> 界樹の迷宮をリプレイ風プレイ日記、ぽろりはないよ!





までのあらすじ >



 ラスボスっぽいものを退治して世界が平和になったはずが……。





> 汝の新たなを刻め



 数日後。

 都内 某所。




GM : 「という訳で新章突入ー! 皆お久しぶりー、元気だったかなー!」




一同 : 「お久しぶりでーす、元気でーす!」




GM : 「うむ、その返事でおにーさんちょっと安心する!」


ヒルダ : 「我々は元気だが、GMの方こそ大丈夫なのか?」


フィガロ : 「ねェ……前、死にかかってなかったっけ、アンタ?」(笑)




GM : 「……何をいう、人は一度骨折したらその部分は太くなって骨折しにくくなるというだろうが! この俺も同様、一度死にかけたらかえって死ににくくなるのじゃぁぁぁぁぁ!」




アイラ : 「言葉の意味はよくわかんない、けど、とにかくすごい自信だ!」(笑)


シュンスケ : 「ん、まぁ、そう何度も死にかけないでほしいものだがな……」


GM : 「まぁまぁ、細かい事は気にせずに、と……それより、これまでの展開で一応ストーリーは完結しているからこれから君たちには消化試合を行ってもらう!」



シグ : 「ちょ、消化試合って」(笑)


シュンスケ : 「……地下30階に居るという真のボス消化試合と言い切ったか」(笑)


GM : 「ストーリーが終われば一応は完結だろう、これからは趣味の領域だからな……という訳で、これから趣味の領域に向かう君たちの消化試合につき会ってくれるという、親切な仲間をご紹介……という訳で、まずはカエデちゃん、ヨロシク頼むよ」




カエデ : 「はい! ……カエデ・スズカケです、よろしくおねがいします!」



シェヴァ : 「よろしく〜、って、カエデちゃん!? 来てくれたんだ!」


カエデ : 「はい! 嫁入り前の姉上に間違いがあってはいけませんから、心配になり参加する事に致しました! よろしくおねがいします!」(ペコ)


リン : 「こ、こら! カエデちゃん、何いってるんですかっ、もう!」 (照)


アイラ : 「あはは。だってさー、シグ?」


シグ : 「……信用ねぇなぁ、間違いなんてないっての」


フィガロ : 「何にせよ、これからは強力アタッカーのブシドー、カエデちゃんが参戦とは心強いねぇ……よろしく頼むさね!」 (と、カエデに触れようとする)




カエデ : 「!!! ぶ、無礼ものー!!!」 (ばっさりこん!)




フィガロ : 「いぶぷろふぇんっ!」 (ずんばらり)



カエデ : 「……み、み、みだりに女性に触れるとは……不潔です!」



シュンスケ : 「……まだ治ってないんだな、その男性嫌いは」


ヒルダ : 「まぁ、フィガロは斬られて倒れているくらいが大人しいと思うけどな……」


フィガロ : 「……ぷすぷすぷす」



GM : 「と、フィガロ君もいい塩梅に右フィガロと左フィガロに別れた所で……それではプレイヤーIさん、プレイヤーJくん、キャラクターは出来たかな? 出来たら自己紹介をしてほしいんだけど……」



プレイヤーJ : 「私は出来ておりますが、プレイヤーI様はいかがですか?」


プレイヤーI : 「ん? 出来てるけど、アタシに気ぃ使ってるんじゃないさね。いいからいいから、プレイヤーJから先に自己紹介しなさいって、ねぇ?」


プレイヤーJ : 「はぁ……貴方がそう言うのでしたら、そうしましょう。それでは、自己紹介させて頂きます。私の名前は ガモン・イサクション。外見は、緑色の髪の……レンジャーをしております」


シェヴァ : 「レンジャー?」


フィガロ : 「そ、アザステ要員がそろそろ必要かなぁって、スカウトしてきたんさね」


GM : 「あぁ、今回の面子は二人ともフィガロ(のプレイヤー)の知り合いだったか?」


フィガロ : 「そ、うちの店の従業員」 ※フィガロのプレイヤーは喫茶店の経営者です。




一同 : 「従業員!?」




フィガロ : 「店長命令で強制イベントとして参加させたからねぇ」


シュンスケ : 「お前の店、大丈夫か? ここにお前の店の店員がお前含めて4人も集まっているのだが」(笑)


フィガロ : 「ま、何とかなるでしょ?」(笑)



リン : 「えっと……プレイヤーJさんは、ガモンさんとお呼びすればいいですか? それとも、イサクションさん?」


ガモン : 「ガモン、と気軽にお呼び下さい。マスターのご友人は、私の客人と同等ですから」


シグ : 「……マスター?」


フィガロ : 「あぁ、俺の事さね」


シグ : 「何でアニキが、マスター?」


フィガロ : 「こいつ(プレイヤーJ)は、店で俺の事マスターって呼ぶんだが、その癖が抜けないんだろうねぇ」


ガモン : 「……私にとって、マスターはいかなる場においてもマスターですから」



シュンスケ : 「……そういうプレイか、フィガロ?」



フィガロ : 「ちょ! そんな訳ないでしょうに! もぅ……誰がこんなガサのある奴とそんな楽しくもねープレイに及ばなきゃいけないんさね!」



ヒルダ : 「……破廉恥だな、フィガロ」


カエデ : 「……不潔です」



フィガロ : 「ちょ、だから誤解だって! もー……ほら、お前が空気読まないでヘンな事言うから、淑女たちに誤解されちゃうじゃないさね」


ガモン : 「……ですが、マスター」


フィガロ : 「だーから、そのマスターってのを止めろっていうんさね……」


シェヴァ : 「でも、アニキ。きっとガモンの兄ちゃんは癖になっちゃってるから、アニキの事マスターっていうのやめないと思うよ?」


フィガロ : 「そうさねぇ……」


ヒルダ : 「いいではないか、マスターでも何でも……ガモンは、かつてお前に何らかの恩義がある。それが切っ掛けでマスターと呼ぶようになった……そう、設定付ければ。なぁ、GM?」


GM : 「ん? 俺はそのヘン拘らないから好きにしてくれていーよ?」


フィガロ : 「まぁ、俺も別に呼ばれなれてるから構わないっちゃ構わないんだけどねぇ……」


ガモン : 「はッ。それでは、よろしくおねがいします、マスター」


フィガロ : 「俺はいいからさ、他の面子に挨拶しなよ。ね?」


ガモン : 「はい……ガモン・イサクションともうします。アザステ要員として。また、攻撃のサポートや採取アイテム回収などにお役立て下さい」



アイラ : 「うわ、ちょっとかっこいいかも……アイラでーす、ヨロシクお願いしまーす」


リン : 「リンです、よろしくおねがいしまーす!」 (ペコ)


