ヤギとダチョウが地球を救う |
ヤギは、その旺盛な食欲と繁殖力から、一部の離島などでは他の野生生物の生存を脅かす害獣とされています。また、旧約聖書(ヨブ記 39:1-18 山羊とダチョウ)の中ではヤギとダチョウが戒めの言葉の中に登場しています。 しかし、雑木の小枝や雑草をエサにでき、小型で飼育もしやすいうえ、乾燥地帯からから熱帯雨林、寒冷な山岳地帯まで、極地以外の地球上のあらゆる地域で牛・豚・馬以上に肉も乳も皮も毛も有効に利用されています。 日本では、奄美・沖縄・八重山諸島で現在も伝統行事には欠かせない食材であり、沖縄の郷土料理店ではヤギ料理は高級料理にさえなっています。 ダチョウもまた、高温・寒冷・乾燥・粗飼料に耐え、肉は高蛋白低脂肪で、卵も食糧としての利用価値が高いため、日本国内でも北海道から九州まで、各地で繁殖が試みられています。 さらに、ヤギもダチョウもたいへん価値の高い革製品を生み出しています。みなさんも何十万円もする「オーストリッチ」と表示されたダチョウ皮のバックをデパートや高級ブティックでご覧になったことがあるでしょう。ヤギ皮も、その質感を生かした工芸品が高く評価されています。 高級時計の革ベルトや革小物、ランドセルなどにも用いられるコードヴァン(Cordovan)は、「シェル」と呼ばれる緻密な繊維構造をもつ北フランス産の馬のお尻の部分の革で、世界で月間数千頭分しか採取されない非常に希少性の高い皮革なのだそうですが、大辞林には 「スペインのコルドバ産のヤギ皮で製した、ツヤのあるなめし革。またこれに似せた馬の背、尻からとったまめし革。靴、ベルトなどを作る」と記されているそうです。(参照:お答えします。靴の修理・百科事典) ひょっとすると、「アンゴラ」がヤギからとった毛糸であることをご存知ない方もあるかもしれません。テディベアもヤギの毛からできているのです。多様な工芸品は豊かな精神文化を支えてきました。 濃厚飼料や薬剤を用いた企業経営の弊害や、特定の品種の牛や鶏に依存し過ぎた食生活を見直し、これから迎える人口爆発と食糧危機を乗り越える道を探る。そして同時に、野生生物と文化の多様性を守っていくことが、私達一人一人の豊かな人生をも形作るのではないでしょうか。 その切り口が、ヤギとダチョウにあるかもしれません。 |
(2003/09/07 一部更新) |
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