>> 第二話 / 赤い悪夢






 静かに、だが確実に壊れ行く日常……。
 一つの任務を終え、吸血鬼たちがひとときの休息を得ていた時、ヴィクター・ブラウンのアパートメントに謎の美女が舞い込んできた。
 彼女たちは、自分たちの知らない組織に負われているといい、ずっとそれから逃げ続けているのだと告げる。

 かくして美女たちとの逃亡を計るヴィクター。
 それを追いかけるは、サバトとカマリリャの吸血鬼たち。
 彼は果たして美女二人を守れるのだろうか、そして逃亡の先にある真実とは……。





エルヴィン : おじゃましますぞいー。


ヴィクター : ぞいぞい。


ST : ずいずい。


フィオナ : ずい?


ST : ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ


エルヴィン : ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ


ST : では、準備はいかがですか?


エルヴィン : OKです~。 ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ




 【スラム街にて】





ST : では今回、ヴィクターさん続きから。


ヴィクター : はい~。


ST : 女性からビンタされ、頬に見事なもみじをこしらえたヴィクターさん。頬はひりひりと痛むが、ともかく彼女らは足を止めてくれた。



エルヴィン : ヴィクターさんがんばれ……! 今は「敵対的」ながら話を聞いてくれる感じになってるぞ……!


ST : かっこよくきめようとしたところで颯爽と1を出すヴィクターさんきらいじゃないよ。


フィオナ : むしろ、素直にひっぱたかれたことで好感度が上がる可能性も?



ヴィクター : 「いちち……そう焦るなよ……」 ひりひりする頬を押さえながら答えます。


ST : 「それで? あんたが奴らの味方ってことは、あんたは敵ってことになるだろう?」

 少女を背にしがみつかせたまま、飛び退って銃を抜き 「近づくな」 と意思表示する。


ヴィクター : 「悪かった。お前らが望むなら近づかねえよ……だが、オレはあんたたちに危害を加えるつもりはない」


ST : 「奴らもそう言ったよ。危害を加えるつもりはなくて、捕まえたいだけなんだとさ」 ケッ、と唾を吐くジェスチャー。


ヴィクター : 「じゃあ、どうしたら信頼を得られる?」


ST : 説明してもらおうか。追っ手の奴らとあの女とあんたの関係をね」



エルヴィン : どうしよう、ヴィクターさん説明とってもにがて! でも、彼女たちはこのままずっと逃げ続けるつもりなのかな……? それって無理じゃないのかな……?


フィオナ : 最終的には誰か後ろ盾を見つけて、かくまってもらう必要がありますね。 説明は……フィオナに電話をかけて本人に説明させるのもありかもしれません。


エルヴィン : だよね~>最終的には後ろ盾~

 ……そうなると、やっぱりうちの公子様の所が無難な気がするんだよね、あの公子様、カマリリャだけどカマリリャ的じゃない印象あるし……。

 あ、ぼくが電話をかけてもいいよ! ヴィクターさんさぁどうする! エルヴィン or フィオナさん!


フィオナ : エルヴィンさんがよさそうですね。フィオナが話しても疑わしいでしょうし。エルヴィンさんなら、(外見と声は)子供なので警戒も薄れそうです。



ヴィクター : 「追っ手については知らねえが、あの女はオレの仲間だ。追っ手について味方をしていたようだが……なんか策があるんだろう。あの女は策士ってやつさ」 ざっくり答えます。


ST : 「……ふうん?」

 「知らない、味方じゃない、ねえ。 ……それで信用しろと言われてもね」 

 すぐに背を向けないあたり、まだ話を聞く気はあるのだろう。



エルヴィン : で、電話しようかヴィクターさん?


ヴィクター : たすけぶねを……。


ST : ぷかぷか。



ヴィクター : 「ま、オレもあんまり信用していないところはあるが……味方でいるうちは問題ないだろ」 とぼそっと言って 「女に危害を加えるような真似はしねえよ」


エルヴィン : では、ヴィクターさんにお電話をかけます。 てろってろてろ~~♪


ヴィクター : 「電話か……出てもいいか?」 一応許可を取りますね。


ST : 無言で促す。


ヴィクター : 「もしもし、エルヴィンか? ……こちらは取り込み中なんだが?」


エルヴィン : 「もしもしー、ヴィクターさんいまどこにいるの~? お迎えのタクシーだそうと思ってるけど。というか、今、びじょいる? フィオナさんたちから逃げてたって聞いたけど~」

 と、わりとカンカン話してますね。
 「彼女たち、ひょっとして自分が追われてる理由わかってない?」 とか、ヴィクターさんをまず質問責めします。 「あとパティ生きてる?


