>> 第八話 / 魔術師は囁く






 姉はただ、妹に普通に生きてほしいと願っていた。
 立派な人間になんてならなくていい。勉強なんて出来なくてもいい。
 ただ悪い事などせず、人並みに恋をしたり、趣味に没頭したり、可愛いファッションに憧れたり。
 そんな幸せを掴んでほしいと、ただ願っていただけだった。

 だが運命はそれさえも許さず、何も知らない二人をより深い業へ引きずっていく。
 そして二人の姉妹を、悲しみに浸る時間さえ与えず追い立てようとするのであった。





ST : こんばんは!


●前回のV:tM

 ・とつぜんのホラー。
 ・おいしいところで大失敗。
 ・それはだめなんだよ……。


エルヴィン : (わかりやすいような、何があったか意味深のような!)


ST : さて、問題なければ始めますが、いかがですか?


ヴィクター : 大丈夫ですー。


フィオナ
 : こちらもOKです。




 【教団~変貌】




ST : ──次の夜。

 ヴィクターさんの悪夢判定は済んでいるので不要。
 ブラッドプールを1減らしてください。


フィオナ : BP5→4


ヴィクター : BP5→4


エルヴィン : BP5→4



フィオナ : とりあえず、日没とともにここを離れるとして、問題はどこへ行くかですね。

 ヴィクターさんの家、エルヴィンさんの家、ともに場所はカマリリャとサバトの双方に知られてますから……。

 カマリリャ関係の施設もアウト


ヴィクター : 新たなアジトを探すとか…?


エルヴィン
 : うーん、ひとまずこっちは、魔法使いさんに連絡をとってみて、彼がどう動くかですかね。彼は……姿を現さなくてもこちらとコンタクトとれるので。


フィオナ : 適当に人目のある場所(兼食餌のできる場所)を回りつつ、魔法使い氏からの連絡があり次第、場所を指定してそこで合流。


エルヴィン : 移動は、フィオナさんのツテである情報屋さんから、下水ルートが一番安全かも?

 下水は存在を知っていても、情報屋さんほどルートに詳しい人は少ないんじゃないかな?


フィオナ : なるほど! 下水がありましたね。


ヴィクター : 困った時の下水道!



ST : まず、フィオナさん。夜一番に、教団員からあなたに報せがある。


フィオナ : では、ジョナサンとともに駐車場で受け取ります。


ST : あ、失礼。フィオナさんのいるところに教団員が物事を報せに来た、ということです。


フィオナ : 了解です。


ST : 「街が騒がしくなっているようです。スラムで暴動が発生し、住宅街で通り魔が相次いでいます。また、ここまでは来ていないようですが、街中で何かを嗅ぎまわっている者がいるようです」

 その発言から、サバトとカマリリャの双方が、いよいよ動き出したのだ、とあなたは感じるだろう。
 いかが対処致しますか、と教団員はあなたに意思を問う。


フィオナ : 「ご苦労。そなたらも以降は外出を控え、教団内にとどまるように。客人が来たら、決して戦うな。彼らの好きにさせろ。我らのことを聞かれたら、知らないと答えるように。実際、私はそなたらに我らの行き先は教えないつもりだ」

 と指示を出します。日没と同時にここを出るつもりなので、準備万端に整えた状態です。

 「最後に、以後は別命あるまで、そなたら自身の命を最優先に行動するように」


ST : 「了解致しました。 ……我ら一同、帰還をお待ちしております」 教団員は祈りの印を切る。


フィオナ
 : では、ヴィクターさんの部屋に行き、用意が出来ているなら、即座に駐車場に向かいます。


ST : レナとリズンナはすっかり身支度を整えている。ジョナサンも自分の身支度を終え、あなたの車椅子の準備を整えている。

 ……ヴィクターさんおきてゆ?


