> 界樹の迷宮をリプレイ風に日記つけている予定が脱線。





までのあらすじ >


 枯レ森奥地にいったら、アイラさんが無事戻ってきました。




> おえりなさい、アイラさん。



 前回のセッションから数日後。

 都内いつもの場所。




GM : 「という訳で、皆さんこーんにーちはー」



一同 : 「こんにちはー」



GM : 「さて、挨拶もそぞろで恐縮だけど今回から、今までお休み中だったアイラ役のプレイヤーが戻ってきてくれましたー。はい、アイラ君。挨拶どうぞっ」




アイラ : 「みんなー、ただいまー! アイラさん、帰ってきたよー!!!」




一同 : 「おかえりなさーい!」 (ぱちぱちぱちぱちぱち)



リン : 「アイラさん。待ってたんですよ!」


アイラ : 「リンちゃん、ありがとう!」


ヒルダ : 「……私もだ。坊ちゃんの相棒であるキミと、是非一度ともに戦ってみたいと思っていたからな」


アイラ : 「ヒルダお姉さまもありがとうございます、私、頑張るね!」


シグ : 「おっ、お姉さま……?


アイラ : 「いいでしょ? ヒルダおねーさまは、シグの姉弟子なんだから、きっと私にはお姉さんだよ!」


シグ : 「いやいや、その理屈はおかしい!」


ヒルダ : 「あぁ……私は坊ちゃんの姉弟子ではあるが、キミの姉弟子ではないぞ?」


アイラ : 「細かい事はどーだっていーんですよッ! だって私、本当はヒルダお姉さまみたいな頼れるお姉さんが欲しかったんだもん! 現実では頼りないお兄さんしかいなかったから!」



シグ : 「何てことを! 現実のお兄さんが悲しんでるぞ!」 (※シグとアイラのプレイヤーは、兄妹です)



フィガロ : 「あははは! まぁ、アイラちゃんが元気になって何よりだよ。ねぇ?」


アイラ : 「はい! あ、フィガロお兄さまもヨロシクお願いしますね!」


シュンスケ : 「フィガロ、お兄さま?」


シグ : 「何でアニキが、お兄さまなんだよ」



アイラ : 「いーでしょ。だって、フィガロお兄さま、格好いいし歌も上手じゃない。 私、本当はフィガロお兄さまみたいな格好いいお兄さんが欲しかったもん。 現実では格好良さがイマイチ音痴なお兄さんしかいなかったから!



シグ : 「なんて事をっ、何てことを……現実のお兄さんがショックで二次元に逃げたらどーするっ!」 (※くどいようですが、シグとアイラのプレイヤーは兄妹です)


リン : 「だ、大丈夫です! シグは確かに音痴かもしれないけど、のびのびと歌うし……角度によっては、結構素敵に見える時もありますからっ!」


シグ : 「うううう……り、リン。それ、フォローなのか? フォローなのかっ!?」


リン : 「えっ!?」


シェヴァ : 「リンちゃん、こういう時にそういうフォロー、かえって残酷なんだよ」(笑)




> 新人ブシ子、戦す!



 アイラさんの挨拶が一頻り終わった後。

 GMは、部屋の片隅にいた、一人だけ知らない人に視線を向ける……。




GM : 「うむ……まぁ、それはそれ。アイラ君が復帰してくれたのは、まぁ、いいんだけどさ……」



見慣れない娘さん : 「…………」



GM : 「えっと、さっきから部屋の片隅にいる、彼女は一体誰かな? 見慣れない、娘さんだけど……」



見慣れない娘さん : 「…………私は」



フィガロ : 「可愛いじゃない、まだ二十歳くらいかねぇ?」


GM : 「だねぇ、初々しくも瑞々しい感じ、ちょっと小柄だけどいいねぇ、いいねぇ、うししししししし



シェヴァ : 「GMさんが、エロい笑い方してる……」


シュンスケ : 「だが……誰だ? このセッションには、部外者は入れないようにしていたはずだが……」


リン : 「えっ、えっと、あの、すすすす、すいません、実は、その……!」



見慣れない娘さん : 「お姉ちゃんは黙ってて!」




一同  : 「……お、お姉ちゃん!?」



リン : 「あっ、あっ……は、はい。その……この子は、ボクの妹です……」




一同 : 「い、い、妹!?」




アイラ : 「……そういえば、雰囲気が凄く似てるよねっ、顔はちょっと違うけど」


シェヴァ : 「でも、リンちゃんの妹さんが何でこんな所へ?」


リン : 「すすす、すいませんっ……と、止めたんですけど、どうしても行くってきかなくって……」



見慣れない娘さん、改めリンのプレイヤーの実妹 : 「別に私が何処に行こうが、お姉ちゃんに関係ないじゃない」



ヒルダ : 「そうかもしれんが……この場所は、あまり知られるのはマズイんじゃないか。GM?」


GM : 「うーん……確かに、極秘の研究とかあるからね、ここ。部外者が入るのはマズイけど……」




リン : 「ごっ、ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」 (ペコペコペコ)




GM : 「でも、部外者じゃなければ問題ないだろう?」


シュンスケ : 「……どういう事だ?」


GM : 「彼女にも、プレイヤーをやってもらうってのはどうかな? それなら、部外者じゃなくなるし」


シュンスケ : 「何だと……?」


リン : 「えぇっ!? い、いいんですか、GMさん?」


GM : 「あぁ。勿論、リンの妹さんがいやじゃなかったら、だけどね……どうかな?」


リンのプレイヤーの実妹 : 「……それは、 プレイヤーA って人も、参加しているんですよね」


シグ(プレイヤーA) : 「……俺?」


GM : 「ん、してるけど、それが何かしたかい?」



リンのプレイヤーの実妹 : 「だったら、私も参加します!」



GM : 「OK! という訳で、プレイヤー一人増やしたいけど、大丈夫だよな、皆?」


ヒルダ : 「私は別に構わない」


アイラ : 「私も、私もー。女の子のプレイヤー増えるの、嬉しいしね!」


GM : 「うん、皆OKっていっているから、OKだね!」



男プレイヤー一同 : 「えっ、俺たち何も聞かれてないんだが!」




GM : 「男の台詞を聞く程ヒマじゃねぇんだよ、俺は! という訳で、リンの妹さん改め、プレイヤーHさん、キャラクターつくってみよーか!」



プレイヤーH : 「……はい!」


リン : 「あ……大丈夫、プレイヤーH?」



プレイヤーH : 「お姉ちゃんに言われなくても大丈夫だから、心配しないでッ!」



リン : (ビクッ) 「う、うん……わかった。けど、解らない事があったらお姉ちゃんに聞いてね?」


プレイヤーH : 「……大丈夫だよ。お姉ちゃんは黙ってて!」


リン : 「う、うん……」(びくびく)


