・演劇集団キャラメルボックス『我が名は虹』

    ダブルキャスト公演でしたが、片方(Bキャスト)のみの観劇です。
    ま、実のところ、主たる理由は予算の都合なのです(苦笑)
 
    新作を最初に地元(私の場合、関西)でやってもらえるのは嬉しいです。
    最近の公演は大抵、スカパーのシアターテレビジョンでわりと早いうち
   に放送されるのですが、どうせなら映像ではなく、生で先に観たいと思う
   ので。基本的にはやはり、舞台は直接観ないと真価(自分にとっての)が
   分からないと考えてますから。
 
    新作の舞台はいつも緊張しますね。内容が全く分からない場合は特に、
   開演する瞬間はものすごくドキドキします。ちなみにキャラメルの場合、
   今度の新作はこういう作品(本・映画等)がモチーフだ、といったことは
   公表されるものの、それと似通った内容とは限らないし、新作のあらすじ
   はまず事前公開しないので、「全く分からない」に近いんじゃないかなと
   思います。
    今回、わりと好きな役者さんである菅野さんが久々に(2002年冬以来)
   出演で、しかも初主演ということで、その点は無意識に期待していました。
 
    聞くところによると、初日はどなたかのカツラが飛んだりのハプニング
   があったそうですが、私が観たステージ(2/22)は、少なくともこちらに
   分かるような失敗とか思わぬ事態とかはありませんでした。
 
    さて、結論から言いますと。
    ……周りに「良かった」派の方が結構いらっしゃるので、その方々には
   申し訳なく思うのですが。
    終演後、自分でも驚くほど、心に残ったことが無かったのです。
    観た印象が物凄く薄い、と言いますか……ストーリーが分からなくなら
   ないように、と毎回まず意識的に集中して観るのですが、その「意識」が
   舞台上の世界に引き込まれていかない、気分が盛り上がらないうちに最後
   まで過ぎちゃったなぁ……という感じでして。
    どうしてそういう状態だったのだろう? と考えました。
 
    単につまらない、というのとは違う。
    あることが契機となって剣を振るうことができない元「人斬り」の浪人
   と、理不尽に殺された家族の復讐を果たそうとする娘。この二人の出会い
   によってお互いが、そして周りが少し変わっていく。この設定自体は嫌い
   ではなく、むしろ好みの方……なんですけど。
 
    ……個人的に、娘=「青葉」の家族(父・姉)が、あの時点で殺された
   ことに違和感があるのか、と思います。
    この違和感を説明する言葉をずっと考えているのですが、出てきません
   ……殺される展開が早いんじゃないか(上演時間の都合上、仕方ないかも
   知れませんが)とか、そこまでの間に「青葉」と家族の関係とかが自分の
   頭の中でイメージしきれなかったとか、そもそも殺されてほしくなかった
   とか、思うことはいくつかあっても、どれも説明としてはぴったり来ない
   気が……うーん。
    もっと根本的に、殺されたということ自体が、ピンと来なかったのかも。
   亡くなったと分かる直前のシーンで、二人が逃げ切りそうに見えたせいで
   しょうか。というか、逃げ切ると思い込んだんですね、私。その後、決定
   的な(実際に斬られる)場面は無しで、いるはずのない場所に二人がいる
   ことから「亡くなった」のが推察されて、その次の場面で登場人物の台詞
   から状況が分かるという流れだったんですが。……う〜ん。
    この一連の説得力を薄いと感じたのか、「殺されてほしくない」と思っ
   たから逆の展開になって嫌だったのか……正直、自分でも分かりません。
    ともかく、この辺の流れがまず、自分の中でしっくり来なかったように
   思います。その違和感が最後まで消えなくて、その結果、ストーリー全体
   が物足りなく感じてしまったのかな、と。
 
    役者さんは皆さん頑張ってらっしゃると思ったんですけどね。
    今回、今までで一番、殺陣が大変だったそうですし。
 
    菅野さん、役の設定上わざと、なんでしょうけど、最初の出番がわりと
   遅いんですね。その後も結構長く、ほんとに主役? と思っちゃうぐらい、
   分かりやすい見せ場は無しで。無意識に、もっと始めの方から前面に出て
   くると期待していたので、なんか拍子抜けしてしまったほどです。後半、
   しかもクライマックス近くでようやく……でしたが、個人的にはもっと、
   「いかにも主役」な役まわりで観たかったかも(笑)
    ちなみに、某氏の日記に書かれていた「唯一出てくる歴史上の人物」と
   いうのは「岡田以蔵」だったのですね。私自身はさほど詳しく知っている
   人物ではありませんが、登場人物として扱われたのは素直に意外でした。
   それが菅野さんの役であったのも。
 
    上記「青葉」の役は、入団3年目の實川さん。
    ……しかし実をいうと、2001年以降に入団した人たちの見分け、今だに
   つかない私なのです。特に女優さんは。ここ数年、ハンドブックを買って
   もろくに目を通さない&新人さんが出てくる前説も気を入れて聞いてない、
   のが原因の一つでしょう。私は人様の顔と名前を一致させるのがとてつも
   なく苦手(爆)なので、何かしら印象的なことがない限り、ちゃんと認識
   するためにはかなり時間がかかってしまうのです。
    そんなわけで、申し訳ないながら、實川さんの顔もほとんど記憶しては
   いませんでした。……ハンドブックで確認したものの、今でもぼんやりと
   しか覚えてません(ご本人及び関係者の方には重ね重ね申し訳ありません)
    正直に言えば、この役は實川さんにはまだ重荷だったんじゃないかな、
   というのが感想です。殺陣その他、頑張りは評価できるとしても、なんか
   「ヒロイン」としての存在感自体が感じ取れなかったので……
 
    しかしながら反面、もっと無心に観たならそれなりに面白いのだろうと
   も思ってます。素直な感覚で観られる人を、嫌味でなく羨ましく思います。
 
    ところで、今回あまりギャグで笑った記憶がありません。
    私の感覚が変わったせいかも知れませんが。皆さんはいかがでした?
 
    毎回コメントを付けてしまう、使用音楽に関して(笑)
    なぜか漠然と、全曲オリジナルだと思ってました。
    実際には、選曲リストによれば、既成曲とオリジナルが半々。既成曲と
   言っても、おそらくまだ知ってる人の方が少なさそうな新人グループの曲
   ばかり。私なんか音楽業界にはめちゃくちゃ疎い(わー)ので当然知りま
   せんでした。
    最初に劇場で聴いた時は、オープニングの曲(既成)が妙に印象的なの
   しか覚えておらず、リストを見ても「ふーん」と思っただけでした。が、
   気まぐれでネットで検索して、グループ2つのうち1つ(OCEANLANE)は
   試聴できたので聴いてみたら、意外と(舞台で流れていたという)覚えが
   あってびっくり。……翌日、CD買いに行きました。たぶんキャラメルが
   作るサウンドトラックに入るのでしょうけど、まだしばらく先のようだし、
   欲しいと思うと我慢がきかない性格なので(苦笑)どうやら業界では注目
   されているらしく、他のお薦めCDと一緒に試聴コーナーが作られていま
   した。『我が名は虹』で使われているのは2・3曲目ですけど、他の曲も
   遠くないうちにキャラメルで使われそうな感じがしました。特に1曲目は。
    ちなみにもう1つのグループ(Co-rchestra)のCDを同じ店で探して
   みたら、コーナーはあったけど品切れ状態。劇場に比較的近い場所にある
   店なので、舞台を観た誰かが買ったのかな? と思いました。
                               (04.3.3)
    
 


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