ヴィクター : おきてゆ。おきてぼーっとしております。 「…………」


フィオナ : 「全員、用意はできているな。できていなくても出発だ」


ST : では全員で駐車場に向かう。そこでは運転手が車の用意を整えている── というところで、一方エルヴィンくんへ話を移そう。




 【エルウッド邸にて】




ST : 家でパディ(と猫たち)と目覚めたエルヴィンくんも、街の騒がしさを感じ取る。

 猫たちが外に首を向け、落ち着かない様子を見せている。
 パディが物陰に隠れるようにして、こわごわと外の様子を覗っている。


エルヴィン : 「……時が、来たようだね」 と、意味もなく意味深な事をいって。ネコたちに餌をあげます。

 「こわくないよー、ほら、パディもネコと遊んであげて」 ねこじゃらしもたせつつ。


ST : パディが小動物扱いになっている予感。

 猫たちが餌を取り出すあなたを見てじゃれついてくる。パディは…… 餌優先になった猫たちにスルーされている。


エルヴィン : (さて、公子様への報告はフィオナさんに任せたけど、魔法使いさんの手配はどうなってるのかな? 公子様にぼくからも連絡しておくべきかな……)

 ちら、と外を見つつ。今日は外出したくないなぁ、って顔だ。 パディには「ドンマイ」って肩ぽんします。


ST 
: あなたは騒がしい夜空の向こうを見ながら、魔法使いからの連絡を待つ。外出はしない、ということでOK?



フィオナ : そういえば、エルヴィンさんに連絡してなかった。出発後すぐに詳細を伝えることにします。



エルヴィン : 外出はしないです。いかにも賑わっている所、無理はしない……。

 Mailだけはしておこうかな、フィオナさんあてに。 「あれから、どうなりましたか? 詳細お願いしま~す (=・ω・)ノシ」 と。




 【教団前にて】




ST : では── 再び、教団組。

 出発しようとした瞬間に、フィオナさんの携帯にメールが来る。


フィオナ : では、車に乗り込んで、運転手に出発の指示を出してから内容を確認します。運転手には、とりあえず人通りの多い繁華街に行くよう伝えます。


ST : では、繁華街に向かって車が走る。

 内容はエルヴィンくんからのメールだ。
 「あれから、どうなりましたか? 詳細お願いしま~す (=・ω・)ノシ」 


フィオナ : 「エルヴィンからか……。昨日のうちに状況について伝えておくべきだったな」 内容確認後、すぐにエルヴィンさんに電話します。


ST : シークレットダイス(ころころ)

 ……ではエルヴィンくん、フィオナさんから電話がかかってくる。


エルヴィン : 「もしもし、エルヴィンですー、フィオナさん、そっちは大丈夫? なんか街が……浮き足立ってるっていうか、変な感じだけど」 と、のほほんトーク。


フィオナ : 「こちらは無事だ。そうか、そちらでも異常があったのか。私のほうにも街で騒ぎが起こっているとの報告が入っている」

 「そして、これは本来なら昨日の内に伝えておくべきだったが、公子閣下が一時的に権限を失い、現在はルミノサ殿が代理として指揮を執っておられる
 「
ルミノサ殿は、巫女を殺害するおつもりだ。つまり、今やカマリリャは我らの味方ではないということだ」


エルヴィン : 「今の所、襲撃とかはないけど、街がこう……熱に浮かされたみたいになってるね」 と、現状を語り……。

 「あ、あぁ、じゃぁ今は公子様じゃないのかな? ……えーと、魔法使いさんの手配はどうだろう? それが出来そうなら、ルミノサさんを出し抜く……というのも妙だけど、戦わずにすむはずだよね」


フィオナ : 「ああ、それについては朗報がある。魔法使い殿が我らに協力してくださることになった。魔法使い殿はエルヴィン、貴殿に連絡をなさるということになっている」


エルヴィン
 : 「それなら、ぼくはここで待ってようかな? 彼がどこで、どういう風に儀式をするかはわからないし……ルミノサさんが相手だと、こっちも思わぬ場所に隠れないと見つかりそうだねぇ、何かいい隠れ家がないかな、フィオナさん、心当たりは……もう抑えられてるかな?」 といいつつ、ため息。

