> 世界樹の迷宮を、リプレイ風に記録しいくんだ日記。
前回までのあらすじ >
第3階層、クイーンアントをやっつけて、ついでのゴーレムもヌッ殺してきますた。
> その名は百巻目に刻まれて
前回のセッションから2日後。
都内某所……。
GM : 「さてさて、前回のセッションからあんまり開いてない所、急遽お集まりいただき恐縮ですが、先生皆さんに報告があります」
シグ : 「いつから先生になったんだ、マスター?」(笑)
GM : 「気持ち的にはいつも先生だ。(笑) いや、実はねェ……これまで シェヴァを演じてくれていたプレイヤーさんと、アイラを演じていたプレイヤーさんが訳あって暫く、お休みを頂く事になりまして……」
シグ : 「あぁ……」
シュンスケ : 「……急で悪いんだが、な」
GM : 「うん……でも、ここらで心機一転もいいかな、って気分もあるし。地下13階からは、新しいメンバーを追加する事にしたんだ、皆、仲良くやってくれたまえよ! いじめ、カッコワルイ! だぞ!」
リン : 「はい! ……でも、新しいプレイヤーさん、ボクは初対面の人だから……どきどきします」
シグ : 「一応、二人とも俺の知り合いだからそんなに緊張しないでいいぜ」
リン : 「……はい!」
GM : 「ん……それじゃ、新しいプレイヤーさん、準備出来たかな? 出来たら、自己紹介をして欲しいんだけど」
プレイヤーG : 「ン……俺は、何時でもいー感じだよ?」
プレイヤーF : 「私は、すまない。もう少しかかりそうだ」
GM : 「了解、それじゃ、プレイヤーGさん、自己紹介を頼むよ。はい、3,2,1、キュー!」
プレイヤーG : 「了解……俺の名前は、フィガロ。 ガリレオ・フィガロ。 職業は、バードだ。灰色の髪の……」
シュンスケ : 「ちょっと待て、プレイヤーG! ……バード、だと!?」
プレイヤーG(フィガロ) : 「ン、そうだけど、それがどうしたのかねェ、シュンスケ・ルディックくん?」
シュンスケ : 「貴様……俺は確か、貴様の為に予め育てて置いたレンジャーを準備していたはずだが?」
GM : 「あ、そうだったのか、シュンスケ?」
シュンスケ : 「あぁ……プレイヤーGは、8ビット機以外のゲームに疎くてな。今回、声をかけたんだが、イマイチ解らないから、キャラクターは勝手につくっておいてくれ、と頼まれて俺が育成したキャラクターを準備していたのだ、が……」
フィガロ : 「うん、そんな事もあったねぇ?」
シュンスケ : 「あったねぇ、じゃない! そのキャラはどうした!」
フィガロ : 「引退、っての? それをさせたけど、不味かったかね?」
シュンスケ : 「何ぃッ!?」
フィガロ : 「引退って多少ボーナスがあるらしいねェ! いや、シュンスケ君助かったよ、これで俺も多少のアドバンテージを得て戦えるってモンさね!」
シュンスケ : 「アドバンテージじゃないっ、お前……だったら今のお前の灰鳥のレベルは何だ!? 1か! 1なのか、そうなのか! 貴様、地下13階をレベル1で始めようって気か!?」
フィガロ : 「……そうだけど、いーじゃないの。レベルなんて自然とあがっていくもんさね」
シュンスケ : 「この男ッ、よくも俺が育てたキャラクターを引退しくさっていけしゃぁしゃぁとッ……」
GM : 「まぁまぁ……シュンスケ君落ち着いて」
シュンスケ : 「……仕事の合間をぬってコツコツレベルをあげた俺がバカだった、バカだったよ」
シグ : 「気を落とすな、シュンスケ」
フィガロ : 「そうだよ、シュンスケ君。大体の所、俺ぁ、シュンスケ君がしょんぼりしている顔を見るのが面白いからやってる所があるからねェ! あはははは!」
シュンスケ : 「!! もう限界だ、殴るぞッ!」
シグ : 「だから落ち着け、シュンスケ!」
リン : 「そうですよ、仲間なんですから、ね!」
フィガロ : 「という訳で、まだ全然レベルがあがってないからさしたるモンはとってないけど……一応、シェヴァ君の代わりだからねェ。シェヴァ君の代用出来るように、採取はとってるよ。あとは、歌マスタリーに猛き戦いの舞曲……当面は、ホーリーギフトを目指して伸ばしていくつもりさね」
GM : 「うぃ、了解」
シュンスケ : 「お前がシェヴァの代わりだって? ふん、おかしなハナシだな……」
フィガロ : 「確かに、シェヴァ君と比べりゃ火力は劣るけどねェ……でも頑張っていくつもりではあるよ」
シュンスケ : 「ふん……」
フィガロ : 「……最も、シェヴァ君がしていた、キミの下半身の律動(リズム)を諫める役までは変わってやれないけどね、あははははは!」
シュンスケ: 「……決めた、殴るのはやめる。 大氷嵐の術式だ! 氷って死ねッ!」
リン : 「だめー、シュンスケさんが! シュンスケさんが、TP20減らして攻撃のモーションをッ!」
シグ : 「落ち着けシュンスケ、ここでTPを使っていたら今日の迷宮探索は持たないぞッ!」
フィガロ : 「あはは、そんな感じでヨロシク頼むよ、うん」
GM : 「あ、あぁ……」 (汗)
プレイヤーF : 「うん、私もキャラクターの制作が終わった所だが、自己紹介をしてもいいだろうか?」
GM : 「お! OKですよ、それじゃ、お願いしまっす」
プレイヤーF : 「それでは……私の名前は、ブリュンヒルデ・ロックハート。 職業は、金髪ストレートのパラディンだ」
GM : 「ブリュンヒルデ……その名前は、登録出来なかったんじゃないかな?」
ブリュンヒルデ(?) : 「うむ、そのようだったからな……ヒルダという名前で登録した。本名はブリュンヒルデ、愛称はヒルダ。年齢は二十歳。 レベルは30、ショックガード、ファイアガードなど、各種ガードと防御陣形を取得しているが、ゆくゆくはシールドスマイトを狙っていきたいと思う」
