> 界樹の迷宮を、TRPG風のプレイレポートしてる人が頑張るの巻。






までのあらすじ >


 執政院より、地下5階に潜むスノードリフト退治を依頼された新米ギルドご一行は、見事それをうち倒す。

 そしていよいよ、地下6階……迷宮第2階層に到達するのだった。




第二階層入時点のメンバーとスキル傾向 >



シグ (青髪ソードマン LV.18)



 ハヤブサ駆けで雑魚一層係。

 だが、ボス戦だと決め手になるスキルがなく、応援係に徹していたなんだかなぁリーダー。

 チェイス系目指して修行中。



アイラ (赤髪ギャルっこソードマン LV.18)



 斧系ソードマン、なのでアックスマン。女の子だからむしろアックスギャル。

 ヘッドバッシュスタンスマッシュで脳漿ぶちまけろ。

 斧系一本絞りなのでゆとり教育。最近は採掘作業もはじめ乙女と逆方向にも全力疾走中。



シェヴァ (褐色ダークハンター LV.18)


 鞭系ダクハン、主力はアームボンテージ。f.o.e対策でジエンド

 火力もそこそこになっているが、装甲が薄いので、骨を切らせて肉を断つ状態に。

 シュンスケさんの装備アイテム。(アイテムとしてはアクセサリー扱い)



リン (ロリメディ LV.18)


 医術防御エリアキュアで全体を回復、支援する防御担当。

 か弱いので殴りに行けないけど、メンバーには必要不可欠な救急箱。

 口数が少なく、真面目だが地味な印象があるも、実はギルドの中で一番いなくなってはいけない、ギルドの良心。



シュンスケ (黒髪アルケ LV.18)


 メインは、サブは、隠し芸で一応炎も嗜む器用貧乏。

 考えなく行動するギルドメンバーのブレイン的存在な、みんなの裏番長。

 テリーマン係。




> うるかむとーざじゃんぐる!




 ――前回のセッションより一週間後。


 某月某実、都内某所。 
(和訳 : いつものばしょ)




GM : 「うぃー、それじゃ前回のセッションから幾分か間があいちゃった訳だけど、皆何していたか覚えているー? 覚えてないならおさらいするけど」


シェヴァ : 「何言ってるんすか、マスター。たった一週間前の事ッスよ、覚えていて当たり前じゃないっすか!」


GM : 「おぉ、いい返事だなー。じゃ、本当に覚えているか確かめたいから、これまでのあらすじを言ってみてくれたまえ、シェヴァ君」




シェヴァ : 「らじゃ〜りょーかーい。えっと……確か……三年前、死んだ妻から突然届いた手紙には『思い出の場所で貴方に会いたい』の一文が。驚いて思い出の地へ出向いてみたら、そこは得体の知れない化け物が徘徊する街になっていた……ん、だっけ?」




GM : 「シェヴァは絶対に覚えてないと思っていたが、まさかここまでとは!」



シグ : 「っつーか、シェヴァの説明しているの、何か他のゲームのストーリーじゃねぇのか?」


シュンスケ : 「サイレントヒル2だな」


GM : 「何で!? せめてアトラスゲーにしてくれよ、間違えるなら


リン : 「あのッ……確か、執政院さんからの依頼を受けて、スノードリフトさんを退治して……新しい階層へ向かう事になったんですよ、ね?」


GM : 「そうそう……良かった、リンちゃんは覚えていてくれると思ったんだ! 全く。お前ら、リンちゃんを見習えよ!」




シグ : 「俺は過去には拘らねぇ、真っ直ぐ未来(まえ)だけ見つめてンだよ!」




GM : 「言っている事は格好いいが、それ、こういう時に言う台詞じゃなくね!?」



アイラ : 「まーまー、それより、今回から地下6階の探索になるんだよね、そろそろ行ってみましょうよ」


シュンスケ : 「そうだな……マスター、確か前回はスノードリフトを倒して次の階層に向かう所だったはずだよな。そのまま、次の階層へ向かおう」


GM : 「うぃうぃ、了解。で……キミたちは、スノードリフトを倒し、いよいよ地下6階……第二階層に突入する、と」


アイラ : 「第二階層? 地下六階なのに、二階?」


GM : 「あぁ……世界樹の迷宮は5階事に階層が区切られているんだよ。で、今まで入っていたのは第1階層、深緑の眩しい翠緑ノ樹海だったんだ」


アイラ : 「じゃ、ここからまた迷宮の名前が変わるって事かな、かな?」


GM : 「ま、そうだね。ここから先は、第二階層、原始ノ大密林だ」


シェヴァ : 「原始の……?」


リン : 「それって、どういう場所なんですか?」


GM : 「そうだね……今までは、深緑の森を歩いているような雰囲気だったけど、ここはもっと薄暗くてジメっとしている。はえている植物も、もっと密林というか……そう、亜熱帯系ジャングルにはえているよーな毒々しい色の花や、羊歯なんかが多いかな」


シグ : 「おぉっ、密林……ジャングルか、いかにも秘境を行く、って感じだな!」



シェヴァ : 「川口探検隊だ、川口探検隊!」



シグ : 「川口浩とは、お前もまた古い」(笑)


シュンスケ  : 「あぁ……しかも、藤岡弘、の方じゃないんだな」


アイラ : 「だけど、その探検隊を名乗るんだったら、私たちはジャングルの中に珍生物を探しにいかないといけなくなるよ」(笑)



GM : 「と、キミたちが意気揚々と珍生物を探す為、ジャングルに降り立つと、聞き覚えのある声がする……」



シェヴァ : 「ついに探検隊の前に、モケーレ・ムベンベが姿を現した!」



GM : 「いやいやいやいや、そんな未確認生物は姿を現したりしないから! ……現れたのは、レン&ツスクルの二人だ。二人は、キミたちを見ると満足そうに笑うね。 『スノードリフト退治、見事だったな。この階層に来れたキミたちは、エトリアの冒険者の中でも上位の冒険者という事になる』




シグ : 「上位だと! おぉ、俺、もうベテラン冒険者か。ふふ、ベテラン。ベテラン……ベテランである、敬うがいい!」(笑)



