> 界樹の迷宮を、TRPG風のプレイレポートしてる人が妄想フルスロットルの章。





までのあらすじ >


 いよいよ、第二階層に突入した新米っぽいギルドのご一行様。

 おまじないにつかう、星型の種子が欲しい。

 というクエストを受けたが、我々が予想していた以上にアルケミストのリアルラックが低かったため、思わぬ苦戦を強いられるのであった。




> 密探検倶楽部



GM : 「さて、前回で思ったより 種を探すクエスト に苦戦を強いられた訳だけど」


シュンスケ : 「面目ない」


GM : 「ま、シュンスケ君の低運のおかげで、他に出ていたクエストもあらかた片づいた訳だし……さ、どうする。このまま、地下へ進んでみるかい? それとも、もう少しレベル上げをしていく?」



シグ : (指を左右に振りながら) 「ちっちっ、甘いなGM。俺がそんな、めんどくさくてまどろっこしい事すると思ったのか!」



GM : 「ぶっちゃけ、思ってない」(笑)



シグ : 「だろー。という訳で、全速前進、一気に地下へガンガン進むぜ!」


GM : 「了解〜、じゃ、ずずずっと進むね」


アイラ : 「ジャングル探検隊〜♪」


シェヴァ : 「果たして、このジャングルの奥地に伝説の怪物、モケーレ・ムベンベは本当に存在するのだろうか!」



GM : 「で、どんどん奥に進んでいくと、道はf.o.eが塞いでいたりする訳だけど……」



シグ : 「f.o.eだと?」


アイラ : 「どうせ、ダチョウさんか森の熊さんだよ」


シェヴァ : 「こいつは、動き方からしてダチョウだね」


GM : 「ダチョウじゃなくてジャイアントモアだい!」


アイラ : 「どっちにしても、今なら勝てる相手だよ、軽く撫でてあげよっ」



GM : 「うぅ……ま、そうだろうね。 今のキミたちの実力なら、この階層のf.o.eは森の破壊者だって油断しなければ勝てるだろうし」


アイラ : 「森の破壊者って、誰だっけ?」 (と、言いながらモアモアにヘッドバッシュ)


シグ : 「熊だろ?」 (と、言いながらモアモアにチェイスショック)


アイラ : 「あぁ、森のクマさんね?」 (と、言いながら再度ヘッドバッシュの準備)


GM : 「クマさんじゃないやい、破壊者だい。 ……と、言ってる間に、ジャイアントモアモアがフルボッコにされている予感がするんですが」




シグ : 「今日は鳥の唐揚げだぜ!」




アイラ : 「私はねぎまがいい!」




シュンスケ : 「……なんて食欲旺盛なソードマンたちだ」


GM : 「流石、わんぱくでもいいから逞しく育っているだけある……と、ジャイアントモアモアも、医術防御でガードされてボコられたらたまらんなぁ、あっさりやっつけられちゃったよ」




アイラ : 「やったー、ねぎま、ゲットー!」




シグ : 「唐揚げだと言っただろうが!」




GM : 「倒した敵を食う事ばっかり考えないでくれぃ。 で、奥の大部屋でも、やっぱりf.o.eが徘徊している訳だけど……」


シェヴァ : 「今度は、動き方からしてクマさんだよ。森のクマさん」


リン  : 「森の中でクマさんに出会っちゃったりするんですね」


シェヴァ : 「お嬢さん、お待ちなせぇと、イヤリング拾ってくれるかもね」


シュンスケ : 「まぁ、モンスターがいきなり人語を理解するとは思えんが……流石にウチの食欲旺盛ソードマンでも、クマには食指が動かな……」




アイラ : 「シグ、クマは右手がウマイらしいわよ!」



シグ : 「あぁ、右手で蜂蜜を取るから、右手の方が美味らしいぞ!」




シュンスケ : 「食う気か!」



リン : 「鉄鍋のジャンで同じ事言ってる人を見た事はありますけど……」(笑)


アイラ : 「という訳で、シグ。クマもいっとく?」(笑)


シグ : 「いっとくか。(笑) よし、クマよ、世の中には弱肉強食があると知れ!」


GM : 「く、食いつくされる。世界樹のモンスターたちが、この二人に食い尽くされるよ」(笑)


シグ : 「いい旅樹海気分〜美食と冒険の旅三時間スペシャルだからな」(笑)



GM : 「現地調達前提の旅なんて聞いたコトない! ……む、倒れた。森の破壊者を退治した!」



アイラ : 「やたー、クマ肉ゲット!」


シグ : 「物量からすると、当分食料には困らないな」(笑)


シェヴァ : 「クマの毛皮もゲットだぞー、これで防寒にも困らないっぽいから、ここより地下が冷蔵庫みたいに寒くても大丈夫だよ!」


GM : 「……何だか逞しいギルドに育ってきたなぁ、メタルギアソリッドのスネークさんだってここまで現地調達しまい」(笑)


