> 界樹の迷宮を、TRPG風のプレイレポートしてる人の居る風景。





前回までのあらすじ >


 f.o.eの登場も、順調に地下へ進んでいく新米ギルドご一行。

 しかし、B3を順調に探索している最中、レン&ツスクルという冒険者二人組に行く手を遮られる。


 「ここから先は通せない、詳しい話は街に戻って聞いてくれ」


 レンの言葉に従い、新米ギルドご一行らはエトリアの街へ戻るのだった。





> 狼さんがたぞ!




GM : 「ンでは、いったんアリアドネの糸をつかって街にもーどるー、と、はい皆戻ってきたー」



シグ : 「よーし、とりあえず凱旋だ! 野郎ども、酒場で飲み明かすぜ!」



アイラ : 「その前に、執政院でしょ!」(ぎゅむ)


シグ : 「いたたた……い、いけませんよアイラさん、俺の耳はつねり上げる為にある訳じゃないンすから……」


シュンスケ : 「アイラ君の言う通りだ。シグ、先に執政院へ向かうぞ」


GM : 「……了解、執政院だね。出迎えるのは、いつものメガネさんだ」


アイラ : 「いつもの、なで肩メガネさん」(笑)


GM : 「だから、なで肩ではないかもしれないだろ……。『おや、どうしたんだい君たち……』



シェヴァ : 「あのッ、ダンジョン潜っていたら何か、まゆげのない怖い顔の女の人にガンつけられて追い返されたンすけど!」



GM : 「まゆげのない怖い顔とか言うな、仮にも女性だぞ!(笑) 『あぁ……そうなんだ、実は彼女たちが守る扉の向こうに、大量の狼が現れて危険なので封鎖しているんだよ』


リン : 「狼さんですか?」


GM : 「あぁ。 『どうやら、スノードリフトという群のボスが仕切っている為、狼たちが徒党を組んでしまったようなんだ……』


アイラ : 「すのーどりふと?」


シグ : 「群のボスに、人間がつけた名前だろ。狼が、自分で『我こそはスノードリフトである!』と名乗りを上げるはずがないからな」(笑)


シュンスケ : 「特別変異か……それとも、経験を重ね強くなった個体か……どちらにしても、普通の狼と違うのだろうな」


シェヴァ : 「特別変異な奴が、経験を積んで強くなっちゃった、って可能性もあるよね、パンジャみたいな」


シグ : 「そこでレオじゃなくパンジャを出すか。お前はマニアックな方、マニアックな方に行く傾向があるよな」(笑)


GM : 「『とにかく、危険だから今はあの先の道を封鎖している。執政院では、スノードリフトくらい倒せる冒険者も雇っているが』 あぁ……この、スノードリフトも倒せる冒険者、ってのは君たちが会ったレン&ツスクルね。 『だが、彼女たちにまかせっきりでは、新しい冒険者が育たないだろう。だから今回、このスノードリフトは、新参冒険者たちに戦って貰おうと思っているんだ』



シグ : 「おぉっと、これは……」



GM : 「『困ったなぁ、困ったなぁ。誰か引き受けてくれないだろうか……』 チラチラ」



アイラ : 「どう見ても、私たちに引き受けろって言ってるよね」(笑)



GM : 「『おお、引き受けてくれるというのか!』



シュンスケ : 「いや、まだ何も言ってないぞ、マスター」(笑)



GM : 「『チッ! このチキンどもめ!』」



シェヴァ : 「暴言吐いた! 今、執政院のひとが暴言吐いたよ!」(笑)



リン : 「でも……スノードリフトさんを退治しないと、先に進めないんですよね」


GM : 「あぁ……まぁ、君たち以外のギルドが狼を退治してくれるのを待つという手もあるだろうが」


シグ : 「俺たち以外に有望なギルドなんて今は居ないんだろ?」


GM : 「ぶっちゃけて言えばそうだね。(笑) ギルド管理の眼帯のオッサンも、最近の冒険者は目先の小銭かせぎばっかりしている、ってぼやく位だし。むしろ、皆早く誰か倒してくれないかなぁと思っている所だろう」


シュンスケ : 「……先に進むにはミッションを受ける必要があり、奥に進むにはスノードリフトを倒す必要がある。奥へ向かうには避けられない相手か」


GM : 「そうだねぇ」


シグ  : 「はは、面白ぇじゃ無ぇの。だいたいよ、元からやらない、なんて選択肢は俺には無ぇよ。何せ……強ぇ相手と、戦えるんだもんな!


アイラ : 「はぁ……そう言うと思ったわ。でも、私も賛成。結局、誰かがやらないといけないんだもんね」


リン : 「ボクも、ボクも頑張ります! 危険な狼さんは怖いけど……全力で皆さんをサポートしますよ!」


シュンスケ : 「そうだな……俺としても、探索がここで滞るのは不本意だ。敵を排除する事に、全力を尽くそう」



シグ : 「よし、皆異論は無いな!」




一同? : お〜!!!



シェヴァ : 「…………って、ちょっと待ってよリーダー。俺、まだ行くって言ってないんだけど!」(笑)


シュンスケ : 「なんだ、行かないのか?」


シェヴァ : 「いや、そうじゃないけどさ。どうして、俺だけ 『行くか?』 って聞いてくれないんだよ! 俺だけ決意表明してないなんて、何か、ハブられているようで嫌だろ! な、リーダー。俺にもちゃんと、行くのか? とか聞いてくれよ!」


シグ : 「……シェヴァ」


シェヴァ : 「な、何だよ、リーダー?」



シグ : 「俺はお前の事を、シュンスケの装備アイテムだと思っているからお前の意見を聞くつもりはないんだ、悪いな」(笑)



シェヴァ : 「なぁっ、何だよそれッ、どーいう意味だよ!」



シグ : 「そのままの意味だ。お前にハナシを聞いた所で、ろくな事にならないのは目に見えいるしな」(笑)



シェヴァ : 「何だよ、そんな事ないだろ、なー、みんな!」



アイラ : 「武器 E:舎弟シェヴァ」(笑)


リン : 「防具 E:鞭使いシェヴァさん」(笑)



シェヴァ : 「リンちゃんまでッ……非道いよ、人権を侵害されている! 俺という尊い人間の人権が今、無慈悲なリーダーの発言により淘汰されたよ!」



シグ : 「じゃ、一応聞いてやるが……行くんだろ、どうせ」(笑)


シェヴァ : 「……行くつもりだったけど、リーダーのその態度で激しく行きたくなくなった! こーなったら、ストだ! ストをおこしてやる!


