>> 第11回 / 光 【みちすじ】






 公子から送られた厚手の封書を開ければ、中より現れたのは多量の煙とその中に映し出される「魔法使い」の姿だった。
 魔法使いと、そう名乗ったトレメール氏族の吸血鬼は、今の状況を冷静に分析し「布」と「儀式」の正体を推測する。

 儀式はより始祖に近い吸血鬼の力を得るため。
 布はその儀式を隠すために用いられたものだと魔術師は語る。

 そして吸血鬼たちが所持する布を用いて「黒幕」の追跡を魔術師は提案する。
 隠れて儀式を行う黒幕の気配……果たして辿る事が出来るのだろうか……。





ヴィクター : こんばんは~。


フィオナ : こんばんは。


ST : では、問題なければ始めちゃおうかとおもいます。


エルヴィン : 大丈夫です~~!




 【エルヴィン邸・厨房にて】




ST : 前回のあらすじ。

 神秘的なテレビ電話によってエルヴィン宅をおとずれた”魔法使い”

 彼との対話で、あなたがたは方針を決めた。
 ひとつは相手の気配を辿って攻め込むか。ひとつは相手が布を取り戻しにくるのを待つか。

 気配を辿ってほしいと魔法使いに頼むと、彼は塩と月桂樹の葉、オリーブの油を求めた。
 しかし!
 吸血鬼しかいない家にそんな高級食材は無かった。それどころか……!

 そんなところからスタートです。



ヴィクター : (前回判定に)大失敗したんだった。


エルヴィン 
: そうだったんだなぁ……。(沈痛)


フィオナ : 大失敗の台所。



ST : 時はしばしさかのぼる。


エルヴィン : (顔覆い)


ST : 求められたものを探しにキッチンを訪れたエルヴィンくん。


エルヴィン : 「確か、塩とー、月桂樹の葉とー、オリーブオイルー」 久々にキッチンを開けるような気がするぞ、そういえば……。(フラグ)


ST : こんなところに立ち入るのは久しぶりかもしれない。ここには赤い眼の猫のほかには飯を食うものもおらず、茶菓子を求めるような来客が訪れることもないのだ。

 久しぶりに開けたキッチンは ──
 ── ひどく寒々しかった。

 レンジ台の上には何もない。
 申し訳程度に置かれた冷蔵庫は電源を抜かれている。
 食器棚の中に入った食器たちは、生活感なく並んだままで、シンクは乾いたまま。

 あなたは不意に幻を見る。
 キッチンに入った一瞬、そこに物があるように見えたのだ。

 レンジ台の上には古ぼけたオーブンレンジ。
 ブゥンと耳障りな音を立てる家族用の冷蔵庫。
 乱雑にシンクへ放り込まれた食器。
 ダイニングテーブルの上に置かれた、ひとりぶんの、出来合いのサンドイッチ。

 それには何のメッセージも添えられていなかった。投げ与えるようなそれが、食事に苦労するような幼いころからあなたの食事だった。

 あなたはそのことを正しく覚えているだろうか。
 それとも、不意によぎった幻に、どうしてそんなことを知っているのだろうと戸惑うだろうか。


エルヴィン : 「ぼくは、ひとりで……いつも、一人でこんな誰も居ないキッチンで……隠れるようにご飯を食べてた……見つかると、怒られるから……怒られる? 誰に? ……ぼくは……」

 これが自分の記憶なのか。いや、自分の記憶のはずなのにそれを拒絶する自分がいる。
 ……寂しく悲しい少年はもうこの世界にいないのだ……そう思っているのに、ひどく混乱した……。


ST : 幻が解けると、そこには変わらず寒々しい風景が広がっている。


エルヴィン : 泣きそうになるのをこらえて……何で泣きそうなのか、その理由がわからないふりをして……何もないキッチンを、一人見渡すのだった……。



ST : たまにはシリアスな大失敗描写もいいよね。


エルヴィン : Gが出なくてよかった……。()


フィオナ : 不意打ちのシリアスが来ましたね。


ヴィクター : シリアス大失敗が良くて思わず大失敗しても良いなと思うところだったぜ。


ST : といって次に大失敗したらシリアスではなく大♂失敗になるかもしれない。大失敗で何が起こるかはわからないのです。


エルヴィン : (大♂失敗……)



ST : 台所はそれだけです。なんにもなかった。


エルヴィン : 「……何もなかった、って言わないと……魔法使いさんごめんね……」 エルヴィンは「今」にいる事を思い出し、何もないキッチンの扉をそっと閉じた……。




 【エルヴィン邸・客間】




ST : 戻るとそこにはフィオナさんがおり、ヴィクターさんがいる。濃い色の煙の中で、魔法使いが頬杖をつきながらあなたがたを見ている。 【現在】 の世界だ。


エルヴィン : えへ~とごまかし笑いしたあと 「何もありませんでしたー」 (えへん) 開き直ります。


フィオナ : 「なかったか……。買い出しに行く必要があるな」


ヴィクター : 「買い出しか……近所になんか店あるのか?」 この辺の地理はきっと知らない



フィオナ : 真夜中に開いている店って、コンビニくらいですかね?