プレイヤーH : 「この、セッションとかいうのにお姉ちゃんの好きな人がいる……でも、お姉ちゃんトロいからきっと騙されたりしてるんだよ! そういう事にならないように、私がちゃんと見定めないと……」 (ぶつぶつ)



GM : 「はい、それじゃプレイヤーHさん、キャラクターこれ、ベースにしてつくってねー。解らない事があったら、聞いてくれ」


プレイヤーH : 「はい!」



 かくして突如現れたリンのプレイヤーの実妹は、早速キャラクターを作り始めるのだった……。



GM : 「……そろそろ、いいかな。プレイヤーHさん、キャラクターは出来た?」


プレイヤーH : 「はい、できました! ……これで、よろしいのでしょうか?」


GM : 「うん、いいね……大丈夫、データは反映されたよ。さ、これでキミの自己紹介をしてもらおうかな。はい、3,2,1……キュー!」



プレイヤーH : 「はい、名前は カエデ・スズカケ(鈴懸 楓) と言います! 16才の女の子です」


ヒルダ : 「カエデ・スズカケか……名字が、リン君と同一だな」


シェヴァ : 「ひょっとして、リンちゃんとは姉妹って設定?」


プレイヤーH(カエデ) : 「はい。あの、お姉ちゃんとは……姉上とは、実の姉妹ですから、実際も姉妹のキャラクターにしてみたのですが……いけなかったでしょうか?」


GM : 「いやいや、問題ないよ」 (というか、姉上……彼女、結構キャラクターを演じるタイプの子みたいだな)


シェヴァ : 「それで、カエデちゃんは何の職業なの?」


カエデ : 「はい! 私は、ブシドーをやらせて頂きます!」



一同 : 「おおおー!」



カエデ : 「……おかしいでしょうか?」


GM : 「いや、いいよ。今までにない職業だったから、皆テンションが上がっているんだろう」(笑)


シグ : 「俺としてはキャラグラが気になるが……ポニテ! ポニテサラシブシ子かっ!?」


カエデ : 「……いえ、ハカマをはいているおかっぱのブシドーです」


シグ : 「なーんだ」 (がっかり)


アイラ : 「……何がっかりしてんのよ、シグ」 (小突く仕草をする)


シグ : 「やめっ、頭蓋骨陥没したらどーするっ!」



アイラ : 「……本当に陥没させてあげよーか、シグ?」(ニコ)



シグ : 「いや! いやいやいや、じょじょ、冗談だよアイラさーん?」



カエデ : 「……どうやら、姉上の好きな殿方は破廉恥。そして、軟弱な男の方みたいですね」 (ぼそ)



シグ : 「……ん、何かいったかい、カエデ?」


カエデ : 「何でもありません、お気になさらずに」


ヒルダ : 「ふむ……それで、カエデはどうして冒険に出たのだ?」


GM : 「ん、やっぱり元・演劇部で設定に拘っちゃうヒルダとしてはそれ、気になる系?」


ヒルダ : 「……そうだな。差し支えなければ、教えて欲しいが。勿論、無いならないでいいんだが」


カエデ : 「一応、考えました……そう。 私と、姉上は 「スズカケ一刀流」 という道場を守っていたのですけど……姉上は昔から剣術のたしなみがなく、学問の道を志し、そのままとうとう剣の道には進まず……お医者さんになると言い出して家を飛び出してしまった……」



アイラ : 「はずが、何故か冒険者になっていた訳だね?」(笑)


シュンスケ : 「そうして聞くと、リン君も結構破天荒な人生をおくっているな」


カエデ : 「そして、風の噂で男の人と冒険していると聞いて……私は、姉上は、スズカケ一刀流の後継者を捜してくれたのだ、と思ったのです!」



シグ : 「スズカケ一刀流の後継者?」


カエデ : 「姉上が殿方と一緒に旅をしているなら、それは姉上のフィアンセなのでしょう?」




一同 : 「ふ、ふ、ふぃあんせ!?」



カエデ : 「そうです! 恋人でもない男と旅をする程、スズカケではふしだらな教育をしておりませんもの!」



アイラ : 「そんな! シグ、いつの間に!?」


シグ : 「し、知らねぇよ俺だって!?」


リン : 「ふぃ、フィアンセだなんて……な、な、何言ってるのカエデちゃん!」 (オロオロオロオロ)


カエデ : (姉の発言を無視しつつ) 「姉上のフィアンセなら、スズカケ一刀流の後継者……後継者たるもの、やはり剣の道に生きるモノではなりませんから。その実力を、スズカケ一刀流師範代である私が確かめに来た、という訳です」


GM : 「つまり、キミはリンがシグたちと冒険している、という噂を聞きつけ、シグの実力を見定めに来た、って所かな」


カエデ : 「その通りですね」


シグ : 「という事は、俺が見定められるって訳か……仕方ねぇ、頑張らねぇとな」



リン : 「えっ!?」 (照)


アイラ : 「ちょ、ちょっとシグ! 頑張るとかっ……べ、べ、別にシグはリンちゃんと結婚して、家を継ぐ訳じゃないでしょう!」



ヒルダ : 「そ、そ、そうだぞ! 坊ちゃんは、その……モーゼス家の嫡男なのだ! スズカケ一刀流とやらをっ、継がれては……わ、わ、わ、私が困る!」




シグ : 「? でもよォ、俺がここで頑張らねぇで、カエデがリンを連れて帰ったりした方が、マズイだろ?」


シェヴァ : 「うん、確かに今のカエデちゃんなら。 『このような殿方、姉上には相応しくありません! このような殿方にたぶらかされて旅をするなど、言語道断です! 家に戻り、すぐに私が選んだ相応しい相手とお見合いをして頂きます!』 とか言いながら、リンちゃん連れて帰っちゃいそうだもんね」



カエデ : 「当然です。姉上には、相応しい殿方をおムコにしないと!」


シュンスケ : 「この段階で、メディックであるリン君が連れて行かれてしまったら、致命的だな……」


シグ : 「だろ? やっぱり、俺が頑張らねぇとな」



アイラ : 「うううう、確かにそーだけどォ……」


ヒルダ : 「むむむむ……」


リン : 「はうはうはうはう…………」 (照)



シェヴァ : 「でも、シグがあんまり頑張りすぎるとアレだよね。 今のカエデちゃんなら。 『す、素晴らしい……こんなにもお強い方だとは! すぐに我がスズカケ家の跡取りとして、婿としてきて下さいまし! すぐに祝言をあげますわ!』 とか言いながら、シグを連れて帰っちゃうかもね」(笑)