アイラ : 「あー、もー、シグのせいでシェヴァさんが拗ねちゃったよ、どうすんの?」


シグ : 「大丈夫、大丈夫……シュンスケ、頼む」



シュンスケ : 「…………来い」 (ものすごく低い声で)



シェヴァ : 「はぁぅ……でも、シュンスケ〜、今シグが俺に非道い事を言ったんだよー」




シュンスケ : 「二度も言わせるな……来い」 (さらに低くドスのきいた声で)




シェヴァ : 「うー、うー……すいません、行きます、ボクが悪かったです」


アイラ : 「スト終了〜」(笑)


シグ : 「短い反抗期だったな」(笑)


シェヴァ : 「ひどいよみんなひどいよ」


アイラ : 「もー、シェヴァさん、だからシュンスケさんの装備アイテムって呼ばれるんだよ」(笑)


シェヴァ : 「そう言うけど、シュンスケは本気で怒ると滅茶苦茶怖いんだよ!」(笑)


リン : 「そうなんですか? 確かにシュンスケさんは、厳しい雰囲気ですけど……そんなに声を上げて怒っている所は、見た事ないですけど?」




シェヴァ : 「本気で怒っている所を見た事がないから、怖いんだよ!!!」(笑)




 ……そんな事をやりつつ、再び新米ギルドご一行は地下3階へとやってくる訳です。




GM : 「スノードリフト退治を引き受けた事を知ると、レンもツスクルも快く道をあけてくれる。 『そうか、まぁ、頑張りたまえ』


アイラ : 「ベテラン冒険者だからかな、視線がちょっと怖いんだけど……」


シェヴァ : 「いや、多分元々だと思うよ、あの人の印象だと」



GM : 「そんな彼女の鋭い視線を背に受け、君たちは奥の扉を開く……」


シグ : 「おぉ、新しいMAPだな、ふふふ、腕が鳴るぜ!」


アイラ : 「ここ来る前に、地下2階のf.o.eもあらかた倒してきちゃったもんネ」



 ※このギルドは、狼退治の腕ならしにB2のf.o.eと戦い殲滅させてきました。



シグ : 「あぁ。さて、今度の相手が俺の好敵手となりうるか……狼さーん、狼さーん、さぁて、何処に居るのかねェ」



GM : 「と、勇んで踏み居る君たちだったが、狼の気配は無い」



シグ : 「居ないんか!」



GM : 「暴れ牛暴れシカなら居るけど……」


アイラ : 「それ、さっきの階で倒した!」


GM : 「狼らしい姿は……f.o.eは勿論、エンカウント敵にも姿を見せない」(笑)


シェヴァ : 「あー、そうみたいッスね。エンカウントするのは、コロシップオーラばっかりだ」(笑)


シグ : 「シェヴァ、それ、コロシップオーラ違う。マンドレイクだ」(笑)


シェヴァ : 「コロシップオーラの印象強くて。だってアイツ、こんなに薄着の俺からさらに装甲を奪おうとするんだよ!」



 ※コロシップオーラ →マンドレイクの守備力を下げるスキル。



シュンスケ : 「確かに、守備力の低いお前がさらに守備力を下げられたら厳しいだろうがな」



GM : 「と、散策していると……到着したな。君たちは、ここで再びレンと出会う。 『おお、お前達か』


アイラ : 「うわ、怖い人出た……」


シュンスケ : 「怖い、か……別にアイラ君は、彼女になにもされてないだろう」


アイラ : 「何もされてないけど、何となく威圧感があるんだよねー、この人」


シグ : 「確かに、迫力のある女性だよなぁ」


GM : 「お前ら、仮にも女性を捕まえて迫力があるとは失礼な。(笑) 彼女は、君たちを向くと。 『探索は順調のようだな……だがどうやら、この階には狼はいないようだ』 と言いながら、微かに笑う」



シェヴァ : 「わ、笑った!」


GM : 「笑いますよ、何だと思っていたんだ彼女を?(笑) 『恐らく狼はさらに地下だろう、先に進むなら気をつけるんだな……』 と、彼女はそう言い君たちを労い去っていくね。ベテラン冒険者として、君たちの事を気にかけているんだろう」



アイラ : 「怖そう、だけど実は優しい人……なのかな」


シグ : 「いや、わからんぞ。先に恐怖を与えておけば、些細な優しさでもものすごく優しくされているように感じるからな。そういう手口かもしれん」(笑)


GM : 「マフィアの手口じゃないか! レンはマフィアじゃないぞ。(笑) そんな事ないって、今は君たちの事をちゃんと心配しているよ!」



シェヴァ : 「でも、どうするリーダー。ここには狼、居ないってさ」


シュンスケ : 「そうか……だとすると、ここに居る残りのf.o.eはカマキリだけだな……」


アイラ : 「でもカマキリ強すぎるよー。 アイツ、全然こっちの攻撃効かないんだもん!」(笑)


シグ : 「スノードリフトやらより、あのカマキリの方が強敵だったりしてな。(笑) 未だ、アイツには歯が立たねぇし」


GM : 「そんな訳あるかい」 (まぁ、確かにあのカマキリはB1〜5に出る敵の中で、ボスの次に強いけどな・笑)


シュンスケ : 「目的の相手が居ないなら、長居は無用だな」


リン : 「下の階に行ってみますか、シグさん?」


シグ : 「そうだな、下の階段を探すか……あと、行ってない道はコッチのはずだな……」




GM : 「と、進んでいると……君たちの目の前に狼に襲われている兵士の姿が飛び込んでくる!