GM : 「了解。それじゃ、新キャラはパラディンのヒルダさんと、バードのフィガロね」
リン : 「フィガロさんと、ヒルダさんは、どうしてさばみそギルドに入ったんですかね?」
GM : 「その辺りの設定も決めておく? 俺はそういうの拘らないタイプだけど?」(笑)
シュンスケ : 「そうだな……」
ヒルダ : 「私はそれなら、考えてきたぞ」
シグ : 「マジで! あぁ、流石ヒルダは、そういう所きっちりしてるよな……」
ヒルダ : 「あぁ……シグ、お前が元・貴族のボウヤという設定をきいてな。その、貴族のボウヤを連れ戻しに来たお目付役……というのは、どうだろうか?」
シグ : 「何っ! そんな設定、俺も忘れていたぞ!」(笑)
リン : 「あ、でもそれ面白いんじゃないですか? シグが貴族だった頃の、武術のお師匠様とか……」
シグ : 「え、じゃぁ、ヒルダが俺の師匠!? ……マァースタァーーーー!」
ヒルダ : 「いや、私の年齢だと、シグの師匠というよりシグの恩師の娘……の方がしっくり来るだろうな。シグの姉弟子……というのでどうだろう?」
シグ : 「それっていうと、俺は姉弟子に探され、連れ戻されそうになっている、と」
ヒルダ : 「あぁ。だが、シグが戻る気がないという事を知り、エトリアの迷宮。この謎を解けば素直に戻るのではないか、そう考えてシグと旅をしている、というのはどうだ?」
GM : 「いーんじゃなーい?」
シグ : 「という事は、ヒルダは俺の苦手な姉弟子、といった所か……うげっ、姉弟子様が直々にお出迎えかよ! でも俺は帰らねぇぞっ!」(笑)
ヒルダ : 「ふん、ならば強引に連れ戻してやるだけだ」
リン : 「駄目です、シグをつれてっちゃいやです!」
ヒルダ : 「……しかし、まだ連れ出すのは難しいな。という訳で、ギュスターヴ坊ちゃん。私もその迷宮とやらに付き合おう。この謎さえとければ、坊ちゃんが冒険者に拘る理由が無いからな……こんな感じで、どうだ?」(笑)
シグ : 「おぉ! さすがヒルダ、何かすげぇしっくりきたぜ!」
フィガロ : 「だったら、差詰め俺はそんなヒルダを護衛してエトリアまでやってきた流離いの吟遊詩人という訳かね?」
GM : 「そうだね、それだとむしろキミが護衛されていた側っぽいけど」(笑)
フィガロ : 「だねぇ。(笑) そこで、エトリアで有名になっていたさばみそギルドの名前の中に、かつての冒険仲間がいたので、声をかけた……ってところでいいかね?」
シュンスケ : 「別に構わんが、誰とかつての冒険仲間だったつもりだ、貴様は?」
フィガロ : 「そんなの、可愛いシュンスケ君に決まってんじゃないのさ!」
シュンスケ : 「お前と組んだ記憶はないな」
フィガロ : 「まったまたぁ……いやだねぇ、この子は。俺とのあっつい夜を、忘れちゃったのかねェ……」
シュンスケ : 「ましてや夜伽紛いの事をした覚えなんざないッ!」
フィガロ : 「と、そう宣う可愛いシュンスケ君が、シェヴァと喧嘩別れたという話を聞きつけエトリアに来た、と……」
シュンスケ : 「ふざけるな!」
シグ : 「また凄いチャレンジャーな設定をつけようとしてますね、アニキは」(笑)
シュンスケ : 「お前もそれを受け入れようとするな、シグっ! 大体俺は、シェヴァと喧嘩もしていなければ、別れてもいないッ!」
一同 : 「…………」
シュンスケ : 「どうした?」
GM : 「どうしたか気付いてないシュンスケに、多少の戦慄を覚えた」
フィガロ : 「あっはははは! まぁ、エトリアで有名人になっていたシュンスケ君の周囲にいれば恩恵が受けられるだろォと考えて連んでる、狡っ辛い詩人だと思ってくれればいいさね! シュンスケくんもそれでいいだろっ?」
シュンスケ : 「それなら構わないが……俺、何か失言があったか?」
GM : 「気にするな、気付いた時お前は今日、枕に顔を埋めて足をジタバタさせるくらいの辱めを受ける事になるぞ」
リン : 「……シュンスケさん、少しドキドキします」
ヒルダ : 「……まぁ、シュンスケは昔から、そういう所があるからな。気にしないでやる事だ」
> 政(まつりごと)、恭しく。
GM : 「……さて、そういう訳で新しい仲間とともにエトリアにやってきた、と」
ヒルダ : 「さて、ギュスターヴ坊ちゃん。我々は、何処に行けばいいのだ?」
シグ : 「お、俺の事をギュスターヴって呼ぶな、姉弟子! 今は、シグだ。それに、坊ちゃんもやめてくれ、そんな年齢じゃねぇし!」
ヒルダ : 「坊ちゃんは坊ちゃん、だろう? ……さて、何処に行く?」
シグ : 「えー、シュンスケ、前回どうなってたっけか?」(笑)
シュンスケ : 「……そうだな、前回俺はクイーンアントを倒し、目的であった地図を完成させているから、その報告を兼ねて執政院に出向くべきだろうな」
フィガロ : 「シッセイイン?」
シュンスケ : 「この街で政治を司る場所だ……執政院の依頼を受けて、俺たちは冒険をしているんだな」
フィガロ : 「なるほど、市役所みたいなモンね……了解。それじゃ、早速その執政院とやらにいってみようか?」
GM : 「じゃ、執政院に行く、と……すると、眼鏡で天然パーマで肩だけやたら守っているヒトが、キミらを見て嬉しそうにするね。 『地図を完成させてくれたのか、ありがとう!』」
フィガロ : 「いやだよ、この執政院には女性はいないのかねぇ?」
GM(執政院のなで肩眼鏡) : 「『む……い、今は居ない、が……』」
フィガロ : 「男の話なんてどーでもいーさね、さっさと報酬よこして消えな」