ヒルダ : 「ブリュンヒルデ・ロックハートだ、ヨロシク頼む……」



ガモン : 「よろしくお願いします」 (会釈)



GM : 「なにっ!! こいつ…………!!」


シュンスケ : 「どうした、GM?」


GM : 「さばみそギルドの美女三人衆の  『よろしくおねがいしまーす(ぺこり)』 攻撃に何も心を乱さず頭を下げるなんて……さてはこの男、枯れてる! 枯れてやがるな! この年齢にしてこの男、僧の領域に入ってやがるぜ……」



シェヴァ : 「確かに、ガモンの兄ちゃんってちょっと枯れてるというか、女性に対してストイックなんだよねー」


ガモン : 「……当然だ。色は戦闘の感覚を狂わせる……戦闘に身を投じる俺には、必要のないものだからな」



アイラ : (きゅん) 「か、かっこいい……」



シグ : 「ともかく、こっちも挨拶しようぜ。シグだ、よろしく頼むな!」


シュンスケ : 「シュンスケ・ルディック……属性攻撃担当のアルケミストだ」



ガモン : 「あぁ……新参者ではあるが、仲良くしてくれ」



シェヴァ : 「シェヴァです、よろしくねー、ガモンにーちゃん!」 (と、手を差しだす)



ガモン : 「ふん……相変わらずピクニック感覚。成長しないようだな、シェヴァ?」


シェヴァ  : 「ほぇっ!」


ガモン : 「お前のその緊張感の無さ……何時見ても目眩がする。はぁ、どうしてマスターはお前のようなジャリタレを構うのだろうな……」


シェヴァ : 「なぁっ、俺子供じゃないよ、成人男性だよ! ねぇみんな!?」



シグ : 「…………えっと」


フィガロ : 「……年齢的にはそうだけど、ねぇ、シュンスケくん?」


シュンスケ : 「……本人が大人といっているんだ、大人に入れてやってくれ」



シェヴァ : 「ほら、みんなも大人っていってるもん! 俺大人だもん、大人!」


ガモン : 「……フン。そういっているうちが、まだまだ餓鬼だっていうんだ、このバ褐色(ばかっしょく)!



シェヴァ : 「!! ふにー、シュンスケ、あのおじさんが意地悪言うです……」


シュンスケ : 「そうか、よしよし」(なでなで)




ガモン : 「おじさん、だと! 貴様ッ! お兄さんと呼べとあれほどいってるだろうが!」



GM : 「お、ガモンくんがキレた」(笑)


フィガロ : 「デリケートな年齢なんさね、あいつは」(笑)



シェヴァ : 「だってガモンのオッサン俺より年上だもん、オッサンだよおっさん! ……べーだ!」


ガモン : 「がるるるるる……」


フィガロ : 「はいはい、ブレイクブレイク……狼みたいに嘶くなって、ねぇ。さて、ガモンの自己紹介はこれくらいでいいだろう。次、ネェさん。お願いできるかねぇ?」


GM : 「ネェさん?」



プレイヤーI : 「はいな。それじゃ、自己紹介させてもらうよ……アタシの名前は、ナイアット・ファティマ」


シグ : 「ナイアット?」


アイラ : 「ファティマさん?」


ナルラト : 「ナルラト、でいいよ。職業はカースメーカー、外見はお下げの三つ編みの子さね」


シグ : 「OK、ロリカスメね」


ナルラト : 「今は重苦もち……で、縛り封じ特化のカスメを目指していこうかと思ってるさね」


シェヴァ : 「封じ縛り特化! やった!」


シュンスケ : 「……シェヴァはエクスタシーもっているものな。封じ、縛り特化のカスメとダークハンターは相性がいいぞ、よかったな」


シェヴァ : 「うん、嬉しい。よろしくね、ナルラト姉ちゃん、かな?」


ナルラト : 「あらぁ、ありがとう……よろしくお願いするよ、シェヴァのボウヤ……」 (妖艶の笑み)



GM : (ぞくぞくぞくぞく!) 「何だこの貫禄……見た目と比べて、何つーか……ぶっちゃけ、エロい、エロいぞこの人!」(笑)



フィガロ : 「そりゃ、ナルラトのネェさんは俺の育ての親、みたいなモンだからねぇ……若く見えるけど俺よりとしう……」



ナルラト : 「あらぁ、何いってるのかねぇ、フィガロのボウヤ……ふふ、お口が軽いのはいけないと思うけどねェ」ギロッ)



フィガロ : (ビクッ!) 「……あ、いえ。その。ななな、何でもないですよ、ネェさん。えぇ……」



シグ : 「……ンでも、フィガロのボウヤって」(笑)


カエデ : 「あ、あの。ナルラト様は、おいくつなんですか? よろしければ教えて頂きたいのですが!」(キリッ)



GM : (おおお、臆面なくいったぁ! 流石カエデちゃん、そこに痺れる、憧れるゥ!)




ナルラト : 「アタシかい? アタシは、当年とって18歳、まだまだぴっちぴちの若人さね!」


フィガロ : 「20年前と同じ年齢だけどねぇ……」(ぼそ)


ナルラト : 「あら、何言ったのかねぇ、ボウヤ?」 (ミシミシミシミシ、とアルミ缶を握り潰す音)


フィガロ : 「な、何でもないさね! あははは!」


GM  : (素手で戦った方が強いんじゃないのか、この人!?)



ナルラト : 「……ともあれ、まだエトリアに来て間もない身だけれども、どうかよろしくお願いするさね」


シグ : 「あぁ、こちらこそよろしくな!」


シュンスケ : 「後衛を担う仲間がいるのは嬉しい事だ……が、それにしても貴方はフィガロの喋り方に似ているな……」


フィガロ : 「……やっぱり似ちゃうんだよねぇ、俺が言葉を教わったのがこの人だったから」


GM : 「というか……」




ナルラト : 「さぁ、それはさておき……会いたかったわよォ、シュンスケのボウヤぁ!」 (がばっ!)