シュンスケ : 「何ッ……」


リン : 「そんな、狼さんは居ないってレンさんが言っていたのに!」



シグ : 「チッ……皆、陣形を整えろ、狼を叩くぞ! アイラ、シェヴァは俺を援護してくれ! リンは兵士の回復を! シュンスケは術式を使うな、兵士まで巻き込んでしまったら元も子もないからな!」



GM : 「まだ助けるか否かも聞いてないんだが……」




シグ : 「もたもたしてたら助けらるモンも助けられねぇだろうが!」




GM : 「……そうだな。で、君たちが武器をとり戦おうとした瞬間、背後からの音がする」


シェヴァ : 「鈴?」


GM : 「うん、鈴というか鐘……か、これは。振り返ればそこには、カースメーカーのツスクルさんが立っている。彼女は口を動かし言葉を編むと、同時に狼は動きを止め……そのまま、その場で息絶えた」



一同 : 「おおぉ〜!」



GM : 「彼女は傷ついた兵士に何かを振りかけると、ゆっくりと君たちの方を向く。『勇敢なのは悪い事じゃない。でも、傷ついた身体で狼と戦うのは危険よ。狼は、特に血の臭いに敏感なの』



シェヴァ : 「わ、ツスクルさんがしゃべった!」


GM : 「しゃべるさ、何だと思ってたんだ」(笑)


シェヴァ : 「いや、何かこぅ……もっと。 『私、肉きらいだから』みたいなしゃべり方をする娘さんだと思っていたんだよ」(笑)


アイラ : 「あやなみ? あー、でも私もそういうイメージだった、もっと無口でカタコトっぽい印象だったな。『私が死んでも代わりがいるの』みたいな」


シェヴァ : 「『オレサマ、オマエ、マルカジリ』みたいな」(笑)


シュンスケ : 「何処の獰猛な獣だそれは」


シグ : 「エヴァの印象から一気に遠ざかったな」(笑)



GM : 「まぁ、最初会った時はレンしか喋ってなかったモンなぁ……ツスクルは、ボロボロのウサギを抱えたまま、君たちに近づいてくるよ」


リン : 「うさぎさん? うさぎさんも、カースメーカーが呪いに使うアイテムですか?」


GM : 「いや、コレは多分彼女の私物……彼女にとって大切な品なのだろう、しっかりと抱えているね。彼女はそのうさぎを抱えたまま、兵士にふりかけたものと同じモノを君たちの身体にふりかけた」


アイラ : 「えっ、えっ、何コレ?」


シグ : 「つ、冷てぇっ……けど、何だ、身体の痛みが無くなってく……」



GM : 「『これは、樹海でわき出た泉の水……傷を癒してくれるわ。傷ついたら、私の所に来て。討伐を、続けるといいわ』 と、彼女はそこまで言うと視線を遠くにやった」


シグ : 「あぁ……ありがとう、助かったよ」


GM : 「『気にしないでいいわ……』 と、彼女の態度はちょっと事務的。まるで、頼まれたからやっているだけ、という印象だ」



シュンスケ : 「……狼退治のフォローの為回復役を担っているのだろう」


アイラ : 「狼を退治するまで、回復してくれるんなら有り難いよね。正直、最近宿代も高くなってくし、今は少しツスクルちゃんの力を借りよ?」



シグ : 「そうだな……というか、宿のあのキノコ頭、宿代ボりすぎだろ! 最近はもー、毎回100エン越えてんだが!」



シュンスケ : 「……確かに、アリアドネの糸と会わせると毎回200エンの出費は痛いな」


アイラ : 「ねー、何であんなに値段つり上げるんだろ、あのキノコ」



GM : 「というか、宿の青年はキノコという名前ではないのだが」(笑)



シグ : 「キノコじゃないと、公然猥褻カットと呼ぶ事になりそうだが」(笑)


GM: 「あ……だったらキノコでもいいや」(笑)




シグ : 「とにかく、ココに狼がいないなら長居は無用。回復地点としてツスクルが待機してくれるなら、ここはそのサポートに甘えて彼女の力を借りて狼退治としゃれ込もうぜ」


アイラ : 「そうだね、今みたいに襲われる人が居ると困るしね!」


シグ : 「っー訳で、あと少しで階段だ……行くぞ、皆!」



シェヴァ : 「…………」


GM(ツスクル) : 「…………」



シグ : 「こらッ、シェヴァ……何ぼーっとしているんだ!」(ぎゅむ)


シェヴァ : 「っ……何するんだよ、耳引っ張るな、リーダー!」


シグ : 「お前がボーっとしているのがいけないんだろうが。ホラ、早く来ないと置いていくぞ」


シェヴァ : 「うー、ちょ、待ってくれよリーダー……おーい!」




> ずきんちゃん気をつけて!




GM : 「ツスクルさんが居た部屋のすぐ外に、階段がある」


シグ : 「よし、4階一番乗りッ」


アイラ : 「二番乗りっ……ここから、狼が出るのかな?」


GM : 「と、4階に突入すると、何処からともなく獣の咆吼が……ここに凶暴な狼の気配がする!」


シグ : 「おぉッ、来た来た来た来た。強敵の予感ッ」


シュンスケ : 「落ち着け、シグ。ひとまず、敵の強さを計る為、各個撃破が鉄則だぞ……」


シグ : 「わかってるって、で、その狼はf.o.eなのか? それとも、エンカウント敵か?」


GM : 「さぁ? どっちだろうねぇ?」


シグ : 「そこで、守秘義務発動かよ!」


GM : 「GMだって、全ての情報を把握している訳ではないし。仮に知っていたとしても、判断するのは冒険者である君たちだからね……全部を教える訳にはいかないさ。ただ、この階に無数のf.o.eがウロついているのは確かだ」


シュンスケ : 「それならば……それが、狼であると考えていいだろうな」


アイラ : 「どうする、試しに戦ってみる?」


シグ : 「戦ってみねぇと、敵の実力は解らねぇからな……軽く撫でてやろうぜ!」


シュンスケ : 「まぁ、慌てるな……敵が孤立した所を叩いた方がいい。シェヴァ、敵が孤立するルートがないか確認してくれ」


シェヴァ : 「了解ッ。えっと……こいつらは、それぞれ巡回ルートが一定で……それぞれになわばりがあるのかな? 上手く抜ければ各個撃破は難しくなさそうだね。えっと……特に西側の狼が孤立させやすそうだ。そいつから叩いたらどうかな?」


シュンスケ : 「だ、そうだ……リーダー、奥に居る狼から倒すが、いいな?」


シグ : 「奥か……あぁ、いいだろう」


シェヴァ : 「途中、他のf.o.eの巡回ルートがあるから、そいつに捕まらないよう気をつけてくれよ!」


シグ : 「あ、あぁ……」


GM : 「はい。それじゃ、君たちは警戒しながら進んで……進んで……」



シグ : ……うずうず。



GM : 「で、ここで目の前にf.o.eが居るけど、とりあえずコイツはやり過ごすんだよね」


シュンスケ : 「あぁ。いいだろ、リーダー」


シグ : 「ン。あ、あぁ、いいぜ、やり過ごそう」


GM: 「じゃ、コイツをやりすごす形で……このf.o.eは目の前を通り過ぎる、と」



シグ : ……うずうず。



GM : 「で、君たちはこいつをやり過ごした後……」




シグ : 「ダメだ、もう我慢出来ん! 喰らえ、狼ども、これが正義の鉄槌だーッッ!!!」




一同 : 「えぇええぇええぇえええ!」




シュンスケ : 「な、何をやっているんだ、シグ」


シグ : 「……スマン、暫く強敵と向き合ってなかったモンだから……つい、出来心だ。許せ」(笑)