GM : 「おいおい、シグといいフィガロといい、このギルドは男性に対して辛辣だなぁ……『はは……でもま、地図はありがとう。しかし……キミたちのおかげで迷宮探索も大分進んだよ』」
ヒルダ : 「……ふむ。私はまだ迷宮探索に携わっていないが、感謝されると悪い気はしないな」
GM : 「おお、はじめて執政院のなで肩眼鏡とまともに会話してくれる奴がいた。(笑) 『……だが、この迷宮は本当に自然に出来たものなのだろうか。私は、そうではない気がするんだ。この樹海には大きな秘密が眠っている気がする……私はそれを明らかにする事が、街の為とも思っている』」
ヒルダ : 「……その迷宮とやらは、そういうものなのか?」
シュンスケ : 「うむ……確かにこの樹海には特殊な魔物が多く潜み、薬草となる草木も多く生息しているようだ……この生態の研究を進め、何故この場所にだけこのような生態があるのか。それを解明する事は技術の躍進に繋がるだろうな」
GM : 「『だが……この街の長は、そうは考えてないらしい。迷宮の秘密は黙するのが華だ、そう考えているようだ……』」
リン : 「……そういえば、レンさんも似たような事を言ってましたね……」
フィガロ : 「レン?」
シグ : 「俺たちより先輩の冒険者コンビの一人ですよ、レン&ツスクルって名前のブシドー&カースメーカーで……結構熟練らしいですよ?」
フィガロ : 「へぇッ……女性かい? 女の子かい? それとも、女子?」
シュンスケ : 「ギャグマンガ日和か?」
シグ : 「期待通り、女性っすよ」(笑)
フィガロ : 「おお、いいねェ……迷宮に現れる可憐な二人の熟練女性冒険者……華やかじゃぁないの。 美人かい?」
シグ : 「それは……」(笑)
シュンスケ : 「……会うまでの楽しみ、でいいじゃないか。なぁ」(笑)
GM : 「そうだな。(笑) 『さて、地図を作ってくれた直後で言うのも恐縮なのだが……実は、先に進んでいる兵士に、迷宮の奥でヒトではない謎の生物を見た、という報告がある』」
シグ : 「……ヒトではない謎の生物ゥ?」
ヒルダ : 「人のように二足歩行をするが、人ならざる生物、という事か?」
GM : 「『そのようだ。もしそれが事実なら、大発見になるが……その亜人が、友好的な生物とも限らないだろう。もしよければ、キミ達のような熟練冒険者にその正体の確認を任せたいのだが……』」
シュンスケ : 「……一人、熟練でもなんでもない冒険者が混じっているが?」
フィガロ : 「……んー、誰かねぇソレ?」(笑)
GM : 「執政院はキミらのメンバー替えなんて知らないからな。(笑) 『引き受けてくれないかね?』」
ヒルダ : 「だ、そうだが、どうする。坊っちゃん。このギルドのリーダーは坊ちゃんなんだろう?」
シグ : 「だぁから、坊ちゃんはやめてくれよ姉弟子ィ……それに、俺はリーダーを公言した覚えはないぜ……ま、いいんじゃないの、受けちゃって?」(笑)
ヒルダ : 「そんなに軽い調子でいいのか?」(笑)
シュンスケ : 「ミッションなら受けなければいけないしな」
GM : 「『受けてくれるのかい、ありがとう……』と、言う訳で、キミたちは執政院より、迷宮の奥に居る謎の生物の調査、その依頼を請け負った、と!」
シグ : 「……よし、それじゃいよいよ、地下13階の探索を始めるとするぜ! いくぞ、皆、気合いいれてけよッ!」
一同 : 「おー!」
> 鉄華乱舞
GM : 「という訳で、キミたちは樹海磁軸を利用して第三階層に降りてきた!」
ヒルダ : 「あ、あぁ……」(ぶるっ)
リン : 「緊張してますか、ヒルダさん?」
ヒルダ : 「あ、あぁ……思ったより、迷宮が……その、心に来る迫力があって、な……」
リン : 「大丈夫ですよ! シグは強いですし……何かあったら、ボクがなおしてあげますからね!」
ヒルダ : 「……そうか、リン。キミは……よく、ギュスターヴを……坊ちゃんを、助けてくれているのだな……」
リン : 「……はい?」
ヒルダ : 「いや……何でも、ない」
GM : 「と、そうしている間に、モンスターが飛び出してきた!」
シグ : 「マジでかっ、何か何時もより敵さんがお出ましするの、早くねぇか!?」
GM : (自分より弱いPCが居る時は、敵もアグレッシブに狙ってくんだよ、このゲーム・笑)
シュンスケ : 「とはいえ、現れたのは森林ガエル二匹か……取るに足らない相手だな、心配する程でも、あるまい。どうする、シグ? 術式は?」
シグ : 「大丈夫だ、一匹ずつ慎重に屠っていこう……俺は右のカエルを叩く! 姉弟子は、左の方を頼む!」
ヒルダ : 「了解した!」
リン : 「だったら、ボクとシュンスケさんでヒルダさんを支援します!」
フィガロ : 「よし、それじゃぁ俺は……前に出てカエルでも殴りに行くかね?」
シュンスケ : 「お前は下がって防御でもしてろ、レベル1!」
フィガロ : 「何でさ、寂しいだろそれはー。フィガロのお兄さんも、少し戦いたいんだけどねぇ?」
シュンスケ : 「ふざけるな! お前は、アリアハンの周囲で戦っている訳じゃないんだぞ! 今、ルイーダの酒場から出て、いきなりバラモス城で戦っているモンだと思えッ!」
フィガロ : 「だいじょーぶ、だいじょーぶ。大体、俺がもし攻撃を受けそうになったら、シュンスケ君が身を挺して守ってくれるんだろ?」
シュンスケ : 「安心しろ、お前だけは絶対に守らん!」
GM : 「……シグの攻撃で一匹倒れたが、森林ガエルの攻撃! 狙いは……後衛……」
フィガロ : 「シュンスケ君、あんな所にシェヴァ君が!」
シュンスケ : 「なっ、バカな……そんな所に居る訳がッ」
GM : 「スキあり、くらえシュンスケ! 森林ガエルの攻撃ッ!」
シュンスケ : 「うっ!」 (ポクッ!)