エルヴィン : 今のコンビニは何でもあるから大丈夫大丈夫。(震)


ST : 英語圏っぽい街にジャパニーズコンビニかあ…… 最近なら進出してそうだからこわいよね。


フィオナ : 塩と月桂樹の葉(なければ適当な香草)、油(オリーブ油が一番)……たぶん、ありそう。


エルヴィン : 実際はガソリンスタンドがコンビニみたいな感じなのかな……ってイメージです。


ヴィクター : 僕が海外行ったときはコンビニあるけどセブイレとかは本当に23時で閉まってびっくりした。


エルヴィン : 24時間なんてやってられるか! という熱い心意気……。


ST : 地域によっては鉄道が夜通し走ってたりもするけど、よっぽどの街中でなければそんなもんなんでしょうね。



フィオナ : ST、この近辺で夜中でも開いていそうな店はありますか?


ST : こんなところで苦労しても仕方ありませんし、車で行く客向けのちょっと宵っ張りなグロサリーがロードサイドにならある、としていいですよ。


フィオナ : 了解です。


ST : フィオナさんは車を使えますから、そう時間がかかる距離でもありません。


フィオナ : 「エルヴィン。このあたりに確か、夜でも開いている店があったな?」


エルヴィン
 : 「うん、あるはずだよ~」 ぼくがえものを物色する場所だ! とは言わなかった。


フィオナ : 「そうか。では、車で出向いて必要なものをそろえてくるとしよう」


ST 
: モーテルなんかも近くにありそうだよね。 >エルヴィンくん


エルヴィン : 立地がいい場所にすんでます!(吸血鬼的に)


フィオナ 
 「一緒に来る者はいるか?」 付いてくる人がいなければ、待機していた車に乗って買い物に行ってきます。


ヴィクター : 「護衛が必要ならついていくぜ」


ST  「あー、留守番しとくよ」 魔法使いは煙のなかから手を振る。


フィオナ : 「では、ヴィクター。護衛を頼む。すぐに出発してすぐに帰ってくるとしよう」


エルヴィン : エルヴィンは留守番していて、魔法使いさんに色々質問してようかな?


ヴィクター : 「おう、イイコにお留守番しておけよ~」 とちゃちゃっとフィオナさんとお買い物~。


ST : お、了解。では、ヴィクターさんたちが出ていったあと、部屋にはエルヴィンくんと魔法使いが残される。


エルヴィン : 「魔法使いさんは、どんな魔法が得意なんですか!?」「使い魔のカラスとかカエルとかいますか!?」「炎とか雷とか出せますか!」

 矢継ぎ早に質問して、魔法使いさんを困らせてる感じです。


ST : 魔法使いはエルヴィンくんの矢継ぎ早な質問にも、楽しそうに答えてくれる。

 「そうだな、魔術に関してはあまり多くを語るわけにいかないんだけど、私は血の魔術を研究しているよ。血は私たちの魔術にとって基本であり根源なんだけど、それだけに一定以上掘り下げる同族があまりいなくて……」
 とか、

 「いるよ、私のはツバメ、アマツバメと言って分かるかな、あの黒い鳥だ。私の、空と星へのあこがれなんだろうね。もっとも本来この地域にいる鳥ではないし、冬は渡りに行ってしまうから、だいぶん扱いづらいんだけど」 とか、

 「炎は……ああー…… 私は炎が苦手なんだ。炎を扱う同族もいるけど、きみも血族だろう、炎を扱うなんて狂ってると思わないかい? どうして彼らはあの炎で狂ってしまわないんだろうね?」 とか。


エルヴィン : その全てのこたえに 「なるほどなー!」 と興奮したように聞き入ってます。 「炎を出せる魔法使いさんもいるんだ……すごい!」


ST : 「ああ、いるよ。雷を出せるのはあまり聞いたことがないかな、私の知らない魔術だってあるだろうけどね」

 「すごい、か。きみは素直だな。……すごいというより、こわいかなあ……」



エルヴィン : (大興奮) (はぁはぁ)