シェヴァ : 「あ、クマさん倒した先に、階段あったよ階段、下り階段!」


アイラ : 「ほんと!? やった、下り階段、いちばんのりー!」



 と、ついに地下6階は敵なしとなった新米っぽいギルドご一行様は、野外活動精神旺盛なまま、いよいよ地下7階に到達。




GM : 「で、階段下って進んでいると、こう、茨の棘みたいなのが敷き詰めてある床があって……」


シェヴァ : 「みんな、気をつけてー。前方に、いかにもトゲトゲの床があるよ」




シグ : 「そうか、踏んでこい!」



シェヴァ : 「嫌だよ! だいたい、いかにもトゲトゲって言ってるだろ、アレぜったい、ダメージ床だよ! どうしてそんなモノを、率先して踏まないといけないのさ!」



シグ : 「お前が悶え苦しむ姿を、シュンスケがご所望だ」


シェヴァ : 「え!?」


シュンスケ : 「…………いや、望んでないが?」


シェヴァ : 「だよねぇ。あぁ、驚いたァ。俺、今一瞬、どっちの足から踏んだ方が痛くないか考えちゃったよ!」


アイラ : 「所望したら踏むつもりだったんだ」(笑)


GM : 「ま、シュンスケが望むにしろ望まないにしろ、道は棘の上にしかないから、皆踏まないといけないんだがな」(笑)



 そんな、棘の床フロアを乗り越え。



アイラ : 「あ、見た事のないf.o.e発見!」


シグ : 「んぁ、今度はサソリか……」



GM : 「Yes! 密林の王者……」



シュンスケ : 「ん、何だ、ターザンの事か?」(笑)



GM : 「いや、違った、密林の殺し屋、サソリ型のモンスターだ」


アイラ : 「サソリかぁ……やっぱ、刺されると毒とかあるのかな」


GM : 「痛いだろうねぇ」 (実際、密林の殺し屋が使う毒ダメージは固定で113。リンやシュンスケなら即死……前衛でも体力の三分の二はもっていくぜ!)



シェヴァ : 「じゃ、毒喰らう前に攻撃しちゃえばいーんだよ。そーれ、レッグボンテージ!



GM : 「ぐは!」 (でも、足封じされるとスキルが使えない……残念)



シグ : 「俺はチェイス系で追い打ちするか……シュンスケ、あいつには何を使う?」


シュンスケ : 「そうさな……雷で行くか。シグ、チェイスショックで頼む」


シグ : 「了解ッ!」



GM : 「ぐぐは!」 (しかも、こいつの弱点雷……残念)




 と、新規F.o.eも地味に的確な処理であしらわれていたり。




シグ : 「サソリ、いっちょあがりっ」


アイラ : 「サソリは、やっぱ唐揚げかな?」


シュンスケ : 「それも食べる気なのか?」


シェヴァ : 「うぇぇ、やめときなよ、虫っぽいのは……それより、俺はドロップアイテムの方が気になるなぁ。サソリ、何を落としたのかな?」


GM : 「……えっと、濃紫の尾針、レアドロップだ」


アイラ : 「あ、それって確か……」


リン : 「クエストでありましたよね、確か宝石デザイナーさんがほしがっていたような」


シュンスケ : 「そうだな、確か自分がデザインするアクセサリーの材料にすると言っていたが……」


GM : 「だね、どうする……レアドロップだから、また手に入れるのに時間がかかると思うよ」


シュンスケ : 「……受けた依頼は最優先が冒険者の鉄則だろう、依頼を完遂するぞ、リーダー?」


シグ : 「ん、別に俺はどうだっていーぜ」



GM : 「あぁ、ちなみにコレ、ダークハンターの鞭の材料でもあるよ」



シェヴァ : 「まーじでっ!?」



GM : 「まじです。(笑) えー、多分今の階だと、ダクハンの最新武器がこれで作れるようになるけど」



シュンスケ : 「……」



シェヴァ : (キラキラキラキラキラ)



シュンスケ : 「……シェヴァ、あのな」



シェヴァ : 「ねー、シュンスケー、どーしても、ダメぇ?」



シュンスケ : 「…………」



シェヴァ : (キラキラキラキラキラ)



シュンスケ : 「…………生き残る為に、強い武器を得るのも選択肢としては存在するやもしれんな」


シェヴァ : 「やたっ、さすがシュンスケ!」



GM : 「……お前、さっき冒険者は依頼が最優先とか言ってなかったか?」(笑)


シュンスケ : 「俺は冒険者である前に、一人のギルド員だ。ギルド員は、生き残るのが最優先だからな」


GM : 「物は言い様だなホント」(笑)


アイラ : 「シュンスケさんって何だかんだ言ってもシェヴァさんには甘いんだよねー」(笑)




 シュンスケが、わりと簡単に冒険者の鉄則を覆したりしながら。

 いよいよ、地下8階へ到達するのである。





アイラ : 「やたー、地下八階に一番のりー」(笑)


シェヴァ : 「二番のりー」(笑)


シグ : 「……しまった、遅れを取ったか。不覚ッ……この俺としたコトが!」


リン : 「この階もまた、ジャングルなんですか?」


GM : 「そうだね、何処へ行ってもジャングル、ジャングル……」


シュンスケ : 「いい加減、TPが切れるな……」


シェヴァ : 「そだね、幸いこの上の階で、体力が回復する滝みたいな所があったから、今は体力も充実しているけど……」


シグ : 「得体の知れない雰囲気がして、ゆっくりは休めなかったからな……」


リン : 「その、得体の知れない雰囲気の正体が分かればゆっくり休めるんですけどね」


アイラ : 「まーまー、とりあえず今はもーちょっと、先にいってみよ。ねね、見て見て、この階段、降りたすぐ脇に道があるよ!」


シュンスケ : 「ほぅ……見つけにくい場所に、確かに道があるな」


シェヴァ : 「ホントだー。階段おりてすぐって、正面しか見てないから、脇の道って案外見落とすんだよねー」


シュンスケ : 「どうする、行ってみるか?」


シェヴァ : 「そうだね、せっかくアイラちゃんが見つけてくれたんだから、行ってみよう」



GM : 「と、進んでいると……やがて、そこそこの広さの部屋に入る」



シェヴァ : 「そこそこの広さって、八畳間くらい?」


シグ : 「いいや、10畳くらいじゃないか?」



GM : 「……残念、12畳くらいだ。」



シェヴァ : 「12畳! うわ、俺の部屋の四倍の広さだ!」


シグ : 「俺の部屋の二倍だな!」



GM : 「そしてその中央には、得体の知れないf.o.eが鎮座しているが……コレは明らかに強敵の気配がするね。キミらとは格が違うモンスターの貫禄がビシビシと伝わってくる」