カエデ : 「そうですね。それほどまでに卓越した才覚をお持ちであれば、すぐに婿にきて頂きたい所ですが……」




アイラ : 「えー、それは駄目。駄目駄目駄目駄目、だめー!」



ヒルダ : 「そ、そ、そうだっ! い、い、いきなり結婚などっ……け、け、けしからん!」



リン : 「し、し、シグとっ、し、し、し、祝言っ!? はうはうはう、はにゃー」 (※脳内回路がショートしたようです)




シグ : 「……何いきなり怒ってんだよ、アイラ? 姉弟子?」


GM : 「……何故二人が怒っているか解らないシグに、全俺が嫉妬だ」


フィガロ : 「…………ホント、モテるねぇ。シグは」



カエデ : 「ともかく……姉上のフィアンセの方を、見定めさせて頂きます! よろしくおねがいします!」 (ペコリ)


フィガロ : 「あはは、仲間な訳だから堅苦しいのはナシさね……一緒に、頑張ろう? ねぇ、カエデちゃん……」 (と、言いながらカエデの肩を抱こうとするが……)



リン : 「あっ……いけません、フィガロさん!」


フィガロ : 「えっ?」




カエデ : 「ぶ、無礼者ー!!!」 (いきなり上段の構え→ぶった斬り!)



フィガロ : 「……ぎゃん!?」



リン : 「妹は、ちょっと、その。男性恐怖症の所があって、男の人に触られたりすると、無条件に手が出てしまうみたいなんです……」


シグ : 「リン、それもう、アニキの耳には届いてないぜ……」


フィガロ : 「ぴよぴよぴー」





> 第一層への旅〜肉乙女付き




GM : 「という訳で、カエデちゃんをいれてのセッション、始めようか!」


カエデ : 「はい、よろしくお願いします!」


ヒルダ : 「しかし、いいのかGM。彼女は、今回たまたま来ただけだろう。毎回セッションに参加する訳でもあるまい」


シュンスケ : 「……問題ないだろう? 確か、金鹿の酒場にあるクエストにレベル20のブシドーに会いたい、というモノがあった。彼女にそのクエストをクリア出来るまで、今回限りのスポット参戦という事で」


GM : 「そうだな……カエデちゃんもその方がいいだろう?」


カエデ : 「はい、よろしくお願いします!」 (ペコリ)


リン : 「あ……私からも、ヨロシクお願いします……」



カエデ : 「もー、姉上は黙っててって言ってるでしょ!」 (ギロっ)



リン : 「……ふぇっ」 (びくびく)


シグ : 「しかし、参ったな……。レベル20なんて、下層におりて敵と戦えばすぐだろうと思っていたけど……」



フィガロ : 「それじゃ、早速冒険に出るとするさね。カエデちゃん?」 (と、手を伸ばそうとする)


カエデ : 「……お覚悟ッ」 (チャキっ、と無意識に上段の構え)




フィガロ : 「ちょ、俺まだ何もしてないんだけれども、いきなり切る方向はどうかと思うよ!」




シュンスケ : 「オマエは斬られるくらいでちょうどいいと思うが……」


シグ : 「……カエデちゃんが、こんなにまで男が苦手だと、いきなり地下で戦うのは無理だぞ?」


シェヴァ : 「女性キャラはリンちゃん、ヒルダちゃん、アイラちゃん。カエデちゃん含めて4人しかいないし……」


リン : 「でも、ボクがいれば多分、下層でも大丈夫ですよ……?」




カエデ : 「姉上の助けなんて必要ないですっ!」 (キッ)




シェヴァ : 「リンちゃんの支援を、肝心のカエデちゃんが拒んでいるんだから、無理は出来そうもないよ?」


リン : 「うううう……」


ヒルダ : 「……暫く浅い迷宮で修行をした方がいいだろうな」


シグ : 「そうだな。戦っているうちに、俺たちにも慣れてくるかもしれないしな!」



GM : 「じゃ、暫くカエデちゃんと第一階層あたりで戦うって事だね?」


シュンスケ : 「そうだな……本当なら、フィガロと二人組ませてホーリーギフトの恩恵に預かった方がレベルは上がりやすいのだろうが、何せ」



フィガロ : 「もう、そんなに警戒しなくてもいいじゃないのかねぇ……」


カエデ : (ギロッ) 「覚悟なさい……」


フィガロ : 「あーもぅ、だから! 無言で上段の構えは、どうかと思うさね!」



シュンスケ : 「フィガロにここまで敵愾心を抱いているのであれば、それも無理そうだしな」(笑)



シェヴァ : 「何故だろう、シュンスケ楽しそうだ」


GM : 「普段非道い目にあわされてる相手が、非道い目にあっているからだろう?」(笑)


シグ : 「何にせよ、無理はできねぇだろ、メディック抜きだしな……それじゃ、浅い階層の探索からはじめるとするか……」




アイラ : 「はいはいはいはーい! だったら、それ、アイラさんがやります! アイラさん、カエデちゃんと冒険したーいでーす!」




シグ : 「……アイラ?」


アイラ : 「アイラさんも、久しぶりの復帰戦だし、身体なまっているといけないから。 軽い準備体操で、カエデちゃんと二人で、第一階層潜ってくる、でどうかな?」


シェヴァ : 「第一階層とはいえ、迷宮を二人で行く事を軽い準備体操とか言い放つアイラちゃんの姿勢はどうかと思うけど」(笑)


シグ : 「でも、アイラの実力なら問題は無ぇだろ……確か、スノードリフトもまだ復活してねぇし。リスクも低いもんな、参謀?」


シュンスケ : 「……そうだな」


シグ : 「よし、参謀の許可が出たぞ! アイラ、早速カエデをつれて、迷宮へ潜ってくれ!」


アイラ : 「らじゃーりょーかーい! よろしくね、カエデちゃん」


カエデ : 「あ……は、はい! ヨロシクお願いします、えっと……」


アイラ : 「私の事は、アイラでいいよ?」


カエデ : 「はい……それでは、アイラ様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」


アイラ : 「あ、アイラ様っ……何か、様とかは、はは、恥ずかしいけど……」


カエデ : 「ですが、アイラ様は私の先輩ですから……」


アイラ : 「うーん。カエデちゃんがその方がいいっていうなら、それでもいいよ?」


カエデ : 「はい! それでは、改めてヨロシクお願いしま……」


アイラ : (と、突然抱きつきながら) 「……きゃー、カエデちゃんもリンちゃんみたいに小柄だねー、かわいー! かわいー! ね、ね、メイド服着てみる? 巫女さんの方が似合うかなっ? きゃー。肌すべすべー、可愛いー、可愛いー、もう、お持ち帰りぃ!」