シェヴァ : 「出来心が遊び心豊富すぎるよ、シグ」(笑)


GM : 「まさかこの流れで殴りに来るとは……フォレストウルフが現れた!」


アイラ : 「フォレストウルフ?」


リン : 「スノードリフトじゃ、無いんですね」


GM : 「スノードリフトは、狼たちのボスの名前ね。フォレストウルフは、まぁ、スノードリフトの舎弟みたいなもんだろうね」


シェヴァ : 「舎弟、何故か親近感を覚える言葉だ」(笑)


シュンスケ : 「狼か……獣であれば炎が有効か。火の術式を準備しよう」


シグ : 「よし、それじゃ俺らはリンちゃんが医術防御を使うまでは念のため防御を……」



GM : 「っと、ちなみに君たちが戦闘に入った瞬間、周囲のf.o.eが全て追跡モードに変化するよ」



一同 : 「なんですと〜!」



リン : 「追跡モードって……狼さんが、この場所に集まってきている、って事ですか!?」


GM : 「そうだね。皆、真っ赤になって君たちを捜しているようだよ」


シェヴァ : 「そんなァ、一番近い狼からだと、確実に3ターンで乱入してくるぞ!」


アイラ : 「もー、シグが変な事するからぁ!」(笑)


シグ : 「とっととカタぁつければいいだけのハナシだろ、全員攻撃ッ、殴られたら痛いと言って耐えろ!


アイラ : 「もぅやだ! シュンスケさん次の階に行ったらリーダーあいつと変わって!」


シュンスケ : 「……考えておこう」



 とはいえ、ソードマン二人の火力に術式と。

 押しまくられれば狼一匹なすすべなく、倒されて行くのでありまして……。




シグ : 「よし、狼一丁上がりッ!」


シェヴァ : 「って、もぅ大分敵が近づいているよ、シグ。逃げないと、連戦はキツいからひとまず距離を取ろう」


シグ : 「おぉっと、そうだな……ひとまず、物陰に隠れるとするか」


GM : 「……君たちが戦闘を終えると、血の臭いが薄らいだからか、f.o.eたちはまた、元のなわばりに戻っていくね」


シュンスケ : 「……なるほど、どうやら同族と戦っていると、その血の臭いを感じ取り追跡モードになるようだな」


リン : 「怪我をしている人は、ボクが治してあげるので言ってくださいね」


アイラ : 「はいはいはーい、私結構打ち込まれちゃったんだァ……1ターン目から防御すてて攻撃しちゃったから、結構噛まれちゃったんだよね。もぅ、何処かのバカが早まって狼に喧嘩なんて売らなければ、1ターン目は防御で様子見で被ダメージをもっと押さえられたのに〜」


シグ : 「そうか、それはどうしようもないバカだな」



アイラ : 「アンタの事でしょうが、アンタのッ!」 (ぎりぎりぎり)



シグ : 「ははは、アイラ君、俺も怪我しているんだからヘッドロックはいかんぞ、ヘッドロックは。しかも、プロがギブアップするレベルにまで達する程に綺麗に極まっているではないか!!」



シュンスケ : 「……何にせよ、相手が血の臭いに敏感だと解った今、f.o.eの傍で戦闘は危険だな。慎重に行くとしよう」


アイラ : 「解った!? 慎重に、だからね」 (ぎりぎりぎりぎり)


シグ : 「いたたったた……だからヘッドロックはいかんと……わ、わかったわかった。敵の実力も解った今、俺も無理しないって」


アイラ : 「ホントに、頼むよシグ……それじゃ、行こっ、皆……って、シェヴァさん、何してんの?」


シェヴァ : 「んー、さっきの狼、毛並みはごわごわしているけど……尻尾はわりと、もさもさしているなーって思ってさ。もさもさしてたんだ、もさもさ」


アイラ : 「もさもさ?」


シェヴァ : 「そ、もさもさ。ほら、しっぽもっさもさ〜。アイラちゃんもやってみる? もっさもさだよ、もっさもさー」(笑)


アイラ : 「そんなぁ、もさもさな訳が……ほんとだ、もさもさだ!


シェヴァ : 「もっさもさー……さっきまで、このもっさもさが、狼のお尻でふりふりしてたんだよ。もっさもさの、ふりふりふーだったんだ。もっさもさー」


アイラ : 「えー、私気付かなかった。いいなぁ、もっさもさの、ふーりふーりふー。だったんだー、いいなー、可愛いなー。もっさもさー」


シュンスケ : 「……お前たち、何擬音で会話しているんだ。行くぞ」


アイラ&シェヴァ : 「はーい」(笑)




シグ : 「それで、この狼を退治して……GM、あとどのくらい狼が残っていそうだ?」


GM : 「えーと、いち、にぃ、さん……沢山」(笑)


リン : 「随分、漠然とした情報ですね」(笑)


GM : 「3より上は、沢山だ」(笑)



シグ : 「……ひとまず、敵の特性は解った。攻撃力は高いが集団攻撃がある訳でもない、一匹ずつ対処すれば問題なさそうだ。ここはコツコツ、各個撃破といこうぜ。とりあえず、無理せず離れている敵を狙おう」


シュンスケ : 「同感だな。皆、くれぐれも他のf.o.eの傍で狼に近づかないでくれ」


シェヴァ : 「わかってるって、えーっと、他の狼は……とりあえず、今目の前の通路に居るけど、近くにもう一匹居るから、今は仕掛けない方が無難だね。一度やりすごして、孤立している時に叩こう」