シェヴァ : 「流石、俺の四倍の広さに住むだけはある」


シグ : 「きっと家賃いっぱい払ってるんだぜ!」


GM : 「いや、交通の利便が悪いから家賃は安いよ。敷金ゼロ、礼金ゼロ、家賃ゼロだ」(笑)


シェヴァ : 「なんだってー、俺、ここに引っ越そうかな」(笑)


GM : 「でも、風呂トイレはなし、ガス水道なし、モンスター付き、エトリアまで徒歩1日」(笑)


シェヴァ : 「あ、やっぱいいや」(笑)


アイラ : 「んー、でも何か強そうな奴が居るんでしょ。どーする、シグー」




シグ : 「戦わなきゃ現実と!」




アイラ : 「言うと思ったー。(笑) でも、現実として戦ったらどうなるのかな。ね、シュンスケさん、大丈夫だと思う?」


シュンスケ : 「まぁ、現実として戦ったらハンバーグにされるというのがオチだろうな……」


シグ : 「ちぇー、つまらーん」


シュンスケ : 「お前は、自ら率先してハンバーグになる行為を面白いと思うのか?」(笑)


リン : 「くすくすくす……ま、いいよ、ここはもっと強くなってから来れば……ね、まだ他の道もあるから、そっち行こう、シグ?」


シグ : 「ん……そうだな、行ってみるか」


GM : 「……と、キミたちは謎の生物が居座る12畳のリビングをひとまず後にして、他の道を進む事になった」


シェヴァ : 「くそー、いつかあいつを追い出したら、俺があの部屋にリビングを構えてやるんだ!」


シュンスケ : 「いいのか? ガス水道なしトイレなし物件だぞ?」


シェヴァ : 「でも、敷金ゼロ礼金ゼロ家賃ゼロはやっぱり魅力だからね」(笑)




シグ : 「さて、リビングから離れて……こっちには何があるんだ、GM?」


GM : 「そうだな……ぐんぐん進んでいると、君たちは今度は小部屋にたどり着く」


シェヴァ : 「小部屋、うん、2畳半くらいかな」


シグ : 「4畳くらいだろ?」


GM : 「4畳半だ」(笑) 


シェヴァ : 「何と、まだ俺の部屋より広いじゃないか!」(笑)


リン : 「シェヴァさん、広い部屋に憧れがあるんですね」(笑)


シェヴァ : 「子供の頃から、三畳以上の広さの部屋に住んだ事がないから、広い部屋は憧れなのだ、広い部屋は庶民のあこがれなのだ!」


シュンスケ : 「何故二回言う?」



シェヴァ : 「大事だからだ!」



GM : 「と、そこの中央には何かくぼみのようなモノがあり、以前は水が入っていた形跡があるが……今は枯渇しているね」


リン : 「何があったのかな……」


GM : 「と、興味深そうにリンがのぞき込むと、後ろから聞き覚えのある声がする。 『そこには以前、冒険者の傷を癒すわき水があったのだ』 と」



アイラ : 「その声はまさか……」


GM : 「そう、キミたちももう何度か会った事のある、ベテラン冒険者のレン&ツスク……」




シェヴァ : 「ついに、我々は伝説の怪物、モケーレ・ムベンベと遭遇したのであった!」



GM : 「誰がモケーレ・ムベンベだ誰が! というか、シェヴァ、さっきからお前はモケーレ・ムベンベという単語を連発しているが、そいつは一体何なんだ!?」




シェヴァ : 「説明しよう。モケーレ・ムベンベとは、偶蹄目駱駝科に属する脊椎動物で、主に夜行性。草を主食とするが、繁殖期の雌は出産を間近に控えるとネズミやウサギなどを捕食するようになる。主に群で行動し、一つのコロニーにはおよそ5〜10匹ほどのモケーレ・ムベンベが生活する。基本は、一夫多妻制で、勢力の強い雄がコロニーの長となった場合は、大きいもので20匹もの共同体で生活するようになるという……」



GM : 「え、何、マジで、マジでいるの、そういう生物?」(笑)


シュンスケ : 「マスター、嘘に決まっているだろ。騙されないでくれ」


GM : 「だよなぁ、大まじめな顔して言うから、てっきりマジでいる生き物なのかと思っちゃったよ」(笑)


シグ : 「GM、シェヴァは嘘つく時が一番、大まじめな顔をするんだぜ」


アイラ : 「それで、GM。何が現れたんですか、モケーレ・ムベンベ?」(笑)


GM : 「いやいや、レン&ツスクルだよ。彼女たちは、キミたちを見て深刻そうな顔をする。 『今キミたちが見ているのは、かつて傷を癒す泉がわき出ていた場所だ。だが今は見ての通り、枯渇している』