ヴィクター : 「どこにいるかは分からん。 なんというか……色々ヤバい」 とコソコソかくしかでエルヴィン君に説明します。


ST : パディはちょっとバテてるよ。


エルヴィン : 「彼女たちに聞いてみてー、 『自分たちが追われている理由が知りたくないか』 って。ぼく、たぶん説明できるから!」 本当かな!?


ヴィクター : 「仲間からだけどよ……」 と切り出し 「おまえらが終われてる理由、知りたくないか? だとさ。どうする?」


ST : その言葉を聞いて、彼女の口の端がぴくりと動く。

 チッ、と舌打ちひとつ。
 「……いいよ。聞こうじゃないか」


ヴィクター : 「聞くってよ。どうすればいい?」 と、エルヴィンくんへ答えます。助かり~。


エルヴィン : 「じゃぁ、電話かわってもらえる~? その間に、今の場所を何とか把握して……見つからないようにガソリンスタンドとか、人の多い所にいってね。それならタクシーも出せるし、人前ならサバトも無理はしな、い、と……思うから!」 最後はちょっと弱気だ。



フィオナ : 話を聞いてくれそうな感じですね。


エルヴィン : 事情も分からず追われるのはやっぱりこたえるよね。



ヴィクター : 「ほらよ」 と電話を渡しながら 「ここじゃ、色々とまずいだろうから移動するぞ」 といってさりげなーく移動を開始します。


エルヴィン : 「もしもし~、おでんわかわりました、エルヴィンといいます!」 元気にご挨拶。


ST : 「……子供?」 電話の向こうから聞こえてくるのは、すこし掠れた低めの女の声だ。

 ヴィクターさんはスラムから出る? スラム内で場所を探す?


ヴィクター
 : できればスラムからは出たいです。女性を連れてのスラムは危険すぎる。


ST : スラムから出るなら、そうだね、知覚+隠密難易度6と、知覚+生存術難易度6を、また判定してもらおう。



フィオナ : これって失敗するとまた敵に遭遇しそう。



ヴィクター : 知覚が4で、生存が3、合計7で判定

 7b10>=6 (ころころ) DiceBot : (7B10>=6) → 5,3,1,10,1,9,2 → 成功数2(成功数0) もおおおおおおおおおお!!!



フィオナ : また1か!


ST : イチメオオナイ?


ヴィクター : オオイヨォ……。


フィオナ : あれ、これって10が出てますが、追加振りの対象にはなるんでしょうか? 判定が成功した時だけでしたっけ。


エルヴィン : 特技(専門)の時は10で追加ふりができるけど、これは特技じゃないからねぇ……。


ST : 専門ではないからねぇ……>10



 【ヴァンパイア:ザ・マスカレード 基本ルール講座】

 ヴァンパイア:ザ・マスカレードには「10が出た時、その技能が専門のものであれば10が出たダイスの数だけ振り直しができる」というルールがあります。
 ただし、「専門」になるには技能レベル4以上、また判定も「専門と判断されたもの」しかないので、ふりなおせるチャンスはなかなかこない……。
 手厳しい所ですね。
 (絶版ルールなのでルールの補助説明をしておきました)



ヴィクター : 知覚と隠密次のやつふってもいいですか?


ST : あ、どうぞ。



エルヴィン : こちらは、移動しながら電話かな。

 「うん、ぼくはね、子供の頃に吸血鬼になったんだ。ふふ、そういう子もね、少なくないんだよ。ぼくは、吸血鬼になって助けられた……なんて、素性は後でゆっくり話そうか」

 「端的にいうと、君たちは
二つの組織から狙われている『吸血鬼の本能に従い、人を蛮行で支配しようとする連中』それがサバト。そして、長らく人間たちの中で身を隠して、影ながら人間たちに介入してきた組織『カマリリャ』……理由は一つ。吸血鬼の間にも終末論ってのがあってね……『ゲヘナ』と呼ばれる最後の日、その鍵を握るのが君たちじゃないか、と……カマリリャも、サバトもそうにらんで、君たちを手に入れるのにやっきになっているのさ……」
 そう早口でまくしたてて……。

 「ここまで、OKかな?」
 ヴィクターさんの隠密中に会話を進める!


