を開発中だ。

もちろん、コンテンツはゲームや雑誌だけではない。NTTドコモはデータ通信を使った音楽配信の実験を2000年4月に実施すると発表しているし、三洋電機,日立製作所,富士通の3社は,携帯電話やPHSに音楽を配信するシステム「ケータイ de ミュージック」の技術規格を発表している。 わざわざ電話で音楽を聞きたくないと思う人もいるかもしれないが、 このサービスが本格的に運用されれば今より、便利にしかも安く「音楽」を買える事が できる、さらに「音楽」を買うことによってオンラインショッピングに抵抗がなくなった人達は今よりも活発にオンラインや携帯電話で買い物をするかもしれない。 そうなった時、もし携帯電話で本やバッグ、靴などがパソコンではなく携帯電話から買えるようになれば、わざわざクレジットカードを打ち込まくとも商品を買うことができる。 電話会社はクレジットカード会社の大きなライバルとなるだろう。

第2段階への橋渡し

このように現在では携帯電話などから様々な情報を得る事が 可能となっている。これは周りのAV機器が相互通信できるデジタル家電になれば、 ますます重要な位置付けになってくるだろう。例えば携帯電話で音楽を聴けるようになるという事は前にも述べたが、携帯電話を使って購入した「音楽」でも、携帯電話だけしか再生できなければかなり不便だが、自分の持っているステレオがメモリースティックなどのフラッシュメモリーに対応していれば、ステレオでも再生できるし、無線LANやIEEE1394にステレオ機器と携帯電話が対応すればフラッシュメモリーなどに対応してなくともデータを転送するだけで音楽が聴けるようになる。

今の段階では「音楽も聴ける携帯電話」だけで終わってしまっているが、 相互通信できるデジタル家電と組み合わせれば、さらに可能性が高まる。 例えばインターネットに接続できるラジカセがあるとする。そこから気に入った曲が 流れていれば、自分の持っている携帯電話につないで注文すればすぐに手元の 携帯電話に先ほど流れていた曲のデータをダウンロードできるようになるかもしれない。

また、携帯電話などの情報端末はデジタル家電などを動かすリモコンとしても 発展するかもしれない。

これから、のデジタルテレビやデジタル家電が発達していく時に、 それらの機能はますます複雑になっていくであろうと思う。 さて、今よりもはるかに複雑なったデジタル家電を我々はどうのようにコントロール していくのであろうか?今よりもボタンの数が多く、しかも家電ごとにバラバラになっているリモコンを使いたいだろうか?

後の段落で詳しく述べるが、インターネットにつながり相互通信が可能な デジタル家電は機能がたても複雑になる事は容易に想像がつく、それらを従来のように機器ごとに数十ものボタンがついたリモコンを使うことは現実的では無い。

複雑な機能を使うのだから、操作方法はシンプルでなければならない、 従来型のリモコンでは不可能だが携帯電話ならば、液晶ティスプレイがついているため操作の切り替えも簡単だし、携帯電話のスケジュール機能と連動すれば、 デジタル家電全体が自分のスケジュール通り動いてくれる。

リモコンぐらいどうでも良いと思われるかもしれないが、リモコンは普段もっともよく使っている物の一つである。それを「ただのリモコン」として終わらせるか、「ネットワークを使い自分のスケジュールと家全体のデジタル家電を管理できる、携帯電話」にするかはこれからのデジタル家電の発達しだいであろう。

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