シュンスケ : 「うわっぷ!! なぁ、何するんですか、ちょっ!」



ナルラト : 「もー、つれないじゃないさね、ボウヤぁ……おねーさんに内緒でこんなに楽しい遊びをしてたのかい? どうしてアタシの事を呼んでくれないさね、もう、寂しいじゃないのさ!」


シュンスケ : 「むぐー、むぐー」 (おっぱい体感中)


シェヴァ : 「シュンスケ! シュンスケ!」 (オロオロオロオロ)



ナルラト : 「んもう、何も言わないで照れてるのかい。相変わらずホント、可愛いねぇ、ボウヤは……すぐに食べちゃいたいさね」 



シュンスケ : 「……むぐ」 (おっぱい窒息中)


シェヴァ : (オロオロオロオロ)



GM : 「……何あれ、二人、知り合い?」


フィガロ : 「直接に面識はないんだけど、何かネェさんが一方的にシュンスケの事を(プレイヤー含みで)気に入ってるみたいでねェ……」



シェヴァ : 「だめー、だめー、シュンスケとっちゃやだー! ナルラトねーさんやめてー! シュンスケとっちゃやだー!」 (ポカポカ)


ナルラト : 「……あら? 邪魔が入ったかねぇ。仕方ない、今日の所はこれで許してあげるわよ、ボーヤ。でも、今度ゆっくり二人で話そうじゃないさね。ふふふふふ……」



シュンスケ : 「ぶはっ! ……はぁ、はぁ……」


シェヴァ : 「シュンスケ! 大丈夫、シュンスケ!」


シュンスケ : 「……胸の圧力に押しつぶされるかと思った」



アイラ : 「何ですとっ! ナルラトさん、実は巨乳!?」


シュンスケ : 「……万力のような力で締め付けられたぞ?」


リン : 「……そういえば、ナルラトさん腕に凄い拘束具みたいなのついてますし、あれ結構重そうだから案外力あるのかもです」


シグ : 「カスメは細い外見に似合わず採掘が得意だったりするし……」



ナルラト : 「……うふふふ。うふふふふふふ」



GM : 「俺たちはとんでもない獣を仲間に引き入れてしまったのかもしれない、な……」



一同 : 「ゴクリ……」




> おいでませ! 第階層!




GM : 「……という訳で新メンバーは決まったけど、いきなり全員はつれてけないよ? 誰が留守番する?」


シグ : 「そうだなぁ、新メンバーはレベルが低いから全員は無理だからレベル上げ要員として、フィガロの兄貴はつれていくとして……」


フィガロ : 「……ン? あぁ了解、ホーリーバードの恩恵を浴びさせてやるとするさね」


シグ : 「……あとは救急要員に、リン。この二人は外さないで、新キャラを1,2人育てていくか」


カエデ : 「あ、私は以前皆さんと共に戦いましたので、レベルは40になっておりますよ!」


シグ : 「……後はガモンかナルラトだろうけど、二人とも後衛だからな。前衛に一人レギュラーメンバーをおいて、後衛にガモンかナルラトをつれていく事にしよう、いいな?」


ヒルダ : 「あぁ。それなら、前衛の守りは私に任せてくれないか?」


シグ : 「……姉弟子? いいけど、どうしたんだ?」


ヒルダ : 「……何、カエデ君とフィガロを二人にしたら、奴がカエデ君に何をするかわからないからな。彼女の護衛の為にもな」


フィガロ : 「ちょ、信用ないねぇ……フィガロさん悲しいよ」


シグ : 「了解。それじゃ、前衛は姉弟子とカエデで決まりだな。すると、後衛は……」


ナルラト : 「……あ、それじゃぁアタシは留守番してようかね。ガモン、アンタが先にいってきなって」


ガモン : 「はぁ……ですが、いいのですか。ナルラト様?」


ナルラト : 「あはは、封じなんて趣味の職業だ、アタシよりアザステ要員のアンタの方が早く育って欲しいだろう?」



GM : (最もな意見だ……)



ナルラト : 「……それに! シュンスケのボーヤが留守番するならアタシだって留守番したいよぉ! さ、ボウヤ! アタシがボウヤの知らない事、いーっぱい教えてあげるからねぇ!」 (ぎゅっ)



シュンスケ : 「……むぐっ!」(ぎゅむ)


ナルラト: 「あぁ〜ん、ホント可愛いねぇボーヤは! もー!」 (すりすり)



GM : (だが本音はシュンスケ君をおちょくりたいだけか……)



シェヴァ : 「だぁっ、ダメだよナルラトねーさん! ダメだよー、シュンスケはだめー! だめー!」 (オロオロオロ)



シグ : 「……まぁ、アレはほっといて。頼むぞ姉弟子。頑張ってこい!」


ヒルダ : 「……うむ、任せておけ」


フィガロ : 「いいねぇ……ネェさんばっかりさ。俺もご相伴に預かりたいモンだけど……」


ヒルダ : 「……行くぞフィガロ?」 (耳を引っ張りながら)


フィガロ : 「あつつつ……わかったわかった! 行きますって……はぁ」


GM : 「それで、とりあえずどうするんだい?」


ヒルダ : 「……そうだな、とりあえずエトリアの奥にある第6階層なるものを確かめてこよう。B20を集中的に捜索するとしようか。いいな、皆?」


ガモン : 「かしこまりました、お供いたしましょう」


GM : 「了解、んじゃまひとまず地下20階へ赴いて、廃都の街をさくさくさくー」



カエデ : 「……ここは、シンジュクですか? 相変わらずリアルな風景ですね」


ヒルダ : 「……あぁ」


リン : 「この風景はちょっと寂しいですけど……この街にはちょっと、降りてみたいですよね! 外、ちょっとお散歩してみたいなぁ〜」


ヒルダ : 「……そ、そうか? 私はこの手の建物は苦手なのだが……幽霊が出そうで」


カエデ : 「姉上は、昔から廃墟とか好きですからね……幽霊とか心霊モノも怖いとかいいつつ、結構見たがるタイプですわね」


ヒルダ : 「むむむ、理解できんな……」




フィガロ : 「……うんうん、相変わらずさばみそ面子の女の子はいいねぇ〜。こんな女の子たちを守る為に戦うってのもいいもんだ。ねぇ、ガモン?」


ガモン : 「……私は別に与えられた任務を遂行するだけです」


フィガロ : 「ホント、枯れてるねぇお前は……はぁ」



GM : 「等といってる間にドカンと登場、みんな大好きダイアーウルフさんだ! どかーんどかーん!」



ヒルダ : 「……シールドスマイト!