 「ぼくも、ぼくなりに考えてみるよ。隠れ家になりそうなところ」


フィオナ : 「ああ、まだ、待ち合わせの場所などは取り決めていない。それについてはそちらに連絡が入ってから決めるつもりだった」

 「隠れ家か……。私が思いつくのは
情報屋たちのいる下水道だな」
 「あの場所なら、身を隠すにも移動して合流するにも好都合だ」



エルヴィン : 「了解。ん、そうだね、情報屋さんなら、隠れ家を知ってるかもしれないし……隠れ家にならなくとも、思わぬ場所から出入りできるノーマークのホテルとかに行けるかもしれないから」 と、そこで 「うーん」 と唸りつつ。

 「ルミノサさんだけだったら、人間の多いショールームとかのほうがかえって安全かもしれないけど……ほら、人間の前で吸血鬼っぽい事しないでしょう。でも、サバトのカーチスがいる限り、人間の多いところは避けないとね」


フィオナ : 「そうだな。警察などが動くと厄介だから、そうそう人前で蛮行に及ぶまいとは思うが、相手はあのサバトだからな。追い詰められれば何をしでかすかわからん。できるだけ早く身を隠すとしよう」


エルヴィン
 : 「それじゃ、魔法使いさんが場所とか決まったらメールするね。暗号で、そのほうが安全だろうから」 ふふーんと笑って。

 「フィオナさんだったら絶対解けると思うけど、バレたらいけないから少し難しい暗号にするよ」 とかいっておきますね。 エルヴィンからは特に、これ以上の話はないかな?


ST : そのあたりで、車は繁華街にたどりつく。人々は変わらず出歩いているが、警官が辺りをうろうろしており、物々しい印象を受ける。


フィオナ : 「ああ。ではまた。貴殿の武運を祈るよ」 と言って電話を切ります。


ST : 教団チーム、ここからはどうする?



フィオナ : のんきに食餌してたら敵につかまりそうですね。下水道に直行しましょうか?


エルヴィン : 食餌も大事ですが、今日は外に出たら逆にとってくわれそうだと思っておうちにいる事にしたエルヴィンです。


ヴィクター : ですな。まだ若干の余裕はあるので、戦闘避けるのが無難です。



フィオナ 
: 「悠長に血を吸っている時間はなさそうだ。下水道に直行しようと思うが異論はあるか?」 と聞きます。

 ヴィクターさんはまだ大丈夫としても、レナさんとリズンナさんの状態が気になるところ


ヴィクター : 首を横に振り、レナとリズンナを観まする。


ST : レナとリズンナの状態、主にブラッドプールかな、を推察したければ、そうだなぁ……。

 任意の訓えで判定。人間性7の場合は難易度6人間性8の場合は難易度7。あるいは当人たちに直接聞いてもいいだろう。
 ちょっと変則的な判定だけど、「吸血鬼としての共感」のようなものだ。


フィオナ : 人間性が9の場合はどうしましょうか?


ST : あ、そうか9か。9の場合は難易度8になります。



フィオナ : 難易度8……うまくいく気がしない。大失敗召喚の儀式という意味なら、成功するはず!


ヴィクター : いや、フィオナさんならいける……気がする!



フィオナ : では直接二人に聞きます。 「そちらはどうだ? まだ血を飲まなくても問題ないか?」


ST : ではレナが答える。 「あたしは…… もうちょっとは、大丈夫だよ。リズンナも、多分」 リズンナを引き寄せながら、そう答える。


フィオナ : 「そうか。決して無理はするな。血の足りなくなった血族は様々な困難に見舞われる。下手をすれば理性を失い、周囲の者を傷つける可能性すらある」


ST : 「……知ってる。まだ、大丈夫」


フィオナ : 「ならばよい。では、もうしばらくの間は辛抱してくれ。おそらくそう長くかからずに決着がつくはずだ(勝つにせよ、負けるにせよ、な)」


ST : では、下水道に向かう?


