ヤギ肉やヤギ乳は「ゲテモノ」なのでしょうか | |||
確かにヤギにはヤギ臭さがあり、匂いが移りやすいので、搾った乳はヤギ舎からすぐに運び出す必要があります。オスのヤギは体臭がきついのですが、去勢したヤギは体臭も減り、ヤギ肉や毛の質も良くなります。 確かにヤギのチーズは独特の風味があり、なれない人にはなんだかけもの臭く♀エじられるでしょう。 確かにヤギ汁の臭みはヨモギの葉では隠しおおせぬほどに強烈かもしれません。それを「ヤギ地獄」と呼ぶ人がいてもおかしくありません。 でも!1958年名古屋市生まれの私の高校時代のクラスメートの一人は「お母さんのお乳の出が悪かったから、私はヤギのミルクで育てられたの」と言っていました。 私より10歳年上で京都市在住のとある女子校の先生は「戦後の栄養不足のおり、家でもヤギを飼っていたし、家のヤギがいなくなってからも近所の人がヤギ乳を持ってきてくれて、栄養不足を補った」と証言しています。 敗戦直後のアメリカからの救援物資(ララ物資)の中にはヤギもいました。(参照:ララ物資の想いで) そのララ物資の乳用ヤギの検疫機関として設置されたのが現在の農林水産省動物検疫所(参照: http://www.jinji.go.jp/okinawa/gaide/doubutu.pdf )です。 そうした山羊乳を、体の弱かった石川啄木は貧窮の中で歌に詠みました。
山羊乳の特徴としては、まずその消化性のよさが挙げられます。山羊乳は牛乳によるアレルギーの元であるカゼインの一種を含んでいないため、牛乳アレルギー患者に村する代替乳として利用されています。 また山羊乳中のタンパク質含量は牛乳よりやや高く、人乳と比較すると2倍程度であります。また山羊乳は非常にアミノ酸バランスが優れている上、あのリポビタンDでおなじみのタウリンを牛乳の約20倍、人乳とほぼ同じ362μmol/lほど含んでいます。タウリンは脂質の消化・吸収に重要な役割を果たしていますが、乳幼児はタウリンの合成能力が未熟であるため、小児栄養での重要性が指摘されています。 宮崎県にはヤギミルクを全国に配送してくれるヤギ牧場山羊のミルク/中村牧場があります。ヤギミルクパンを今も積極的に作っている愛知県の農場設楽農学校もあります。 水戸では、ヤギチーズ工房森のシェーブル館が頑張っています。長崎県のハウステンボスでもヤギチーズを売ってます。「フロマージュ―上手にチーズを選ぶために 」(磯川まどか著/柴田書店)には41種類のシェーブル(ヤギチーズ)が紹介されています。ハイジのおじいさんがアルプスの山小屋でハイジとペーターに振る舞ったのはヤギのチーズです。 アトピーで悩んでいた子どもがヤギ乳で元気に育ち、乳の残りでヨーグルトやアイスクリームを作っているお母さんもいます。 石垣島のお祭りには、今でもヤギ汁は欠かせません。「好きになっちゃった 沖縄」(双葉社/下川裕治)には、滋賀県人のヤギ汁体験記「山羊料理は、美味と珍味の境界線上の味」が載っています。また、「沖縄やぎ地獄」 には二つの店のヤギ汁体験記が載せられその内容の一部は作者のさとなお氏のHPでも紹介されています。 ヤギ汁に癖があるのは「血」入りを食べたから。生姜の風味で食べればGood!ヤギ刺しは皮の部分がコリコリしていて、泡盛と相性抜群!食べもしないでグダグダ言わないこと!!! 自然保護団体が日本の鯨肉文化を否定し、動物愛護団体が韓国の犬肉文化を非難します。保守的で他文化の情報に乏しい閉鎖的な西洋人はカタツムリや蛙を平気で食べながら、生の魚を目の前でさばいて食べさせる活け魚料理を気味悪がります。 そして日本人は野生の魚≠好むくせに野性の獣の肉を食べることに抵抗を感じ、養殖の魚を一段低いものとしてみなが、その一方で濃厚飼料で筋肉にまで脂肪を入り込ませた家畜の牛を「霜降り」などと名付けて有り難がって食べるのです。 牛肉を常食するようになった明治の初めには、牛鍋屋の前を鼻をつまんで走り抜けた人がいました。にんにくたっぷりの餃子だって、今ほど多くの日本人が食べるようになったのはこの20年ぐらいの事。ようするに「慣れ」とおいしい調理法の開発が決めてなのです。 もし管理人の私が韓国に住んでいたならば、ひょっとしたらヤギではなく犬に注目していたかもしれません。犬料理といえば韓国料理の専売特許と思い込んでいる人が多いようですが、日本でも江戸時代には密かに(かつよくある話として)犬は食べられており、ヨーロッパでも犬肉食は決して特異な事ではなかったのです。 それは「日本初地球メディア World reader」さんのサイトの中にある、スイス・バーゼル市日本人会会長:鈴木伸二氏による記事(WR1126日本の常識は世界の非常識 (14):「食文化摩擦は歴史的相互理解が必要」2002/3/19 http://world-reader.ne.jp/renasci/another/s-suzuki-020319.html)でも報じられています。 そこには、ドイツでは1986年に法律で猿、犬、猫の肉を食することが全面的に禁止になるまでは犬肉は食べられており、ミュンヘンには1903年当時17軒の犬肉店があったことや、スイスでは犬や猫の肉を食べることの善し悪しが1993年に議論されて以降、犬や猫の肉を販売目的で流通することがスイスで禁じられるようになったものの、個人的に消費することは現在でも黙認されていて田舎の農家では今も食されていることなどが報告されています。 ただ、犬の場合その乳を利用したという記録や犬チーズの存在を寡聞にして知りません。それに対してヤギは、文化や宗教を超えてヒンズー教徒にもイスラム教徒にも、キリスト教徒にも仏教徒にも、古来から現在に至るまで肉を食べられ、あるいはその乳が飲まれてきた歴史があるのです。 ヤギを「貧乏臭い」とか「なんだか情けない」という人もいますが、砂漠や山岳地帯、そして南洋の島々で、ヒトビトの貴重な蛋白源として活躍して長い歴史があるのです。ヤギは乾燥によく耐えるため岩肌切り立つ山岳地帯にもすみ、長い航海の食料として船乗りとともに世界の海を周りました。そして1998年現在、世界の山羊飼養頭数はいまなお年々増加しており、総頭数は約7億頭で、その95%はアジア、アフリカ及び南アメリカに分布しているのです。 管理人の私は、石垣島のハーブ(レモングラス)の風味たっぷりのヤギチーズカツバーガーを研究中です。50年後には、金色のMに取って替わって銀色のGが地球の隅々までいきわたることを夢見ています。もちろん、そのときにはダチョウの肉を使ったフライドオーストリッチが姉妹商品として並んでいるはずです。 2001年2月7日のNHKのニュースで、淡路島の牛舎でペーパーミントの干し草をウシに食べさせて牛乳臭さを取ったスキッと切れのある牛乳を開発したという話題が流されていました。どなたか共同開発・共同出資をして、このProjectGにご参加いただけないでしょうか? |
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(2003年9月6日 一部更新) | |||
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