カエデ : 「即、斬ります!」


フィガロ : 「通常攻撃、といっても俺の弓は応えるだろうねぇ!」



GM : 「……って、いきなり本気モードかお前らっ!」



ヒルダ : 「まだ低レベルの仲間がいる以上、戦闘は極力早く終わらせないとな……どうだ?」


GM : 「……とほほ……ダイアーウルフは倒れたよ。うう、結構強敵だったけど君らにとってはもう雑魚か〜」


ガモン : 「私には驚異ですよ」


GM : 「でも、苦戦する程じゃないだろ……まぁ、ラスボス倒してる君たちだから別にいいけどさ。うん、とりあえず倒したからね。ガモンくんのレベルもぐんぐんあがるよ!」


ガモン : 「ありがとうございます、皆さん」


ヒルダ : 「例にはおよばん、今日でレベル20まで行くといいが……さて、地下25階の捜索はエレベーターでいいな?」


リン : 「……そうですね、まだ第6階層の階段も見つけてないですし」


フィガロ : 「まぁ、あそこで行ってないのは王の玉座だけだと思うけどねぇ……」


カエデ : 「ではその玉座を調べてみましょう! 玉座の裏には階段があると、昔から決まっているものです!」


GM : 「そんなこんなでエレベーターチン♪ はい、到着したよ地下25階は早速玉座探索?」


フィガロ : 「勿論さね、現れる敵をなぎ倒してねぇ」


GM : 「よしよし、遠慮なくアーマービーストを出してやろう」(笑)


フィガロ : 「……それは出来れば遠慮してほしいさね」(笑)



 等といいながらアーマービースト等と戦いつつ、玉座へ。



GM : 「とかいってる間にやってきたよさっくりこん、玉座の部屋でーす」


フィガロ : 「さて、それじゃ早速さくさくと調べるかねぇ……さて、玉座の後ろへ行くとするかね」


リン : 「はい……思ったより広いですね、ここ」


ヒルダ : 「まぁ、あれだけ大物のボスが居た空間だからな……」


カエデ : 「ひとまずいってみましょう、姉上!」 (ポテポテポテ)


ガモン : 「……急に走るのは危険ですよ、カエデ様」 (スタスタスタ)


フィガロ : 「ちょ、低レベルコンビが先に進むのはもっと危険だよ!」


ヒルダ : 「装備の薄い吟遊詩人が率先して前に出るのも危険だな……と、とりあえずこの当たりが玉座の裏だが……無いみたいだな」


GM : 「何もないみたいだねぇ」(ニヤニヤ)


フィガロ : 「何の、玉座の裏には隠し通路があるってのはドラクエ1からのお約束さね! 調べてみるよ、何かあるかねぇ〜」(さわさわ)


GM : 「むむ、バレたか……確かにそこに、隠し通路がある。どうやら壁の奥に、奥に進む階段……というか、穴のようなものがぽっかりと口を開けているらしい」


カエデ : 「……シンジュクに、さらに地下があるんですか?」


リン : 「あ! でも私聞いた事あるよ、東京には巨大な地下通路みたいなのがあるって! ここもひょっとしたら、東京の地下通路……」


カエデ : 「何言ってるんですか、姉上。そんなの都市伝説でしょう?」


リン : 「でも、実際ココにも地下があるでしょう。この地下は何の為にあるんですか……」


GM : 「知らん、何の為にあるんだい、シュンスケくん?」


シュンスケ : 「何でGMの知らない設定を俺が補足しないといけないんですか! ……第6階層、真朱(まそお)の窟(いわむろ)は、世界樹の迷宮に現れるモンスターたちを創造している機関とされている。この場所で生成された生物たちが迷宮の生態系となり、モリビトたちもまたこの機関で生まれたとされる……いわば、世界樹の迷宮。その迷宮の原理の基礎だな」



カエデ : 「!! すごいですわ、シュンスケさま!」 (パチパチパチ)


GM : 「うむ、流石だユグドラシード」(笑)


フィガロ : 「というか、GMが説明出来ない部分をプレイヤーが補うってどうさね」(笑)


GM : 「……何をいう、そんな事、実際のTRPGでも良くあることだ」 (笑・わりとガチ)


ガモン : 「……階段は見つかりましたが、どうしますか。マスター?」


フィガロ : 「ン……階段の先には樹海磁軸があるはずだから、ひとまずそこは開いておこうか……行くよ、皆!」


リン : 「はい!」


GM : 「そうやって進むと、新たな階層が口を開ける……その名も真朱の窟……って、名前はもうシュンスケ君に言われちゃったんだけど」(笑)


シュンスケ : 「む、うっかりいってしまった。スマン」(笑)


GM : 「気にするな。(笑) ……この階層は一言でいえばそう、体内。まるで世界樹という生き物の中に封じられたような錯覚さえ覚える、その空間は赤く脈打ち、うごめき、流動する……」


ヒルダ : 「ひゃ……血っ」(ビクビク)


フィガロ : 「大丈夫かい、ヒルダ。確か、血ぃ苦手だよね?」


ヒルダ : 「だ、大丈夫だ……うう、ぶよぶよするっ……」 (泣)


リン : 「……ヒルダさん、無理しないでくださいね?」


ガモン : 「……そういうリン様は大丈夫なんですか?」


リン : 「私も血とかは苦手ですけど……グロテスクなのは、案外平気なんです」


GM : 「おお、意外な側面……」


シグ : 「そうか、ホラー映画とか誘っても抱きついてもらえない系か……残念」


GM : 「……ん、今何かいったかい、シグ?」


シグ : 「……いんや、別に」


ヒルダ : 「と、とにかく早い所樹海磁軸を見つけてしまおう……どちらにある、東か? 西か?」


フィガロ : 「んー……地図を見る限りだと、西の方だねぇ……行ってみるかい?」


ヒルダ : 「当然だ! 磁軸を開かないと次にここに来るのにまた、第5階層から来なければいけないからな……うう、床までぶにぶにしてる」(泣)


フィガロ : 「ヒルダ嬢は半べそになっているこの空間だけど……」



カエデ : 「きゃー、床が柔らかくて面白いですー」 (ぷにぷに)


リン : 「風船の中に居るみたいですねー」 (ぷにぷに)



フィガロ : 「スズカケ姉妹には好評みたいだねェ」(笑)


ガモン : 「……女人というのは何を好むのか解りませんな」



GM : 「等といいながらトコトコ歩くと、エネミーアピアランスがテカテカひかる……さぁ、戦闘だ! 敵は……メタルシザース、2体!」


カエデ : 「姉上、敵襲です!」


リン : 「……わかりました、医術防御を!」


ヒルダ : 「……私はシールドスマイトをつかおう! ガモンは防御してくれ!」


ガモン : 「了解しました」



GM : 「と、いきなり本気モードで悪いがメタルシザースも殺(や)る気わくわく状態だぜ! 攻撃は……カエデ嬢に、ダメージは……250!」



カエデ : 「えぇぇえぇっっ!」


フィガロ : 「ちょ、250って……カエデ嬢の体力殆ど全部じゃないさね! だ、大丈夫かい、カエデちゃん?」


カエデ : 「は、はい、大丈夫ですが……」



GM : 「……と思った所にとどめにもう一発♪ メタルシザースはもう一匹いたのだ! という訳でカエデ嬢にもう一度アタック!」



カエデ 「きゃぁぁ! む、無念です……」(ばたり)