シュンスケ : 「いや、上位というだけでベテランとは言えないだろう。俺たちにはまだまだ、経験が足りないからな」


アイラ : 「シュンスケさん、謙虚だねー」


GM : 「と、シグをたしなめるシュンスケの方を見ると、レンは、僅かに頷いた。『確かにお前らには経験が足りないかもしれない。だが、それでもここにたどり着けたという事は、エトリアで上位冒険者の仲間入りをした、という事だ、胸を張るがいい』と、そしてキミらの前に進み、先の部屋の中央で輝く光の柱のようなモノを指さす」



アイラ : 「光の柱?」


GM : 「『これは、樹海磁軸、コレを使う事で街に戻る事も出来る。スノードリフトを倒したのなら、一度街へ戻り報告するがいい』……と。そして、レン&ツスクルはそれに触れ、君たちの前から姿を消した……」


アイラ : 「何あれ、ワープゾーン?」



シグ : 「つーか、一度街に戻れって……今からジャングル探索する気満々だったのだが!」



GM : 「そんな事、知るか」(笑) 


シュンスケ : 「……だが、一度戻ってもいい頃合いだな。街に新しいクエストが出ているかもしれん」


シェヴァ : 「荷物ももー、ごわごわの皮とか木炭とかで一杯だよ。少し売りにいかないと」


シグ : 「む……仕方ない、それじゃ戻るか。えー、この樹海磁軸に触れれば戻れるのか?」


GM : 「そだね、前のレン&ツスクルを真似して……はい〜、じゃ、戻ってきました、とー」


アイラ : 「ただ〜いまっと」


GM : 「じゃ、何処行く? 武器屋にする? 酒場にする? それとも、執政院?」


シェヴァ : 「下乳にする? 未亡人にする? それとも、なで肩メガネ?



シグ : 「そういう聞かれ方をすると、執政院がダントツで魅力がないな」(笑)



GM : 「てか、金鹿の酒場にいる女主人には別に、未亡人って設定はないが?」(笑)


シュンスケ : 「……まずは執政院で報告だけ済ませて来るか?」


GM : 「了解、執政院だね。キミ達は執政院に訪れた、すると……」



シグ : 「メガネのハナシはどうでもいいから、とにかくスノードリフトをブッ倒してきた報酬をよこしやがれ!」



GM : 「えー!」


シグ : 「どうせ、『よくやったえらいぞありがとう!』位しか台詞がないんだろ、そのメガネ」(笑)


GM : 「確かにそうだけど、少しは喋らせてくれよ。(笑) ほら、執政院のメガネファンの女の子とか、居るかもしれないだろ?」(笑)


シグ: 「だ、そうだが……この中にメガネっ男(こ)萌えは居るか?」



アイラ : 「私は、おじさまが好き」


リン : 「ぼ、ぼ、ボクは、ボクは……ぼ、ボクは、メガネの人じゃない人が、好きです!



シグ : 「よし、女性陣からも対象外公認を得たから、安心して引っ込んで良いぞ、なで肩メガネ」(笑)



GM : 「しくしくしく……『じゃ、これ報酬……なんかもぅ、これからも頑張って』と、なで肩メガネは、がっくり肩を落として君たちに報酬をわたし、さって行く」


アイラ : 「わ、報酬、幾ら?」


GM : 「2000エン」


シグ : 「よしよし、これでついでに、いい装備をそろえてこようぜ」


シェヴァ : 「んー……でも、まだいい装備が出来てないんだよね、シリカ商店は慢性的な材料不足みたいで」


アイラ : 「シリカ商店は材料が集まらないと武器が増えないもんねー」


リン : 「だったら、酒場に行ってみませんか? 何か新しいクエストが出ているかもしれませんから」


GM : 「了解、酒場に向かうんだね、キミ達は酒場に向かう、と……」



シグ : 「よーし、女将、エール一丁だ!」(笑)



アイラ : 「こら、シグっ。クエストが無いか見に来たんでしょっ!」


シグ : 「はは、だが、たまには女将も酒を頼んでやんないと、商売あがったりだろうが! という訳で、俺エール一本頂くよ〜」(と、持参したビニール袋に手を伸ばす)


シェヴァ : 「あ、ビール!」


シグ : 「へへ、頂きま〜す。かんぱーい」 (かしゅっ! と、缶ビールの蓋を開ける)


GM : 「おいおい……飲むのはいいが、飲み過ぎないでくれよ、途中でつぶれたら全モンスターでお前を集中攻撃にして、容赦なくフルボッコにするからな」


シグ : 「はは、大丈夫大丈夫、心配すんなって」


シュンスケ : 「……まぁ、シグは酒に強いから、大丈夫だろ」


アイラ : 「もー、本当にシグはしょうがないわねぇ……私たちが真面目にやらないと! ……という訳で、おねーさん、私もエール一丁!」 (と、いいながらシグの持参したビニールよりビールを取り出す)



GM : 「ええええええ、キミまで飲むんかいっ!」



シュンスケ : 「……まぁ、酒場は酒を飲む所だからな」


GM : 「確かにそうだけど、ホント、酔いつぶれないでくれよ …… 『はい、でもみんな、あまり飲み過ぎないでね』 と、マスターはエールを二つ、キミたちに手渡した」



アイラ : 「ありがとー、おねーさん。それじゃ、かんぱーい!」(笑)


シグ : 「おーし、かんぱーい!」(笑)


GM : 「はいはい、どーぞ……しかしまさか、金鹿の酒場で酒を飲んでくれる人が居るとは思わなかったな」(笑)


リン : 「確かに、ここでお酒を飲んでいる人ってあんまり見ませんよね?」


シュンスケ : 「……俺たちが地下に潜っている間に、客が来ているんじゃないか?」


シェヴァ : 「俺はそれより、設定年齢19才の未成年だったはずのアイラちゃんがお酒を飲んでいる事の方が気になるんですけど?」(笑)


アイラ: 「嫌ぁね、私が飲んでいるのはビのつくジュースよ」(笑)



シュンスケ : 「……それで、何か新しいクエストはあるのか、マスター」


GM : 「そうだね……幾つか新規クエストがあがっているね、目新しいのは……恋のおまじないの為に、種をとってきてほしい、って依頼とかかな?」



リン : 「恋の、おまじない……ですか!」(キラッ)