カエデ : 「ひゃっ! ああん、ややや、やめてください、アイラ様ー! いやぁ、そんな所触らないでくださいっ、あぁん!」



ヒルダ : 「……坊ちゃん。彼女とアイラ君と二人っきりにして、果たして良かったのか?」


シグ : 「……俺も今、少し後悔した」(笑)



 と、多少の不安を残しながらも、第一階層はアイラとカエデの二人が地下へ潜る事となるのだった……。



GM : 「という訳でキミたち二人は、樹海に降り立った訳だ……久しぶりの第一階層、緑ノ樹海だ!」


アイラ : 「うーん、久しぶりここー、新緑、きもちいーい!」


カエデ : 「……お、思ったより、リアルなんですね……樹海」


アイラ : 「ねー、本当の森に居るみたいだよねー?」


カエデ : 「そ、それで私は何をしたら……刀を構えたらいいですか? それとも……」 (オロオロ)


アイラ : 「えっと、とりあえず、カエデちゃんは新人さんだし。何があるかわからないから、後衛でいいよ。私の後ろに下がっていてね!」


カエデ : 「は、はい!」



GM : 「そんなキミたちが迷宮を歩いていると、早速モンスターがあらわれたー。ひっかきもぐら、3体だだだだっ!


カエデ : 「モグラなんて怖くありません! お覚悟っ……って、な、なんですかあれ! モグラなのに、あんなに大きい……ッ」(ビクッ)


GM : (お、カエデちゃんが怖がっているな? よし、いまのうちに攻撃を……)



アイラ : 「アイラさんの攻撃ぃー、効果は抜群だぁっ!」 (ずんばらや!)



GM : 「って、やっぱりアイラの方が攻撃早いよな……うん、倒れた」


アイラ : 「えへへ……カエデちゃん、大丈夫だよ! こいつら、確かに大きいけど私が守っているし。それに、見た目ほど強くないから、こいつら!」



カエデ : 「そ、そうですか……それなら、アイラ様、助太刀致します……お覚悟!



GM : 「あ、攻撃はカエデちゃんの方が早いのか……うん、これでもう一匹やられた。やっぱり、レベル1でも装備が整っているとこの階層の敵でも簡単に倒されるなぁ……逆に、ひっかきもぐらの攻撃はアイラちゃんに大きなダメージは与えられないし」



アイラ : 「強くなったから痛くないっ!」



シグ(外野より) : 「流石アイラ、筋肉の鎧をまとっているだけあるな! ぶっちゃけ、敵もその筋肉だけで倒せるんじゃねぇのか? ボンバータックルって!」




アイラ : 「望み通り喰らわせてやるぞー! アイラさん、100%中の100%の、ボンバータックルっ!」



シグ : 「ちょ、こらアイラ! 外野から攻撃してくるな!」


アイラ : 「そういうなら、外野から口出ししないでくださーい、ふんだ!」


カエデ : 「あ、アイラ様。油断しないでください。まだ、敵がいます!」



アイラ : 「あ、そうだったね。という訳で、どっせーい!


GM : 「あ、それで倒れた……うん、終了だね。ひっかきもぐらを退治した!」


アイラ : 「やったぁー、ぶいっ!」


カエデ : 「……よかった。お強いですね、アイラ様!」


アイラ : 「当然だよっ、カエデちゃんより先輩だし! それに、アイラさんレベルも相当高いし!」



シグ(外野より) : 「肉のカーテンをまとっているしな!」



アイラ : 「シェヴァさーん! 私の代わりにその男に、ヘッドボンテージしておいてー!」



シグ : 「ちょ、まてアイラ、何で人をつかっているんだ、こら!」


シェヴァ : 「了解したのだ! ヘッドボンテージ!


シグ : 「ぽげらっ!」



カエデ : 「シグ様は、どうやらなかなかのお調子者のようですね……軟派なんですね、きっと……姉上、きっとチャラチャラしたシグ様に騙されているんです……ボーっとしているから、姉上……」(ぶつぶつ)


GM : 「ん、何言ってるんだ、カエデ君?」


カエデ : 「何でもないですわ、それじゃぁ、先に進みましょう!」


アイラ : 「そうだね、それじゃ、行くよー!」



 かくして、たった二人の迷宮探索。

 ではあるが、すでに埋まっているマップで迷う事がなく……。




アイラ : 「あれ、ここって右だっけ。左だっけ、シェヴァさーん? ……あ、居ないか。マップはシェヴァさんにまかせっきりだったからな……」


カエデ : 「私にお任せ下さい、アイラ様! ……この階段の方に行けばいいのですね、ならばこちらです!」



シェヴァ(外野より) : 「いやいや、カエデちゃん。その階段は、登り階段……そこだと、さっきの階に戻っちゃうよ?」



カエデ : 「あら……お、おかしいですね。地図も、よく見ると違うみたいですし……」



シェヴァ(外野より) : 「え? ……まって、その地図逆さまだよっ!」



 ……多少迷っているものの、何とか進み。

 また、当時強敵だったF.O.Eたちも。




GM : 「狂える角鹿の登場だ! どうする!」



アイラ : 「ボタン鍋にしてやる!」 (ずんばらや!)



カエデ : 「アイラ様、鹿はボタン鍋じゃなく、もみじ鍋ですよ? ぼたん鍋は、猪です」



アイラ : 「あれ、そーだった?」


GM : 「どっちにしても、一撃で屠られたのは一緒だよ……とほほー」



 わんぱくでも逞しく育ったアイラの敵ではなく。

 サクサクと倒され。




アイラ : 「はーい、B5階段到達ー。無事、一階層の探索を終了しましたー」


カエデ : 「ほっ……」


 あっという間に、探索は終了するのだった……。




>第二階層への誘い〜平成装合戦ぽんぽこ。



GM : 「という訳で、キミたちは無事にこの階層に戻ってきた、と」


アイラ : 「ただーいまっと!」


カエデ : 「ただいま戻りま……!!」



 ギルドに戻り、カエデは思わずその足を止める。

 何故なら……。




フィガロ : 「あ、おかえりさね。カエデちゃん、アイラちゃん!」 (キラッ☆)



 そこには、みっくみくなコスプレをしている吟遊詩人。

 フィガロの姿があったからである……!!