フィガロ : 「ちょ、いきなり装甲の薄いカエデ嬢から殴りにくるなんて、卑怯さね!」


GM : 「卑怯は戦場では誉め言葉ァ! 大体、卑怯とか言い出したらお前らだって、たった二匹のか弱いカニ相手に5人がかりで卑怯だぞ!」(笑)


フィガロ : 「そ、それを言われると弱いけどねぇ……」


ガモン : 「マスター、譲歩しないでください。相手は体力無尽蔵の化け物集団ですよ」


ヒルダ : 「……おのれ、カエデ君の仇だ! 岩をも砕く私のシールドスマイトをくらえ!」


GM : 「……と、ヒルダ嬢がやる気でシールドをかまえ攻撃をしてきた! ダメージは……」


フィガロ : 「ン、ヒルダ嬢のシールドスマイトなら一匹、仕留めたでしょう? 何せ平均ダメージ600越え、どんな相手でも500のダメージは下らない攻撃だもの、ねぇ?」



GM : 「5」



一同 : 「えっ!?」



GM : 「だから、ダメージ5! カキン、アストロン! って感じだ」



一同 : 「ななな、何だってぇぇぇえええ!!!」



ヒルダ : 「チッ、こいつ……物理耐性があるのか!?」


リン : 「そのようですね……どうしますか、フィガロさん? 属性攻撃、試してみますか?」


フィガロ : 「俺の属性攻撃は1ターンかかる……あいつがどの属性に弱点があるのかわからない以上、乱発は消耗にしかならないだろうねぇ……」


ヒルダ : 「気にする事もないだろう、適当に属性をいれれば大丈夫じゃないか? 物理耐性がある敵は大概属性攻撃に弱いだろうからな」


フィガロ : 「……俺もそうは思うが、この階層にくるとそう、一筋縄ではいかなそうだからねェ」


GM : (むむ、流石フィガロ。案外戦い慣れてるよな……確かにその通り、この敵は弱点耐性以外は全耐性の難敵だよーん)


ヒルダ : 「だったら、どうする……!」


フィガロ : 「……無理が出来ない時にとる行動は決まっているだろう? ……総員、足下に注意して緊急避難! 三十六計逃げるが勝ちさね!」



ヒルダ : 「……太刀打ち出来ぬのは悔しいが、仕方あるまい。撤退だ、ガモン!」


ガモン : 「了解です」 (たんっ)


リン : 「……カエデちゃん、ほら、逃げるよっ」



GM : 「皆逃げの一手か……撤退は……うん、成功。無事に皆逃げ出したようだね」


リン : 「カエデちゃん、大丈夫……?」 (リザレクション)


カエデ : (むくり) 「いたた……不覚をとりました、面目ございません……」


ヒルダ : 「気にするな、あのような激しい攻撃があるとは我々も考えが及ばなかった所だ……」


フィガロ : 「うン。確かにこれだけ敵が強いなんてぇのは想定の範囲外だったねェ……」


ガモン : 「ですがマスター、この階から殺気が一段と強くなりました……おそらくこの階層に居る輩は、あのカニを模した化け物と同等の手練れ……」


フィガロ : 「……どいつもこいつも、似たような個性があると?」


ガモン : 「私の見立てではそうだと思います」


フィガロ : 「なるほどねェ……まぁ、元々無理をする性分じゃないし。サッサと樹海磁軸に触れて、エトリアに戻るとするかねェ?」


一同 : (無言で頷く)



 フィガロの提案通り、一同は特に寄り道も。

 マップを埋める事もなく、樹海磁軸に直行する。




GM : (もう一回くらい出したいな……メタシザ)



 そんなGMの淡い期待もよそに幸い敵と会う事はなく。

 さばみそギルドの面々は、無事にエトリアへ帰還するのだった……。





> 新たなるの息吹




GM : 「そんなこんなで無事にエトリアに戻ってきた、はいただいまっと」


フィガロ : 「とりあえず、冒険者ギルドに戻ってシグに相談してくるかね……シグリーダー」


シグ : 「んぁ? おかえり、早かったなぁアニキ。首尾はどーだい?」


フィガロ : 「実は…… (かくかくしかじか) ……という訳で、全く歯が立たないよーな敵と対面したって訳さね」


シグ : 「む……物理攻撃がろくすっぽきかない敵か……そりゃ、苦労しそうだな。シュンスケの出番かもなー」


フィガロ: 「うン……そうさね。それで、一応聞くけど。そっちの首尾はどうだったかね?」


シグ : 「こっちかい? こっちは……」




ナルラト : 「はぁ〜い、シュンスケのボーヤぁ。ナルラトネェさん特性、愛のたっぷりこもったオムレツさね。さ、め・し・あ・が・れ!」



シュンスケ : 「い、いや、今はそんなに食欲が……」(汗)


シェヴァ : (オロオロオロオロ)



ナルラト : 「……えー、何さね。 オムレツより先にこの、アタシを召し上がりたいなんてぇ。もう、ボーヤたらイケナイ子さねぇ……ンでも、アタシ。シュンスケ君だったら別にいーかねぇ……ほ、ら。まだ誰も知らない、アタシという名の神秘、覗いてみるかい?」(チラ)



シュンスケ : 「い、いや、その……」(汗)


シェヴァ : (オロオロオロオロ)



ナルラト : 「あぁ! ボーヤはこんな所で見られてするの、好きじゃないかねぇ……いいわ、今日は宿屋でアタシの秘密、ボーヤだけにだけ特別に教えてあ・げ・る。さね? さ、一緒に行こうかい、ボウヤ……」



シュンスケ : 「いや! その……何というか、えー……」




シェヴァ : 「だ、ダメー! シュンスケの事とっちゃやだ! ダメ、ダメ、それは絶対ダメ! ナルラトねーさん、シュンスケとらないでー!!!」




シグ : 「終始、こんなかんじだぜ」(笑)


フィガロ : 「ン、了解」(笑)


アイラ : 「ていうか、ナルラトさん。自分で自分の事ねーさんって言ってるけど、18歳設定忘れてるのかな?」


GM : 「アイラ君、そこは気にしてはいかんよ。これはいわゆる、暗黙の了解ってやつだ」(笑)