GM : 「んー、そうだけど、それがどうかした?」


リン : 「えっと……それは、本当に効く……い、いえ、な、何でもないです!」


GM : 「うん? ならいいけど……この依頼は、恋する乙女がおまじないをする為、迷宮から星型の種子をとってきてほしいよ、って依頼だ」


シェヴァ : 「星型の……聞いたコトないなぁ」


シュンスケ : 「そうだな……第二階層に出る敵が落とす、ドロップアイテムか。あるいは、採取や伐採でとれるアイテムか……いずれにしても、新しい素材アイテムだろう」


アイラ : 「いいんじゃないの、受けても。だって、これから二階層に行くんだもの。探索ついでにパパっと、拾って来ちゃいましょうよ」



GM : 「ちなみに、必要な種子の数は5個



一同 : 「5個!?」



シェヴァ : 「いや、ちょっと、5個は流石に多く無いッスか!?」(笑)


シュンスケ : 「何をそんなにまじないたいんだ、その子は」


シグ : 「まじない通り越して、呪えるレベルじゃないか」(笑)


GM : 「知らないよ、依頼書にそう書いてあるんだから」(笑) 


リン : 「……5個も? うーん、名前の数だけ必要、とかなのかなぁ……だったら、ボクなら二個でいい? でも、アルファベット表記だったら……」(ぶつぶつ)


GM : 「で、どうする、うけるのかい?」


シュンスケ : 「ん……まぁ、別段、後回しでも構わんと思うが……」




シグ : 「ばっか野郎、困っている女の子が居るんだぞ、それを助けてやらねぇなんて、男が廃るってもんだぜ!」



リン : 「きゃぅっ……し、し、シグさん!? こ、声が大きいですっ!」



シグ : 「おぉ、悪ぃ。(笑) でもよー、恋心を伝えたい少女が出した精一杯の勇気だろ、受け止めてやるのが男ってもんだろうが!」


シュンスケ : 「……それと、男であるか否かが、どこで繋がるのか俺にはどうにも解らんが」


シェヴァ : 「でも、俺もシグの言う事には賛成だな。どうせ、地下には行くんだし、探索ついでに見つけてきてあげようよ」


アイラ : 「あたしも、あたしもー! 依頼に期限もなさそうだし、大丈夫だって!」


シュンスケ : 「……シェヴァやアイラ君もそう言うのであれば、俺も異論はない。受けるとしよう」



GM : 「あ、あぁ……じゃ、受けるんだね。了解、それならキミらはそのクエストを、受けた、と……」



シグ : 「よっし、早速行くぜ、困った女の子を助ける為に、第二階層へgoだ!」



リン : 「ひやぅん! シグさん、声大きいですぅ〜」



シグ : 「行くぜ行くぜ〜、うぇるかむとーざじゃぁーんぐぅーる♪」


リン : 「あー、もー、シグさん、ご機嫌すぎるっ、さては、酔っぱらってますね! あー、シグさん、酔っぱらっているのに先に行かないでください、もー!」


GM : 「シュンスケ……シグは、酒に強いって言ってなかったか?」


シュンスケ : 「……確かに酔いつぶれないが……酔わない、とは言ってなかったぞ?」


シェヴァ : 「シグは、酔うと大声になって、ものすごくご機嫌になるからねー」



GM : 「そういうのは、酒に弱いって言うんだよ!」(笑)





> 眠れるのシュンスケ



 まぁ、そんな事があり。

 再び地下6階に行く訳です。




GM : 「ンでは、樹海磁軸をつかい、キミたちは地下6階……第2階層へたどり着いた」


シグ : 「新天地到着ッ!」


リン : 「シグさーん、まってくださいよー」 (ぱたぱた)


シェヴァ : 「わー、本当にあっとう間に地下6階だ。原理はわかんないけど、あの樹海磁軸便利だねー」


シュンスケ : 「……あぁ。だが、油断するな。すぐに来れる場所になったが、ここの敵は今までより強力だろうからな」


シグ : 「ははっ、わかってるって。でも心配するなよ、俺らもー、上位の冒険者ってお墨付きをレンからもしてもらってる訳だしさ」


シュンスケ : 「……それなら、上位冒険者らしく慎重に行って欲しいモノだがな。さて、この階層は初見だが、一体どうなっている、マスター?」


GM : 「ん……とりあえず、磁軸から出た部屋は小部屋になっていて、目の前には上り階段……これは、キミたちがさっき降りてきたばかりの、5階に通じる階段だ。それと、扉が一つあるね」


シュンスケ : 「だ、そうだが……どうするリーダー」




シグ : 「とりあえず、まっすぐだ!」




シュンスケ : 「そう言うと思ったが……冷静になれリーダー、樹海磁軸から出て真っ直ぐ行くと、上り階段だ。我々はまた、探索済みの地下5階に戻ってしまうぞ」



シグ : 「あるぇ〜?」


アイラ : 「じゃ、とーりあえずこの、樹海磁軸のある部屋から出てまっすぐ行ってみる?」


GM : 「樹海磁軸のある部屋から出ると、すぐ目の前にまた扉があって、左右に道があるけど……」



シグ : 「扉を壊して、真っ直ぐだ!」



シュンスケ : 「壊すな、開けろ!」



GM : 「はいはい、扉を開けて真っ直ぐね……そこは広場になっていて、何かf.o.eがうじゃうじゃ徘徊しているよ」




一同 : 「何ですとー!!!」



シェヴァ : 「う、うじゃうじゃって、どの位だよ、マスター!」


GM : 「たくさん」(笑)


シュンスケ : 「3匹以上か」(笑)


GM : 「うん、3より上は、あと沢山」(笑)