ST : ルールブックにも記載があるんですよね、炎の系統魔術。血族としては結構すごいものだと思う。


フィオナ : 下手すれば発狂して自滅ですからね。


エルヴィン 
: 弱点もうまくつかえば武器……って奴ですかね。


ヴィクター : 同族から異端の目をむけられてそう。


ST : いったん放ってしまえば通常の炎と同じでコントロールできない、って記載まであるんですよね。どういう気持ちで扱っているのだか。

 少なくとも極めて恐れられてはいるとのこと。 >炎の召喚
 異端かどうかまでは記載無いけど、まぁ異端ですよねえ。

 逆に使い魔を作るような魔術については記載がないのですが、やっぱり魔法使いに使い魔はいてほしいですし、そこは演出の範疇ということで。
 もしかすると魔術以外の訓えを併用しているのかもしれませんしね。

 でも渡り鳥を使い魔にするやつはへんなやつだと思います。


エルヴィン : 定期的にいなくなってしまう使い魔。()


フィオナ 
: 実用性より趣味(?)を取った感じでしょうか。


ST : でしょうな。 >趣味

 さて質問については、エルヴィンくんが満足したらシーンを移します。


エルヴィン 
: 満足しておりますが、たぶん皆が帰ってくるまで何かしら質問していると思います。


ST : では、次から次へと質問を続けるエルヴィンくんと、楽しそうに答える魔法使いという構図があった、と。




 【ダウンタウン・商店~再びエルウッド邸へ】




ST : 一方、ヴィクターさんたちですが…… 夜中のグロサリーにはあまり商品がないものの、塩と小瓶のオリーブオイル、あとローレルも入っているかもしれないシーズニングミックス(粉)を見つけることができました。


フィオナ : 購入します。


ヴィクター : 荷物持ちます。


ST : お二人は無事に目的のものを購入できました。戻ってみると、エルヴィンくんが魔法使いにいろいろ質問しているところだった。


エルヴィン : 「彼女いますか!」 質問の趣旨がかわっていた。


ST : 「へっ? 彼女? ははは、面白いことを聞くな。伴侶、伴侶かあ、そういう真似事が好きな同族もいるらしいけどね、私は興味ないな」


フィオナ : (いろいろ質問しているようだな。あとで聞いてみよう)「ただいま戻りました。必要なものもそろえております」


ヴィクター : 買ったものを袋から出しておきますね。(がさごそ)


ST : 「お帰り、無事見つかったようでよかった。それじゃあ始めようか」

 「ところできみたち伴侶はいるのかい?」 エルヴィンくんの質問につられたのか、魔法使いが爆弾質問をかましてきた。


エルヴィン : 「ヴィクターさんはいるよ! 男の伴侶が二人!」 誤解を招く表現でかえした。



フィオナ : 男の伴侶が二人。(笑)


エルヴィン : 伴侶を「家にいる仲のいい人」くらいに捉えているエルヴィンである。()



ST : 「二人! やるねえ。興味深い」


フィオナ : 「ヴィクターは一流の男色家なのです」 となぜか少し自慢げに魔法使いに説明します。


ヴィクター : 「おいおいおいおい……」「間違えるな、オレはでっかいおっぱいが好きなんだ」 と堂々と言います。でもなんか誤解されそう。



ST : そして誤解を補強するフィオナさんである。


ヴィクター : おっぱいがすきなだけなのにぃ。



フィオナ : 「ふふ……そうか、逆三角形の体形でなければならんということか」


ST : 「へえぇ、精力的な血族もいたものだ。私たちはそういう愛というか欲というか、そういうものを忘れて久しいからね。新鮮だな」


ヴィクター : 「ぎゃくさんかっけい……?」 いまいち理解していないがきっと「胸がでかくて他は小さい女性のことか」となんか誤解しておきます。


ST : 魔法使いが何をイメージしたかは答えてくれなかった。

 「さて、それじゃあ始めるよ。まず、あの布を裏返しに置いておくれ」


フィオナ : 「かしこまりました」 布を裏返しにして置きます。


ST : 「五角形の頂点になるように塩を盛ってくれ。月桂樹の葉…… ああ粉なのか、それを、塩より内側になるように円状に並べて」


フィオナ : 「エルヴィン、ヴィクター。塩と月桂樹は任せた」 足が不自由なため配置にてこずりそうなので。


ヴィクター : 「塩をもる……こうか……」 パラパラと塩と粉を言われた通り配置しいきます。


ST : 「ありがとう。最後にオリーブの油を、おや小瓶か、ちょうどいい。オリーブの油でその粉を湿らせて、残った小瓶を中央へ置いておくれ」


ヴィクター : 油はエルヴィン君にお任せしたい。


エルヴィン : 「油で、粉を湿らせる……っと」 ちょろちょろ……オリーブオイルで湿らせていきます。残るかな?


