ベ−チェット病とは

1.ベーチェット病とは
 ベーチェット病は、全身に色々な症状が繰り返し現れる病気ですが、その原因は
解っていません。ベーチェットというのはこの病気を昭和10年代に詳しく報告した
トルコの皮膚科の医師の名前です。この病気はトルコを含む中近東から
中国そして日本に多い病気で、シルクロード病とも呼ばれていまず。
日本では、1972年より厚生省に研究班を作り、その原因の解明、治療法の開発に
力を入れてきていますが、まだ不明なことも多く、特に眼に症状がある患者さんでは
視力の低下、ひどい場合は失明にいたることもあり、難病に指定されています。


2.べ−チェット病の症状
  大きく分けて「主症状」と「副症状」と呼ばれるものに分かれます。

@ベーチェット病の主症状

主症状は口腔内アフタ、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍の四症状のことを言います。

 口腔内アフタとは、口の中の粘膜にできる痛みを伴う潰瘍のことです。
アフタと言われて解らない方でも口内炎はよくできると自覚していられる方が
多いと思います。 皮膚症状はいくつかのものがありまず。主に足にできる
結節性紅斑とよばれる痛みを伴う赤い皮下結節血管に沿って赤く腫れて
痛みも伴う血栓性静脈炎、いわゆるニキビのような毛膿炎様皮疹が
その症状です。また、血液検査などを行った時に針をさしたところが化膿して
腫れたり、かみそりまけをしやすいといった、皮膚が刺激に弱いという症状も
みられます。
 眼症状は眼の中の「ぶどう膜」というところに炎症がおこるため、ぶどう膜炎と
呼ばれています。日本人のぶどう膜炎の多くはベーチェット病です。症状は程度に
よって色々ですが多くの場合突然の視力低下、眼痛を自覚します。ひどい場合
一ヵ月に一回、このような炎症が起こり眼の発作と呼ばれています。
 外陰部潰瘍は口の中と同じような痛みを伴う潰瘍です。


Aベーチェット病の副症状
 副症状には、関節炎、副睾丸炎、さらには腸の潰瘍、血管炎、中枢神経症状などの
病気が起こる場合があります。後の三つは特珠病型とも呼ばれる病変でそれぞれ
腸管ベーチェット病血管ベーチェット病、神経ベーチェット病とよばれています。
これらの特殊病型は時に重症化することがあり、特に注意が必要です。


3.ベーチェット病の診断
 これらの色々な症状は同時に起こるわけではありません。またベーチェット病の方
にこれらすべての症状が起こるわけでもありません。いくつかの症状が現れたり、
消えたりするのが、ベーチェット病の特徴でもあります。典型的な方では、若い時から
口内炎があり、その後あるときから結節性紅斑ができるようになり、眼の具合が悪くなり
眼科を受診したところぶどう膜炎と言われたという経過をたどります。ただ、大事な
ことは、この症状があるからベーチェット病、あるいは血液検査である値が陽性だか
らベーチェット病というような決め手になる症状、検査所見がないことです。
厚生省の診断基準では、いくつかの症状の組み合わせに検査所見を参考として加えて
ベーチェット病と診断するようにしていますが、外来受診時にその症状がない時期
だったりすると、はっきりと診断がつかない場合があります。たった一回の受診で
ベーチェット病の診断がつくほうが珍しく、経過を追って診察し、採血をくり返すことに
より診断されることがはとんどですので、きちんと専門の医師の診察をくり返し受ける
ことが重要です。

ベーチェット病の資料

友の会発行の機関誌に掲載されている医療講演会の記事

      ベーチェット病の臨床と治療法について
             聖マリアンナ医科大  坂根 剛先生
                本部会報「わだち」1998年1月号より 

      内科から見たベーチェット病
             大阪逓信病院第1内科 三木 知博先生
                大阪友の会会報「とも」1998.4.20より 

      眼科から見たベーチェット病について
             東京女子医大眼科教授 木檜 美津子先生
                本部会報「わだち」1998年1月号より

      眼科から見たベーチェット病
             ゆあさ眼科医院      湯浅 武之助先生
                大阪友の会会報「とも」1998.1.1より

      神経ベーチェット病の症状と治療
             大阪大学医学部神経内科 阿部 和夫先生
                大阪友の会会報「とも」1998.1.1より      

      腸管型ベーチェット病について
             大阪大学医学部第2内科 篠村 恭久先生
                大阪友の会会報「とも」より      

      血管ベーチェット病
             大阪大学医学部付属バイオメディカル
           教育研究センター臓器移植学教授 白倉 良太助先生

                大阪友の会会報「とも」より