ヒルダ : 「しかし、物理がきかない敵など。第6階層に挑むには骨が折れそうだぞ……」


シグ : 「確かにそうだが……姉弟子たちが地下の道を開いてくれたおかげで酒場に新たなクエストが現れたりする頃じゃないか。なぁ、GM?」


GM : 「ん。確かにその気配がある……それぞれ、地下8階、地下15階。そして第5階層に行くクエストが出ているは出ているね」


シグ : 「ほらきた! 新人さんにそういうクエストを頼んで……俺たち古株が第6階層を斬りひらいていく、でいいんじゃないか?」


ヒルダ : 「……そうだな、GM。具体的にそれらはどんな依頼だ?」


GM : 「あら、金鹿の酒場にいかないとシェヴァが悲しむよ?」


ヒルダ : 「シェヴァは……」



ナルラト : 「ぼうやー。もう可愛いねぇ、ギュっとしちゃうさねー」(ぎゅ)


シュンスケ : 「むぐっ!」


シェヴァ : 「やめてー! やめてー!」(泣)



ヒルダ : 「……取り込み中だからいいだろう」(笑)


GM : 「そうだな。(笑) ……地下8階にいるワイバーンの様子がおかしいから原因調べてくれっつークエストが1件。地下15階で恐ろしい化け物が居たって話しが1件。そして、第5階層にあるアンクを集めてくれってのが1件だ」


アイラ : 「あ、そういえばアンクの形したモノ、確かにあったね!」


シグ : 「……第5階層ならシュンスケがいる今ならさして苦戦しないだろ? いいんじゃないか、そこで鍛えてから挑むで」


ヒルダ : 「そうだな……ガモンもそれでいいか?」


ガモン : 「……私は新参者、特に異論は御座いません」


カエデ : 「私も異論ないです。姉上とシグ様に間違いがなければそれでいーですわ!」


リン : 「ま、間違いって……カエデちゃん!」


シグ : 「んじゃま、とりあえずクエストこなしながら力をつけていく路線でいくぞ、皆!」




一同 : 「おー!!!」




 かくして皆声をあげるさばみそギルドご一考。

 だが彼らはまだ知らなかったのです。


 そのクエストがさらなる強敵の登場。

 その布石にしか、すぎない事を…………。



>幕劇 〜 はじめまして! ナルラトとガモンです





 幕間劇をはじめよう。


 平和になった世界。


 君は、ナルラトの中の人物の実年齢を知る為この物語を読んでも、読まなくてもいい。


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 セッション休憩中。

 都内某所。(いつもの西園寺研究室)





西園寺馨 (GM) : 「さて、ここらで一区切りつけて休憩しようか! さぁ思い思いにくつろいでー」


椎名淳平 (シュンスケ) : 「……了解です、スリープモードに移行します」


芹沢梨花 (リン) : 「じゃ、お茶にしましょう! 私今日はスフレに挑戦してみたんです!」


芹沢早苗 (カエデ) : 「和彦さんに食べさせる為に、朝5時に起きた姉さんの自信作ですよー」(笑)




梨花 : 「ちょ! な、なにいってるのさなちゃん! そんな事っ、もう!」




桐生和彦 (シグ) : 「あはは! そんな赤くなるなって、梨花……嬉しいぜ、俺はさ」


梨花 : 「……あ! ありがとう、ございます……」(照)



滝 睦(ヒルダ) : 「なんて、良いムードの最中に悪いがな、桐生?」


桐生 : 「……何だよ、イインチョ?」



桐生若葉 (アイラ) : 「よっしゃ、リンちゃんのスフレ! 一番おいしそーな所若葉さんがげーっと!」



七瀬澪 (シェヴァ) : 「……あ! やられたっ……よし、じゃ俺こっちのおーきい所げーっと!」



滝 : 「芹沢君の努力の結晶が、二人の甘党モンスターに貪り喰われているぞ?」



桐生 : 「……ちょ! 若葉! ななみ! 少し自重しろ!」



プレイヤーJ(ガモン) : 「全く、相変わらず空気を読まないんだな。あのバカが……」



西園寺 : 「と、甘党モンスターが猛威を振るっている所で悪いんだけどさ、プレイヤーHさん。プレイヤーJ君?」



プレイヤーJ : 「……はい?」


プレイヤーH(ナルラト) : 「……何さね?」


西園寺 : 「よければ、自己紹介してくれないかな? 俺、君たちとは初対面だからさ……名前とか経歴とか、軽くでいいから」


プレイヤーH : 「あっはははは! いいよ、別に。隠すモノじゃないからねェ……アタシの名前は、芦屋 灯里(あしや あかり)ってモンだよ。タカシの店で世話になってるモンさ」


西園寺 : 「オッケー、アカリさんね。 (年齢は30代って所かな……) 神崎君とは店主と社員の関係?」


アカリ(ナルラト) : 「そうさねぇ、タカシのボーヤはアタシからしてみれば  って所かねぇ?」




西園寺 : 「はぁ?????」




アカリ : 「……だってタカシのボーヤは、アタシ最愛のダーリン♪ の孫なんだもの。アタシからしてみたら孫みたいなモンさね! きゃー、いってやったいってやった!



西園寺 : 「えーと……タカシ君、説明を要求する」


神崎高志(フィガロ) : 「……アカリねーさんは、うちの古株従業員なんだけどね。俺のジジイの愛人になるんだー! って言って聞かないんさね。だからあんな不思議な事言ってるって訳」


西園寺 : 「えー……何だよそれ、お前のジジイどれだけフェロモンあるんだよ? 50歳くらい歳離れてんじゃねーの?




アカリ : 「何いってるさね、タカシのボーヤ! 貴方の祖父ほどいーい男なんていないさね……はぁ、ダーリン……」




西園寺 : 「……つーか、あの人お前としゃべり方一緒なんだけど。何これ、このしゃべり方お前の店のブーム?」


神崎 : 「……俺、あの人から言葉教わった所あるからねぇ。つい、こうなっちまうんさね……あ、一応俺、普通のしゃべり方できるよ? コレ、わざと話している所あるしね」



西園寺 : 「まじで!?」



神崎 : 「マジですよ。あ、西園寺先生? 普通のしゃべり方が希望だったら僕、普通に喋りますが、どうします? こんなしゃべり方をしましょうか?」


西園寺 : 「……あ、いいや。神崎君はいつもの 〜だねェ調 に慣れてるから、下手に丁寧だと違和感バリバリ。僕とか言われると気持ち悪いし」(笑)


神崎 : 「ン、だったら何時も通りにやらせてもらうさね」(笑)


椎名 : 「というか、神崎のそれは方言なのか? 耳慣れない言葉だが……」


滝 : 「神崎高志にだけ局地的に流行っている、神崎地方の方言だろう」


神崎 : 「そうさね。俺とアカリねーさんにだけ局地的につかわれている方言さね」(笑)


七瀬 : 「凄いピンポイントだねそれ」



アカリ : 「ちなみに、年齢は、28歳」


神崎 : 「……10年前から変わってないけどねぇ」



アカリ : 「職業は、タカシのボーヤ、そのお爺さまの内縁の妻さね! よろしくお願いするよ、西園寺せ・ん・せ?」



西園寺 : 「うん、何か色々つっこみたいけど、つっこんではいけないというのが頭じゃなく心で理解出来たから、つっこまないでおくよ」(笑)


神崎 : 「懸命な判断さね」(笑)



アカリ : 「……うん、でも本命は居るけど……淳平のボーヤの妻、というのも捨てがたいかもしれないねぇ……」 (チラ)



椎名 : (びくっ!)