シグ : 「戦ってみねぇと、敵の実力は解らねぇが……」


アイラ : 「まだ、この階層の雑魚敵ともふれあってないのに、いきなり強敵扱いのf.o.eと戦うのはちょっと嫌だなぁ。私もう少し雑魚敵と戯れたい気分だよー」


シェヴァ : 「同感、この部屋は見なかった事にして、まずは左右の道から見ていこう!」




シグ : 「何言ってんだテメェら、当たって砕けろのハングリー精神はねぇのか!」



シェヴァ : 「でも、マゾだってそこまで自分をせめたりはしないよ!」



シグ : 「……何故だろう、シェヴァにそう言われると、俺は今とんでもない無茶をしようとしていたんだ、という実感が出てきた」


シェヴァ : 「はい、もー、わかったらいったん撤退。あいつら、幸いに追いかけてもこなそうだから、近づかなきゃ大丈夫だよ」



GM : 「じゃ、キミたちは一度部屋を出る」


シグ : 「逃げたんじゃない、後ろ向きに走っただけだ」


GM : 「はい、戻る。目の前には、さっきの磁軸がある部屋の扉ね。あと、左右に道がのびている」


アイラ : 「えーと、右と左、どっちに行く?」



シグ : 「とりあえず、まっす……」



シュンスケ : 「真っ直ぐ行くと、また元の部屋に戻るからな、リーダー」



シグ : 「冗談だ、冗談……じゃ、とりあえず左側から行くか、困った時はファリスの左だ」


リン : 「ファリスの左?」


シェヴァ : 「そう、左は正義の方向なんだよ、リンちゃん」(笑)


リン : 「???」


シュンスケ : 「また、マニアしか解らない事を言う……」


アイラ : 「フツーの感覚だと、ファリスといえばファイナルファンタジー5だよね」


リン : 「なんで、ファリスの左なんですか?」


シュンスケ : 「……ソードワールドRPGに、ファリス神という法と正義の神が居てだな」


シェヴァ : 「その神様が、巨人の左手から生まれた事になっているんだっけ?」


リン : 「だから、ファリスの左手?」


シグ : 「そう、ソードワールドでは左が正義の方角なのさ」(笑)



GM : 「了解、ファリスの左ね……と、左側に進んで行くと……よし、皆、おまたせいたしました、敵の登場だよ、よ!」



アイラ : 「わぁ、来た来た、久々の戦闘だねー」


GM : 「敵は、なんだかオレンジ色のスライムが二匹




シェヴァ : 「スライムベスが現れた!」



GM : 「そこまでオレンジじゃないし、そこまで笑顔でもないが……まぁ、そうともとれるか、オレンジのスライムじゃ」(笑)


アイラ : 「スライム、嫌だなー、べたべたしそうー、斧で切れるのかな?」


シュンスケ : 「敵の名前は?」


GM : 「スリーパーウーズ」


シェヴァ : 「チョークスリーパーウーズ」


GM : 「チョークはしてない……じゃ、戦闘だよ。コマンド?」


シグ : 「何故ドラクエ1風に問いかけるんだ……ハヤブサ駆け」


GM : 「おぉ、珍しく最初から全力ですか、シグさん」


シグ : 「さしもの俺も学習したよ、降りたばっかりのレベルじゃ、雑魚敵も全力出さないと厳しいって事をな」(笑) 


アイラ : 「シグがハヤブサ駆けしてくれるんなら、私は普通に殴りに行こうかな? TP節約したいし」


シュンスケ : 「俺は……スライムに効きそうな術式か、氷か……雷か……試しにたたき込んでみるか」


GM : 「了解〜、攻撃はシェヴァが先かなぁ……」


シェヴァ : 「うぃーっす、ご主人様の鞭をあびるがいいさ! ばし、ばしっ!」


GM : 「ぷるん、ぷるん……ぷるん。 うん、効いている。 ご主人様、もっと虐めてください、はぁはぁ……


シェヴァ : 「え、何、スライムベスはそういうキャラな訳?」(笑)


シュンスケ : 「……実にけしからんな」


GM : 「いや、なんとなく。 じゃ、次はスライムベスの攻撃〜、スリープブレスを、シュンスケに!」


シェヴァ : 「えぇ、シュンスケは後衛だよ!」


GM : 「後衛だって、戦闘に出てたら狙うさ……よし、的中!」


シュンスケ : 「……避けられんな。仕方ない、すまん皆、眠ってしまったようだ。術式は発動せず、か」


リン : 「あっ、ぼ、ボクのリフレッシュじゃ、回復は出来ませんか?」


GM : 「リフレッシュで眠り状態を回復するには、スキルLV.4は必要だから今は無理だねー」


リン : 「そ、そうですか……すいません、シュンスケさん」


シュンスケ : 「別にキミのせいじゃない。少し寝ているとするよ」


シグ : 「ぬっ。だがシュンスケに眠られると、術式の攻撃は期待出来んのかー。スライムベスの奴らが、物理攻撃に変に耐性がなければいいがな」


シェヴァ : 「はさみカブトみたいに耐性があると、長期戦になっちゃうね」


アイラ : 「ねー、GM。眠り状態って、どうやったら起こせるの?」


GM : 「敵に殴られれば自然に目覚めるよ。最も、殴られた時は通常のダメージより相当入ってしまう訳だけど」


アイラ : 「えー、じゃ、他に何か起こす方法とかないの? アイテムとか、スキルとか!」


GM : 「スキルは、さっきもいった通り。リフレッシュLV.4で回復するよ。アイテムは、確か……」




アイラ : 「何かないの? 例えば、王子様の、キスで復活するとか?」




GM : 「そんなスキルはない!」




アイラ : 「でも、眠れるヒロインがキッスで目覚める的なのは、おとぎ話だと定番じゃないのかな、かな?」


シグ : 「そりゃ、定番かもしれないだろーけどよー、今眠らされたの誰か、お前ちゃんと見てただろ。 おとぎ話の定番っちゃぁ、綺麗なお姫様が眠っている所を格好いい王子様がキスして起こす、っちゅーやつだろ。 お前、今寝た奴が、綺麗なお姫様に見えたってのかよ!?



アイラ : 「でも、やってみないとわからないでしょ、諦めたらダメよ、諦めたらそこで試合終了しょ、そうでしょ!」



シグ : 「安西先生のその言葉は正しい。けど、それはここで言う事じゃない!」



アイラ : 「という訳でェ……眠っているお姫様を起こす、キッスチャレンジ、やってみたいとおもいまーす! ……じゃ、がんばってねー、シェヴァさん!