シグ : 「了解。シェヴァの言う通り、皆、とりあえずあの狼は待つぞ、いいな」



一同 : 「は〜い」



シグ : 「という訳で、やりすごすよう他の場所へ移動するか」



アイラ : じー……。


GM(フォレストウルフ) : (尻尾) ふりふり。ふりふり。



シェヴァ : 「一度通路に入ろうか、あいつら鼻はいいけど目は悪いみたいだから、視界から外れれば追ってこないよ」


リン : 「そうですね、一度戻りましょう」



アイラ : じっ……。


GM(フォレストウルフ) : (尻尾) ふりふりふーのもっさもさ〜。 



シュンスケ : 「それじゃ、一度戻るか……」




アイラ : 「って、ダメ、シュンスケさん、私もー我慢出来ないッ!!!」



シュンスケ : 「っ、アイラ君!?」


シェヴァ : 「あぁ、アイラちゃんが尻尾の魅力に耐えかねてフォレストウルフに突っ込んでいった!」




アイラ : 「仕方なかったのっ、だってあんなにしっぽが、しっぽがもふもふしていたんだものっ!」




シグ : 「全く、自制心が足りない奴だ」(笑)


シュンスケ : 「それをお前が言うか……」


リン : 「あぁぁ、アイラさん、それよりアイラさんを助けないとっ!」


シグ : 「そうだったな、よっしアイラ、助太刀するぜ!」



GM : 「それじゃ、こいつもフォレストウルフ〜。いきなり、もふもふ〜とアイラが叫びながら突っ込んできたから、殺る気満々だよ」


シグ : 「アイラ〜?」


アイラ : 「あぁん、だってもふもふだったんだもん!」


シェヴァ : 「ううう、何か周囲の狼が真っ赤になって俺らに集まっている気がするんだけど……?」


シュンスケ : 「……仕方ない、お前にももふもふ言い出した責任がある事だ。必死で戦ってくるんだな」


シェヴァ : 「でも、あの狼攻撃痛いんだよー」


シュンスケ : 「当たらないようにするんだな」


シェヴァ : 「もし、当たったら?」




シュンスケ : 「耐えろ」



シェヴァ : 「最後は精神論かー」


シグ : 「まぁ、結局の所前衛には、耐えるか倒れるかの二択しか準備されていないからな」(笑)



 ……と。

 戦いに魅せられた者や、尻尾に魅せられた者の暴挙により意図せぬ戦いを強いられた新米ギルドご一行。

 だが。





アイラ : 「脳漿をブチまけろっ! ヘッドバッシュ!」



 アイラの活躍や。



シェヴァ : 「アームボンテージ!」


GM : 「決まったか……前足使えなくなっちゃった。まぁ、別に問題ないけど」




シェヴァ : 「call me Master!」 (和訳 : ご主人様と呼べ!)




GM : 「え、え……シェヴァくん?」(笑)



シェヴァ : 「Become silent」 (和訳 : 黙れ。)



シュンスケ : 「あぁ……シェヴァのSスイッチが入ったな」



GM : 「そんなスイッチもってるの、この人!?」



シュンスケ : 「……どSは、ダークハンターのたしなみだ」



GM : 「いや、別にダクハンだからってどS属性になる必要はないと思うんだけど……」



シュンスケ : 「とにかく、この状態のシェヴァは攻撃力が30%上がっている気がするし、行動も40%程早くなっている気がするから、強くなっているような錯覚を相手に感じさせる事が可能だ」


GM : 「でも……錯覚なんだよな?」


シュンスケ : 「残念ながら、錯覚だ」


GM : 「そうか、錯覚か……」



 そんな、シェヴァの覚醒イベントがあったり。



シグ : 「がんばれ、アイラ、シェヴァ。お前たちが頑張ってスタンスマッシュやアームボンテージを決める事、俺は応援しているぞ!」



アイラ : 「もー、早く貴方も単体攻撃スキル何か覚えなさいよねー!」



シグ : 「いいだろ、俺は普段、ハヤブサ駆けで雑魚一層してるんだから!」



 地味にシグが役立たずだったりと、様々な事がおこりつつ。

 狼は、一掃されるのだった……。



GM : 「これで、最後の一匹か……うーん、気付いたら狼が一層されていたぞ」


アイラ : 「ごめん皆、ついもふもふが楽しくて」(笑)


シェヴァ : 「まぁ、結果オーライだよ。元々、狼退治の依頼だった訳だしね」


リン : 「でも……スノードリフトさんは、居ませんでしたね」


GM : 「そうだね、君たちが倒したのは、全部フォレストウルフだ」



シグ : 「ここに居ないとなると……下か」


シュンスケ : 「……恐らくそうだ、地下5階で、群を率いて待ち構えているに違いない」


アイラ : 「もー、まだ下なのー。いい加減疲れちゃったよぅ、敵がこっちに来てくれないかなぁ」


シグ : 「そうだな、何か美味しそうな餌を準備して……狼さん、こっちですよーって来てくれればな」(笑)


シェヴァ : 「大きい肉焼いて……狼来い来い〜、みたいな?」(笑)



アイラ : 「それだったら、リンちゃんに赤ずきんちゃんのコスプレしてもらった方がいいよ!」(力説)


リン : 「ぼ、ぼ、ボクがですか!?」


アイラ : 「そうそう、赤ずきんちゃんのカッコして、森のお婆さんの看病に行くんですよ〜、って。そしたら、狼がおびき寄せられて来るって。可愛いリンちゃんの赤ずきん姿も見れて、まさに一石二鳥だよ! よ!」


シュンスケ : 「心なしか、アイラ君の目が輝いている気が……」


シグ : 「アイツ、昔から他人にコスプレさせるの好きだったからなぁ……。 俺も、エムブレムのディークとかやらされた事あるし



アイラ : 「そう、着替えるの! 着替えるのよ、リンちゃん! きっと可愛いわぁ……はぅ、お持ち帰りぃ〜」



リン : 「えっ、えっ……アイラさん?」(照)



シグ : 「落ち着け、アイラ、リンちゃんが困っているだろ!」



アイラ : 「あ……ご、ご、ゴメン、シグ。ついエンジンかかっちゃって……」


シグ : 「全く……」



アイラ : 「という訳で、リンちゃんがダメなら……シェヴァさん、どう、どう、赤ずきんちゃんのコスプレ、どう? きっと、シェヴァさんも可愛いと思うんだぁ!」




シェヴァ : 「えぇえええぇ、次は俺かよっ!」



アイラ : 「シェヴァさんだったら、赤ずきんちゃん衣装にエプロンドレスとか……メイド服とかも、わりといけると思うんだぁ!」


シェヴァ : 「ちょ、ま……嫌だよ、俺っ……」


リン : 「あ……シェヴァさんの女装は、ちょっと見たいかも……」


シェヴァ : 「……ちょっ、リンちゃんまでぇ……お、おい、シグ! シュンスケ! ちょ、この人たち本気っぽいよ、ちょっと止めてくれよ!」



シュンスケ : 「やってみる価値はあるかもしれんな」


シグ : 「そうだな、面白そうだ」



シェヴァ : 「うわぁ、この人たち俺に対する思いやりとか足りないよ、うぁああぁん!」



 シェヴァ君が、アイラさん持ち込みのコスプレ衣装に着替え中です。


 暫くお待ち下さい。





シェヴァ : 「……なんでこんな事にっ、何でっ」 (ひらひら)