アカリ : 「という訳で、淳平のぼーやぁぁ! どうさね、おねーさんの秘密、見せてあげようかねぇ……」




椎名 : 「……ちょ! やめてくださいアカリさん! 俺はそういうのはダメだとっ……っぷ!」


アカリ : 「あーん、もう可愛いねぇ淳平君はぁ! もぅ、食べちゃいたいさねぇ!」 (スリスリ)




七瀬 : 「!! ちょ、ダメだよアカリねーさん! ねーさん、それ、俺の! 俺の淳兄ぃだからっ!」



プレイヤーJ : 「……相変わらず男同士でベタベタと、不愉快な男だな。七瀬澪」


七瀬 : 「むに。いいだろ、ウォードさん! 俺は淳兄ぃと従兄弟で幼馴染みなんだから、とられたくねーの!」



西園寺 : 「ウォード……か。見た目も金髪碧眼だし、君は異邦人だね?」



プレイヤーJ : 「……はい。私の名前は、ウォード=ランカスターともうします。以後お見知り置きを、ミスター西園寺」


西園寺 : (うわ、固ッ……)


ウォード : 「……この金髪碧眼を見ればおわかり頂けると思いますが、北欧の小国出身です。この国には、語学を学ぶ為に数年ほど前にやってきました。学校にて語学の勉強はもう終了しているのですが、日本の文化や人々との交流をもっと深めていきたいと思い、今は働きながらこの国について日々勉強している身です。よろしくお願いします」 (ぺこり)




西園寺 : 「うわぁ、とってつけたような理由を説明っぽい文章で長々とありがとう!」(笑)


若葉 : 「ウォード・ランカスター……ウォードさんですか? それとも、ランカスターさん?」


ウォード : 「ファーストネームで結構です。お気軽にウォード、と及び下さい」


若葉 : 「はい! えーと、綴りは、WOAD、ですか?」


ウォード : 「いえ、Ward、です。 Ward Lancaster」 (かきかき)


七瀬 : 「へー、ウォードの兄ちゃんこういう字書くんだ、知らなかった」


ウォード : 「何言ってるんだ七瀬澪。お前には以前、教えてあるはずだぞ?」


七瀬 : 「え、そうだっけ? ……覚えてないや」




ウォード : 「……まぁ、尋常ならざるバカのお前が覚えているとも思えないがな」




七瀬 : 「なぁっ! 俺バカじゃないもん。バカじゃないよね、ねぇ、淳兄ぃ」


椎名 : 「あぁ、バカではない……とりわけて利口な所がないだけだ」


七瀬 : 「えへー、俺バカじゃないー。ほらみろ、ウォードさん、俺バカじゃないだろ!」



ウォード : 「変人ほど自分の事を普通だと主張する……殺人犯ほど、自分は何もやってないと主張する……バカほど自分がバカじゃないと主張する、そういうモノではないのか? 七瀬澪?」



七瀬 : 「むっ……でも、バカじゃないもん!」


ウォード : 「……自分の頭の程度もわからんとは、哀れなもんだ」



七瀬 : 「な、なんだよ! ウォードのおっさん、俺より日本語が出来るからってバカにしやがって! バカバカ言う奴がバカなんだぞ、ばかー!」




ウォード : 「!! 貴様、俺はまだ32だ、お前にオッサン呼ばわりされる年齢じゃないっ!」




若葉 : 「32歳なんだ……あ、ちょっといいかも」


早苗 : 「どうかしましたか、若葉さん?」


若葉 : 「えっ! あ、別に……それにしても、ウォードさん本当に日本語上手ですねー、すっごい流暢! カタコトさもないし!」



ウォード : 「そうですか? ……元々、この国の言語は大学で専攻しておりましたから、それが幾分か役立っているのでしょう。こちらに来てから暫く、語学留学もしておりましたし……」


若葉 : 「へぇ! 勉強家なんですねぇ」


ウォード : 「いえ、文化を学ぶ為ですから当然です……とはいえ、まだ幾つか判別のつかない言葉や、発音に自信がない部分が多い未熟な身。聞き取り辛い言葉があったら、遠慮なく仰ってください」


若葉 : 「そんな! 聞き取り辛い言葉なんてないですよー、ほんと、お上手です!」


七瀬 : 「あ、聞き取り辛いとは別なんだけど。すぐ俺にバカっていうのはやめてほしいな! ね、バカって誉め言葉じゃないから、止めたほうがいいよ。ね、ウォードさん?」




ウォード : 「それは間違いではなく本心から言ってるんだ、バカ七瀬」



七瀬 : 「なぁ! だからバカは誉め言葉じゃないだろ! ちゃんと覚える、俺はお利口さん! ……ほら、ウォードさん! Please repeat!




ウォード : 「いい加減に黙れバカ七瀬! 略してバナナ!」



七瀬 : 「!! ががーん……淳兄ぃ、あそこの金髪のおじさんが、俺の事バナナとか呼ぶよ……黄色くて美味しくて栄養価の高いものみたいに呼ぶ、えーん」



ウォード : 「だからおじさんではないと言ってるだろ!」



滝 : 「……普段丁寧なウォード氏が、とかく七瀬には辛辣だな。何かあったのか?」


神崎 : 「ん? あぁ、あいつら仕事のシフトでよく連む事が多いからね……ウォードの失敗をフォローするのがみぃ、って感じでサ?」


早苗 : 「ウォードさんも失敗なさるんですか? ちょっと意外……七瀬さんよりしっかりしてそうですけどね」


神崎 : 「んー、ウォードは生真面目すぎる所があるからねぇ……適度に気が抜けてるみぃの方が喫茶店では向いてるのかもしれないよね。みぃの方が、家事スキルが高いし。ウォードは言葉は流暢に喋るけど、文字書くのはそんな上手な方じゃないしねぇ」


早苗 : 「そういうものですのね?」


神崎 : 「まぁ、ウォードとしてはあの不真面目そーに見えるみぃに劣っているってのがちょっと、コンプレックスなのかもねぇ……みぃはアレで努力家だから、不真面目そうに見えてもコツコツやってる。早々勝てる相手じゃないんだけどねぇ」