アイラ : 「ふぃ、ふぃ、フィガロおにーさまっ! な、な、何をしているんですか、そんほ格好……!?」



フィガロ : 「ン……あぁ、これかい? 初音ミクだけど、それが何か?」



アイラ : 「そ、それは見れば解りますけどっ……何でそんな格好を?」


フィガロ : 「あぁ、バードだから……吟遊詩人的には、ボーカロイドすべきかなぁ、と思って」


アイラ : 「いやいや、なんで初音ミクのコスプレを選んだか、じゃなくて……その、何で女装なんてしているのかな、って事ですよ!」



フィガロ : 「あぁ……それは。ほら、カエデちゃんは、男性が苦手みたいだろう?」


カエデ : 「確かに、得意ではありませんが……」


フィガロ : 「だから、いっそ俺たちが女装して、女と思えば大丈夫かと思って、思い切ってしてみた訳さね!




カエデ&アイラ : 「えぇぇええぇえぇえええ!」




フィガロ : 「でも、意外と様になってるだろ?」


アイラ : 「そうですねー! 似合いますよ、フィガロお兄さま!」 (←コスプレ好き、女装も結構イケる口)


フィガロ : 「だろっ? 一応、パンツもストライプにしてんだよ」 (ちらり)



カエデ : 「キャー! キャー! そんな汚いモノ、見せないでくださいませー!!!」



フィガロ : 「きたなっ……そんな、毎日洗濯しているけど?」


ヒルダ : 「……だが汚らわしいのは事実だろうが! 全く、貴様はっ、異性の前だぞ自重せい!


アイラ : 「あ! フィガロお兄さまがみっくみく♪ の格好しているって事は! 他の人は! 具体的には、シェヴァさんはどんな格好しているのかなー! 個人的にはメイド希望! メイド、メイド!」



シグ : 「……残念ながら、メイドは俺だ」 (と、いいながらギルドより出てくる)



アイラ : 「わー、きったない女装!」



シグ : 「一目見て俺に、失礼だぞオマエはっ!」(笑)



ヒルダ : 「だが、お世辞にも美しくはないぞ、坊ちゃん」


シグ : 「姉弟子も冷静に言うな……俺だって、カエデに馴染んでもらおうと恥を忍んで着たんだぞ!?」


アイラ : 「でも、気持ち悪いのは事実だから仕方ないじゃない」


シグ : 「気持ち悪い気持ち悪いって……だったらシェヴァの格好だって相当おかしいんじゃないか!」 



 と、言いながらシェヴァを指さす。

 そこには、すくみずにオーバーニーソックス着用の、シェヴァの姿があった……。




GM : 「キミはこの姿に萌えを抱いても、抱かなくても良い!」


シェヴァ : 「も、萌えられたら俺が困るッスよ! うううう、やばいこれマジで、恥ずかしいッ……ふともも、ぴっちぴちだこれ……って、スク水って何だよ! 誰の趣味だよ、どうしてこういう衣装が準備してあるんだよ! ううううう……」



シグ : 「どうだこの女装、相当アレだと思うが……」




アイラ : 「きゃうううううーん、シェヴァさん可愛いよシェヴァさーん! はーうー! お持ち帰りぃ!」



シグ : 「俺と反応が違いすぎるだろ、JK!」 (※女子高生可愛いの略ではありません、常識的に考えて、の略です)



ヒルダ : 「……確かに、シェヴァには坊ちゃんと違い何故か愛らしさがあるんだよな」


シェヴァ : 「ううう、嬉しく無いよヒルダ! というか、これ着替えていい? 着替えていい? 俺もう、限界だよっ!」


リン : 「シェヴァさん、可愛いですから大丈夫ですよ?」


シェヴァ : 「だから嬉しくないっつーの! あー、もう限界! やっぱり着替えてくるっ!」



 シェヴァが、着替えの為に退出したようです……。



アイラ : 「……あれ、ところで、シュンスケさんは?」


シュンスケ : 「……俺ならここに居る」


アイラ : 「あ、シュンスケさ……」



 振り返ったアイラは、驚き声を失う。

 そこに居たのは、普段長い髪を一つに束ね、チャイナ服を身につけたシュンスケが立っていたからだった。



アイラ : 「シュンスケさん!?」



 だが彼女が言葉を失ったのは、シュンスケのようなタイプまで女装をしているという事実ではない。

 その女装のクオリティが、驚く程高かったからである……。




シュンスケ : 「……何だ?」


アイラ : 「えっ! いや、そのっ……シュンスケさんて、ちゃんと髪整えると凄い美人なんですねー、ビックリしました!」


ヒルダ : 「あぁ、これは私も意外だった……似合っているな、シュンスケ」


シュンスケ : 「嬉しくない……」


アイラ : 「衣装も、案外違和感ないし!」


シュンスケ : 「あぁ……アルケミストの衣装は、元々チャイナ風をアレンジしたものだからな。違和感が少ないのだろう」 (※世界樹の迷宮公式設定資料集参照)


アイラ : 「という事は、汚い女装はシグだけ、って事ねー」



シグ : 「汚いとかいうな! ……だが、とりあえず俺たちは努力をした! カエデが少しでも早く俺たちに馴染むように……どうだ、カエデ! これで、俺たちは女の子だ! これなら俺たちと冒険出来るだろう!」



カエデ : 「む、む、無理ですっ! ごめんなさい!」



シグ : 「あー、やっぱりかー……」


カエデ : 「どうやら、思っていた以上にバカみたいです……姉上、こんなバカに騙されるなんて……」 (ぶつぶつぶつ)



シグ : 「ん、何かいったか、カエデ?」


カエデ : 「えっ!? べべ、別に、何でもないです!」


GM : 「で、どうする? 次は第二階層行くのかい? メンバーは?」


アイラ : 「私、さっきの階層で受けた傷を治したいから、泉にいきたいけど……」


カエデ : 「アイラ様の腕が素晴らしいのはわかりました! まだ勉強したいので、ご一緒してくださいませ!」 (ペコリ)


アイラ : 「えへへー、だったら私、頑張っちゃうんだからね!」


GM : 「了解、アイラとカエデと……他に誰か連れて行くかい?」


シグ : 「少し男面子に慣れて欲しいから、組むなら男がいいんだがなぁ……」


フィガロ : 「……だったら、シェヴァが適任なんじゃないかねぇ? シェヴァ(のプレイヤー)は、昔から女の子と仲良くなるの得意だったしねぇ」


ヒルダ : 「確かに、シェヴァは女性的だな」


リン : 「ボクも、男の人には人見知りする所があったんですけど、シェヴァさんにはすぐ慣れましたし!」


アイラ : 「機能的には女の子だしね、シェヴァさん!」


シュンスケ : 「……」



シェヴァ : 「ふー、いつもの服落ち着くー」 (※着替えて来た)