シグ : 「ぎゃはははは! シェヴァ可愛くなってるじゃ無ぇーか。何処のギャルゲー出ても大丈夫だよ!」



シェヴァ : 「嬉しくない、全然嬉しくないよっ!」


GM : 「……まぁ、そんな事しても勿論、狼がここに来るはずもないんだが」


シェヴァ : 「……マスター、そういう事は、俺の女装が完了する前に言っていただきたいんですが」


GM : 「いや、一応、プレイヤーのやる気に任せてみた」(笑)




アイラ : 「だいじょーぶ、シェヴァさん可愛いよシェヴァさん。 ハァハァ」




シグ : 「いかん、アイラの可愛いメーターがブーストした」(笑)



シェヴァ : 「そんなメーター、ブーストさせてどーすんだよ!!!」(笑)



シュンスケ : 「はは……だが本当に似合ってるぞ、シェヴァ。意外と……様になっているな」


シェヴァ : 「…………」 (ぷるぷる)


シュンスケ : 「?、どうした?」




シェヴァ : バシッ! バシッ! バシッ!




シュンスケ : 「ちょ、何をするッ、無言で殴るな、コラ、俺は体力がないんだぞっ……」


シェヴァ : 「もー、ばかー、何で止めないんだよお前はー、見るなお前はー!」


シュンスケ : 「わかったっ、見ないから殴るなっ、全く……何だってんだ?」


シェヴァ : 「知らねーよ、もー、ばかー!」





> 吹雪というの恐怖



GM : 「と、結局狼はおびき寄せられなかった訳だけど……」


シェヴァ : 「最初からおびき寄せられる要素とかないし!」 (←着替えてきた)



シグ : 「じゃ、そろそろ5階行くか」


GM : 「ん、切り替え早いね」


シグ : 「あぁ……もう充分、楽しんだからな」



シェヴァ : 「楽しんだって何だ、楽しんだって!」



シグ : 「で、5階はどうなっている?」


シェヴァ : 「おいこら、俺を無視するなー!」


シュンスケ : 「……どうやら、フォレストウルフが巡回しているようだ」


シグ : 「何だ、ここもフォレストウルフか。まぁ、相手の出方は解っているし、また一匹ずつ撫でてやるか」


アイラ : 「うっふっふ、もふもふ。もふもふ……」


リン : 「アイラさん、すっかりもふもふがお気に入りですね」(笑)


シュンスケ : 「うむ……確かにそうだが、少し気になる事があるな」


シグ : 「ん、何だ?」


シュンスケ : 「地図が……見ろ、こうして歩いていると……中央部だけ不自然に埋まらないだろう。恐らくココにボスが居ると思うのだが……」


シェヴァ : 「うん……でも、随分と広くない、これ。スノードリフト一匹にしては、やけに大きな巣に見えるけど」


シュンスケ : 「同感だ」


シグ : 「? 何が言いてぇんだ、お前たちは」


シェヴァ : 「だぁから、シュンスケはこの空間にスノードリフトが居るのは間違いないだろうけど、仲間を率いている可能性があるって言いたいんだよ!」



シグ : 「なにっ、マジでか!?」



シュンスケ : 「あぁ……スノードリフトは群を率いているという、フォレストウルフの大軍か控えていても不思議ではないな」


シグ : 「ははッ、面白ぇなぁ……群を率いてお出迎え、ってか!」


シュンスケ : 「シグ、笑い事じゃないだろ、敵は群だぞ。俺たちに勝てるか……」



シグ : 「ははッ……頭の悪い狼どもに教えてやんなきゃいけねぇよな……群ってのは、弱ぇ奴らがする事だ。本当に信頼出来る仲間がいれば、群れる必要なんざねぇ。そうだろ、シュンスケ?」


シュンスケ : 「……シグ、お前」



シグ : 「シュンスケ、お前はいつも気ぃ使ってくれるけどよ……スノードリフトは倒さないといけない相手だ。そして、あまり先延ばしにも出来ない相手だ。だから、ここで踏みとどまっている場合じゃない。そうだろ?」


シュンスケ : 「……そうだな。だが、大丈夫かシグ?」


シグ : 「はは、大丈夫だって。お前も、たまには俺やアイラ、シェヴァの腕を信じて、いつもみてぇに不貞不貞しくしてろって、な!」


シュンスケ : 「……あぁ、わかった。お前がそこまで言うなら、お前を信じよう」



シグ : 「へっ……ありがとな。それじゃ、皆、気張って行くぜ。狼退治としゃれ込もうじゃ無ぇか!」



一同 : 「おー!!!」



アイラ : 「……って、とてもウズウズしていたから狼に突っ込んでいった男の台詞とは思えないわね、シグ」


シグ : 「尻尾にウズウズして狼につっこでいったお前に言われたくないぞ、アイラ」(笑)




GM : 「さて、君たちは順調に奥まで進むと、いよいよ……スノードリフトの居ると思われる部屋にたどり着いた!」


リン : どきどき……。


GM : 「だが、そこには無数の狼が闊歩しているようだ……」



アイラ: 「無数の狼?」


シュンスケ : 「やはり、群を率いて待ち構えていたか」


シグ : 「へっ、予想通りのお出迎えじゃねぇか。とりあえず、手近な奴から叩き斬ってやるぜ!」


アイラ : 「でもこんなに沢山居たら、どれがスノードリフトだか解らないでしょ!」


シェヴァ : 「……それは、心配ないよ、アイラちゃん」


アイラ : 「シェヴァさん?」


シェヴァ : 「群のボスってのは……周囲が慌ただしく動き出しても悠然としている、そんな風格を持っているモンなんだ。もしこの中にボスがいるならそいつは、きっと……戦闘が始まり、血の臭いがしても我関せず微動だにしない、そいつだと思うよ」



