雑記(日記?)
1月20日

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「雪だ! 銀世界!」

アパートの廊下を抜けると、そこは雪国だった。(ぉ

出かけようとしたら、外を走る車の音が濡れていた。
関東の冬。毎日あたりまえのように晴天だったのに、今日は雨か。と、一度閉めた玄関の鍵を開けて傘を取り外へ出たら、なんかちがう。

何? え、雪じゃん。これ。積もってるし。今降ってるのも、雪? みぞれじゃなくて?

それは、かなり水分が多くてぼたっとしてはいるが、まぎれもなく雪だった。
どうりで寒いわけだ、と得心して、外へ出る。雪国人の観察眼が勝手に作動する。

現在の積雪:3センチ。路面の状況:シャーベット状(但し、水分かなり多し)。

踏み固められてつるっつるになっているわけでもないし、がちがちに凍結しているわけでもない。しめっぽい雪で不快ではあるが、歩くのに特に不自由はない積雪だ。というわけで、めったにない(一冬に一度くらい?)関東地方の雪景色を楽しみながら歩きだす。

まず気になったのが、若い兄にゃが運転していると思われる、ちょいとかっこいいクルマたち。たいがいは雪道に弱いといわれる後輪駆動車だと思うのだが、普段とかわらず、容赦なくアクセルを踏んづけている。こういう路面状況は案外滑りやすいはずだ。何かあって普段の感覚で咄嗟にブレーキを踏むことを考えると、非常に怖い。

対して、ジープなどのいかにも雪道に強そうな四輪駆動車たちがむしろ徹底して堅実な走りをしていたのが印象的だった。オフロード車のドライバー、さすがに心得ているのか。

もうひとつ気になったのが、ごく普通の小型車の多くがこの程度の雪でチェーンを履いていること。地元では、タイヤチェーンなんて大型トラックが履いているのしか目にしないものなので(と思う)、これをとてもめずらしく思ったのだ。
……しかし考えてみたら、まさか普段からスタッドレスを履いているわけはないのだから、突然の積雪に対して夏タイヤに一時的にチェーンを巻くというのは、至極合理的なやり方である。なるほど。

あと、やはり歩行者は大変そうだった。
雪道を歩き慣れていないのに加え、きっと靴底がつるつるなのだろう。
今日の積雪はそれほど滑りやすいコンディションではないはずなのだが、それなのに思いきり足が滑って、まともにひっくり返って肩で着地しちゃうというのは、見ていてかわいそうになってしまった。
冬だし雪だってたまには降るんだから、靴底にしっかりグリップ力があって、しかもお洒落なかっこいい靴(もちろん完全防水)を、靴屋さんは仕入れるべきだ。なんて思うのでした。雨の日やアウトドアでも使えるしね。



日も暮れたあとで、学食で夕食を摂ろうと学校へ行ったのだが、やはり雪景色は幻想的なものだとあらためて思った。
雪は洒落にならないものではあるけれど(車の運転にしろ、屋根の雪下ろしにしろ……)、こういう瞬間だけを切り取ったら、やはり情趣のある、ひとの心に豊かな感動を喚び起こすものだった。

穏やかに雪の舞う日は空気がやさしい。ひんやりとはしているがどこかぬくもりがあって、やわらかい。
雪景色の夜は明るい。真白い地上に、ほの青いとおい空から、途方もなく雪が舞い降りてくる。その空間は、無限の世界だ。

空にくろぐろと伸ばした枝の細い端々までを白く飾られた街路樹たち。鮮やかなコントラストをなした黒地に白の複雑な綾目に街灯の煉瓦色の灯りがすき透り、路肩のこんもりと柔らかなメレンゲ状の雪の潅木にあたたかな木漏れ灯が降り注ぐ。

雪の積もった坂道で、ふたりの学生が親しげにおどけて滑ったりしながら、雪景色のなかで互いに写真を撮り、降ってわいた冬を満喫していた。

翌日には、土の露出した路肩や畑などにわずかに雪が名残るのみで、
雪景色の気配は消えうせていた。


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