シグ : 「確かに、からっからだな」


GM(レン) : 「『原因は、この階の上に巣くうモンスターだ。奴が巣くって以後、この泉に水が落ちる事がない。以前はここで傷を癒す事も出来たのだが……』



アイラ : 「レンさんの言う、泉をせき止めているモンスターってあれかな、さっき、滝のあたりで感じた、不吉な雰囲気ってやつ?」


シュンスケ : 「だろうな」


GM(レン) : 「『本来なら我々が。退治すべきなのだろうが、生憎他の仕事で手が回らなくてな。もし、よければキミたちに退治を頼みたいのだが』



シェヴァ : 「またー? いつも忙しいよ、このヒトたち!」


シグ : 「報酬は……なさそうだな」


GM(レン) : 「『生憎、な。だがこの泉が再び使えるようになれば、キミたちはここで傷を癒す事が出来る。悪い話ではないだろう』



シュンスケ : 「……確かに、俺としてはこの探索を続けるにあたり、この辺りでTP回復を可能にする場所があるのは有り難い」


シェヴァ : 「装甲の薄い俺としてもありがたい!」


アイラ : 「ぼったくりキノコ (宿の青年の事?) にお財布を苦しめられている私としてもありがたい!」


GM(レン) : 「『……まぁ、君たちの自由だが、かんがえておいてくれ』と、レンさんはそういってさっていく。それに続き、ツスクルも」



シェヴァ : 「ツスクル……」


GM(ツスクル) : 「『…………ぺこり』 (お辞儀)


シェヴァ : 「あ……ぺこり」 (お辞儀)



GM : 「と、きみたちにお辞儀をして、去っていった訳だけど……さて、どぅする?」



アイラ : 「そんなぁ、いかにもモンスターと戦闘なんでしょ、そんなの」




シグ : 「よっしゃ、悪党は俺がたたき切ってやるぜぃ!」



アイラ : 「ほら、シグが黙っている訳ないでしょ」(笑)


GM : 「だなぁ。(笑) どうする、このまま行っちゃうかい?」


シグ : 「困っている人が居るんだろ、ふふ。まごまごしているのは性分じゃねーぜ! このまま真っ直ぐ行って、叩ッ切る!



GM : 「了解。いやぁ、シグは正義感強いねぇ、困っている人を助けずにはいられない性分だなんて……」


シュンスケ : 「いや、あれはただの……」



シグ : 「ふふふ、うずうずするぜ。いよいよ俺のチェイス技を全力でたたき込める相手が出た!」



アイラ : 「戦闘マニアでしょ」(笑)



GM : 「そうだな」(笑)




> 仄い泉の底から




GM : 「で、キミたちはリン&ツスクルから話を聞いた、その足で魔物が潜んでいるという場所へとやって来る訳だ」


シグ : 「泉の魔物か、腕が鳴るぜ……」


リン : 「うぅ〜、どんなのが居るのでしょうか、怖い相手じゃないといいんですけど……」



シグ : 「いや、きっと凶暴な魔物だな! 何せ、泉に巣くう悪党だ、恐ろしく凶暴で、近隣住民から娘を生贄に差し出せと言い、従わない村民たちを血祭りにあげていたに違いない」




リン : 「いけにえ!? うぅ〜」



アイラ : 「こーら、シグ。あんまり、リンちゃんを怖がらせるんじゃないの!」 (むぎゅ!)


シグ : 「ふがっ、こらこら、顔をつねるなアイラ……ンでもよ、湖やら池やら沼やらに潜む魔物は、大概悪くてオオモノって決まってるぜ! ロマサガの水龍しかり、ヤマタノオロチしかり、な!」


アイラ : 「あ。確かに、水辺に潜む魔物っていったら、結構オオモノ多いかもね。何か、龍とか大蛇とか……うー、嫌だ嫌だ!」(ぶるぶる)


シェヴァ : 「あれ、アイラちゃん、蛇系は苦手?」


アイラ : 「……実はね、爬虫類系あんまり好きくないんだ。 トカゲとか、亀もちょっと苦手なんだけど……やっぱり、蛇が一番嫌だなぁ、うねうねして鱗びっしりで目もギョロっとしていて、毒まであるし!」



シグ : 「俺はそういった強敵の方が燃えるがな、巨大な大蛇巣くう泉とそれを倒す格好いい冒険者、うん、いいじゃないか!」



アイラ : 「ぜったーい嫌! だって、その泉、その後私たちが使うんでしょ、絶対嫌だよ、大蛇が居た後の泉なんてっ!」



シグ : 「むむ、浪漫がわからぬ奴め」



GM : 「……と、言いながらキミたちがその場所に行くと、相変わらず心身癒す水がそこにはみちあふれている」


シェヴァ : 「あー、マイナスイオン出てるー」


シュンスケ : 「ん、マイナスイオンと癒しを関連付ける実験結果はなかったと思うが?」


シェヴァ : 「いーんだよ、気分の問題、プライバシー効果だよ」


シュンスケ : 「ん、今のはプラシーボ(偽薬)効果の事か?」


シェヴァ : 「うん、最近の先端医療ではそうとも言うらしいね」


シュンスケ : 「かつての医療でも、そうとしか呼ばれていないと思うのだがな」(笑)