フィオナ : 下水道に向かいます。




 【再び、エルヴィン邸へ】




ST : では、下水道に向かったところで、一方エルヴィンくん。同時感を出したいので、ちょこちょこ切り替えていきます。

 家で待機するエルヴィンくんのところに、…… エルヴィンくんの家って使用人などはいるのかな? 一人だけ?


エルヴィン : エルヴィン、一人だけなので多少荒れた部屋もあるやもしれませんが、自分の部屋は自分の王国なので、こう…… 「手を伸ばす所に何でもある」 状態です。

 そこにパディを案内して……。
 「パディ、ジャパン・アニメーションに興味ない? これ、ぼくの今のオススメ、トウケン・ランブ・ハナマル・アニメーション! サムライがいっぱい出るんだよ!」 とかやってます。



ST : トウラブ!


エルヴィン : サムライがいっぱい出る!


ヴィクター
 : oh,ジャパニーズサムラーイ!


フィオナ : アメリカの人なら、きっと喜んでくれるはず!



ST : 「えっ? ああ、興味は、なくはないが」

 もごもごしつつ某アニメを見させられている。あなたはパディが何か隠していると感じてもいいし、その隠していることが割合どうでもいいことだと気づいてもいい。
 ちなみにもし見破りたければ機知+共感難易度6ね。


エルヴィン : すっと、アニメーションを、「らんま1/2」に変更してみた。

 「……とにかく、魔法使いさんの連絡がくるまでは気負わずにのんびり過ごしてようよ、ね~」 といいつつ、さっきとの違いを見てみます。 見破る前に、ちょっと実験する!
 サムライと忍者は受けがいいと思ったんだがなぁ?(笑)


ST : パディはちょっとそわそわしている。


エルヴィン : 「パディはラブコメが好きかな~? それともロボットもの? 萌えアニメ? ほら白状しちゃいなよー」 と、もう直接揺さぶりをかけます。ゆっさゆっさ。(物理)


ST :
 「うわぁああああ」



フィオナ : 大穴:異世界転生モノ。


ヴィクター : みんな大好き異世界転生。



ST : じゃあそこまで揺さぶったので難易度5になる。


エルヴィン : 意地でも言わないのか! では判定します。 

 5d10=>5 機知が2,共感が3。わかるかな~? (ころころ) DiceBot : (5D10>=5) → 28[8,2,6,2,10] → 28 → 成功 (成功数3)

 間違えたコマンドでやってしまったーー!!!
 成功は3でOKですかね?(汗)



フィオナ : (数値としては)普通に成功していますね。


エルヴィン : 28とかすごい数字を出してしまった!(汗)



ST : 成功3でオッケーですぜ!

 ではあなたは直感する。
 「こいつ、ジャパニーズ・エッチ・アニメーションばっかり見てたな」 と!

 成功数が多かったので、実は征服モノではなく逆の、お姉さんよしよしモノが好きなことまで見破れてしまうよ。


エルヴィン
 : (Ф∀Ф) ← この顔になって



フィオナ : ああ、HENTAIばかり見てたのか、この人。(笑)


ST : Yes。


ヴィクター : 悲しいね……。



エルヴィン : (*˃ᆺ˂)つ 【隣のえっちなおねーさん】【ねえ! ちゃんとしようよ!】【しまいま!】 を差し出し、あちらでおくつろぎください。と、別の大画面dvdルームにご招待します。


ST : 「な、なんでそれを……!?」 あえなくご招待されてしまう。


エルヴィン : (Ф∀Ф) ← この顔をしながら 「イヤホン完備、その他も完備しているから、ごゆっくり……」 と。

 その他にかんしてはコンプライアンス違反があるといけないのでノーコメントで。



フィオナ : エルヴィンさん!? なんでそんなコレクションを!?



ST : えるえるくんどうしてそんなコレクション持ってんだ。


エルヴィン : えるえる(30) ← !!


ST : なるほど!!??



