学校が「愛国心」を教えるとき 基本的人権からみた国旗・国歌と教育基本法改正 |
西原博史 著 / 日本評論社 刊
初版 2003年5月15日 \1,800 |
2003年の春に、またしても広島県の校長が自殺されました。その原因について、教育委員会はまたしても君が代・日の丸問題を絡めてきました。
そうこうしている内に、今度は「武力攻撃事態における国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」という長ったらしい名前の法律が、タマちゃんと白ずくめ集団騒ぎや北朝鮮の難破船報道の影であっという間に通ってしまいました。
そして、それらと平行して浮き沈みしていたのが「愛国心」を評価する通知表や、教育基本法の「改正案」でした。
生活指導やなんたら指導の掛け声の下、思想信条信仰の自由、表現の自由が当たり前のように侵されている状況を前にして、教師も生徒もどのような「良心」を守り抜いていったらいいのか迷う日々。
公立学校のみならず、日の丸の替わりに様々な意匠のシンボルが講堂の正面に飾られ、君が代の代わりに様々な讃美の歌が流れる私学においても、学校における思想信条の自由や基本的人権について考えてみたいという方におすすめの一品です。
目次
はじめに 心どろぼう
第一章 〈思想・良心の自由〉からみえてくるもの
a 〈思想・良心の自由〉が意味するところ
b 国家が個人の思想・良心を殺し始めるとき
c 〈良心形成の自由〉にとって学校とは?
d 国旗・国歌が思想・良心の問題になるとき
e 現実に進む強制
第二章 国旗・国歌法による「強制」
1 どこに問題があるのか
a 象徴による統合
b 国旗・国歌が存在することと人権
c 国旗・国歌法のねらい
d 「強制」されないことの意味
e 教師の立場の問題
2 この事態を招いた背景
a 突然の嵐の謎
b 構造改革の遠心力
c 受け皿としての〈公共性渇望論〉
d 強制による公共性意識の形容矛盾
e パンドラの箱としての国旗・国歌法
第三章 国旗・国歌の強制を排除するために
1 儀式における「強制」排除の闘い
a 暴力と抵抗のせめぎ合い
b 〈国旗国歌法体制〉の現実
c 北九州ココロ裁判
d 不実施校長の法令違反処分
e 悲観と楽観の狭間で
2 思考素材を提供する授業を求めて
a 〈思想・良心の自由〉を引き受ける覚悟
b 授業のなかにおける〈良心の自由〉の尊重
c 授業における国旗・国歌の取り扱いによる処分
d 自分で考えるための教育に向けて
第四章 教育基本法「改正」論を考える
1 どこに問題があるのか
a 教育基本法がある理由と変える理由
b 見直しの必要を唱える中教審
c 〈能力主義〉で変わるもの
d 争点としての〈愛国主義教育体制〉
e 改革路線の矛盾から見えてくるもの
2 恐怖のシナリオ「日本人としての自覚」
a 気づかれなかった問題
b 「愛国心」の直接的な強制
c 強制される「日本人としての自覚」
d 作動メカニズムとしての〈能力主義〉
第五章 いま〈公教育〉を問い直す
1 ナショナリズム教育の罠
a 〈公教育〉=民主主義の課題か人権の課題か?
b 〈公教育〉の「公民養成機能」
c 日本の戦後教育論における〈民主的統合機能〉
d 同一化する対象は何?
e 個人の精神の自律
2 公立学校の役割を問い直す
a 「能力」の相対性と〈公教育〉の機能
b 〈内発的な発達する力〉の理論とその限界
c 「二一世紀を切り拓くたくましい日本人」たる能力?
d 教育の機会均等と〈公教育〉の存在理由
3 二一世紀の子どもたちのために
a 必要なコミュニケーション
b 新しい学校のあり方を目指して
補 国旗・国歌訴訟から――裁判所等に提出した鑑定意見書
鑑定意見書1 国旗・国歌を取り扱った家庭科の授業内容が法的に訓告理由となり得るか?
鑑定意見書2 国歌斉唱指導の不実施を理由とした市立小中学校校長に対する市教育委員会の内申なき戒告処分は適法か?
資料1 教育基本法
資料2 新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について(中央教育審議会
答申の概要)
あとがき |
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図書紹介 |
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君が代・日の丸等 の部屋です。 |
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