GM : 「と、各々くつろいでいると、ぎらぎらとこちらを狙う影が……泉の魔物が、キミらを狙っている!」



リン : 「来ました、敵ですよ!」


シグ : 「ふふ、さぁ、泉に巣くう魔物だ……さぁて、出るのはか、大蛇か、それとも数千年は生きてそうな巨大魚か。俺の剣の、錆にしてくれるぜ!」




GM : 「そんなシグの期待に出て現れたのは何と……巨大な蟹の化け物だった!」




シグ : 「ハァ?」



GM : 「…………何だよ、シグ。そんな、露骨に嫌そうな顔はするなよな」




シグ : 「だってよぅ……蟹って、ボスのイメージじゃないだろ常識的に考えて!」



アイラ : 「それに今までもカニとは充分戦ってきたよね! はさみカブトとか、はさみカブトとか、はさみカブトとか」


シュンスケ : 「アイラ君の天敵だな」


シェヴァ : 「あと、羽ばたきカブトとかね」


GM : 「いや、はさみカブトや羽ばたきカブトは、一応カニじゃないんだぜ……甲虫ね、甲虫。だからカニのモンスターは初めての、は、ず……だが!」


アイラ : 「うそ! はさみカブトってカニじゃないの!?」


GM : 「うん」


アイラ : 「でもかにみそあったよ!」



GM : 「ま じ で!?」



シグ : 「とにかく! ……何でカニ如きが、ご大層にボスとして出てくるんだよっ!」




GM : 「そう言われてもボスなんだから仕方ないだろ! 蟹はキミたちを見るとぶくぶくと泡をたてて威嚇しているよ」



リン : 「わぁ、ほんとに蟹さんだ」(笑)


シグ : 「ちぇー、せっかくいい所見せられると思ったんだがなぁ……仕方ねぇ、ちゃっちゃと片づけちまうか。おーい、シュンスケ、今日は冷凍蟹にするか、それともビリで行くのか?」



 ※ビリ → 電気ショックで魚を気絶させて行う漁の事。非常に厳しく禁じられているので、良い子は絶対にやってはいけないぞ!




シュンスケ : 「……炎だ」


シグ : 「チェイスファイアは覚えてないのだよ、相棒」(笑)


シュンスケ : 「……だったら、雷か、ビリ漁だな」


シグ : 「了解、それじゃ、俺はチェイスで」


アイラ : 「私は、ブースト。ヘッドバッシュを蟹に!」


シェヴァ : 「それじゃ、俺はブースト、アームボンテージを、蟹に!」


リン : 「ボクは、医術防御で皆さんをお守りしますよ!」



GM : 「そんなボコボコにしなくても……うは、しかもブースト連発でっ、頭も腕も封じられちゃったじゃないか!」



シグ : 「おぉ、これで足も封じれば……」


シュンスケ : 「エクスタシーに達する事が出来るな」


シェヴァ : 「ちょっ、シュンスケ……シュンスケが言うと何か別の意味に聞こえる。 あー、でも、狙っちゃおうかなせっかくだから、足縛り」



 ※エクスタシー : 頭・腕・足を封じたモンスターに強烈な火力を叩き出す、ダクハンのスキル名称であってえっちな意味ではありません!



GM : 「何てことを、何てことを……キミらは敵を蟹をみそにする気か?」(笑)



シグ : 「かにみそあるのか!」



アイラ : 「やった、おつまみゲット!」



GM : 「しまった、このソードマンたちの前で食の話はダメだった……くそ、蟹の攻撃。どうだ、シェヴァ、痛かろう、お前は装甲がないから痛いだろう!」



シェヴァ : 「確かに痛い、けど……リンちゃんの医術防御のおかげで大丈夫だ」



GM : 「くはっ……やっぱり、一匹っきりだとお前ら全員を相手にするのはキツいなぁ……シグのチェイスもはいって、もう体力半分ものこってないや」



シグ : 「ふはは、追い打ちでビリ漁!


シュンスケ : 「……了解した、雷の術式を用意しよう」


シェヴァ : 「よーし、俺はエクスタシー狙いで足縛りいってみよー」




GM : 「いじめだよ、これもう虐めだよ! ううう……」



シェヴァ : 「ばし、ばし……どうだ、蟹の足も縛れたかな、かな?」


GM : 「封じどころかっ、もーボコボコすぎて倒れたよ……キミたちは、泉の魔物を退治した」




一同 : 「やったー、ぱちぱちぱち!」




GM : 「で、滝の水は地下におちていって……これでレン&ツスクルの言う通り、下にある回復の泉がつかえそうではある」



リン : 「良かったです……」


シグ : 「これでより安全に、探索が勧められる訳だな」


アイラ : 「それじゃ、早速あの泉、つかってみよう!」


シュンスケ : 「しかし…………気になる事があるな。」


シェヴァ : 「んー、どうしたの、シュンスケ?」


シュンスケ : 「いや……さっきの地下8階で……階段を、見たか?



シェヴァ : 「あ! ……そういえば、見なかった! 階段なんてみかけなかったよ」


シグ : 「地下八階で見たのは、巨大なモンスターが住まうリビングくらいだな」


シェヴァ : 「そうそう、敷金ゼロ、礼金ゼロ、家賃ゼロで魅惑の12畳物件!」


GM : (そんなに広い部屋が羨ましいのか、シェヴァは)