ヴィクター
 : (お察し)


フィオナ : そういえば、30歳男性でしたね……。


エルヴィン : タイトルが、実は若干古めなのはオッサンだからなんだよなぁ~。



ST : ではそんな茶番をしていると、エルヴィンくん、家に来客があるようだよ。


エルヴィン 
: すぐに出ますよ。 「はいはい、いまーす、エルウッド家で一番可愛い息子だよーパパかなー」 と。DASHで。


ST : パパではないね。


エルヴィン : パパじゃな~い。むしろ誰もいない?


ST : そこに立っているのは、分厚いコートを着込み、マフラーをきっちりと巻き、帽子を深く被った謎の人物だ。

 背格好からすると青年か。
 ……どうする?


エルヴィン : 「どなたですか? ぼくは、エルヴィンといいます!」 とりあえず名前聞きます。 (もう冬なんだなぁ) とか思いつつ。


ST : 「……ああ、出てきてくれたか、よかった。久しぶり、エルヴィン・エルウッド」

 あなたはその声が、少しかさついてはいるが、前に出会った、あの「魔法使い」の声であることに気づく。


エルヴィン : 「!? 魔法使いさん。今日はその人を依り代にしてきたの? ……まさか、本人? あ、いや、中でお話しようか。入って入って!」 と、ご案内。


ST : あなたが引く手は細く、軽い。骨ばった手に包帯が余すところなく巻かれている。

 ふっと血族の血の匂いがした。


エルヴィン : 部屋の、客人をもてなす談話室のほうへ案内して。

 「何か飲んだり食べたりしますか? ……正直何もないんだけど」 と、笑いながらいいます。
 かろうじて、以前シェストさんの街でちょろまかしてきた(?)嗜好品のワインとか残ってるかも。


ST : 「悪いね、急な訪問になってしまって。普段と違って、外で魔術を使えないものだから」

 魔法使いは談話室の椅子に座る。あなたはその声に、前に女性を依り代にしていたときよりも、確かな立体感を覚えるだろう。
 ── これは彼本人なのではあるまいか。

 「ああ、それはいいよ。そういう嗜好品は、受けつけないんだ」


エルヴィン : 「とんでもない! ぼくの方が無理を言ってるんだよね。でも、ホント緊急事態だから」

 本人かもしれない、と思ったけどそこは触れないでおこう。彼自身、謎の人でいたいだろうし。
 「えーと、今日お願いしたいのは、ゲヘナの予言ができる巫女の夢に入る……って事なんだけど……はは、何いってるんだろうって感じだよね。ぼくもそう思うよ」


ST : 「聞いているよ、彼から。夢の中ですべてを終わらせるつもりなんだろう」 彼の言葉には、前のような余裕を感じない。その理由は分からないが。


エルヴィン
 : 「そうすれば、今回のゲヘナは免れるだろうって……巫女はいまここにいないんだけどね。安全な所で儀式をしたいんだけど、場所がなくて……」

 (何だろう、不安……を、感じる。魔法使いさん、無理してる? 何か……言いようのない不安……)



ST : この間パディはずっとDVDルームに押し込まれてるんだなあ。


フィオナ : アニメ三昧ですね。


エルヴィン : もう今日はそっとしておいてあげてね! >パディ


ヴィクター 
: ある意味幸せなのかもしれない……。



ST : 「そうだね、巫女の眠りに夢の世界を喚ぶことは可能だ。そこへきみたちを送ることも」

 「それ自体は難しくはない。夢紡ぎ、夢操り、夢渡りは魔術のなかでは基礎の部類に入るからね」
 「神託を完了させるほどの確かな夢となると、少し骨は折れるけど、問題はそこじゃない」



エルヴィン : 「……他に、難しい部分がある、ってことかな」


ST  「ああ」 魔法使いは、深く息を吸い、吐いた。


エルヴィン : 「神託を語らせる事……とか?」


ST : 「いいや、そこじゃない。 ……問題は、ふたつある と、彼は包帯に包まれた指を立てる。


エルヴィン : ごくり、と唾を飲み込んで彼の言葉を待ちます。


ST : 「ひとつは本質的なもの夢の中で神託を完了させるには、夢の中で見届けなくてはならない。ゲヘナ、大いなる崩壊の始まりを

 「何が起き、何が壊れ、何が変わるのか、すべて見届ける必要があるんだ」
 「覚醒して夢の世界に潜る者は、夢を見る者と違って、夢のようにそれを忘れることはできない
 「そして、もし夢の中で血族が滅びるなら、その血族は魂の滅びへと至るだろう」

