河又

マンモス・ケイブ 13a (2002/6/8)

目次

ルートの紹介

以下は私が登ったルートの印象です。 グレードは『日本100岩場A関東』のものを載せています。 星印は私の独断と偏見でつけています。

コウモリ岩

 河又の中心となる岩場です。 夏は涼しい洞窟のあたりで、冬は暖かい「モス・グレイハンド」の取り付きのあたりで休憩するといいでしょう。
 多くのルートのボルトがケミカル・アンカーに打ちかえられて安心して登れるようになりました。 また、小林さんにより一部の派生ルートも整理され、すっきりとわかりやすい岩場になりました。

忍吉98(5.9 ★) FL
コウモリ岩の一番左端にあるボルト4本のライン。 5.9 だけどかぶっている。ガバの連続で面白い。 『赤本』に「忍吉(5.10a/b)」として載っているルートは消滅しています。
忍吉(10a)
タコの頭に上がった所にもボルトがあって安心です。『赤本』に「忍吉2」として載っているラインです。
タコ(11b ★★)
ホールドは全部ガバなので持久力が勝負です。オンサイトしやすいルートだと思います。
スネーク・ジュニア(11d ★★★)
ルーフを越え、少しかぶった壁を左右の細いコルネを使って登る。 短いけれど、パワフルで、体を振るムーブがあったりして面白い。
カッパ(10a) FL
以前はハンガーが外されていましたが、復活して登れるようになっています。 かぶっているので迷っていると腕が張ってきます。
ギザギザハート(10c ★)
ホールドは全部ガバですが、少し被っているのでパワーも必要です。 体の振りをうまく使わないと(私のように)ハマルかもしれません。 体の振りをおぼえるのによいルートだと思います。
地主(11b ★)
結構かぶっているボルダー的なルート。ムーブは人によりさまざまなようです。 あのホールドが効くんですよ、あのホールドが。
小作人(11b ★)
被った壁で体を左右に振りながら登る面白いルート。下で力を使っていると上で苦労する。 一本目のボルトへのクリップはあまりよくないので、自信がなかったら木でクリップしたほうがいいでしょう。
オガミイットウ(11b)
初見では難しいけれど、ホールドが分かってムーブが解決すれば一気に易しくなるタイプのルートです。 一本目のボルトは木でクリップしたほうが安全かも?
畑(11b ★)
核心の下部のトラバースでは、指の力と、足をうまくきめて立つことが必要でしょう。 後半はホールドが大きくなり、グイグイ登れます。二本目のクリップには気をつけてください。
麦畑(10a) 麦畑 10a (1999/12/4)
RCC ボルトのラインです。ボルトの間隔が少し遠い? ステミングで素直に登りましょう。
イヤーイヤ(11a ★★)
赤本と「岩と雪 No.168」では 5.10a になっていますが 5.11a の間違いです。 早く良いホールドを見つけないとパンプしてしまいます。 取り付きは「麦畑」と同じあたりですが、一段高い左のほうから一本目のボルトにクリップしてスタートすれば安全です。
終了点が左の方にあり、また、左のほうが一段高いので、ヌンチャクを回収するときには気をつけましょう。 一本目を回収してロープにぶらさがって、左に振られて岩に衝突した人を目撃しました。 一本目のヌンチャクを二本目より先に回収するか、一本目は下から回収しましょう。
アリゲーター(10d ★)
出だしが核心。リーチのない人には厳しいでしょう。ワニの口みたいなコルネに立ってからも少し難しい。
大将(10b ★★)
一本目のクリップに自信がないときは、左の「ミヤザキミドリ」の一本目に長いヌンチャクを使ってクリップしておきましょう。 パワフルで変化に富んでいて面白い。リーチがない人には下部のトラバースがきびしい。
ミヤザキミドリ(5.9)
大きな穴を二つ登ってから真上の終了点までいきます。 フット・ホールドが磨かれてツルツルなためか、私には「いきのいい奴 10a」よりも難しく感じられました。
サファイア(10b)
下部は階段状ですけれど、ボルトの1本目と2本目が遠いので慎重に。
デザートソング(12a ★★★) RP 04/2/14
ボルト3本目から4本目の核心部は右のほうにあるガバを使わないで、二本指の穴と外傾ホールドからコルネをめざして登るのがオリジナルのラインだそうです。 核心の穴からしみ出しがあることが多いので、乾いた季節(冬から春)の方が登りやすいと思います。
大五郎(11a ★★)
石灰岩特有のコルネを登るライン。ホールドもムーブも素直なので持久力とレストの仕方が勝負でしょう。 オンサイトをねらいやすいルートだと思います。
ドラゴン・ストリート(11d ★★★)
大五郎から別れ、きれいなフェースを穴・縦・豆などの多彩なホールドを使って登る持久力がいるルートです。 5.11d としてはお買い得という話もあるようです。 大五郎から別れる所のヌンチャクは長くしておかないと上部でロープの流れが悪くなってしまいます。
いきのいい奴(10a)
ガバ連続のだんだんと難しくなるルートなのでアップにいいと思います。
泣かないで愛ちゃん(10c) OSm 02/5/26
少し難しい出だしをこなし、ガバだらけのフェースを登り、上部で右にトラバースして「ビッグ・トゥモロウ」に合流する。 トラバースが核心でしょうか? 私には、少し不自然なラインに感じられました。
ディスコ・バージョン(10b)
素直に登ると 5.9 ぐらいしか感じられませんでした。たぶん限定があるのでしょう。
そういちろう(11c ★)
短いけれど、こしゃくなルートです。結構指にきます。二本目のクリップには気をつけて。
ムーン・ビーム(5.9)
最初が少しいやらしい。あとは全部ガバ。
モス・グレイハンド(11c ★★)
出だしにムーブがあって、二本目のクリップもきびしいです。あとは持久力が勝負。 (私のように持久力が無い人には)うまく休むことが大切です。両手をはなして休めるという話もあります。