シュンスケ : 「俺が見落としているだけだと思うか?」


シェヴァ : 「ううん、見落としはないと思うけど……でも、あのリビングはちゃんと調べてないから、何処かに抜け道あるかもよ?」


シグ : 「もしくは、道中どこかに抜け道があったのを見落としているのかもな?」


シェヴァ : 「お、俺が地図作ってるんだよ、そんな事はないと思うけど……」



一同 : 「うーん」




アイラ : 「……むむ、考えてたら何かおなか減って来ちゃった。ね、みんな。とりあえず、一度エトリアの街に戻って休憩して、それから考えよう!」


シュンスケ : 「休憩か……」


アイラ : 「そーそー、アイテムも大分たまってきたし、新しい階に行って、また新しいクエストもあるかもしれないし、困った時は戻るのもアリだと思うよ!」


シュンスケ : 「……そうだな、いいかもしれん」


アイラ : 「という訳で、一度戻るよー、徒歩で!」




一同 : 「って、戻りは徒歩で!?」



アイラ : 「いいじゃなーい、アリアドネの糸もったいないし、節約節約♪」


シュンスケ : 「……いい、回復の泉があるのなら、俺が遠慮なく帰還の術式を編もう……」


アイラ : 「あれ、歩かないの? もー、シュンスケさん、体力ないなぁ」


シェヴァ : 「言わないでやってよ、シュンスケの体力はもぅ、50代なんだからさ」(笑)


シュンスケ : 「50代ではない、まだまだ30代くらいのつもりだ」


シグ : 「お前、まだ二十代だろ」(笑)


シュンスケ : 「…………解っているんだ、自分でも20代の体力がないという事くらいはな」



アイラ : 「…………というか、シュンスケさん、二十代なんだよねー。わたし、てっきり35才くらいだとばっかり」


シェヴァ : 「しっ、それ言ったらダメ! シュンスケ、それすっごい気にしてんだからね!」





> 弟シェヴァの、舎弟



 で、無事にエトリアに戻りまして。



GM : 「で、アイラに従って一度エトリアに戻る……と」


アイラ : 「ただいまー、おなかへったー、ごはんー!」


シェヴァ : 「アイラちゃん、迷宮であんなにモンスターをご飯にしていたのに」(笑)


アイラ : 「モンスターは別腹〜」(笑)


シュンスケ : 「豪快な別腹だな」


アイラ : 「うん、アイラがお腹減っているというより、私自身もおなか減っているんだよね。実は」


シグ : 「あぁ……俺も腹減ってきたなぁ。何か酒のつまみ買ってきてたっけ?」


リン : 「あっ……ボク、お菓子つくってきましたよ!」




一同 : 「えっ!?」




リン : 「セッションの休憩中に食べてもらおうかな、と思ってつくってきたんですけど……よかったら、食べますか?」


GM : 「え、え、マジですか、マジですか、何をつくってきたんですか?」(笑)


アイラ : 「あれ、GMさん、何で興奮しているんですか?」(笑)


GM : 「いや、ゴメン。自分、周囲にあまり女性が居ない生活をおくっていたモンだから、初めて見るお菓子を作る女性につい狼狽えてしまった。」(笑)


シュンスケ : 「……理系だと、まず女性と接する機会がないからな」


GM : 「そーだよな……って。シュンスケ、流石俺の大学の後輩、話がわかるな」(笑)


シュンスケ : 「あぁ、境遇は一緒だ」



GM : 「そうだったのか、おぉ、心の友よ!



シグ : 「でも、シュンスケ確か、大学時代すげー可愛い子に告白されてなかったっけ……」




GM : 「何、この裏切り者め!」



シェヴァ : 「っていうか、何ですかー、それ俺初耳だけど! マジで、マジで?」


シュンスケ : 「……いや、受けてはいないぞ? 研究が忙しくてそれどころじゃなかったからな。別に裏切りではないだろう」




GM : 「裏切りだ、理系の癖におにゃのこと話すなんて、何て裏切りだ!」(笑)