滝 : 「不真面目そうに見えても努力家、か……お前も案外、そうなのかもしれんな」


神崎 : 「あはは、買いかぶりすぎさね。俺はホントに不真面目だよ?」



七瀬 : 「えーん、いじめる! 淳兄ぃ、あの金髪ででかいオッサンがいじめるよー」


椎名 : (よしよし)


ウォード : 「だからオッサンではないっ! それに……おい、そこのバナナの保護者!」


椎名 : 「ん……何だ、俺か?」



ウォード : 「他に居るか! 大体、お前がそのバナナを過保護に育てるからそんな風にな……」 (くどくどくど)


椎名 : 「む。す、スマン……過保護に育てている訳ではないんだがな……」




桐生 : 「怒りの矛先が今度は椎名にいったぜ?」(笑)


神崎 : 「……ん。まぁ、みぃが俺の店で働くようになってから毎日のように珈琲だけで粘る客が出来たとなっては、ウォードも色々言いたい事があるんだろうねぇ」(笑)


西園寺 : 「というか、椎名君通ってんだ、タカシくんの店」(笑)


アカリ : 「アタシとしては毎日、ボーヤが来てくれるのは嬉しいんだけど、確かに珈琲だけで粘られるのはいただけないねェ」(笑)



ウォード : (くどくどくど) 「……と、とにかく! お前はもう少し、あのバナナに厳しく接したほうがいいぞ! わかったな!」


椎名 : 「う、うむ……そうしよう」 (汗)


ウォード : 「あと、ブレンド以外のメニューもたまには注文しろ! モーニングもやってるんだからな!」


椎名 : 「あ、あぁ、金に余裕がったらな」 (大汗)




西園寺 : 「お、説教が終わったみたいだぞ」


桐生 : 「それじゃ、お説教タイムが終わった所でそろそろ続きを始めるか、皆すっかり休んだようだしな!」


椎名 : 「……俺は全然休んだ気がしないのだが」(笑)


西園寺 : 「まま、気にしない気にしない。それじゃ、ボチボチスタンバって! システム機動するよー」




 西園寺に言われ、皆各々が自分のシステムを機動しだす。

 そんな西園寺に。





椎名 : 「せんせい」



 椎名が小声で、耳打ちをした。



西園寺 : 「ん……何だよシーナ君? てか、先生やめようぜ。俺、お前の先生のコピーだけどお前の先生じゃないし!」


椎名 : 「このシステムを作る協力をしてくれて、今でも俺のフォローをしてくれる貴方は紛れもなく俺にとっては先生、ですよ。それはさておき……先生にも一応、伝えた方がいいかと思いまして……」


西園寺 : 「何だよ、改まって……俺、君に何か頼んでたっけ……?」



椎名 : 「西園寺透さんの……事です」



西園寺 : 「!!」



椎名 : 「貴方にとって、透さんは……その、どういう立場だか微妙な所なのはわかります、が……」


西園寺 : 「ん……いや、いいよ椎名君。聞かせてくれ……彼女は、俺の本体……オリジナルの西園寺馨、その母親だね?」


椎名 : 「……はい」


西園寺 : 「俺は、彼女に会った事ない。けど……彼女に対しては、複雑な思いがある……西園寺馨の複写として、彼から生まれた別人格として……彼女の事が気になってるのもまた、事実だ……聞かせて、くれるかい?」



椎名 : 「はい……西園寺透さん、西園寺馨の実母は、俺の会社の上司で、俺がプロジェクトユグドラシルに関わる事を手引きしてくれた、人物……でした」


西園寺 : 「でした?」


椎名 : 「今は関わっていません……半年ほどまえに、病気で退社しましたので……」


西園寺 : 「あぁ……そう……良く、ないんだ……」


椎名 : 「はい……医師の診断だと、余命は……もっても、あと三ヶ月


西園寺 : 「!! そんなに……」


椎名 : 「…………まだ年若いので、病気の進行も早いのだそうです。今は、自宅で療養しているそう、ですが……次、はもう……」


西園寺 : 「……そうか」


椎名 : 「…………」


西園寺 : 「…………人間って強いけど、脆いねぇ」


椎名 : 「先生……あの……」




西園寺 : 「……教えてくれてありがとう。でも、会いにはいけないよ、俺は」


椎名 : 「先生……」



西園寺 : 「彼女の所まで行く方法もないし、それに……本物の西園寺馨だって彼女には会いに行かなかったんだ」


椎名 : 「……」



西園寺 : 「偽物の俺が出しゃばって、彼女に会いにいって……彼女を絶望させてしまうくらいなら。彼女の中にいる思い出の西園寺馨との時間を、大切にしてあげたいじゃないか?」


椎名 : 「……いいんですか、先生? 何なら、俺の身体を貸しても……」


西園寺 : 「お気遣いありがと。んでも、それこそゴメンだ。君の身体は君のもの、滅多な事言うんじゃないよ。また七瀬君を泣かせたいのか、君は?」


椎名 : 「いえ……」



西園寺 : 「……それに、彼女が会いたい息子はもう……この世界の何処にも、いないんだ。そう。死んだ人間はもう、どこにもいないんだよ


椎名 : 「そう、でしたね……すいませんでした、先生」



西園寺 : 「いーよ、彼女は俺の直接の母ではない、けど俺という現象を生み出したのに大いにかかわっているのは事実だ……そういう意味で彼女には、とても感謝しているからね……ありがとう、教えてくれて感謝するよ」


椎名 : 「はい……」


西園寺 : 「……そうだ、椎名君。俺はいけないけど、代わりに君が様子を見にいってくれないか?」


椎名 : 「俺が、ですか?」



西園寺 : 「女手一つで西園寺馨を育てる為に、両親の反対なんか押し切ったり親戚連中を敵に回したあの人は、今身よりがなく寂しい思いをしているだろうからさ……頼めないか? 俺の教え子だったって言えば、きっと喜んで会ってくれると思うから……」


椎名 : 「はい……それでは」


西園寺 : 「厚かましいお願いだってわかってるけどさ……母の事、よろしく頼むよ」


椎名 : 「……はい」


西園寺 : 「……死んだ人間は、もう何処にもいない。けれど……その欠片は、世界の何処かに残り続ける……少なくても俺は、そう思っている……君の中にもきっと……あるだろう、彼の欠片が……それがきっと、彼女を癒してくれるだろうから……」


椎名 : 「……先生?」



西園寺 : 「さて、ゲームを続けようかな? よーし、皆! システムを起動するぞー!」



 いつもより大きく声をあげ、西園寺はゲームの世界に戻る。

 こうしている間に。


 西園寺透。

 彼女の時は、刻一刻と狭まっていた……。




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