 「……生き残らなくてはならないんだよ、君たちは」



エルヴィン : 「つまり、夢の中の神託といえども、夢の中にいるものは、実際に滅びを体験し……ゲヘナに飲まれ、死に至る可能性がある。けれども、ぼくらが死んでしまったら、夢の神託の証明者がいなくなってしまう……最も死に近い場所で、生きて帰ってこなければいけない……って把握で、いいのかな?」

 小首をかしげながら、そう問いかけます。間違ってたら補足お願いします!


ST 
: 「それで合っているよ。ひとりでも生き残ればいいと、補足はしておくけど…… 全員生き残ってくれた方が、私の性には合うね」


エルヴィン : 「ふぅん、なるほど……ゲヘナの疑似体験、そして確実に誰か帰ってこないといけない……一人でも、確実に……」 幾度か復唱しつつ。

 「……無理強いはできない任務だね。もちろん、ボクは行くし、戻ってくるつもりだけどさ」
 にっこりと微笑むのは、魔法使いさんを安心させるためだ。こういう時には不貞不貞しく笑う方が強いんだ。



フィオナ : 夢の内容を見物していればいいというわけではなく、実際にゲヘナを体験し生き残らねばならないと。なかなかハードですね


ST : 「期待しているよ」


エルヴィン : 「任せて。何せ世界一の魔法使いが後ろ盾なんだから、ぼくが泥を塗るわけにはいかないよ!」 と。


ST : 「……次は、現状にまつわる問題だ」 立てていた指をひとつ折る。


エルヴィン : 現状、といわれ少し察したような困った顔で 「……うん、聞かせてくれるかな、魔法使いさん」 先を促します。


ST : 「前提として、私はフランヴァール個人に恩があるんだ。だから今回の依頼を受けた」

 「次に、トレメールはカマリリャの一氏族だ。今の所は、ね。それは、この版図のトレメールも例外じゃない」
 「私の他にも、同族が動いている。カマリリャの、ルミノサの下でね」
 「だから私はここに来るために、一時的に氏族と縁を切らねばならなかった


 厳密な世代制を敷く秘密結社たるトレメールで、それがどれほど重大なことか、あなたは気づいてもよいし、気づかずともよい。


エルヴィン : 「!?」 驚いて声が出ない、って顔だ。



フィオナ : トレメールって血族になる際、血の契りを受けるんでしたよね。今回の行動は向こうからすれば反逆行為……帰ったらどんな目に合うことか。


ST : 前回登場時、「でも細かい所ではゆるいとこもあるよ」みたいな話はしたけど、今回の一件は「細かいとこ」レベルの話ではないと認識してもらえれば。


エルヴィン : この騒ぎが、「こちらの思惑通り」に進まなければ、たぶん公子フランヴァールさんは「ひどいめ」にあうし、魔法使いさんは逃げるか、「それなりの処断」を受けると考えていいかな……吸血鬼だからね、死ぬより「ひどいめ」っていっぱいあるんだなぁ。


フィオナ : 実際に夢の中に入る者だけでなく、彼らも命懸けということですね。



エルヴィン : そしてぽろぽろ泣き出してしまう。

 「ぼくは、あぁ、ぼくは貴方のそこまでの気持ちに返せるものが今は何も、何もないのが心苦しい……魔法使いさん。あなたは……そんなにも覚悟をして……」


ST  「だから本当に、ここまで辿り着けてよかった。一切の魔術を使わずに来るのは骨が折れたよ、普段自分の脚で歩いたりしないものだから」

 ひび割れたような声で、彼は笑う。


エルヴィン : 「……ぼくは貴方の思いに報いたい。必ず成功させる、と。あぁ、こういう時吸血鬼というだけで、ぼくらは本当に不自由だと思い知らされるよ。今、ぼくは貴方に感謝する気持ちを伝えるのが、言葉しかないんだ。許されるのなら貴方にこの心臓を捧げたって構わないというのに」 そういって、手を……手を、とれるかな?