シグ : 「お、ちょうどよかった。カエデ、あいつがシェヴァなんだが、アイツとなら冒険出来そうだろ? どうだ、組んでみないか!」


カエデ : 「でも、男の人は……」


アイラ : 「私も居るから大丈夫だよ。ね、シェヴァさん。一緒に、冒険しよー!」


シェヴァ : 「ほぇ? いいけど、何で?」



シグ : 「皆と話し合った結果、オマエが一番適任だという事になったからだ!」



シェヴァ : 「おお! やっと、俺の実力が解ったって事だね。うん、おれ、強くなったもん! 男らしくなったもん、なー、シュンスケ?」



シュンスケ : 「…………あぁ」


シェヴァ : 「えへへー、俺、たくましー。よし、頑張って冒険するぞー」



シュンスケ : 「……ホントの事言ったら、シェヴァ悲しむだろうな」


GM : 「だな、黙っているのも優しさだぞ、シュンスケ君」




カエデ : 「……よろしくお願いします、シェヴァ様」


シェヴァ : 「うん、よろしくね、カエデちゃん!」 (と、手を差し出す)



カエデ : (ビク) 「……」


シェヴァ : 「はい、これ、あくしゅ!」


カエデ : 「……あ、はい。握手ですね……」 (おそる、おそる……ぎゅ



シェヴァ : 「よろしくねー、カエデちゃん!」 (ぶんぶんぶん!)


カエデ : 「あ、ほんとだ……この方は、大丈夫です……」


シェヴァ : 「ほぇ、何が?」


カエデ : 「なな、何でも御座いません!」



 かくして、男キャラに慣れる為にシェヴァをパーティに入れ。(シェヴァ本人はその理由を知らない)


 前衛:アイラ・シェヴァ

 後衛:カエデ


 の、三人だけの迷宮探索が始まった。

 三人だけの迷宮探索という事で、当初。




シュンスケ : 「……メディカはちゃんと入っているな?」


シェヴァ : 「えっと……うん、入ってる!」


シュンスケ : 「そうか。もし毒を受けても、テリアカβでなおせるからな」


シェヴァ : 「わかってるよ!」


シュンスケ : 「途中、見慣れない敵が居たら全力で逃げろ。アリアドネの糸も遠慮なく使え。撤退は恥ではないぞ」


シェヴァ : 「はーい!」


シュンスケ : 「ジュースとおやつは、鞄に入っているからな」




シェヴァ : 「もー、わかってる! いい加減にしてくれよ! おれ、子供じゃないんだぞっ!」



 参謀様の心配はピークに達していたものの、すでに第4階層まで踏破しているさばみそギルドの実力は嘘ではなく。



カエデ : 「ジャイアントモアです、アイラ様! シェヴァ様!」



シェヴァ : 「食材調達のレッグボンテージ!」



アイラ : 「そして、速やかに調理のヘッドバッシュ!


 と。

 ここでもF.O.Eは瞬殺の憂き目にあい。




シェヴァ : 「ここの道を真っ直ぐ進むんだよ」


カエデ : 「こ、ここをですか……!? だって、何か刺とかあるじゃないですか、あの床!」



シェヴァ : 「うん。でも、右足が痛いと思う前に左足を出して歩けば、痛くはないよ!」



アイラ : 「なるほどー、シェヴァさん頭いい!」


カエデ : 「あ、アイラ様、冷静になってください! その論理がいけるのでしたら、水の上を走る論理が成り立ってしまいますよ!」」


アイラ : 「あれー?」



 途中、ダメージ床にひるむ事こそあるものの。

 マッパー経験のあるシェヴァのおかげで、迷う事もなく。





シェヴァ : 「ただーいまっと!」


アイラ : 「ケルヌンノスさん、復活してたからせっかくなんでいてこましておいたよー!」


カエデ : 「……あら、あの方、ボスだったんですね?」



 さりげなく、あっさりとボスキャラも片づけられ。



GM : 「しくしくしく……本当に、ケルヌンノスはいい格好出来ないな……格好いいから気に入っているのに……」



 涙するGMを背後におきつつ。

 第二階層も制覇されるのだった……。





>第階層→第四階層 : ダイジェストでGO!




GM : 「という訳で無事に戻ってきた訳だけど」



フィガロ : 「みっくみっくにしてやるさねー」 (初音ミクのコスプレで)




カエデ : 「きゃぁ、まだ、そのっ。女人の仮装を続けてらっしゃるのですか、フィガロ様!?」




フィガロ : 「ン? あぁ、おかえり、カエデちゃん?」


アイラ : 「私もいるよ! ん、でも。どうしてフィガロさん、まだ女装しているの?」



フィガロ : 「いやぁ、俺はもういい、って言うんだけれども、シュンスケ君がどうしても! って言うもんだから……」



シュンスケ : 「別に言ってない!」 ※ちなみに、シュンスケさんはもう女装をやめてます。



フィガロ : 「あれ、女装した俺には興味ない?」


シュンスケ : 「根底から、オマエには興味がない」


フィガロ : 「そんな事言って、俺のストライプパンツが見たいんだろ。仕方ないなぁ、シュンスケ君には特別だよ……」 (ぴら)




カエデ : 「!! きゃー、きゃー! けけけけけけ、汚らわしいモノが見えました……成敗致します!」



 どんがらがっしゃーん!



カエデ : 「悪・即・斬! です」


フィガロ : 「ぴよぴよぴー」



リン : 「……それで、カエデちゃん。レベルは、あがってきたの?」


カエデ : 「あ、姉上には関係ありません!」


フィガロ : (むっくり起きあがりながら) 「んー……まぁ、殴られた感じの痛みは随分強くなってきたけど、まだまだ。だねぇ? もう少し鍛えた方がいいかね」


シグ : 「うーん、やっぱりフィガロが居た方がレベルは早くあがるよなぁ……カエデさえよければ、フィガロといっしょにパーティを組んでくれないか?」


カエデ : 「ふぃ、フィガロ様と、ですか……」 (後ずさり)