フィガロ : 「あっはは……そうこう言いつつ、ちゃんと守ってくれるんじゃないか! 優しいねぇ、シュンスケ君はさ!」
シュンスケ : 「き、貴様っ……フィガロ、今、明らかに俺を盾にッ……」
GM : 「……したたかだな、フィガロ」(笑)
フィガロ : 「シュンスケの扱いが上手いといってほしいさね!」(笑)
……と。
そんなこんなしつつ、地下13階へ向かうのであった……。
GM : 「はい、そうこうしている間に、地下13階に到達〜さ、初めてのマップとご対面だ〜」
リン : 「ううう……」
ヒルダ : 「……リン、今度はキミが緊張しているのか?」
リン : 「ヒルダさん……は、はい! あの、ボク……、新しい階だと、どうしても緊張しちゃって……その、新しい敵とか、出るから……」
ヒルダ : 「安心したまえ。今は、私が居る……キミに何かないよう、この盾で守ってみせよう」
リン : 「はい! あ、ありがとうございます、ヒルダさん!」
ヒルダ : 「気にするな……坊ちゃんが世話になった娘に、何かある訳にはいかないからな」
シグ : 「よっし……新しい階だな、ここからいよいよ本格的な探索が始まるって訳か!」
シュンスケ : 「そうだな……しかし、本当に人の姿をした化け物など居るのだろうか……」
フィガロ : 「うん……俺の意見としては、女性だったら居てほしいし、男だったら居なくてもいい、って所だけどねェ」
シグ : 「解りやすいッ! フィガロのアニキはわかりやすいなッ!」(笑)
GM : 「だが、密林の奥にすむ女性だけの種族というのは……何だろう、すごく……エロチシズムを感じるな」
フィガロ : 「でしょう、GMさんはわかってるねェ……しかも、世界樹と呼ばれる森の迷宮に潜む種族だよ、エルフ的なものを想像するじゃぁないのさ!」
GM : 「エルフ! そうか、エルフか! そ、それはっ……いいな、実にいい!」
フィガロ : 「ねェ……金色に輝く美しい髪に蒼い瞳、そして長い耳……ディードリット的なあれは、実にいい、いいよねェ……」
シュンスケ : 「……ご託はそれだけか、フィガロ?」 (ぎゅむ)
フィガロ : 「あ! ……ちょっ、痛いじゃないのさ、シュンスケ君? 耳とか、あ……ちょ、やめっ!」
シュンスケ : 「そんなにエルフ耳がいいんなら、貴様をエルフ耳にしてやってもいーんだぞ?」 (ギロッ)
フィガロ : 「いたたた、本気で痛いよシュンスケ君……それに、エルフ耳は見て楽しいモンじゃないのさ! 自分がなって楽しいモンじゃないさね……」
シュンスケ : 「マスターも、とりあえず迷宮を勧めてください」
GM : 「そ、そんなぎらぎらした紅い目で見ないでくれ、シュンスケ……さて、新しい階層は、ぱっと見て対岸が見える、けど川で挟まれて行く事が出来ない、そんなフロアだ」
リン : 「シグ、対岸に宝箱がありますよ!」
シグ : 「お、ホントだ……だが、ここじゃ手も足も出ねぇな。何処からか回り道をしてくか……」
フィガロ : 「川、ね……見通せる場所は多いけど、案外行ける場所は限られているみたいだねェ」
シグ : 「そーみたいっすね……さて、どっちから行く、相棒?」
シュンスケ : 「……ファリスの左でいいか? 左(西)側から調べてみよう」
GM : 「そうやって、左から進むんだね。そうすると、ずずずっと真っ直ぐ道がある」
一同 : トコトコトコ
GM : 「対岸に景色があり、ずずずっと道がある」
一同 : トコトコトコトコ
GM : 「そしてさらに、ずずずずーっと……」
シグ : 「ちょ、マスター、まだあるのかよ!」(笑)
GM : 「まだある。(笑) ここはずずーっと、真っ直ぐの道なのだ」
シグ : 「なんだよ、てっきり対岸の宝箱はすぐとれる場所にあるかと思ってたんだが」(笑)
リン : 「案外、遠回りっぽいですね……下の階から、上の階にいかないと手に入らないかもしれないです」
GM : 「ともかく、そういった真っ直ぐの道を進んでいると、敵も現れる訳だね」
ヒルダ : 「敵襲か! 坊ちゃん、陣形を!」
シグ : 「姉弟子に言われなくても、だぜ! 相手は、何だ?」
GM : 「クリムゾンネイルと、フォレストバットだ」
リン : 「くり……ふぉれ?」
シュンスケ : 「新しい敵のようだな……クマと蝙蝠か、どうする、シグ? 術式は必要か?」
シグ : 「……いや、一応温存しておいてくれ。俺と姉弟子で蝙蝠を一斉攻撃して、向こうの出方を見よう」
フィガロ : 「ん、了解。だったら俺は……」
シュンスケ : 「だからお前は引っ込んでいろと言っただろ、レベル1!」
フィガロ : 「生憎、ここまで出てきた敵さんをやっつけていたから、もうレベルは8になってるよ。もうレベル1じゃないさね」 (笑)
シュンスケ : 「でも、一撃喰らえば落ちるのは一緒だろうが!」
フィガロ : 「そうだけど……正直、ガードしていても俺ぁ当たっちゃえば落ちるでしょうに? だったら、駄目もとで攻撃した方がいいかと思う訳よね」
シュンスケ : 「それは……確かに、そうだな」
フィガロ : 「という訳で、シグ、ヒルダ嬢、応援させてもらうとするさね」
シグ : 「おぅ、頼みますよ、フィガロのアニキ!」
GM : 「と、それじゃぁ攻撃は……今回はシェヴァがいないもんな、フォレストバットの方が先か、フォレストバットは後衛に攻撃……」
フィガロ : 「危ない、俺!」 (さっ)
シュンスケ : 「貴様、俺の後ろに隠れるなッ!」
GM : (笑) 「うん、じゃ、ご期待に添えるようにシュンスケを攻撃だ。ダメージ40、減らして置いてね」
シュンスケ : 「き、貴様フィガロっ……くそ、40か、案外デカイな……」
フィガロ : 「うんうん、ありがとうシュンスケくん、相変わらず頼りになるねぇキミは」
シュンスケ : 「もういい、黙れ!」
GM : 「次いで、クリムゾンネイルは……よし、ヒルダを攻撃、と……」
ヒルダ : 「こ、こい!」
GM : 「行くぞっ……うがぁーあぁーぁ!」 (ぶぅん!)