ST : 魔法使いは少し狼狽えて、無意識にかあなたへ手を伸ばす。その手がちょうど触れるだろう。

 「構わないよ、これは私の自由意志だ。フランヴァールからずっと前に受けた恩を、ようやく返しきれそうだからね」


エルヴィン
 : 「……あなたがこの場所へ、自ら赴いた事にどれだけの意味があるのか、ぼくにはよく分かっている……あなたがフランヴァールさんに恩義を感じたように、今ぼくは貴方に深い恩義を感じているよ。だから……必ず全てを成功させて、誰も傷つかない終幕を。そして無事に戻ってきたら……あなたの恩義に、こんどはボクが報いたい。そういう未来があるために、ぼくは……必ずゲヘナをねじ伏せる 最後は強い、意志の籠もった声だ。


ST : 「……ありがとう。リープス・ループスの名において、深く感謝するよ。その言葉だけで、私は還る場所を保てるだろう」


エルヴィン : 「リープス・ループス。あなたの美しいその名を、今度は楽しい語らいの中で呼ぼう。あなたが灯火を失い、宿り木が必用なら、ぼくがあなたの故郷になろう……さぁ、そのために最善をつくさないとね。儀式にいい場所とか、そういうのはあるかな? ……ここは知られているから危険かもしれないけど……あなたをこれ以上、どこかに移動させるのも難しいかな?」

 と、「魔法使いさん」の様子を見ていいます。


ST : 「さて、場所だったね。この版図はカマリリャのものだ、カマリリャの耳目が届くところはよくないね。 ……ああ、歩くくらいならできるよ。これまでが出不精過ぎただけだから」

 そう、からりと笑ってみせる。



エルヴィン 
: さぁ、問題は儀式をどこでやるかだよなぁ?


フィオナ : 何者の目も届かない、ということなら下水はうってつけなのですが、問題は深さが足りてるかどうか……?


エルヴィン : (下水が)カマリリャの版図内、ってのもあるんだよねぇ。


フィオナ : 街の外か……?


エルヴィン : 街の外ノータッチ……いかんせん、うぇあうるふいるこわい。つるされる。


フィオナ : ですよね。途中で死んでしまう可能性が高い。


ヴィクター : (ウェアウルフに)近づくのはちょっとなあ……。



エルヴィン : 「やっぱり魔術的に良い場所、とかあるのかな? ……少なくてもリアニさんはそういうの気にしてたみたいだし」


ST : 「私たち血族の起源は、人間の神話に擬えて信じられ理解され行われている。ゲヘナが地獄に擬えられるなら、それは谷であり、地底である

 「だから、なるべく深いところがいいのだけどね。なにものの耳目も届かない、深いところを望めれば、それがいい」



エルヴィン : 深い所。 この街の下水道に精通している人がいるけど、この街のレベルじゃダメかな?」


ST : 「下水道か。 ……ノスフェラトゥの領域だね。今から版図の外へ出ようとすれば、必ずカマリリャか、サバトの網に捕まる」

 「それを考えれば、悪くはないね。鼠同士で追いかけっこをする羽目にはなるかもしれないけど」


 という所で時間ですな。今日はここまでといたしましょう。


エルヴィン : 「それじゃぁ、下水の方で……少し探して貰おう。まってて、連絡しちゃうから」

 と、メールでフィオナさんあてに 「下水で、良さそうな場所を情報屋さんに探して貰って、大至急だぁい!」 と。
 暗号しにようと思ったが時間が許さなかった!  もっと暗号めいた言葉にする予定だったのに!


ST : 次回の始まりに打てばいいのさ! 次回、えるえるくんの暗号センスが光る! お楽しみに!


エルヴィン : ぴやー!







 <最初のページに戻る> / <前回のおはなしはこちらから> / <暗号というか日常語ですよ(すすむよ)>