フィガロ : 「そんな、露骨に嫌がる事ないじゃないさね」


ヒルダ : 「嫌がる事ばかりするからだろうが……心配するな、カエデ君。キミが心配であるというのなら、この私が全力でフィガロの魔の手からキミを守ろう


フィガロ : 「ヒルダまでっ! 魔の手って……そんな、これでも同意のない行為はしない主義なんだけどねぇ?」


シュンスケ : 「それが俺に同意のないセクハラをする男の台詞か?」


シグ : 「ははは……アニキはまぁ、こんなだけど役に立つぜ。主に経験値的な意味で」


リン : 「そうです、フィガロさんは役に立ちますよ。経験値稼ぎには!」


シェヴァ : 「アニキ、経験値稼ぎにはいいもんね!」




フィガロ : 「激しく貶められている気がするさね!!!」




カエデ : 「ううう……男の人は、あの、苦手なんですが……ヒルダ様が、守ってくださるなら……」


フィガロ : 「ほいじゃ、決まりだね。うん。それじゃ、ついていくとするよ」


カエデ : 「ヨロシクお願いします、フィガロ様」


フィガロ : 「あぁ、よろしくねカエデちゃん、ところで……」


カエデ : 「何でしょう?」




フィガロ : 「女装している俺と、女装してない俺。どっちの方で付いていくのが、カエデちゃん的には好みかねぇ?」



カエデ : 「……普通の衣装でお願いします」



 かくして。


 前衛 : アイラ・ヒルダ・シェヴァ

 後衛 : フィガロ・カエデ


 を添えての、迷宮探索が始まるのであった……。




フィガロ : 「という訳で、ヨロシクねカエデちゃ……」


カエデ : (ギロッ) 「成敗……」



フィガロ : 「ちょ、まだ何もしてないでしょーに!!!」




ヒルダ : 「確かにそうだが、これからしない、という保証はないからな……前倒しして殺しておくべきかもしれん」


カエデ : 「確かに、それで不幸になる女性の数字は減りそうですね!」


フィガロ : 「うう。俺、本当にそこまで非道い事してないけどねぇ……ただ、少子高齢化に歯止めをかける事にアグレッシブなだけというか……」



ヒルダ : 「ともかく、フィガロがキミに何かしたらこの私がすぐさま、シールドスマイトしよう。安心するがいい」


カエデ : 「は、はい」



アイラ : 「はいはいはいはーい、それじゃ、アイラさんはヘッドバッシュするー」



フィガロ : 「あ、アイラちゃんまで!?」



シェヴァ : 「じゃ、おれレッグボンテージぃ!」



フィガロ : 「シェヴァ、オマエもか!」



 と、フィガロのセクハラは完全封じられた第三階層。

 敵はこれまでと比べて強くなるものの、それでもすでに第4階層まで制覇しているさばみそギルドの敵ではなく。




GM : 「フォレストバットが現れたぞ! さぁ、どうするヒルダ!?」


ヒルダ : 「かつての私であれば慌てていただろうが、今はもう敵ではない……斬る!」 (ざむっ!)


GM : 「あぁぁあぁ! 流石に、強くなったなヒルダ……それで、倒れた」



カエデ : 「流石ですわ、ヒルダ様」 (ぱちぱちぱちぱち)


ヒルダ : 「ふむ……戦い、というモノを楽しむ訳ではないが、かつて苦戦した敵を倒せるようになるのは、嬉しいものだな……」


アイラ : 「あ、それわかる! 私も、最初に苦戦したはさみかぶとを一撃で屠る事が出来るようになった時、嬉しかったもん!」


シェヴァ : 「でも、ヒルダちゃん本当に強くなったよね。以前は結構狼狽えてたのに……」


ヒルダ : 「そうだな……」


GM : 「あ、と思ったらまだ生きてた。フォレストバット」 (ばたばたばたばたばたっ!)



ヒルダ : 「ひゃぅうぅ! はにゅぅう! ひゃぁぁぁ! それ、誰か早く倒してぇー!!!」



シェヴァ : 「あ、いつものヒルダに戻った」



カエデ : 「お覚悟ー! (バサッ) ……もう大丈夫ですよ、ヒルダ様?」



ヒルダ : 「う、うう、すまない……カエデ君……」


フィガロ : 「うーん、ヒルダも、何時もあの位なら、可愛いんだけどねぇ……」



 途中、ヒルダが少々苦戦している風に見えるものの、F.O.Eも。



GM : 「這いよりし暗殺者が現れた! コレは、ワニのモンスターだ」




アイラ : 「よっしゃー、ハンドバッグゲットー!!!」




GM : 「おおお、常にモンスターをみれば食材と思うアイラが、はじめて食より衣に反応した!


アイラ : 「だって、私だって女の子だもん。お洒落気になるもん!」


シェヴァ : 「ワニ革って高級なイメージするしね!」



カエデ : 「でも、ワニってお肉も美味だと聞きますよ。アイラ様」




アイラ : 「おおおお! 俄然やる気になってまいりましたー! 食べてよし着てよし、万能ワニさんぶったぎっちゃうぞー!!!」



フィガロ : 「…………本当に、アイラ君は逞しいねぇ」


GM : 「素敵だ」(笑)



 あっけなく、アイラのハンドバックとして加工され。

 また、その途中。




カエデ : 「いやっ、この敵、強い……!?」



フィガロ : 「!! カエデちゃん、危ない!」 (ガキン!)



カエデ : 「……フィガロ様?」


フィガロ : 「ふぅ……危なくなったら、すぐフォローしてもらうように言うんだよ? 余裕がある奴が拾ってやれるからねぇ……全く、シュンスケ君といい、皆どうも無理しすぎるからいけないねぇ……」


カエデ : 「あ、ありがとうございま……」




ヒルダ : 「何をしている、フィガロ! カエデ君に触れるなとあれほどいっただろう……シールドスマイト!」



アイラ : 「わーい、セクハラ成敗、ヘッドバッシュだー!」



シェヴァ : 「追い打ち行くぞー、レッグボンテージぃ!」



フィガロ : 「ちょ! おまえら、冷静に状況を見極めて判断してほしいさねっ! 俺という先入観をすてて……ぐぁぁあぁぁぁああぁ!」




カエデ : 「フィガロさまー!」



アイラ : 「あ、三点縛り完成した! シェヴァさん、いっとく?」


シェヴァ : 「おお、エクスタシーいっとく!」



フィガロ : 「お、おまえら、鬼さね……数多の化けモノを見てきた俺だけど、やっぱり人間が一番恐ろしいさね……」




 ……有らぬ疑いがかけられて、フィガロが冤罪で成敗される事がありつつも。

 皆は特に大きな困難もないまま、順調に第4階層まで進んでいった……。





カエデ : 「という訳で、ようやくレベル20になりました!」



ヒルダ・アイラ・シェヴァ : 「おー!」 (ぱちぱちぱちぱち)


 ※フィガロさんは三点縛りされたまま、床に放置されています。



カエデ : 「皆様のおかげで、姉上の力を借りる事もなく目的を達成できました! ありがとございます!」



フィガロ : 「まぁ、これで目的は達成出来た訳だし……どうする、そろそろ帰るかい? それとも……」 (※復帰した)