ヒルダ : 「は、はにゅぅんっ!」
シグ : 「……え?」
GM : 「何?」
ヒルダ : 「あ!」
シグ : 「……なぁ、姉弟子。今、はにゅぅんって、凄く可愛い声が出なかった……か?」
ヒルダ : 「で、出てない! 坊ちゃんの気のせいだ!」
GM : 「いや、俺も聞こえたような……」
ヒルダ : 「き、気のせいだといっておろうが馬鹿者! 私からはそんな、声は出ないッ!」
リン : 「ヒルダさん、可愛い」(笑)
ヒルダ : 「だ、だから気のせいだ! リン! もぅ……聞かなかったコトにしてくれっ!」
シグ : 「しかし、流石に新しい敵、思ったより倒れないな……こっちのダメージも耐えられない方ではねぇが、案外手こずりそうだ」
GM : 「と……キミたちがクマに手こずっている間に……何と、スペシャルゲストー。F.O.Eが乱入してきやがったぞー!」
一同 : 「何だってー!!」
シュンスケ : 「バカな……戦闘に入る前は、F.O.Eの存在など確認しなかったぞ、マップ外に居たというのか……?」
フィガロ : 「……いや、違うねェ。このF.O.Eとやらは、俺たちが戦闘始まった時に現れたみたいだけど?」
シュンスケ : 「……何だって?」
フィガロ : 「だから、このF.O.Eって奴、俺たちが戦闘始まった時に姿を現したみたいだねぇ。うん、俺、シェヴァ君の代理だからねェ。マッピングっての、しようかと思ってずっと地図見てたから……間違いないよ?」
シュンスケ : 「本当かッ!?」
シグ : 「本当なら、今までにないタイプのF.O.Eだな」
フィガロ : 「あれ、何か特別なモンスターだったの、コレ?」
シュンスケ : 「特別というかだな……というか、解っていたなら何故言わんのだ、フィガロッ!」
フィガロ : 「だぁって、俺は地図に変な模様が出てきたなぁと思ったけど、これが敵だなんて知らなかったもの……仕方ないさね」
ヒルダ : 「喧嘩は後だ、シュンスケ! 新たな敵が現れた、迎撃の準備をするぞ!」
シュンスケ : 「……後で殴らせろよ、フィガロ?」
フィガロ : 「あははは! いやなこっただぁね!」
GM : 「つぅ訳で、現れた敵は 水辺の処刑者 ……シグの大好きな蟹のモンスターだよ」
シグ : 「何だ、またカニかよ……というか、多くないかこのゲーム、カニ!」 (笑)
ヒルダ : 「よっぽど甲殻類に恨みのある奴が作ったのだろう」 (笑)
GM : 「フィガロ君がばっちり見てたからバラしちゃうけど、戦闘時にだけ現れ長引いている戦闘に乱入してくるタイプのF.O.Eだよん。さて、どうする?」
ヒルダ : 「防御陣形をとろう、これでダメージが押さえられるといいが……」
リン : 「だったら、ボクも医術防御をします! ヒルダさんとボクの防御で、皆さんのお怪我は最小限に防げますよ!」
フィガロ : 「お、何だ、F.O.Eってのはボスクラスの強敵な訳さね……だったら、フィガロおにーさんも頑張っちゃおうかねぇ。よし、攻撃力をupする呪歌でもいっとくかい、猛き恋の歌、行くよ」
GM : 「そんな名前だったっけ? 何か違う気がするが」(笑)
リン : 「でも、攻撃力があがる歌って、どんな歌なんでしょうね」
フィガロ : (デンデデッデレ デンデデッデッデレ デンデデッデデデレ デンデデッデッデレ) 「ヘェーエ エーエエエー エーエエー ウーウォーオオオォー ララララ ラァーアーアーアー」
シュンスケ : 「どんな歌だかわからんが……」
シグ : 「フィガロのアニキが歌っているのは、熱情の律動(リズム)だよな」(笑)
GM : 「熱情の律動(リズム)?」
シグ : 「イトケンのバトルソングですよ」
GM : 「何ぃ! 確かにイトケンのバトルソングはテンション揚がっていく感じだが、これは世界樹だぞ! ちゃんと、古代祐三の曲にしてくれ! 世界樹の迷宮は古代祐三の提供でおおくりしております、だ!」 (笑)
フィガロ : 「古代祐三の曲は名曲多すぎて選べないさね……ちなみに、ホーリーギフトはこういう曲だと思っているよ」 (と、徐に楽器を取り出し……)
ぱららら、らっぱっぱ〜。
ぱららら、らっぱっぱ〜。
ぱららら、らっぱっぱ〜。
※ドラクエのレベルアップ音
GM : 「確かに、激しく経験値を多めに貰えそうだけど!」 (笑)
※ ホーリーギフト → 経験値を若干多めに貰う事が出来るスキル。
シグ : 「と、こっちは準備終わってるぞ、マスター、攻撃してくれ」
GM : 「おお、そうだった……えぇと、こっちの攻撃はシグで……でも倒れず。キミらの攻撃は……クマは倒れたかな。でもカニはまだ、元気にしている……ぶくぶく泡をはいている。はぁはぁ、息苦しい息苦しい」
リン : 「そんなに無理して地上に出てこなくても、いいと思いますけど」(笑)
シグ : 「まぁ、このままぶち込んでいこう……相棒、チェイスフリーズでいいな?」
シュンスケ : 「あぁ、大氷嵐をカニとフィガロにぶちこんでやろう」
フィガロ : 「俺はいーでしょーに……何それシュンスケ、新手の愛情表現?」
シュンスケ : 「典型的な拒絶の表現だ」
フィガロ : 「でも、痛めつける愛情は、良くないと思うよ……シェヴァだって、痛いの嫌がるだろ?」
シュンスケ : 「だからお前に対する拒否表現の一種だといってるだろうがッ!」
シグ : 「……もう、シュンスケ、フィガロのアニキを構うなよ。お前、口じゃ絶対アニキにゃ勝てないぜ?」(笑)
GM : 「そうだ、これ以上フィガロを構うと、お前をマゾと見なすぞ?(笑) と……攻撃は、こっちからかな……ズドンと一発。ヒルダ姐さんにどかーん」
ヒルダ : 「ひゃぅ……い、言ってないぞ! ひゃう、とか言ってないぞ!」
GM : (笑) 「はいはい、聞こえてない聞こえてない。 ダメージは20ね、減らして置いてね〜。 で、キミらの攻撃は……うん、痛い。ぼちぼち倒れそうだ」
シグ : 「よし、あと一息だな……」
フィガロ : 「俺の攻撃、あいつきくかねぇ? 一応、やる事なくなって暇なんだけど……」
シュンスケ : 「下がっていればいいだろ? お前はまだ一撃もらったら死ぬ程度の実力しかないんだ、無様に死ぬような姿を晒すのは、冒険者の恥だからな」
フィガロ : 「はいはい……それじゃ、シュンスケ先輩に従って、今回は素直に防御しておこうかねぇ……ま、当たったら死ぬんだけど」(笑)
GM : 「だね……という訳で、カニの攻撃は……シュンスケ、お前に……死神の爪だ!」
シュンスケ : 「何……ッ!」 (ガツン!)