シェヴァ : 「はいはーい……って、そこでどーして俺にふる訳!?」



アイラ : 「舎弟だから」


シェヴァ : 「別に俺、シュンスケの舎弟じゃないよ!」


アイラ : 「じゃ、装備アイテムだから」


シェヴァ : 「ましてや、装備アイテムじゃないよ!」


アイラ : 「いいじゃない、減るもんじゃなーし!」



シェヴァ : 「嫌だよ! だいたい、こんな沢山人が見ている所でシュンスケと……出来る訳ねーだろ!」



リン : 「……あ、あの。だったら……人の見てない所だったら、大丈夫なんですか?」



シェヴァ : 「えっ!?」



アイラ&リン : 「…………」



シェヴァ : 「えっと、あれ……ち、違うって、その、そういう意味じゃ……」



アイラ : 「先生、しつもーん、どういう意味と違うんですかー!」




シェヴァ : 「あ、ちがっ、だから……ほら、キミらだって、恋人でも人前でちゅーとかしないっしょ、そういう意味で……」


リン : 「でも、シェヴァさん……シュンスケさんは、別に恋人じゃないですよね?」


シェヴァ : 「あ、まぁ、その……うん、そうだけど……つか、違う違う。恋人ってのは、言葉のアヤみたいなので……ただ、うっかりつかっただけっつーか」




アイラ : 「先生、しつもーん、どうして恋人なんて言葉、うっかりつかっちゃったんですかー!」




シェヴァ : 「え、え、いや……だ、だ、だから違うってば、何誤解してんだよ、別にそんなんじゃ……」



アイラ : 「……女の子みたいだなーとは、思ってたんだけどねー」 (ひそひそ)


リン : 「……知りませんでした、ボク、まさかシェヴァさんがそうだったなんて」 (ひそひそ)


シェヴァ : 「だから、違っ……あ、そう、違う訳でもないんだけどっ……もー、何だよこの空気ッ! 勘弁してくれよー!」




シグ : 「スライムベスにハヤブサ駆け、どうだ?」


GM : 「結構くらってるね、シェヴァが叩いた奴は死んだ。で、一匹はシュンスケを殴りに行くよ」


シグ : 「シュンスケ、大丈夫か?」


シュンスケ : 「大丈夫だ、かなり削られたが……幸い、命までは取られなかったようだ」


GM : 「後は、アイラの攻撃がこれだけ入ったから……うん、戦闘は終わったよ。経験値を手に入れた!」




シェヴァ : 「って、何で淡々と戦闘をすすめているんだよ、助けてくれよッ、俺もー、どうしていーのかっ!」



シグ : 「……悪い、シェヴァ。俺たちには、ブースト状態の腐女子を止めるスキルが、ないんだ」



シェヴァ : 「そんな、シュンスケー」



シュンスケ : 「……ボロを出すな、俺から言えるのは、それだけだ



アイラ : 「ねー、どうなんですかー、シェヴァさーん!」


リン : 「そうなんですか、シェヴァさん?」


シェヴァ : 「う、うう、うぅぅ……か、勘弁してくれよぅ、もー!」




> アンラッキーター



 と、シェヴァが腐女子に捕食されたものの、探索そのものは非常に順調に進みあらかた地図も埋まってくる。

 だが、肝心の依頼の品。

 星型の種子 は、見つかっていなかった……。





シグ : 「うーむ……無いな、星型の種子」


シュンスケ : 「あらかた敵は倒しているんだがな……」


シグ : 「となると、依頼の星型の種子とやらは敵が落とすアイテムじゃない、という訳か」


シェヴァ : 「んー……ま、今までこの階層に出てきた敵っていえば、ナマケモノ・蜂・ダチョウ・スライムベス・バブルスライム・熊って、星形の種子なんてメルヘンなもの落としそうな面子いないしね」


シュンスケ : 「ダチョウじゃなくて、ジャイアントモアだな」


シグ : 「ポイズンウーズをバブルスライムってのは、言い得て妙だけどな」


アイラ : 「敵が落とさないって事は……マップで伐採とかして、取るアイテムなのかな?」


シグ : 「ま、そうだろうな……とりあえず、アイテムポイントに赴いて、ざくざくアイテムを取ろうぜ!」



アイラ : 「よーし、アイテム集めなら任せて置いて! 私、採掘なら得意だから!」




シグ : 「採掘で種子がとれるなんて到底思えないのは、俺の心が汚れているからか?」




アイラ : 「あれ?」



シュンスケ : 「……種子なら、俺がもっている伐採で得る事が出来るだろう。俺が、探してみよう」


シグ : 「あぁ、伐採場所までは護衛するから、任せたぞ」


シェヴァ : 「んー……でも、大丈夫かなぁ。シュンスケ、異常に運が悪いから、星型の種子がある所でも、何も見つからない可能性があるよ」


シュンスケ : 「ム……だが、今は伐採のレベルを上げてある。大丈夫だ、四回も伐採すれば、一度くらいは……」 (もぞもぞ)


シェヴァ : 「なにが出て来たー?」




シュンスケ : 「苦ヨモギが二つだ。」 (推定売却額:40エン)




シェヴァ : 「二つ? え……シュンスケ、伐採は4回出来るんだよな、あとの二つは?」




シュンスケ : 「特に何もとれなかった。」 (※完全なる実話)




一同 : 「えぇ〜!!」



シグ : 「薄幸だとは思っていたが、まさかここまでとは」(笑)


シュンスケ : 「……ここに星型の種子はないな。あぁ、無い。無いに決まっている」


シェヴァ : 「俺は、絶対にここにあると思うけど」


リン : 「でも、今日はもう伐採は出来ませんから……」


アイラ : 「じゃ、私採掘現場に行って、採掘してきていい? どうせ伐採出来ないんなら、すこし経験値稼ぎもかねて、遠出しよ、ね?」


シグ : 「そうだな、日付が変わるまで、伐採は出来ないし、別にいいだろ」


GM : 「じゃ、採掘現場に行く訳ね……うぃうぃ、紆余曲折を得て、採掘現場に到達したよ」



アイラ : 「よっし、掘るよ掘るよー、お宝ざっくざく〜♪」 (もぞもぞ)



シェヴァ : 「何かいーもの、出るといいねー……で、何が出た?」




アイラ : 「真鉄の薄殻が三つと砕けた化石!」 (推定売却額 : 955エン)