シェヴァ : 「…………」 (じーっ)


フィガロ : 「ん、シェヴァ。どうかしたのかねぇ?」


シェヴァ : 「ほぇっ!? いや、その……ほら、見てアニキ。あそこに、あんな穴なんて……あったっけ?」



 シェヴァはそう言いながら、迷宮突き当たりの壁を指さす。

 そこには、巨大な 何か が通り抜けたような、大きな穴が存在していた……。




ヒルダ : 「いや……知らないな、私は少なくても、あんな穴は見た事ないが……」


アイラ : 「え、え、ほんと! 私、ここきたの初めてだからわかんないけど……結構大きい穴だよ? 見落とすかな、あれ……」


シェヴァ : 「いや、あんな穴、絶対なかったって! 俺、マップは壁まで結構調べるタイプだもん!」


カエデ : 「じゃぁ……あれは、何でしょう? 大人の大きさほどありそうな、穴ですが……」



一同 : 「うーん……」



フィガロ : 「ま、考えても仕方ないさね。とりあえず、一度戻って、参謀殿やリーダーの意見を聞いてこよう」



一同 : 「はーい!」



 かくして、一度エトリアに戻る事となったさばみそギルドご一行。

 だが、それは新たな戦いの幕開けに過ぎなかった……。




フィガロ : 「俺たちの戦いはこれからさね!」


シュンスケ : 「打ち切り漫画みたいな事を宣うな」





> 幕劇 〜 妹





 幕間劇がはじまる。

 それは、平穏な皆のはなし。


 そして。

 綱渡りの日常、最後の一幕。


 ・

 ・

 ・



 セッション途中、都内某所。(いつもの場所)




西園寺馨(GM) : 「さて、と……ここらで一息つこうか。一段落ついたと思うし、ゲームは一日一時間って某名人も言ってるしね!」


神崎高志(フィガロ) : 「某名人って、また昭和世代にしかわからないネタを使うねぇ、GMさんは……」


桐生若葉(アイラ) : 「ねー、兄さん。某名人って誰? 羽生名人?


桐生和彦(シグ) : 「知らね。毛利名人じゃね?」


七瀬澪(シェヴァ) : 「違うよ、橋本名人だよ!」


椎名淳平 (シュンスケ) : 「……それだけ名人が出て、何故本家の高橋名人の名が出ないのだろうな、この面子は」(笑)


滝 睦 (ヒルダ) : 「ひねくれ者なのだろう、皆」(笑)



西園寺 : 「さて、さばみそギルドの面子がいい加減でひねくれものなのがわかった所で……さて、リン@芹沢梨花さん。そろそろ、今日つれてきたキミの妹さんの紹介をして頂けないかな?」



芹沢梨花 (リン) : 「あ……はい! ほら、さなちゃん……前に出て、みんなに挨拶して。ね?」


カエデ : 「も、もう! やめてよ、お姉ちゃん、さなちゃんなんて……お家じゃないんだから!」


梨花 : 「……でも」


カエデ : 「お姉ちゃんが心配しなくても、ちゃんと挨拶くらいできますっ! ……皆さん、始めまして。私は、 芹沢 早苗 (せりざわ さなえ) といいます。梨花お姉ちゃん……姉さんとは、二つ違いの妹になります。ふつつか者ですが、ヨロシクお願い致しますね」 (ペコリ)



一同 : 「よろしくー」


 と、そこで各々、自己紹介をはじめる……。



若葉 : 「はうはうはうはう、可愛いよー、お持ち帰りしたーい」 (うずうず)


桐生 : 「……俺も、同じ妹キャラとは思えないな。うちの妹と、是非トレードしたいぜ!」


若葉 : 「わぁ、急に燃えるゴミの日のゴミ出ししたくなった! 兄とか!



桐生 : 「若葉さん最高! 若葉さんが俺の妹でよかったなぁ!」 (棒読み)



若葉 : 「解ればよろしい!」



芹沢早苗(カエデ) : 「今回は、えっと……お姉ちゃんが、最近楽しそうにしているから、何だろうと思って参加しました」


梨花 : 「た、楽しそうだなんて、そんな……」


早苗 : 「楽しそうじゃない、お姉ちゃん。特に、和彦さんの話してる時は……」


桐生 : 「オレ?」



梨花 : 「そそそそそ、そんな事ないよ! 何いってるの、さなちゃん! もー、さなちゃん!」



早苗 : 「そ、そんな怒鳴らないでよおねーちゃん……んー、でも、実物見ると、お姉ちゃんの好みって本当、変わってるというか……」


桐生 : 「?」


早苗 : 「私は、あの神崎さんって人とか、七瀬さんって人の方が素敵だと思うけどなぁ……二人とも、すっごく格好いいし。どうして、お姉ちゃんって、ちょっと変わった男の人が好きなんだろう?」 (ぶつぶつ)



神崎 : 「という訳で、まぁ、お近づきの印に。早苗ちゃん……」 (と、彼女に触れようとする)




早苗 : 「えっ!? きゃ、きゃーーー!!!?」 (バキッ!)




滝 : 「……ゲーム中に散々殴られているというのに、全く懲りないな。神崎は」


神崎 : 「ぴよぴよぴー……」



早苗 : 「……やっぱり、不埒な殿方は、駄目ですね」 (ぼそ)




七瀬 : 「……ねー、淳兄ぃ。お腹へったー、プリン食べさせてー」


椎名 : 「……自分で食べればいいだろう?」


七瀬 : 「やだやだやだ! プリン、淳兄ぃが食べさせてくれるのが美味いんだよー!」


椎名 : 「……仕方ないな。人前だってのに……ほら、口をあけろ、あーん、だ」


七瀬 : 「わーい、あーん!」



早苗 : 「七瀬さんは、そもそも女性を好きになれるのかも怪しい風に思えてきました……つまり、お姉ちゃんがあの人を好きになったのは、消去法みたいなモノですね……」


西園寺 : 「……早苗ちゃんがこっそり、すっごい失礼な呟きをしていた気がするが、聞かなかった事にしよう」


早苗 : 「きっと、お姉ちゃんはこの空間で桐生和彦って人が、普通より格好良く見えているだけね。 よーし、そうと思ったらお姉ちゃんの目を覚ましてあげないと……頑張ろうっと!」


滝 : 「ん、何を頑張るんだ、芹沢さん?」


早苗 : 「え! な、何でもないですよ。よーし、次いってみましょー!」



 早苗の言葉を合図に、皆休憩を終える。

 そして再び、幻想の戦場へと向かうのだった。




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