おまけ情報(以下のルートを私は登っていません)

H・E(11a)
コーナーより左の壁は使わないという限定があります。 この限定が私にはすごく不自然に感じられて、一回試したけれどもやめてしまいました。

シュテファン・フェイス

 「コウモリ岩」とは違いカチカチのフェイスです。上部は少し被り気味です。 小さなホールドを使うテクニカルなルートが多いです。 右から終了点に回り込めますが、石や木を落とさないように気をつけましょう。

藤娘(10c)
カチカチのフェイスです。かぶっていないので足にうまく立つことが大切です。ボルト二本目までが核心でしょう。
ディレッティシマ・ドラゴン(11d ★★★)
下部はカチカチでテクニカルなフェース、上部はうす被りで持久力がいります。 中間部で性格の変わる面白いルートです。 下部のムーブをこなした後、レスト・ポイントでどこまで回復できるかがポンイトでしょう。
気分はダイレクト(10b)
左のガバを使ってハングを越すのが素直な登り方でしょう。 ボルト二本目にクリップした後はやさしいフェイスです。
オットット(5.9)
「気分はダイレクト」の左バリエーションという感じのルート(でした?)。 今は整理されて消滅しているのかも?
ゆで卵(11b) RP 04/2/14
取り付きのハングを越えるのが核心。上部は左にトラバースして左のルートと合流する。 11b というよりは2級か3級という感じです。私は2本目のボルトまでプリクリップして登りました。
おむすびころりん(10b)
思い切ってハングを越えます。上部は簡単です。出だしのハングを越えるところは面白かった。
フレーク(5.8)
ホールドは全部ガバですけれど下部は少し被っています。出だしにフレンズの2番を使うと安全です。

タワー・ロック

 シュテファン・フェイスから右に登る踏み跡をたどり少し下った所にある名前の通りの白い岩塔です。 シュテファン・フェイスから5分くらいで到着します。苔の生えているルートもあるので気をつけましょう。

ハピネス(11a ★)
凹角からスタートし左に抜け上まで登る。高さもあって、なかなか見栄えのするルート。 下部にヘキセントリックが残置されているけれど、自分でナッツをきめれば安心?

雷岩と蛇岩

 雷岩と蛇岩はアプローチが違います。一度だけ行きましたが、ほとんど登られていないようでした。

[蛇岩]
切り株(5.10a)
ガバ連続のカンテで、難しいのは一手だけ。ウォーミング・アップに最適でしょう。
ペンペン草(5.9 ボルト4本)
石灰岩のフェース・クライミング。上部のクラックに挟まっている岩は浮いているので気をつけて。 「切り株」より難しいんじゃないの?

河又の思い出

私が本格的に石灰岩を登るようになった最初の岩場が河又でした。 最初に行ったのは1996年の5月だったと思います。 初めての岩場なのでやさしいところから登ろうと思い 『日本フリークライミング・ルート集』(通称『赤本』) に 5.10a で載っていた「イヤーイヤー」に取りつきました。 思いのほか難しく、何回もロープにぶら下がってしまい、やっと終了点にたどりつくというありさまでした。 結局その日には登れず 「俺は石灰岩の岩場では 5.10a も登れない」 と、結構ショックを受けて帰りました。

後日、電話があって「イヤーイヤー」は 5.11a で、『赤本』の間違いということでした。 その年の3月に 5.11a を登ったばかりだったので当然の結果だったわけです。

河又が気に入った私たちは毎週のように河又へ行き、私も「ディレッティシマ・ドラゴン」や「ドラゴン・ストリート」を登りました。 そのころ一緒に河又へ行っていたHさんは 5.12 を何本も登るようになりました。 最近はHさんと一緒に出かけることもなくなってしまいました。

河又の概要

河又はいつ行ってもにぎわっていることが多いです。 岩質はほとんどがノッペリとした石灰岩で、慣れるまでは足が滑りそうで恐いかも知れません。 傾斜はややかぶり気味です。 短いルートが多いけれど、いろいろなホールドを使って多彩なムーブが楽しめます。 5.9 から 5.12- のルートが中心で、5.10 のルートもたくさんあります。

登るのに適した季節

一年中登れると思います。 夏は洞窟から涼しい風が吹いてきます。 木陰になっていて、それなりに涼しいです。 ただし虫よけスプレーは必要です。 冬は「モス・グレイハンド」の取り付き付近が日が当たって暖かいです。 多くの人がここで休憩しています。

しみだしも少なく、雨後の乾きも早いです。 岩の状態は、当然、冬場のほうが良いです。 特に、「マンモス・ケーブ」などの洞窟の近くのルートは夏は濡れていることが多いです。

Copyright 1997-2014 Hirosawa Makoto