リン : 「きゃぁ、シュンスケさん! 大丈夫ですか、シュンスケさん! シュンスケさんが、一撃で!」
シュンスケ : 「っ……しまった、即死効果付きのスキル……か?」
GM : 「YES! という訳で……少し死んでろ、シュンスケ」 (笑)
シュンスケ : 「…………くそッ!」
フィガロ : 「はいはい、シュンスケくーん。今さっき、おにーさんに言った事、覚えてるかなー? 無様に死ぬような姿を晒すのは冒険者の恥、だったっけなー。なー、シュンスケくーん? 聞いてるかい?」(笑)
シュンスケ : 「……もう、どうとでもいってくれ」 (泣)
と、そんな事がありつつも何とか戦闘は終わり……。
リン : 「エリアキュア……大丈夫ですか、皆さん」
ヒルダ : 「あぁ、ありがとう。リンのおかげで身体が楽になったよ」
リン : 「いえ、ヒルダさんやシグは前衛で戦っているですから、フォローするのは当然です!」
フィガロ : 「シュンスケくんも、あの世の花摘みはどうだったかね?」(笑)
シュンスケ : 「う、うるさい!」
シグ : 「しかし思ったより厳しいな……一度戻って、体力回復してくるか」
ヒルダ : 「そうだな……そういえば、泉もあったし。少しずつ進んでいくのがいいかもな」
GM : 「と、キミ達が相談している間に……ちら、と川の向こう側に人影が見える」
一同 : 「人影?」
GM : 「そう。その人影は、キミたちに気付くとさっと姿を消した……」
リン : 「誰だろ……レンさんたちかなぁ?」
シグ : 「いや、レンやツスクルが俺たちを見て隠れるように姿を消しやしないだろ……」
ヒルダ : 「だとすると……執政院でいってた、謎の生物……か?」
シュンスケ : 「可能性は高いな……」
フィガロ : 「へェ……謎の生物、なんてぇ言い方だったからてっきり、二足歩行するゴリラくらいの勢いだったンだけど……見た所、人影は細くて小さかったねェ。案外、森林の奥に居るエルフの女性説はいいセンかもよ?」
シュンスケ : 「女性とは限らないだろ?」
フィガロ : 「こっち見てすぐに逃げるシャイな子は、女の子と決まってるさね!」
GM : 「まぁ、それは会ってのお楽しみ、って事で……どうする、先に進むかい?」
シグ : 「いや、一度戻ろう……体力ももう、ないしな」
リン : 「賛成です、ボクもTPあんまり無いですからね!」
シグ : 「と、言う訳で……戻るぞ、皆!」
一同 : 「おー!」
リン : 「…………」 (立ち止まり、振り返る)
ヒルダ : 「……どうした、リン?」
リン : 「ヒルダさん……いえ、今隠れたあの人影……一体何だか、まだわからないですけど……友好的な種族で、お友達になれたらいいな、って。そういう事、考えてただけですよ!」
ヒルダ : 「そう……だな」
> つかの間の安らぎを
GM : 「さて、エトリアに戻ってきたけど……」
シュンスケ : 「………………」
フィガロ : 「あら、シュンスケくん、どうにも手持ちぶさただねェ……やっぱり、相棒のシェヴァ君が居ないと落ち着かない感じかい?」
シュンスケ : 「ば、バカ言うっ…………いや……そうだな。俺は、普段からシェヴァと行動を共にする事が多かった……あいつが、急に居なくなると……寂しいものだな……」
フィガロ : 「そうさね……普段からベッドを共にしている相棒がいなくなれば、そりゃ寂しいさね……」
シュンスケ : 「ベッドを共にしているとはいってないだろーがお前はバカか! カボチャか! エリンギか!」
シグ : 「シュンスケ、狼狽えるな。狼狽えすぎて、ツッコミが不明瞭だぞ」(笑)
リン : 「……大丈夫です、シュンスケさん。 シェヴァさんも、アイラさんも……きっと帰ってきてくれますよ」
シグ : 「……」
ヒルダ : 「そうだな……一応、アイラとシェヴァが居ない理由も考えておくか?」
GM : 「考えておく? 俺ほんと、そういうの拘らないから別にいいけど?」
ヒルダ : 「私はそういうモノが気になってしまう性質なのだ、すまんな、神経質で」(笑)
フィガロ : 「いいんじゃないの、まぁホントの理由は本人達が帰ってから聞くとして……今休憩中なのは、アイラ君とシェヴァ君だっけか?」
GM : 「そうだね」
フィガロ : 「ま、男女が同時に居なくなったんならアレでしょ……駆け落ち。それで、いいんじゃないのさ、ねぇ?」
シグ&シュンスケ : 「そんな訳無いだろっ!」
シュンスケ : 「シェヴァが駆け落ちなんて……冗談じゃない!」
シグ : 「そうだ、俺はアイラをそんなはしたない子に育てた覚えはないッ!」
フィガロ : 「あらあら、怒らないでくれよそんな、冗談じゃないのさ、じょ・う・だ・ん。もー、お兄さんのウイットに富んだイタリアンジョークだよォ」(笑)
GM : 「フィガロ君、保護者たちの神経をあまり逆撫でしないでくれたまえ」(笑)
フィガロ : 「あら、逆撫でするつもりはないんだけどねェ? で、何かいい案はあるかい、ヒルダ嬢?」
ヒルダ : 「そうだな……アイラとシェヴァに恋愛感情はなかったんだろう?」
シュンスケ : 「無い! それは無い! あってたまるか!」
リン : 「シュンスケさんがそんな激しく否定しなくても」(笑)