ST : 問題なく湿っていきます。


エルヴィン  (これで何がおきるんだろ……ドキドキ……) 油があまったら、言われた通り中央へおきますね。


ST : 「さて、それじゃ最後に明かりを落としてくれ」


エルヴィン
 : この部屋にある電気を消しますね。 (パチン、スイッチオフ)


ST : ぱちん。周囲が真っ暗になる。

 ……真っ暗な中で、煙がぼんやりと光っている。

 煙の中で魔法使いが何かを唱えているのが見えるが、それは言語のような抑揚を持っているのに、言語としては意味をくみ取れない未知の言語だ。
 ゆるやかな声が響く様子は、フィオナさん、教団の礼拝にも似ているかもしれない。


フィオナ 
 (何を言っているのかはわからないが、礼拝のような雰囲気もある。興味深いな)


ST : 盛られた塩の間に光の線がともり、五芒星を描く。五つの頂点から、中央に置かれた瓶に光が集まっていく。

 そのうち、光の線が完全に尽きて、中央の瓶がきらきらと光を放っている。


ヴィクター : 魔法などを信じていないヴィクターは驚きながら少し後ずさり……。 (なんだ、これ……)


フィオナ : 儀式の様子を注視しています。


ST : 小瓶が、とたん、と小さな音を立てて倒れる。


エルヴィン 
: (!?) 些細な変化に必要以上にビクンとします。


ST : 倒れた小瓶から光がきらきらと舞い上がり、どこかへ消えていく……。


エルヴィン
 : 「……光が消えた?」 不思議そうにそれを見送ります。


ST
 : 小瓶が空っぽになったあたりで、魔法使いの詠唱が止まる。

 「見えた」
 彼はそう一言発する。


エルヴィン : 「!? ……居場所がわかったんですか!?」 驚いたように、そう問いかけ「魔法使い」の次の言葉を待った……。


ST : 「ああ。分かったよ、今伝えよう」 魔法使いは手元でなにか書き記す。しばらくすると、一羽のツバメが手紙をくわえて飛んできた。

 さきほど彼が言っていたツバメだろう。なんだか寒そうだ。


エルヴィン : (そうだ、今は近くで会話しているつもりだったけど、本当は遠くにいるんだった……) 立体感があるからそばにいるつもりになっていた。

 ツバメが入れるよう窓を開けます。何となく童話の「幸福な王子」を思い出していた。


ST : ツバメは手紙を置くと、早々に飛んでいってしまう。手紙の中には、まだ乾ききらないインクである場所の住所が記されていた。ちなみにルビーは入っていない。



フィオナ : 幸福な王子って聞いたことあるなと思って調べたら、あの童話ですか。


エルヴィン : オスカー・ワイルドがかいた童話のなかで多分いちばん有名なやつじゃないですかね。 金色の王子様の像が、不幸な人に宝石とかわけあたえるような話しですね。ツバメがそれを手伝う話し。


ヴィクター : 読んだあと悲しくなる童話ですよね



エルヴィン : お手紙を取り出します。 「魔法使いさんからです!」 住所は……スマホで調べよう。


ST
 : 現代文明は便利だ。住所は何の変哲もない住宅街の一角を示している。

 「任務完了、かな? こちらにも都合があるからね、私はここまでにさせてもらうよ」


フィオナ : 「ご協力いただきありがとうございます」 と礼を述べます。


ST : 「ああ。エルウッド氏、きみとの対話は楽しかったよ。血の運命と我が氏族の望みが交わるなら、また会えるといいね」


エルヴィン : 「今日はありがとうございます! ……また会う事があったら、今度は友達として会えると嬉しいです!」 素直にお返事。友達になりたいね。


ST : 「ああ、友達か、いいね。叶うならば、そうさせてもらおう」


ヴィクター : 「その……ありがとよ」 とお返事します。あやしい術を使うのであまり信用していないようだ。


ST : 軽く手を振って、魔法使いは煙ごと消えた。広げた布やらの痕跡だけが残っている。


エルヴィン : 「……また会えるといいね」 消えてしまった姿を確認し、残された痕跡をただじっと見るのです……。


フィオナ : エルヴィンさんに魔法使いとの留守中の会話内容を確認したいのをぐっとこらえて、「さて。では、この住所についてだが」

 「可能なら今すぐにでも行きたいところだが、これからでは遅いかもしれんな」 と時計を確認します。


ST : なんだかんだで時間がかかったので、現場で時間がかかると危険かもしれない、くらいの時間にはなっていますな。


ヴィクター : 「一度体制を整えたほうがいいんじゃねえか? それ相応の準備もしてえところだしよ」 と提案します。


フィオナ : 「そうだな。慌てて突撃して返り討ちではあまりにも……だからな」


ST 
: というあたりで、本日は以上かな?


フィオナ
 : こちらはOKです。


ST : おつかれさまでした!







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