ヴィクター : 知覚が4で隠密が3、同じく合計7で判定

 7b10>=6 (ころころ) DiceBot : (7B10>=6) → 1,4,5,9,6,8,2 → 成功数3 (成功数2



フィオナ : こちらは普通に成功ですね。


ヴィクター : 一があるけどこちらは成功!


ST : えるえるくんの会話は判定結果の処理の後に答えるからちょっとまってね!


エルヴィン : いいですよ~、歩きながら会話してて、なんかヤベーのに見つかったら会話の半分も入ってこないもんね!



ST : では、ヴィクターさん。あなたたちは追っ手(まだいるよ)の気配やスラムの住人の気をひかぬよう注意しながら、スラムの中を抜けていく。


ヴィクター : ススス……見つからぬようにこっそりとな!


ST : そして、はたと足を止めて気付く。 ──迷った。気がつくと、道が分からなくなっている。どちらから入り、どちらから出たのだったか?

 少女を背に負い、周囲とあなたを警戒し、電話の声を聞き取ろうとする彼女には、道に注意することまでは重荷だったようだ。
 頼るのはあなたの向かう先だったわけだが、そのあなたが迷ってしまったわけで、つまり、どこだここ? 状態である。

 「ああ、ちょっと待ちなよ。そんなに早口で言われてもわからない……」


ヴィクター : (むむむ……)(しまった、もしかして迷ったか……)


エルヴィン : (おや、電波が悪くなった気がする……ヴィクターさん生きて帰ってきて!)


ST : どこも同じに見える、廃屋と、まだ生きている建物と、路地の間に詰まった小屋と、獣道のように広がる道。

 あなたの目の前に、落書きに覆われたつぶれたガソリンスタンドがある。


ヴィクター : (都合のいいところになんかあるな……) ここがどこか調べることができるでしょうか?


ST : ヴィクターさんガラケーにGPSアプリは無い。ガソリンスタンドの中を探るのは自由だ。


ヴィクター : では、ガソリンスタンドの中を漁ってなにか手掛かりはないかと探します。


ST : ヴィクターさん。ガソリンスタンドの中には見事になにもない。つぶれた、つまり、引き払われているということだ。誰かが住み着いていそうな気配しかない。



フィオナ : ガソリンスタンド内に都合よくこのあたりの地図でも置いてあればよかったのですが……。


エルヴィン : 向こうのガソリンスタンドはこう、なんかちょっとしたマーケットも含んでるイメージ……。



ST : 「──それで、サバトとその、カマなんとか…… あたしらがその、変なシューキョーのターゲットにされてるって?」


エルヴィン : 「宗教というか、マフィアとギャングに追われてるって感じかなぁ……?

 で、マフィアの方は『任務』をすると、居場所をくれる契約をしてくれるって感じで……僕らはマフィアから居場所をもらってるんだ。
 でも、君たちはそういう組織に入ってない吸血鬼でしょ? だから今は双方から「うちにこないか」って熱烈なスカウトを受けてるって訳」


 と、今度はやけにテキトーな比喩で説明しはじめたぞ。

 「ただ、ギャングの方は君たちに何をするかはわからないから……できれば、一度ぼくの話を聞いてほしいな。どっちに入るか、とかじゃなく……君たちが、自分で考えて、自分で安全な選択をするためにもね」

 ヴィクターさんが迷ってるうちに、こっちは彼女の説明(?)に必死だった。


ST : 「ふうん……」 胡散臭い、という印象を隠しもしないどころか、あからさまに見せた声。

 「……分かった、聞くよ。車はノーだけどね」

 ……さて、ここで知覚+警戒を難易度6。


ヴィクター : 知覚4、警戒3、合計7で判定

 7b10>=6 (ころころ) DiceBot : (7B10>=6) → 4,10,3,3,2,9,1 → 成功数2(成功数1) ことごとく1が出る!!