ヒルダ : 「そうだな……だとしたら、アイラが一人で武者修行に出ると言い張り行方不明になったので、シェヴァが探している、というのはどうだろう」
シグ : 「うーん……ま、アイラは方向音痴だし、その方が駆け落ちよりあり得るわな」 (笑)
フィガロ : 「アイラ君の保護者の了承はとったけど、シェヴァ君の保護者はそれでいいかい?」
シュンスケ : 「…………あぁ」
GM : 「………………」
リン : 「そうですね、アイラさんも、シェヴァさんも……きっと、かえってきますよ、ね、皆!」
一同 : (無言で頷く)
GM: 「……」
リン : 「あれ、どうしました、GMさん?」
GM : 「あ! い、いや……そうだな、皆早く戻ってくるといいな、うん!」
かくして、新たな仲間とともに、かつての仲間に思いを馳せるさばみそギルドご一行。
果たして本当に、かつての仲間は戻ってくるのか……。
そして、迷宮に現れた謎の人影の正体は。
乞うご期待ッ!
> 幕間劇 〜 新しい仲間
暖かな現実が、少しずつ少しずつ。
冷たい仮初めへと、飲まれようとしていく。
キミはこの現と仮初めの境界でゆれる物語に、触れても触れなくても、良い……。
……セッション終了後、都内某所。(いつものばしょ)
GM (西園寺 馨) : 「はい、じゃぁセッション終了しておこーかな、皆お疲れさま……」
一同 : 「おつかれさまでしたー」
西園寺 : 「……で、お疲れさまついでで恐縮だけどさ、新しいプレイヤーの方、自己紹介してもらっていいかな?」
ヒルダ : 「自己紹介?」
西園寺 : 「あぁ。いや、他の皆は見知った顔だろうけど、俺は初対面だからさ」
リン (芹沢 梨花) : 「あ、ボクも自己紹介してほしいです、ボクも、ヒルダさんもフィガロさんも初対面なんです!」
フィガロ : 「男に名乗る名前は、生憎持ち合わせてないんだけどねェ」
西園寺 : 「安心してくれ、俺も男の名前をアグレッシブに聞く趣味はねぇ!」(笑)
ヒルダ : 「だが、確かにこれから長い付き合いになるかもしれん。名乗った方がいいな……よし、自己紹介をさせてもらおう。 私の名前は 滝 睦 (たき むつみ) だ。 そちらに居る、シグとシュンスケ……桐生和彦とは高校時代の同級生。椎名淳平とは小学校の頃からの知り合いになる」
シグ (桐生 和彦) : 「おぉ、俺のクラスの委員長だったからさ、昔の仲間からはよく、イインチョって呼ばれてんだよな!」(笑)
ヒルダ (滝 睦) : 「あぁ……とはいえ、もう委員長ではないのだが、まさか今でもイインチョと呼ばれるとは思わなんだぞ?」(笑)
桐生 : 「いいだろ、イインチョはイインチョだ」(笑)
滝 : 「あまりゲームというものに明るくはないんだがな……今回は、学生時代演劇部だった経験が生かせる、と聞いてここに来た」
西園寺 : 「あー……なるほど、演劇部だから、設定云々を考えちゃう訳か?」
滝 : 「そうかもしれないな……すまない、どうにもそういった所を気にしてしまう主義でな。 まぁ、このような性格で面倒な女だと思うやもしれんが、よろしく頼む」
芹沢 : 「いえ、そんな事無いです! 滝さん、何か格好いいですから!」
滝 : 「ありがとう、芹沢さん。女性にそう言って貰えると、私としても嬉しいぞ」
西園寺 : 「うんうん、やっぱ女性はいいね、存在だけが癒しだよ……と、それじゃ、仕方ないからフィガロ、お前の方も紹介頼むぜ」
フィガロ : 「アンタに名乗る名前はないが……まぁ、芹沢のお嬢さんには名乗っておきたいから、紹介しておこうかね。 俺は、 神崎 高志 (かんざき たかし) というモンだ。 年齢は26、職業は喫茶店経営者、性病は特に無し。他に言っておくべき事、ある?」
シュンスケ (椎名 淳平) : 「強いて言うなら誰も性病云々に関しては言及してないという所か?」
フィガロ(神崎) : 「……いや、大事でしょソレ。 だってそれで生でやらせてもらえるかどうか関わってくるじゃ……」
椎名 : 「神崎ぃ、それは俺につねられたくて言ってるのか? 抓られたくて言ってるんだな?」
神崎 : 「いたた、いたいよもぅ……つねってから言わないでくれって、もぅ、ジュンペイは相変わらずウブなんだからねぇ……」
芹沢 : 「……えっちです」
西園寺 : 「あはは……で、神崎は俺のシーナ君とどういう関係な訳だい? 妙に仲がいいけど?」(笑)
椎名 : 「別に仲良くない!」
神崎 : 「照れない照れない……ジュンペイと、カズに……ムツミ嬢は、俺の後輩さね。俺はこいつらの一学年上の先輩さ」
桐生 : 「駅近くの喫茶店経営しててさ、俺ら学生の頃から良く遊びにいったから、アニキって呼ばれてるんスよ」
神崎 : 「そうそう、カズやみぃ……シェヴァのプレイヤーの七瀬澪なんかはね、俺の店によく来てくれて、アニキアニキーって遊んでってくれるよ。最も、ジュンペイだけは俺の事を ダーリン って呼ぶ癖が抜けないけどねぇ」
椎名 : 「一度も呼んだ事はないッ!」
西園寺 : 「なるほど、桐生君の級友で元・委員長のイインチョ、こと滝さんに、皆のアニキでシーナ君のダーリンな神崎さんね、理解」
椎名 : 「だから呼んでないといってるでしょうが、西園寺さんも奴の戯言を真に受けないでください!」