シェヴァ : 「真鉄の薄殻って……確か、レアな採掘アイテムだよね、この辺りではかなり高額で売れる……」


リン : 「凄いです、アイラさん、強運!」


アイラ : 「えへへー、これで何とか宿代も稼げたね!」 (※これも、完璧なる実話)




シュンスケ : 「……」 (←推定売却価格40エンの男)


シグ : 「気にするな、シュンスケ。不幸もお前のいい所だ」(笑)


シュンスケ : 「違う、不幸などではない。ただ、幸運に縁がないだけだ……」



アイラ : 「でも、シュンスケさんのリアルラック低く設定されているみたいだから、星型の種子が伐採でゲット出来るアイテムなら、なかなか手に入らないかもね〜」


シェヴァ : 「うん……何せシュンスケは、生まれて一度も四つ葉のクローバーを見た事がない部類の人間だからね」


シュンスケ : 「……悪かったな、リアルラックが低くて」


アイラ : 「どうする、このマップもあらかた回っちゃったし……いっそ、先に進んじゃう?」


シュンスケ : 「……それも視野に入れてくれると、リアルラックの低い俺としては有り難いのだが」


リン : 「あ、でも……ッ、そのっ……きっと、あの、女の子は、待ってると……(ゴニョゴニョ)


シグ : 「…………」


シュンスケ : 「……どうした、リン君? 今、何か言ったか?」


リン : 「あ……い、いえ、その……ごめんなさい、何でもないです」


シュンスケ: 「そうか……だったら、先に進んで……」


シグ : 「いや、ちょっと待て、シュンスケ」


シュンスケ : 「……どうした、シグ?」


シグ : 「いや……お前にゃ悪いんだけどさ、あと数時間歩けば、日付が変わってまた、伐採が出来るようになるだろ」


シュンスケ : 「あぁ……そうだな、だが、それがどうした?」


シグ : 「伐採、もう少し粘ってみてくれないか。俺も、この場所にある可能性が高いと思うし……」




シュンスケ : 「お前……さては、俺のリアルラックの低さを、舐めてるな?




シグ : 「いや、お前の運の悪さは、今年の正月にやった自動販売機式のおみくじ出なかったという時点でもぅ、痛いほど解っているが」


シュンスケ : 「自慢じゃないが、あたりが出たらもう一本出る自動販売機は、あたりが出た瞬間に止まったぞ」


アイラ : 「それは、有る意味強運なんじゃないのかな?」(笑)


シグ : 「……でもよ、待っている子が、街に居るんだ。だから……挑戦してほしい、チャンスがあるんならな」


リン : 「シグさん……」


シュンスケ : 「……わかった。お前がそこまで言うなら、仕方ないな。もう暫く、頑張ってみよう」


シグ : 「あぁ、悪いなシュンスケ」


シュンスケ : 「気にするな……だが、俺は本当に運が悪いぞ。期待はしないでくれよな」



 かくして、生まれてこの方、お年玉年賀葉書は切手シートすら当てた事がないシュンスケの。

 リアルラックとの戦いが、幕を開けた……。





シュンスケ : 「……星型の種子、星型の種子。ダメだ、見あたらないな。また苦ヨモギだ」


シェヴァ : 「星型、星型ってばっかりいってるから、出てこないんじゃないかな。逆に、苦ヨモギって言えば出てくるかも!」


シュンスケ : 「そうか……苦ヨモギ、苦ヨモギ……」


シェヴァ : 「どう?」



シュンスケ : 「苦ヨモギが出た」



シェヴァ : 「やっぱり……」



 最初こそ、全く手応えのない捜索であったが。



アイラ : 「ふぁいとー、ふぁいとー、シュンスケさーん!」


リン : 「がんばるです、がんばるです、シュンスケさん!」



 女性陣の応援に励まされ。



シェヴァ : 「がんばれ、小学校の頃、朝顔の種が一人だけ腐っていて芽が出なかったのも、有る意味強運だよ!」


シグ : 「そうだ、調理実習の時、お前がガスを使うと必ずガスが止まるのも、有る意味強運だ!」




 幼馴染みや元クラスメイトに、プレイヤー自身の嫌な思い出をほじくり返されながら。




シュンスケ : 「苦ヨモギ……苦ヨモギが……」


シェヴァ : 「苦ヨモギ以外で、目新しいのは?」


シュンスケ : 「目新しいのは……!!」


シグ : 「!? どうした、出たか、星型の種子!」



シュンスケ : 「見ろ、軽量の樫木だ、珍しいな!」




シェヴァ :  「確かにシュンスケにしては珍しいけど、それは目的のアイテムじゃないから!」



 それでも……。



シュンスケ : 「見つけた、星型の種子だ!」



一同 : 「おぉー、ぱちぱちぱち!」




 こつこつと伐採を続け、確実に個数を集めていった。

 そして……。

 ついに、5つの種を手に入れたのである。





シグ : 「集まった、な」


シュンスケ : 「……あぁ、集まった」



GM : 「じゃ、早速街に戻って、クエストアイテムを渡してくるかい」



シグ : 「あぁ、そうするぜ。よっし、女将、目的のブツは、こいつだ!」



GM : 「キミたちからそれを手渡されると、女将は少し驚いたように目を見開くね。 『あら、ありがとうみんな』 そして、大事そうに種子を袋につめると、キミたちに問いかける。 『ねぇ、みんな……これで、女の子の恋は本当にかなうと思う?』




シュンスケ : 「叶ってもらわないと、俺が困るな」



シェヴァ : 「確かに、シュンスケは苦労したもんね」


アイラ : 「んー、でも、どうだろ。おまじないでしょ、これ」



GM : 「と、思い思いに語るキミらに、酒場の女主人は静かに首を振った。 『あ、ごめんなさい。そんな真剣に考えて、答えをくれなくてもいいわ。私だって解っている、これがただのおまじないだって事……でも、女の子がこれで勇気が出るなら、いいわよね?』




シグ : 「大丈夫だ!」



GM : 「うわ、急に声デカイって……何だシグ、まだ酔っぱらってるのか?」



シグ : 「大丈夫だって、女将さん。だってよ……彼女は自分の思いを伝える為、こんな場所に依頼をもってくる度胸がある女の子だぜ。それだけ、度胸があれば、大丈夫だって!」