フィオナ : ギリギリ成功ですね。



ST : ではヴィクターさん。辺りの気配がざわついている。弱く、騒々しい気配。 ──スラムの住人らが、あなたたちを囲んでいる。

 彼女も気づいたか、少女を背負ったまま銃を確かめる。さて、どうする?
 追手の気配はない。囲む相手らは明らかに人間だ。


ヴィクター : 気配を感じ、身構えます。二人には 「あまりオレから離れるなよ」 と言い、 「俺たちに何か用か」 とスラムの住人らにむかって声を掛けます。


エルヴィン : 「……電話どころじゃなさそうかい? ……ひとまず安全なところに避難して……それからちょっと電話を離して!」 と、ここから大声 「ヴィクターさん、今周囲にあるもの、見える限りボクに教えて!」


ヴィクター : 「ええと……」 何があるかな、周囲を探りたいと思います



フィオナ : 速やかに立ち去るつもりであることを伝え、ここから出る道を聞いてみて、応じてくれるならOK。こちらに向かってくるようなら……というかんじで、戦闘は可能な限り避けたいところ。


エルヴィン : これはちょっと吸血鬼の息がかかってる人間じゃないかな……。(ドキドキ)


フィオナ : だとしたら交渉の余地はほぼなし。ちょっとまずいですね



ST : ちなみにパディは言われてないのにヴィクターさんの後ろに隠れるよ。


ヴィクター : パディは一人でもなんとかなるだろう、と思って放置です……。


ST : 「知らねぇ奴らだなァ。外の連中か? なァ、俺たち金がねェんだよ。恵んでくれよ」 手に手に角材だの何だのを持ち、にじりよってくる。



エルヴィン : 帰ってきたらいきなり追われて全力で走らされて災難だなパディ……相手はただの人間だったし、金ならこっちもないから大丈夫そうですな!


フィオナ : 相手の言葉を額面通りに受けるなら金目当て。銃を見せて脅せば通れるかな? 交渉はやっぱり難しそう。


ST : >>こっちもないから<<


エルヴィン : だって逃げ続けてた逃亡女性と、ヴィクターさんはお金をもっているイッメジはない!


フィオナ : まずは友好的かつ穏便にこちらもお金を持っていないことを伝え、それでだめなら改めて銃を出してみるとか?


エルヴィン : そのへんにある鉄パイプとか曲げればいいんじゃないかな!? > 力の証明  ※スラム街なら鉄パイプが転がっているだろうという偏見


フィオナ : あるいはコンクリの壁を殴って壊してみるとか?


エルヴィン : 筋力5ならコンクリも発泡スチロールですぉ!



ヴィクター : 「おいおい、オレに金があると思ってんのか? それに、オレは強いぜやめときな」 と言います。何か力を証明できるものがあればいいんだけどなぁ。

 ではST、周りに手ごろな殴れそうなものとかはありますか?



エルヴィン : ST「パディがいますね」(STがいないからと思って適当な事をいうPL) ※この時ST離席中


フィオナ : パディさん!


ST : 失礼しました! ただいまー……って、ひどい! >パディ


エルヴィン : 5mくらい飛んでくれそう!



ST : パディ…… じゃなくて、へこんだ鉄パイプや、ガソリンスタンドを閉鎖するのに使っていたらしい角材などがあるよ。


ヴィクター : では手ごろな鉄パイプを手に広い、ぐんにゃり折り曲げて力をアッピールします。


ST : 一応、筋力+格闘で判定を。難易度は3でいいよ。


ヴィクター : 筋力5の格闘5合計10で判定。

 10b10>=3 (ころころ) DiceBot : (10B10>=3) → 10,6,3,4,3,9,3,6,10,8 → 成功数10



エルヴィン : ちょろっと逃げる奴をつかまえて、出口を聞くのは手かもね。


フィオナ : 成功数10って……すごいな。


エルヴィン : この数だと鉄パイプがコインくらいのサイズに圧縮されそう!


ヴィクター : こういう時だけ満点!


フィオナ : パディさんが使われなくてほんとによかった。(?)



ST : メギィ!!!

 しなりがあるはずの鉄という素材が、臨界点を軽々と超えて剥離した。
 曲げるどころか、あまりの力に鉄パイプが真っ二つに破断する。

 なぜか、パディがあなたの背後で「ひぇっ」と声を上げた。
 その声を皮切りに、あなたににじりよってきていた連中は一人また一人と、角材も投げ出して逃げ出す。
 どうやら失禁した奴がいたか、アンモニアの臭い。