GM : 「君らは、まず露払いとして手近に居る狼を退治する訳だね……で、スノーウルフが現れた!」


リン : 「スノーウルフですか? フォレストウルフじゃなく」


シグ : 「ボスを守る近衛兵って所か……いいじゃねぇの、やってやるぜ!」



GM : (確かに、ボスを守る近衛兵。フォレストウルフの強化版だ……が、流石に、単体を叩かれたんじゃこいつらに勝てないな)



シェヴァ : 「トドメだっ」


GM : 「やられた〜」(やはり、単体じゃ勝てないか〜)


シグ : 「よし、このままスノードリフトに行くぜ!」


アイラ : 「でも、後ろに沢山の狼が控えているわよ。このままじゃ、沢山の狼に乱入されちゃう!」


シェヴァ : 「敵を引きつけて、少しでもアドバンテージを得よう。無駄に戦うのは、双方の為に良くないから」



GM : 「む、姑息な手段を……君らが少し間を開けると、群のボスとおぼしき影は追ってくる。自分のなわばりを汚す者に、鋭い牙をむけて……さぁ、来たぞ。戦闘だ、スノードリフトが現れたっ!」



シェヴァ : 「あ、スノードリフトって……」


アイラ : 「てっきり、狼のボスだと思っていたけど……虎!?



GM : 「虎じゃない、スノードリフトだ。(笑) スノードリフトは、自分の領域で狩りをする君たちにご立腹だよ。赤い目をぎらぎら光らせて睨んでいる」



シェヴァ : 「にらみ返してやれ、シュンスケ!」


シュンスケ : 「確かに俺は赤目だが」(笑)


GM : 「王者の風格を漂わせ、スノードリフトは君らを睨み付けた……さぁ、どうするどうする。初の、ボスらしいボスだぞ」


シグ : 「……俺はブーストが溜まっているが」


シェヴァ : 「シグのブーストは、敵が乱入した時にハヤブサ駆けをする用にとっておいてくれよ。先に俺とアイラちゃんがブーストするから」


アイラ : 「そだね、私はブーストして何しよーかな、スタンがいいかな、ヘッドバッシュがいいかなー?」


GM : 「ふふ、どうぞどうぞ」 (さて、スノードリフトは初ボスらしく強力だーぞ。まず軽くジャブで攻撃するか、それとも凍て付く牙で一気に体力を削っていくとするかな〜)


シグ : 「了解〜、俺はひとまずこのターン、医術防御が入るまでガードしてるかな」


アイラ : 「よっし、それじゃ、私はヘッドバッシュで頭縛り狙うよ!」


GM : 「どうぞどうぞ」 (アイラのヘッドバッシュはLV3くらいか、ブーストしてもまぁ、決まらないだろーな……)



アイラ : 「成功! へへ、頭封じ効果発動〜」




GM : 「なぁっ、何だってー!!!」




アイラ : 「あれ、どうしたの、マスター?」


GM : 「い、いや、別に……なんでも、ない……」 (クソっ、スノードリフトのメイン攻撃単体大ダメージの凍て付く牙だったんだよ! でもそれ、頭封じされると使えないんだ……)



シェヴァ : 「ブースト〜、アームボンテージ〜、発動〜、あ、腕も縛ったよー」(笑)


GM : 「……もぅ、どうにでもしてくれ」(笑)



 かくして、物語初のボスキャラであるスノードリフトであったが。

 残念な事に頭縛りをされてしまうと、殆ど有効な攻撃はなく、通常攻撃もリンの医術防御で能力で大幅ダウン


 その間も、アイラのスタン技、シェヴァのアームボンテージと。

 じりじり体力は減らされていき。


 途中。




GM : 「よし、このターンでスノーウルフ乱入、これで少しは……」



シグ : 「ブースト! ハヤブサ駆け!」



GM : 「登場した瞬間に何てお出迎えだ、歓迎している雰囲気が全然ないぞ!」(笑)



シグ : 「ブーストたまってたもんで」(笑)


GM : 「ううう、結構削られた……」



 と、スノーウルフの参戦の甲斐もなく。

 とうとう……。



シュンスケ : 「……炎の術式」


GM : 「うあ、それでオーバーキル……キミたちは、スノードリフトを退治した!」



 鈍い咆吼をあげ……その場に、倒れ伏すのであった……。




シグ : 「……終わったな」


シュンスケ : 「あぁ、そのようだ」



GM : 「……終わったよ、スノードリフトが倒れると、周囲に居たスノーウルフも散り散りになる。群のボスがなくなった今、彼らが集まる理由はそこには無いんだろう」



シェヴァ : 「ふぅ……助かったぁ」


GM : 「周囲に、獣の気配が消える。この周囲は、今は安全らしい」


シュンスケ : 「……これで執政院の依頼を果たしたな」


シグ : 「あぁ……やっと先に進めるな、へへっ……腕がなるぜ!」


リン : 「…………」


シグ : 「んー、どうしたリンちゃん、何処か怪我でもしたのか?」


リン : 「い、いえ。別に怪我はしてないんですけど……このまま、こういう戦いが続くのかな、と思って……」



シグ : 「そうかもしれねぇな……でも、安心しろってリンちゃん。君だけは、この俺が絶対に、守ってやるからさ!」


リン : 「シグさん…………」



シグ : 「それじゃ、チラっと下を見て来ようぜ。先に地下6階を見てから、執政院に依頼達成の報告をしたって遅くはないだろ、な!」


シュンスケ : 「こら、シグっ……まだ皆、治療も終わってないだろ、先に行くな!」


シグ : 「へへ、次の階も俺が、一番乗りだ!」




リン : 「……違うんです、シグさん。ボクは……自分が怪我するのが怖いんじゃ、ないんです。こういう戦いが続いて……貴方が……貴方が傷だらけになるのが、ボクは……一番、怖い……」


シェヴァ : ぽんむ。



リン : 「!! し、シェヴァさん?」



シェヴァ : 「行ってやりなってば。あいつ、自分が一番怪我してるのも気付かないくらいバカだからさァ……治してやってくれって。それ出来るの、今は君だけだから……な?」


リン : 「あ……はい、が、頑張ります!」



 かくして、無事に第一階層(B1〜B5)の探索を終えた新米ギルドご一行。

 いよいよ、第二階層であるB6に突入するが、果たして先にあるのは鬼か蛇か!


 それとも……。

 謎と希望を胸に秘め、冒険は続くのである!