神崎 : 「そうさね……さて、俺が自己紹介したんだから、西園寺さん。アンタも紹介してほしいんだが、かまわないかね?」
西園寺 : 「ん……あ、そうだね。 俺は、西園寺馨。 このゲームのマスターで、イケメンのお兄さんだ。年齢は井上喜久子おねちゃんと同年代! 以上!」
滝 : 「……西園寺馨……本当に、それが貴方の名前ですか?」
西園寺 : 「おぅ、俺は西園寺馨。シチリア島生まれの荒くれ者だ!」 (笑)
滝 : 「……そうか」
桐生 : 「いや、シチリア島生まれの下りは明らかに嘘だろ!」
西園寺 : 「……この私が西園寺馨である事に、何か疑問でもあるかね、滝君?」
滝 : 「いや……何でもないさ。ただ……」
神崎 : 「ムツミ嬢…… まだ、はやいよ?」
滝 : 「あ! いや……そうだな、そうだ……うん、西園寺教授。 これから、よろしく頼むぞ。それじゃぁな」 (徐に立ち上がる)
芹沢 : 「あ、もう帰るんですか、滝さん?」
滝 : 「これでも急がしい身でな……失礼する」
……滝 睦 が退室する。
桐生 : 「イインチョ、帰るのか……もうちょっと話したかったけどな、久しぶりだし」
神崎 : 「まぁ、ムツミ嬢は忙しいからねェ」
桐生 : 「んじゃ、俺も帰ろうかな……」
西園寺 : 「あぁ……桐生君も早いね、どうしたの?」
桐生 : 「えぇ……俺、若葉の所にいってやらねぇといけませんから……」
西園寺 : 「……そうか、若葉くん、具合は、その……良く、ないのか?」
桐生 : 「さぁ……どうなんでしょうね……医者の話だと、肉体は医学的には何の問題もない、そうですよ。ただ……意識だけが……」 (ふと、顔を背ける)
芹沢 : 「和彦さん、あの……ボクも、若葉さんのお見舞い行きますから……一緒に、戻りましょう?」
桐生 : 「……悪い、梨花」
芹沢 : 「いいですよ、若葉先輩はボクのお姉さんみたいな人だから……それじゃ、西園寺さん、失礼します」
……桐生和彦・芹沢梨花が退室する。
神崎 : 「さて、女人がいなくなったら寂しいねぇ、俺も帰るとするか……帰りに、盲腸で倒れたみぃでも見舞うとするかね。な、ジュンペイくん、みぃ、何号室に入院してるんさね?」
椎名 : 「お前は来るな」
神崎 : 「あぁ、2012号室だったね! わかったわかった、お土産はTE○GAでいいかい?」
椎名 : 「来るなといってるだろうが!」
西園寺 : 「というか、神崎君は確実にシーナ君が嫌がるとしっていてやっているよな」
神崎 : 「あっはは……だって、面白いんさね、シーナ君をいぢめるのは! さて、と。じゃぁそろそろ帰りますか、ね」
西園寺 : 「うぃ、またー」(笑)
神崎 : 「はいはい、またねぇ……自称、西園寺教授殿」
…………神崎高志が退室する。
西園寺 : 「やれやれ……シーナ君。どうやら今回のプレイヤーは二人とも、俺の事知ってるみたいだけね、これ」
椎名 : 「そのよう……ですね。すいません、今回は二人とも、桐生が声をかけた人間だったので……」
西園寺 : 「ん……まぁ、別にいいけどね。俺としては、そろそろ潮時だから始めた事だし」
椎名 : 「……西園寺さん」
西園寺 : 「ナニ?」
椎名 : 「……貴方は、西園寺馨です。他の、何者でもない……だから……」
西園寺 : 「あれ、慰めてくれている系それ? あははは……大丈夫だって、シーナ君。俺は、俺が西園寺馨であるという事を一番良く知ってるよ……だって俺、西園寺馨だもん、ねぇ?」
椎名 : 「……はい」
西園寺 : 「だから、そんなしょっぱい顔するなよシーナ君。 そういう感情的な表情は、キミみたいな爬虫類顔には似合わんよ?」
椎名 : 「なぁっ、はちゅ……」
西園寺 : 「はいはい、わかったらおじさん構ってないで、七瀬君のお見舞いいってやりなよな。七瀬君、まだ手術したばっかりで絶食だろ? 一人で寂しいと思うぞ、病院ってのは……一人だと、けっこう堪えるからな……」
椎名 : 「はい……すいません、西園寺さん」
……椎名淳平が、退室する。
西園寺 : 「……はぁ」
一人になり、西園寺は虚空の闇に手を伸ばす。
西園寺 : 「自称、西園寺馨……か」
そして笑うと、呟いた。
西園寺 : 「やっぱり、俺じゃぁ……西園寺馨には、なりきれないのかね……この、俺では……」
闇が指に絡めば、その先が消え入りそうな錯覚さえ覚える。
このまま消えてしまえたのなら、楽なのかもしれない。
そうとさえ思えてくる。
が。
『……貴方は、西園寺馨です』
かつて西園寺馨の教え子であり、そして……本物の西園寺馨でもある男の言葉が、西園寺馨の自我を取り戻す。
西園寺 : 「いけないいけない、何弱気になってんだ、私は……西園寺馨だろう?」
西園寺馨は、一人笑うとニーズホッグ・システムと向き合う。
西園寺 : 「……さて、西園寺馨としての仕事をしますか! 一刻も早く、彼女を見つけてやらないと……私にもいい加減、時間がないからな……」
そして静かにモニターと向き合う。
平穏が、歪む。
……運命と向き合う時も、間近に迫っていた。
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