GM(金鹿の酒場、女主人) : 「『そうかしら……』



シグ : 「それに……こういうのは、真っ直ぐな気持ちでブチ当たる事が大事なんだって。その覚悟があれば、何があっても大丈夫さ、な、みんな!」



シェヴァ : 「んー、俺はそういうの、良くわかんないけど……ま、そうであって欲しいよね」


シュンスケ : 「種を集めた俺としても、頑張って欲しいものだな」


アイラ : 「うん、私も頑張って欲しい。大丈夫だよ、おまじない、効果があるって!」


シグ : 「という訳で……俺らが大丈夫だから、がんばれ!っていってた事、その娘に伝えて置いてくれよな!」


GM : 「酒場の主人は穏やかに笑うね。『わかったわ、冒険者さんたちのお墨付きまでもらったなら、きっと彼女も勇気がでるはずよ』と、そして改めて、種子をしまった……よし、このクエストは無事に完了したよ」



アイラ : 「わー、ぱちぱちぱちー」


シェヴァ : 「お疲れさま、シュンスケ」


シュンスケ : 「……あぁ、悪かったな皆、手間取らせて」


シグ : 「よっし、これでもぅ心残りはねぇな。遠慮なく、下の階の探索としゃれ込もうぜ!」



一同 : 「おー!!!」



 ・


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リン: 「……真っ直ぐ気持ち、か。ボクも、そうやって伝えないといけないのかな……でも……」



シグ : 「リンちゃん!」



リン : 「きゃうっ! は、は、はいっ、何ですか、シグさん!」



シグ : 「いや……別に、大した事じゃねぇんだけどさ……ほら、コレ」


リン : 「これ……あ、星型の種子!? ど、どうしたんですかコレ?」


シグ : 「シュンスケ、あと一個星型の種子があればいい、って所でやっと運があがってきたみたいで、連続して二個、とって来ただろ。依頼として、一個余った分を内緒で貰ってきたのさ。……欲しかったんだろ、コレ?」


リン : 「え、え、そのっ……あ、ありがとうございます。でも、どうして、ボクが?」


シグ : 「キミ、この依頼を受ける時、妙に気にしていた素振りだっただろ……お節介だったかもしれねぇけどよ」



リン : 「い、いえ、その……ありがとうございます。嬉しいです、とっても!」



シグ : 「ははっ……本当は、五個まとめてと思ったんだが……リアルラックの低いシュンスケに、それを頼むのは酷だと思ってね」


リン : 「い、い、いえ。その……嬉しいです、一つでも、嬉しいです。シグさんがくれたものだから……」


シグ : 「そっか……はは、喜んでくれたんなら、それでいいや。んじゃ、俺行くから……」


リン : 「……あ、シグさ……ん。」 (と、シグの袖口を掴む)


シグ : 「んぁ……どうした、リンちゃん?」



リン : 「あ、あのっ、あの……あの、ね……シグさん、ボク……シグさんに、言いたい事が……あるんだ」



シグ : 「? 何だ……いいぜ、何かあるってんなら……」


リン : 「あ、あのね……シグさん。ボク……ボクね、シグさんに……」



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リン : 「………………ふぅ」


シェヴァ : 「……で、結局言えなかった訳だ」



リン : 「!? し、シェヴァさんっ……聞いてたんですか!?」



シェヴァ : 「聞いてた訳じゃないけど、顔でわかるって……ガッカリ顔してるもんなー」


リン : 「……はい……えへへ、言えませんでした」


シェヴァ : 「……やっぱり、このままの関係を壊しちゃうのは、怖いか?」


リン : 「はいっ、ボク、やっぱり……ダメだと思うと、怖くって……彼に、今と違う変わった目で見られるのも怖くて……だから、えへへ。言えませんでした」


シェヴァ : 「そう……」



リン : 「でも! 言えた事もあったんですよ!」



 ・


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シグ : 「……名前で呼んで欲しい?」


リン : 「はいっ、シグさんは、何時もボクの事……リンちゃんって、呼ぶでしょう? でも、ボクはシグさんの仲間なんですから、そんな、ちゃんとかじゃなくて……呼び捨てでいいんです、ボクの事は、リンって呼んでください!」


シグ : 「なるほど……うん、いいぜリン。わかった、これからは仲間として、そう呼ばせてもらう」


リン : 「はい、お願いします、シグさ……」


シグ : 「その代わり! リン、お前もシグさん、は無しだぜ。リンだって、俺の仲間なんだから俺に気を使う事はないんだからな」


リン : 「あ……はい!」


シグ : 「それじゃ、改めて……よろしくな、リン!」


リン : 「はい……よろしくね、シグ!」



 ・


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 ・



リン : 「えへへ、一歩前進です」


シェヴァ : 「前進、かぁ」


リン : 「はいっ……ボクは、どうしても勇気がなくて、なかなか伝えられないけど……でもいつか、伝えたいと思います。そう……この旅が、終わる前に」


シェヴァ : 「ん……うん、そっか。よし、がんばれよ!」


リン : 「…………はいっ!」




 かくして、無事にクエストを終え、次なる階層に進もうとする新米(脱却中)ギルドご一行。




アイラ : 「それにしたって、種子5個はどう考えても多いよねー」


シュンスケ : 「全くだ!」



GM : (しかも、実は星型の種子は先に進んだ敵のドロップアイテムだから、シュンスケのアンラッキーさを考えると、先に進んでいた方が早く集まったかもしれない、なんて口が裂けても言えないな……)



 それぞれの思いを秘め、冒険は続くのである。





> 幕間劇 〜 沢と、桐生と




 一歩進んだ、シグとリンの距離。

 その間を見つめながら、現実の話を、おいておこうと思います。

 君は現実の話しに興じても、興じなくても良い……。




 セッション終了後、都内某所。

 (いつもの場所)




GM(西園寺馨) : 「よし、しゅーりょー! という訳で、シーナ君! 俺の処理を頼む!」


シュンスケ(椎名淳平) : 「処理……ん、何だ西園寺さん。殺せという事か?」



西園寺 : 「ノォオオオォ! お、お前たまにブラックだよな……仕事だ仕事! ちょっと、これまでのデータを検討してほしいだけだ、うん」



椎名 : 「時間がかかるか?」


西園寺 : 「かかるぞ! ときめきメモリアル1プレイくらいかかる!