ヴィクター : ニヤリと笑いながら 「これでも相手をしようってか?」 とスラムの住人らに向かって言います。



フィオナ : 腰が抜けてる人でもいれば、道案内に好都合ですね。


エルヴィン : 何とかスラムから抜けてもらわねば……場所がわかれば、フィオナさん経由で情報屋さんに……とも思ったんですけどね。



ST  「ひ、ひぇえええええ!!!」

 腰を抜かしながらよちよちと逃げていくやつ、全速力で逃げていくやつ。
 あなたが何もしなければ、あたりには人っ子ひとりいなくなるだろう。


ヴィクター : 特に何もせず、ふん、と鼻を鳴らします。 「喧嘩を売る相手は選べってもんだよな」


ST : その様子を見て、彼女がふん、と鼻を鳴らした。

 さて、ヴィクターさん。再度、知覚+生存術で判定してよい。今度は難易度7ね。


ヴィクター : 「さて……ここがどこかわかるものは……」 と現在の場所を探る方へ戻ります。なにか手掛かりは……。

 知覚4で、生存術が3で、7ではんてい 7b10>=7 (ころころ) DiceBot : (7B10>=7) → 10,6,5,9,6,7,1 → 成功数3(成功数2) んんん~成功!!



フィオナ : 無事脱出できそう。


エルヴィン : 良かった、ヴィクターさんを探せ! になるとこだった。


ST : では、逃げていくスラムの連中が向かわない先が、ひと方向あるのを見つけた。きっとそちらが出口への方角だろう。


ヴィクター : 「あっちか……」 とわかったところで 「行くぞ、追手が来るとまずい」 と言って出口の方へ向かいたいと思います。


エルヴィン : 電話はもう切れている。 ぷっ、つー……つー……。


ST : 彼女は少女を背負い直し、あなたに続く。あなたの後ろにパディ、その後ろに彼女ら。

 網目のような迷宮の外へと向かう。もうあなたに手を出すことはない無数の視線が、背後からあなたを見ている……。


ヴィクター : 気にせずさっさとでましょーね~。


ST : 網目状のスラムから、次第に街並みに規則が戻っていくのが分かる。猥雑な落書きの数が少しずつ減っていく。

 ……スラムの出口、と言っていいだろう。境界線までたどり着いた。


ヴィクター : 車とかは走っている感じでしょうか。問題なければタクシーでも拾いたいところです。


ST : 問題なく拾える。タクシーに乗り込むなら、彼女はあなたとの同乗を拒否し、別のタクシーでついてくるよ。


ヴィクター
 : それで……良いです。エルヴィン君のところへ向かえばいいですかね?


エルヴィン : オイデェ……。


ST : 問題なく向かえる。行先はエルヴィンくんハウスでいいのかな?


ヴィクター : ではエルヴィン君のところへ。




 【エルウッド邸】




ST : エルヴィンくんの家。──彼の籠。時代錯誤なその様相に彼女はちょっとひるむ。背から下ろされた少女が彼女になにごとか囁き、二人は手に手を取る。


エルヴィン : 一応部屋は片付けておいて、談話室には花とか飾っておきます。折り紙の……。


ST : あらかわいい。

 ヴィクターさん、あなたが家に入るなら、彼女ら(とパディ)もついてくるよ。


ヴィクター : ヴィクターは遠慮せずにずんずん入ります。


エルヴィン : 家に入れば、出迎えるのは、エルヴィンより先にネコになりますね、黒猫のヤシンが人懐っこく近づいてきたり……。

 毛玉の王様みたいなネコが上から見下ろしてたりします。


ST : 「リズンナ、手を出すんじゃないよ」 猫に手を出しかけた少女を彼女が引き留める。辺りを見回す少女と、わき目もふらずあなたについていく彼女。


エルヴィン : 部屋のわりと出入り口に近い応接室というか、リビング的な所でまってますよ。

 「いらっしゃいー、歓迎するよー、えーと……女の人ふたりと、ヴィクターさんとパトリック!」 皆を見つけると嬉しそうにそういうよ~。


ST : 「ああ、ええと、その…… 久しぶり」 ヴィクターさんの影に隠れたまま、パディがぼそぼそと言葉を返す。

 「歓迎はいいよ。あたしはレナ、この子がリズンナだ」 彼女は壁を背にし、傍らに少女を連れている。


エルヴィン : 「了解、じゃあみんな適当に座って」 皆さんが椅子に座ったら話をはじめますね。 (ゲームマスターのようだなぁ……クトゥルフならKPか) とか思いながら。