> 幕間 〜 七瀬澪の事情




 戦い終わり、急速を得た戦士たち。

 彼らの、現実の物語も紡いでおこうと思う。

 君はこの物語に、付き合っても付き合わなくても良い……。



 セッション終了後、都内某所。(いつものばしょ) 



GM(西園寺馨) : 「はーい、お疲れさまー。今日のセッション終わるよ、シーナ君、お疲れさまー」


シュンスケ(椎名淳平) : 「ん……お疲れさまでした」


アイラ(桐生若葉) : 「はぁ……おつかれさまー。良かったぁ、初ボスだからどうなるかと思ったけど、何とかクリア出来たね!」


シグ(桐生和彦) : 「あぁ……俺は、お前が突然可愛いメーターをブーストさせたから、そっちの方がどうなるかと思ったがな!」


リン(芹沢梨花) : 「はい……ボクも驚きました、まさか若葉先輩が、赤ずきんちゃんの衣装とかもってきてるなんて……」



若葉 : 「こんな事もあろうかと思って! もってきたのよ〜」



桐生 : 「どんな事があると思ってたんだよお前は!」(笑)



若葉 : 「え、へ! 正直言うと、この衣装、梨花ちゃんに似合いそうだなーと思ってもってきたんだよね。ね、ね、梨花ちゃん、これ着ない? これ着て、ハロウィンの仮装パーティとか行かない、ね!」


椎名 : 「ハロウィンの仮装パーティは赤ずきんの仮装をするパーティだったか?」(笑)


芹沢 : 「え、えっと……ぼ、ボクよりきっと、七瀬さんの方が似合いますよ。ね、七瀬さん!」



七瀬 : 「はぁっ!? 何で俺だよッ!」



若葉 : 「そう、かも! という訳で……はぃ、七瀬さーん。ちょっとこれ、着替えてみましょうかっ、ねー!」



七瀬 : 「イヤだよ! 女装なんて、恥ずかしいから絶対イヤだ! シェヴァで女装した時だって、相当恥ずかしかったんだからな!」


若葉 : 「えー、シェヴァさんで女装出来たんだから、七瀬さんでもやっときましょうよー」



七瀬 : 「必要性も感じねぇし!」



若葉 : 「いーから、いいから、ね!」 (ぐいっ)


七瀬 : 「ちょ、若葉ちゃ……」



 七瀬が身構えるより先に、若葉の手が彼の衣服に触れる。

 僅かにたくし上げられた衣類の下、わになった白いの上には……。


 
痛々しい程の痕が、無数に刻まれていた。



若葉 : 「……七瀬さん、これ、傷……?」



七瀬 : 「なっ、何するんだよ、やめろって言ってんだろッ!!!」



若葉 : 「え、あ……ごめん、なさい……私」



七瀬 : 「……ッ。悪い、俺、その……今日、急用とか思い出したからっ、もう……帰る、な……」



 ……七瀬澪が、退室する。



若葉 : 「あ、あ……七瀬さん!」


椎名 : 「……澪! 待てっ。 ……西園寺さん、俺もちょっと……今日は、もう帰らせてもらっていいですか?」


西園寺 : 「何だとっ、今日はお前俺の仕事を手伝ってくれる約束じゃぁ……って、まぁ、仕方ないよな。七瀬君の事があるなら、別に構わないよ。ツケにしておくから、さっさと帰りやがりなさい」


椎名 : 「すいません、西園寺さん」



 ……椎名淳平が、退室する。



若葉 : 「あ……」


桐生 : 「若葉……いいか、若葉。二度と、ななみに同じ事するんじゃ無ぇーぞ」


若葉 : 「にーさん……」


桐生 : 「あいつ……あの時の事はもう、殆ど表に出さないけどよ……あの身体見られるのは……まだ、辛いんだからな」


若葉 : 「…………うん、ごめんなさい」


芹沢 : 「でも、七瀬さんの身体、どうしたんですか。あれ……いくらなんでも、非道すぎます。何で……」


桐生 : 「それは……俺の口から言っていい事じゃ、無ぇな」


芹沢 : 「でも……体中にあんな傷……」


西園寺 : 「説明したまえよ、桐生君。 沈黙だけでは、彼女たちも納得しないだろう。黙っているのはかえって残酷な時もあるぞ」


桐生 : 「…………」


西園寺 : 「ここで沈黙を続けて、彼女たちの想像力を悪戯にかき立てる事が必ずしも七瀬君の名誉を守る事だとは、私は思えないけどね……彼女達ももう、七瀬君の知り合いだ。そして、何を聞いても……七瀬君を汚らわしいと思う程、浅はかな子たちじゃないさ」


桐生 : 「解ってますけど……やっぱ俺の口からは……全ては……」


西園寺 : 「……そうか」


桐生 : 「ただ……な、若葉。芹沢……七瀬はな、4年前、信頼していた奴に騙されて、そして裏切られたんだよ。そいつに身も心も、男としてのプライドも、何もかもぐちゃぐちゃに踏みにじられた……」


西園寺 : 「身体の傷は、キミたちが見ての通りだ。だがそれ以上に、心に負った傷は大きい……」


桐生 : 「あぁ……だから、椎名に支えてもらいながら、やっと今の生活が出来る所まで戻ってきた……けど……」


西園寺 : 「…………」



桐生 : 「あいつの傷は、もう消えないんだよな……」



若葉 : 「…………もういい。もういいよ兄さん。私、わかったから……わかった、から……」


桐生 : 「あぁ……」


若葉 : 「でも、私、どうしよう……七瀬さんに、非道い事しちゃって……」


桐生 : 「そうだな……今度会う時に、ケーキでも買っていってやれよ……下手に気を使われて、謝られたりする方が、あいつは辛いと思うからさ……」


若葉 : 「うん、そうする! そうするね! えーと、七瀬さん、何のケーキが好きかな? ケーキよりプリンの方が好きみたいな事、前にいってたけど……私、手作りとかした方がいいかな。兄さん、どう思う?」


桐生 : 「あ、手作りはやめておけ」


若葉 : 「? なんで?」



桐生 : 「ななみに、新しいトラウマが出来るといけないからな」



若葉 : 「ど、どういう事よ! 失礼しちゃうわね、もー!」




 様々な理由、様々な過去。

 それらを全て飲み込んで……。


 世界樹の迷宮は、続けられていく。


 迷宮の奥にある真実。

 それに、行き着くために……。





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