アイラ : 「あはは。 でも、リンちゃんのお菓子は私も嬉しいなー。ね、何つくってきたの?」


リン : 「あ、あの……コレ……チョコレートマフィンです、よかったらどうぞ。 あっ、シグは、甘いの大丈夫です?」


シグ : 「全然オッケーさ、頂くよ……うは、うまそーだなぁ、コレ」



シェヴァ : 「あー……リンちゃんがお菓子出すんなら、俺も出しておこうかな?」



GM : 「? 何だよ、シェヴァ、お前何か持ち寄りで菓子をもってきたのか?」



シェヴァ : 「あぁ……つか、俺もつくって来たんスよ、マスター」



GM : 「ふーん……」


シェヴァ : 「あれー、マスター、リンちゃんの時は狼狽えまでした癖に、俺の時は随分反応薄くないっすか?」




GM : 「男にお菓子作られても、ときめかねぇから」




シェヴァ : 「正直だな、マスター、正直だな!」




シグ : 「たしかに、シェヴァがつくったモノより、リンがつくったモノの方が俺は嬉しいな」


シュンスケ : 「……俺はもともと、甘い物は苦手だ」



シェヴァ : 「テンション低ッ、こいつらテンション低ッ……ふん、いーですよー、女の子に食べてもらいまーすからねーだ」


アイラ : 「あはは、シェヴァさんのお菓子も嬉しいよー。で、シェヴァさん、何を作ってきたのー?」


GM : 「どーせ、よっちゃんイカをつめて来ただけだろ」



シェヴァ : 「そんなんしないですー。よっちゃんイカ大好きだけど……俺は、マカロンを作ってきました」



リン : 「えっ!?」



GM : 「マカロンって何?」


シグ : 「しらね、喰えんの?」


アイラ : 「マカロンって、あれだよ。クッキーみたいな、でもサクサクした……」


リン : 「あ、あの。卵白にアーモンド粉とお砂糖を混ぜて焼いた生地の間に、ジャムとかを挟んだ焼き菓子です……」


シェヴァ : 「はは……リンちゃんと違って、俺のは失敗しちまって……何時もより膨らんでないんで悪いんスけど、良かったらどーぞ」



GM : 「何だ、しかも失敗お菓子かよ、全く……」


シグ : 「ははは、仕方ねぇーなぁ、ま、シェヴァがする事だもんなー」




リン : 「えっ、えっ? シェヴァさん……これで、失……敗? すごく綺麗に焼けてるじゃないですか!」


シェヴァ : 「んー、ヒビはいっちゃったから……急いで作ったから、乾燥させないで焼いたのが原因だろーねー」


リン : 「シェヴァさん、マカロン……何回くらい、挑戦しました?」


シェヴァ : 「んー、まだ二回目かな〜、前の方が綺麗に焼けたんだけど……」


リン : 「えっ、えっ? シェヴァさん、他にもお菓子作る人ですか?」


シェヴァ : 「作るけど……同居人があんまり甘い物好きじゃないから、最近は友達に頼まれた時にしか作らないかなぁ」


リン : 「えっ、えっ? あの、他には何を作るんですか? 得意なのとか、ありますか?」


シェヴァ : 「ロールケーキとか、スフレとか、タルトとか……頼まれると洋菓子が多いね〜。誕生日ケーキとか頼まれる事もあるし。得意なのはこれといって無いなぁ……ま、強いて言うなら柏餅とかかな、同居人が和菓子好きだからさ」


リン : 「……わ、和菓子ですか!?」


シェヴァ : 「うん。あんこ作るのに時間がかかるから、たまにしかやらないけどね〜」


リン : 「しかも、あんこも手作りですか!?」


シェヴァ : 「そうだよー、市販のあんこは甘さがちょっとくどくって……手作りなら、自分で調整できるもんねー」




リン : 「…………シェヴァさん、弟子にしてください!」



一同 : 「ええええ〜!」



シグ : 「落ち着け、リン、シェヴァの弟子になるという事は、シュンスケの孫弟子だぞ!」(笑)


リン : 「で、で、でも、凄いですよシェヴァさんは! マカロンこんなに綺麗に焼けるし、スフレとタルトはボクも作った事はないし、その上和菓子まで!」


シェヴァ : 「凄くないよ、和菓子は慣れれば洋菓子より作るの簡単だよ? それに、凄いって言うけど……洋菓子は結構力作業だから、男の俺の方が上手く行くだけだって」


リン : 「……いいえ、決めました! シェヴァさん、これからは師匠と呼ばせてください!


シェヴァ : 「えぇえぇ……ど、ど、どうする、シュンスケ?」


シュンスケ : 「……何故、俺に聞く?」


シェヴァ : 「え、だってリンちゃん、シュンスケの孫弟子になるんだよ?」(笑)


シュンスケ : 「……そもそも、俺はお前の師匠になった記憶はないんだが」


シェヴァ : 「あれ?」


シグ : 「あぁ、そうだな、シェヴァはシュンスケの舎弟だから、この場合……」


アイラ : 「シュンスケさんは、シェヴァさんの組長といった所かな?」


シグ : 「そうか、シュンスケ組組長だな」


シュンスケ : 「任侠映画みたいな例え方をしないでくれ。(笑) それに、俺はそんな組を立ち上げた覚えもなければ、これからも立ち上げる予定はない」




シェヴァ : 「組長、何言ってるんですかい、組長、俺たちを見捨てるつもりですかい!」



シュンスケ : 「言ったそばからいきなり小芝居をはじめるな!」(笑)




リン : 「そーです、くみちょー! ボクら、くみちょーがいないと……どーしたらいーんですかい!」



シュンスケ : 「しかもリン君まで!」



シグ : 「いいじゃねーの、シュンスケ、シュンスケ組組長で」


シェヴァ : 「そーです、組長。俺たちを見捨てねぇでくだせぇ!」


リン : 「そーです、ねー、くみちょー!」



シュンスケ : 「もう、勝手にしてくれ」(笑)



アイラ : 「現実世界に、世界樹のスキルマスターシステムがあったら、シュンスケさん多分、保護者マスタリーLV.10とかだよね」(笑)


シュンスケ : 「……それで、習得出来る特技は何だ?」



アイラ : 「保父」



シュンスケ : 「……それは、むしろ罠スキルではないか。」(笑)


シグ : 「いやいや、才能あるってお前。見た目は超絶胡散臭いけど、性格は男前だぜ」



シュンスケ : 「胡散臭いは余計だ!」



GM : 「いや、ホント、シュンスケくんって苦労性だよねぇ……」


シュンスケ : 「ほっといてください、はぁ……」




 かくして、泉の魔物を倒し泉を復活させた新米(脱却中)の新米ギルドご一行。

 しかし、先にあるはずの階段はなく、途方にくれてしまっていた。


 果たして先の階段はどこにあるのか……。

 新米ギルドご一行は、果たして地下へ進む事が出来るのだろうか!