ヴィクター : どっこいしょー。


ST : 彼女らはやっぱり椅子に座らない。


エルヴィン : それを見て (まぁいいか) って顔をしつつ。

 「とりあえず、レナさんとリズンナさん……二人が知りたい事を、ぼくに質問するって形式で答えればいいかな?」


ST : 「ああ、それでいいよ」


エルヴィン : 「じゃ、何が聞きたいかな? ……君たちを追ってる組織の事? 追われている理由? どこに逃げたら安全か? 今何がおこってるのか?」

 膝にのってきた黒猫を撫でながら問いかける。


ST : 「それで…… まず知りたいのは、あんたらが何者で、何のつもりかってことさ」

 「あの追手の連中と同じようにあたしらを捕まえるつもりなのか、そうじゃないのか、ね」


エルヴィン : 「まず、ぼくは吸血鬼で、そっちのヴィクターさんと同じ『カマリリャ』という組織に属している。レナさんもリズンナさんも、自分が吸血鬼になるまでそんなものいると思ってなかっただろう?」

 「……でも、実際はずっと前からいるんだ。『カマリリャ』は、人間の生活に溶け込んでくらす事を選んだ吸血鬼だと思ってくれればいい」
 「ぼくだって、こんな姿だけど当年とって30才! ……もう20年も吸血鬼やってるんだ」(えへん)



ST : 「……あんたらと奴ら以外にも、吸血鬼が隠れてる、と?」 彼女の鋭い眼が少し揺れる。


エルヴィン : 「そう、それも結構な数ね。そして、もう一つ、君たちを追っている中で暴力的で過激な行動をとる輩がいたら、それはサバトという組織の吸血鬼だ。人間から自由に血をすって、吸血鬼らしく、弱肉強食、みたいに動いて……もっと、積極的に人間を支配したがってる」

 「今君たちが追われてるのは……カマリリャは、君たちを『保護』という名目で。サバトはとある『儀式の鍵』としての道具として……って所かな……」
 そして、ここでにっこり。

 「理解できてきた? 逃げても逃げても、君たちが安住の地がない理由。それだけ沢山の吸血鬼に、きみたちは狙われてるんだよ」


ST : 「……」 ぎり、と歯が鳴る音が聞こえただろう。


エルヴィン : 「だから、君たちはどちらかの組織に『保護』を求めるのが無難な選択だと思う……。

 だけどここで気をつけなければいけないのは『カマリリャ』にも支配する領域の王がいてね……。
 下手な王に従えられると、君たちはやっぱり引き離される可能性が高いんだ。

 だから、ぼくはもし君たちが『保護』を求めるなら、
この街の王……公子をオススメするよ。
 彼は穏健で、話の分かる人で……ハッキリいって、吸血鬼らしくないんだ、どこか人間っぽいからさ」



ST : 「……」

 「それで」
 「あたしらを捕まえて、どうするつもりなんだい?」



エルヴィン : 「それが、実はまだ誰もわかってないんだよ」 と、わりとアッケラカンと言って見せた。

 「……そもそも、どうして君たちを皆が『鍵』と思っているのか、そんな噂がどうしてできたのか、ぼくらはそれを調査してる最中だったんだからね」



フィオナ : 保護した後どうするかをはっきり説明できないのがつらいところ。


エルヴィン : どうなるかわからないけど、リアニさんにもあの温情だから公子さまのところが一番安全な気がするんだよね……。


ヴィクター : うむうむ~安全なところに入るのが良いと思うです。



エルヴィン : 「だから幾つか質問するけど、いいかな……実はこのはなし、普通の吸血鬼だったら『誰でも知ってる事』なんだ。でも、君は知らなかった……どうしてだい? ……君は、誰かに血を吸われて吸血鬼になったんじゃないのかな、レナさん?

 (まぁ、ヴィクターさんたちも 「知らなかった」 けど、それは今話すとややこしくなるから黙ってよう) とこの時エルヴィンは思っていた。(?)


ST : エルヴィンくん。あなたの問いに、彼女の顔がはっきりとわかるほど強張る。

 少女が不安そうに彼女の顔を見上げる。

 「そうだよ」
 「普通の吸血鬼なんて知らない。組織だのなんだの、そんなことも知る訳ない」



エルヴィン : 「気が付いたら、日の光が焼けるように痛み、肉体が血を求める身体になっていた……という認識でいいかな。あるいは、生まれた時から?」


ST : 「生まれた時は普通の、っていうのも変だけどさ、人間だった。親はいないけど、それだけだったよ」


エルヴィン : 「そして気付いたら……人間とは違う身体に、一番近い表現で、吸血鬼のようなものになって……そして、その……リズンナさんはあなたの、どういう血縁? 妹さん? 娘さん?」


ST : 「……リズンナ、外へ出ておいで。何か来たらすぐに言うんだよ」 言うと、彼女は少女を退出させようとする。


エルヴィン : 「あ、答えたくないならいいよ。ただ、一つこれだけは確かめていいかな? ……リズンナさんを吸血鬼にしたのは、レナさん。あなただね?