シグ(桐生和彦) : 「三時間くらいって事か?」(笑)


椎名 : 「何故素直に三時間かかると言えないのだ……」


シェヴァ(七瀬澪) : 「あ、淳兄ぃ、お仕事やってくの? 俺、どうしよ……先に帰ってご飯つくってようかな。もう、結構遅いし」


椎名(淳兄ぃ) : 「あぁ……いいぞ、先に帰っていても。一人で帰れるな?」


七瀬 : 「か、帰れるよ、幾つだと思ってんだ!」 (※七瀬君は25才です)


椎名 : 「電車の切符を買う金はもってるか? 知らない人に声をかけられても、ついて行ったら駄目だぞ? あまり暗い場所に一人で居るな。迷子になったら、交番に行くんだぞ。知らない人に攫われそうになったら、防犯ベルを押せよ」


アイラ(桐生若葉) : 「ちょっ、椎名さん過保護すぎるよ!」(笑)


七瀬 : 「わかってるよ、もー! ほら、若葉ちゃんに笑われちゃっただろっ。俺、もう大人なんだから、大丈夫だよ!」


椎名 : 「ならいいが……」


西園寺 : (まぁ、心配する気持ちは分かるよな……七瀬君の見た目は○学生くらいだもんな……夜一人歩きしていたら、補導されかねないし……)


桐生 : 「あはははは! そんなに心配なら、俺が途中まで送っていってやるぜ、椎名」


西園寺 : 「んぇ? あれ、桐生君、さっき普通に飲酒してなかったか? 飲酒運転はいかんぞー」


桐生 : 「あれ、実はノンアルコールビールだから大丈夫なんだな……コレが。うう、運転あると酒が飲めないからなー」



西園寺 : 「え、あれで酔ってなかったのお前!?」



七瀬 : 「カズくんてば、雰囲気で酔えるタイプの人間なんだよ! この前の飲み会でも、酒一滴も飲んでないのに誰より暴れていたしね!


西園寺 : 「えぇぇぇー!?」



椎名 : 「そうだな……桐生に送ってもらうのなら安全だろうし。よし、桐生に途中まで送ってもらえ」


七瀬 : 「だ、大丈夫だよ! 俺、大人だよ!」



椎名 : 「送ってもらえ、そうしないと俺が心配で死ぬぞ!」



七瀬 : 「……わ、わかったよ、だったら……カズ君。送っていってください」 (ぺこり)



桐生 : 「オッケー。さて……芹沢も送っていくぜ」


リン(芹沢梨花) : 「え! いいんですか?」


桐生 : 「折角だし。俺、今日車だしな」


芹沢 : 「じゃ、お言葉に甘えて……あの、桐生さん。ありがとうございます……」


西園寺 : 「ん、なんだ皆帰るのか。寂しいなぁ……」


七瀬 : 「うん。ごめんね、西園寺さん! 淳兄ぃ、こき使わないでねっ、ばいばーい!」 (手を振る)


西園寺 : 「そりゃ、シーナ君次第だ!」 (手を振り返す)



 ……西園寺馨、椎名淳平を残し皆、桐生和彦の車へ移動する。



芹沢 : 「わ……私、助手席ですか!?」


桐生 : 「悪ぃな、どうやら降りる順番を考えると、君がここに居るのが都合がいいらしくて。というより……」



若葉 : 「絶対詰むのが、アポロンさんの所だから……」


七瀬 : 「そうそう、俺、全キャラモンスタープレイをしていた時、アポロンで手の打ちようがなくなったもんね!」



桐生 : 「若葉とななみがsaga2話で盛り上がってしまっているから、芹沢がこっちになった。悪いな!」



芹沢 : 「は、は、はい! がんばります!」



桐生 : 「別に頑張る必要はないだろ……」



芹沢 : 「え、え、じゃ、じゃぁがんばりません!



桐生 : 「いや、そんなに頑張らないを宣言する事ぁないだろ!」(笑)



芹沢 : 「あ、ごめんなさい、ごめんなさい!」


桐生 : 「そんなに謝る事ぁないだろ……ははッ、芹沢は面白ぇなぁ!」


芹沢 : 「あうぅ……」 (どうしよう、ヘンな子って思われた……)


桐生 : 「……な、芹沢」


芹沢 : 「……はい、何ですか?」


桐生 : 「何か芹沢はさ、いっつも緊張しているみたいだけど……やっぱ、知らない奴ばっかりの所で、緊張するか?」


芹沢 : 「え!」


桐生 : 「いや……若葉は俺の妹だし、俺はななみ……七瀬や、椎名とも付き合いが長いから世界樹のアレもやりやすいけどよ。芹沢は、知り合いっていったら若葉くらいだろ。やっぱり、緊張してんのかと思って……な?」


芹沢 : 「そ、そんな事ないですよ! ……若葉先輩は、いい人だし。七瀬さんも、とっても良くしてくれるし! あ……あの、椎名さんは、ちょっと、何を話していいかわからないですけど……」


桐生 : 「椎名はいい奴なんだけど、口下手だからなァ……俺も高校1年までは、ななみが居ないと会話持たなかったくらいだから、仕方ない」(笑)


芹沢 : 「でも、緊張してませんよ! 大丈夫です!」


桐生 : 「ならいいけどさ……何か困った事があったら、言えよ。俺に出来る事なら、何でも協力してやるからさ」


芹沢 : 「はい……それじゃぁ……和彦さん」


桐生 : 「ン?」


芹沢 : 「和彦さん、って呼んでいいですか? あ、あの……世界樹でも、リンがシグの事を、シグって呼ぶようになったし! そのっ……桐生さん、だと。若葉さんだって桐生さんじゃないですか、だから、そのっ……あ、ボクの事も、梨花でいいですから!」


桐生 : 「あぁ……」


芹沢 : 「……迷惑ですか?」


桐生 : 「いや、問題ないよ、俺は」


芹沢 : 「良かったぁ……よろしくお願いします、和彦さん!」


桐生 : 「あぁ、ヨロシクな、梨花!」



 ……暖かな時が、車内に流れる。

 世界樹の迷宮、新米ギルド同様。

 現実の世界を生きる彼らの絆も、確実に深まっていた




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