 他愛もない会話をかわしつつ、友情を深めながら……。

 次回へ、続くのである。








> 幕劇 〜 野郎どもがダラダラとファミレスで過ごしているようです。






 セッション終了後の、とある日。

 都内某ファミレスにて。




七瀬澪 (シェヴァのプレイヤー、以後便宜上七瀬) : 「ふぃー、今日もお疲れさまでーす。あー、お腹減った。ねね、皆、何にする何にするー?」


桐生和彦 (シグのプレイヤー、以後便宜上桐生) : 「待て、ななみ。せめてメニューくらい見させてくれ」


七瀬 : 「カズ君は、肉がっつりいきそーだから、この、がっつりTボーンステーキ、ってやつでいいよね?」



桐生 : 「だからお前は俺のメニューを勝手に頼もうとするなよ、ヒトの話聞けって!」(笑)



七瀬 : 「えー、いいじゃーん、どうせTボーンステーキをサクサク食べるよ、カズ君は!」


桐生 : 「バキ世界の登場人物かよ、俺は。 あー、でも何にしよーかなー、確かにガッツリ行きてぇし……あぁ、やっぱりアレだな、がっつりTボーンステーキ


椎名淳平 (シュンスケのプレイヤー、以後便宜上椎名) : 「……結局、ステーキなんだな」(笑)


桐生 : 「すまんななみ、吟味しても結局ステーキだった」(笑)


七瀬 : 「ほーらね。というか、カズ君がここでステーキ以外のモノ食べている所見た事ないもん、俺……あ、淳兄ぃは何にする?」


椎名 : 「…………俺はあまり食べたい気分でもないな」


七瀬 : 「じゃ、パスタ一人前頼んで、二人で分けようか? 俺もあんまり食べたい気分じゃないし」


桐生 : 「パスタだけで足りるのかァ?」


七瀬 : 「じゃ、パスタとピザ……って、せっかくここに来たんだから、アニキピザ頼まないと勿体ないよね、兄貴ピザ!」


桐生 : 「あにきぴざ? ……そんなメニューあったっけ、ここに?」



七瀬 : 「あぁ、プロシュートドカのせ贅沢ピザの事だよ?」



桐生 : 「ジョジョのプロシュート兄貴の事か! またわかりにくい愛称つけるなお前は!」



七瀬 : 「いーじゃないかー。あ、あと、ぶったぎったエビ入りサラダでも頼もう、そうすればお腹一杯だよねー」


椎名 : 「……デザートはいいのか?」


七瀬 : 「んー、淳兄ぃが頼んでいいって言うなら、頼んじゃおーかな、生チョコレートケーキ」


桐生 : 「つか、ななみは小食の癖にいつも頼むよな、デザート……」


七瀬 : 「うん、甘い物は別腹ー」



桐生 : 「別腹あんの、お前!?」



椎名 : 「澪の別腹は、現在、ケーキ用別腹と、アイス用別腹と、もずく酢用別腹の存在を確認しているが?」


桐生 : 「そうか、別腹は女の子しか得る事の出来ないモノだと思っていたが、考えを改めないと……」


七瀬 : 「もずく酢は別腹ー」


桐生 : 「……………いや、まぁあいつは機能的には女の子だよな、もう」


椎名 : 「……何故俺を見る?」


桐生 : 「いや、別に」


七瀬 : 「あ、俺ドリンクバーとってくるよ。淳兄ぃ、何にする?」


椎名 : 「コーヒー」


七瀬 : 「了解、カズ君は?」


桐生 : 「俺、コーラね」


七瀬 : 「了解、ブレンドコーヒーと、ブレンドコーラね。じゃ、とってくる!」


桐生 : 「あぁ……って、俺、ブレンド頼んでねぇよ! コーラだ、普通にコーラもってこい!」


椎名 : 「桐生。澪に普通を頼んだ時点で間違っているんだ。覚えてくれ」




七瀬 : 「あー、カズくーん、カズ君は飲み物に氷とか入れるのオッケーなヒト? ダメなヒト?」



桐生 : 「ちょまっ……な、七瀬! こ、ここ、ファミレスだからな、そんな大声でカズ君とかっ、もー、やめてくれって! そして氷は入れる人だ!」



七瀬 : 「りょうかーい、カズ君は入れるのが好きな人だねー」




桐生 : 「あぁ……つか、ビックリした……ななみはアレだよな、結構恥ずかしいよーなあだ名でも大声で呼よな」


椎名 : 「……そうだな」



桐生 : 「まさかファミレスでこんな大きい声で『カズ君』って呼ばれるとは思わなかったぜ……」



椎名 : 「だが、その程度で済んで良かったな」




桐生 : 「……あれ、お前もっと非道い呼ばれ方してんの。 あ、いや。確かに、お前普段から淳兄ぃだもんな。流石に淳兄ぃと大声で呼ばれるのは、キツいか?」


椎名 : 「淳兄ぃは、もう慣れたから諦めがつくんだが……ほら、アイツ、俺の家に居候しているだろ」


桐生 : 「あぁ、してるね、同棲



椎名 : 「……そのせいか、最近澪は俺の事、お館様とか、旦那様と呼ぶ事があるんだが」



桐生 : 「うわー、キッツイなー、流石ななみだ、俺たちの考えつかない辱めを考える」


椎名 : 「あぁ……だが流石に、この前駅前で待ち合わせしていた時…… 『お待たせしました、ご主人様ー』 といいながら走りよって来た時は、その場から逃げたかったよ……」



桐生 : 「いや、逃げなかったんだなお前偉いよ、俺だったら絶対逃げてる、その状況は!」




七瀬 : 「お待たせしましたー。えー、カズ君、何のはなししてた?」


椎名 : 「いや……。」



桐生 : 「おまえ、パネェなって話してたんだよ。」




 ちなみに、そんなパネェ七瀬さんの作ってきたブレンドコーラは、メロンソーダレモンスカッシュと、どこかのテーブルにおいてあったソースがブレンドされているという。

 コーラが入ってないという、実に画期的なブレンドだったそうです。


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