フィオナ : 外に行くならヴィクターさんについていてもらったほうがいいかもしれません。


エルヴィン : ヴィクターさんとリズンナさんなら二人にしたほうが好感度upイベントおこりそうだったかしらん?


ヴィクター : 好感度アップ! ロマンスチャンスにきたい!


エルヴィン : GOだ!



ST : 「──逆だよ」


ヴィクター : 出ていこうとするなら、それにそっとついていこうとします。


エルヴィン : 「なるほど、そうかもしれないとは思ってた……つまり、何も知らないリズンナさんが、あなたを必用とした……」


ST : 「リズンナはあたしの妹だ。年が離れていてね、……あれからあまり喋らなくなっちまったもんだから、たまに娘と間違われる」

 ……では、ヴィクターさんは外へ出る少女についていく。


エルヴィン : 「……すると、きっと沢山の吸血鬼が『勘違い』をしているな。最も、元々この騒ぎが勘違いのようなものだろうけど」 と独りごち。


ST : 「……ねえ、一つ教えておくれよ。誰にも血を吸われたりしなかったのに、朝起きたら吸血鬼になってるなんてこと、あるのかい?」

 その声はひどく苦し気だった。


エルヴィン
 : 普通はね、ないんだよそんな事は……でも、君たちはその 『普通じゃない状態』 で吸血鬼になってしまった……しかも、えぇと……リズンナさんが先に吸血鬼になってた、で良かったっけ?」


ST : 「ああ」


エルヴィン : 「あなたは、リズンナさんに血を吸われて吸血鬼になった……って認識でいいよね?」


ST : 「そうだよ。 ……あまりに欲しがるものだから、やったんだ。苦しそうで苦しそうで、見てられなかった」

 「寒い、さみしい、って言うからさ……」



エルヴィン  「そして、あなたが吸血鬼になった……。

 実はこの 
『突然吸血鬼になっていた』 事も、リズンナさんのように 『血の薄い吸血鬼』 が、『仔』 つまり、レナさん。あなたを吸血鬼にする事も、本当は不可能な事なんだ。
 だけどその
不可能な事がおこってしまった……だから、あなたたちは特別視されてるんだ……。

 
ゲヘナ、ちょっと言ったよね。
 吸血鬼にも
終末論があるって。

 その終末論を曲解した誰かが
『その特別の吸血鬼こそ、世界が終った後に開ける道の鍵だ』と認識して……だから、君たちが狙われてるんだ


 一気に喋って、わかりにくかったかな、って顔をしながらも。
 「これが、今のところぼくにわかってる事の全てで……吸血鬼たちが君たちを欲しがってる理由だよ」


ST : 「…………」 はあ、と彼女は肩を落とす。 「変な事に巻き込まれちまったもんだ」


エルヴィン : 「……ただ、そうだな。あなたは、リズンナさんを守りたい?」


ST : 「守りたいかって? ……勿論だ。そうじゃなきゃ、こうしてないよ」


エルヴィン : 「そうだよねぇ、でも多分、より狙われてるのはリズンナさんだ……。ここですこし吸血鬼たちも誤解をしてる……『鍵』は、レナさん。あなたで……より危険な立場なのはあなたなんだ。リズンナさんは違う……うん、本当に厄介な事に巻き込まれちゃったねぇ」


ST : 「ああ、全くだよ」 ファック。 呟いた声が、喉の詰まるような響きを帯びていた。


 ……さて、途中ですが今日はここまで。


エルヴィン : 了解です。二人の今後の事を考えないとね……! フィオナさんのフォローも早くしないと……。


ST : 次回はヴィクターさんとリズンナに一度カメラを移しましょうか。フィオナさんはちょっとお待たせしていてすみません。


エルヴィン : 好感度upタイムだ!


ヴィクター : 好感度アップタイム!!


ST : ではまた次回!







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