>> 草食系マフィアの饗宴
草食系マフィア、バラクーダ東吾は毎日、牛乳のんで仕事いって、牛乳のんで寝て、また牛乳のんで仕事行く。
そんな毎日を平穏におくるタイプのマフィアだった。
最近は、舎弟を正式に部下に加えてめでたしめでたし。
順風満帆なマフィア人生をおくっている、かに見えたが……。
舎弟 : 「あ、そういえばアニキ?」
アニキ : 「何だ舎弟?」
舎弟 : 「この前の夜、アニキ、俺の事買ってくれたじゃないっすか……」
アニキ : 「!! ば、バカな言い回しするなっ! お前っ、そんな……大きいお姉さんが誤解するだろ!」
舎弟 : 「あ! あっ、いや、そういう意味じゃなくっ!」
アニキ : 「そういう意味だったら俺が困るわッ! 違いますよー、俺は清純派の美青年ですよー」
舎弟 : 「……俺の事、リワードポイント使って、正式にファミリーの一員にしてくれたじゃないっすか。ゴッドファーザーにかけあって……」
アニキ : 「あぁ、そうだったな」
舎弟 : 「でも、確かゴッドファーザーの部下って、二人入るはずっすよね?」
アニキ : 「ん、そうだな」
舎弟 : 「俺の他に、もう一人は誰ッスか?」
アニキ : 「あぁ、それなんだが……」
舎弟 : 「はい」
アニキ : 「俺のように、抗争けしかけられても、やり返す事も出来ない上、チマチマ資金を稼いだり仕事を実直にこなすようなサラリーマンマフィアの部下に率先してなりたい奴なんていないよ! ってゴッドファーザーに言われてな! 今まだ、決まらない状態なんだ、あははははは!」
舎弟 : 「あ、そうなんですか、あははははは! ……って、笑い飛ばすにはあまりに非常な現実! 笑い飛ばすにはあまりに非常な現実ッスよ!」
アニキ : 「あ……でも、一人だけ来てもいいっていうマフィアさんが居るらしいから、そろそろ到着すると思うんだ……」
舎弟 : 「本当ッスか。頼りになる奴だといいんですが……ん?」
ブロゥウウウォオオオオオオー。
キキキー!!
どかーん!
舎弟 : 「うぁ! タウンカーがいきなり、アニキのアジトに突っ込んできやがった!」
アニキ : 「う、うーん……20年前に死んだ犬のタイガが、どうしたのバラクーダ東吾くん、またボクと遊んでくれるの? って健気な表情でこっち見てるよー……」
舎弟 : 「しかもアニキ轢かれてる! 勢いよく突っ込んできたタウンカーに、アニキ思いっきり轢かれているよ! 何だこのタウンカー、まさか新手の抗争相手かッ……?」
ガチャ。
舎弟 : 「あ、ドアが開いた! 一体誰が……いや、誰でもいい。今日は俺が居るんだ、返り討ちに……」
??? : 「……駐車場を間違えましたわ。でも、目的地に着いたんですから、良しとしなくちゃね?」
舎弟 : 「!! き、キミは?」
??? : 「お久しぶり、アクセル=ガンズ。いえ、白い死神と呼んだ方がよろしいかしら?」
舎弟(本名:アクセル=ガンズ) : 「ローズ……爆撃女王、爆拳王の異名を持つ伝説の破壊屋、ローズ=トレイシーか……?」
ローズ : 「覚えていてくださって光栄ですわ……ところで、オジサマは……バラクーダ東吾様は、いらして?」
舎弟 : 「アニキなら……」
アニキ : 「うーん、うーん。何かエプロンドレスが似合いそうな金髪の美少女に踏まれているような気がするよ……」
舎弟 : 「キミが踏んでるけど?」
ローズ : 「あら! ごめんあそばせ」 (ひょい)
アニキ : 「あ! 辞めないで女王様、もっと踏んで! じゃないっ、何するんだいきなり! 人のアジトにタウンカーで突っ込んできた上、俺を足蹴にするなんてっ!」
舎弟 : (少し嬉しそうだったけど……)
ローズ : 「わざとじゃなくってよ? 許してくださらないかしら?」
アニキ : 「うむ、だが美少女だから許す!」
舎弟 : 「謝罪の受け入れ早ッ!」
アニキ : 「可愛いは正義だからな! あ、それより……確か、ローズちゃんだっけか?」
ローズ : 「はい。ローズ=トレイシーですわ」
アニキ : 「キミが何でまた、俺のアジトへ」
ローズ : 「それは、ワタクシがおじさまの……バラクーダ東吾様の、新しい部下になるからですわ」
アニキ&舎弟 : 「何ですと!?」
舎弟 : 「ちょ、ま! キミみたいな女の子に、何が……」
アニキ : 「そうだ、マフィアは危険な職業なんだぞ! 実際俺なんか、この前連続して50回抗争に負けたしッ……」 (※実話)
ローズ : 「その、抗争相手とやらは……こいつかしら?」
どさっ。
舎弟 : 「!! これは……」
ローズ : 「おじさまのお財布を狙って攻めてきた相手ですわ。返り討ちにしてやりましたけど、よろしくて?」
舎弟 : 「よろしいどころか、大助かりだよ! この人、不用心に出歩いてよくフルボッコにされるから!」
アニキ : 「不用心ではない! ちょっと危機管理意識が足りないだけだ!」
ローズ : 「……私の実力、認めて頂けるかしら? ……常人の数十倍、並はずれた筋肉は……伊達じゃなくってよ?」
舎弟 : 「認めるもなにも、ウチには勿体ないくらいの実力だよ! なぁ、アニキ!」
アニキ : 「そう、だけど……」
舎弟 : 「どうしたんすか、アニキ。ロリコンのアニキには、ロリくて強いローズさんはまさに打ってつけの部下じゃないんすかね?」
アニキ : 「ロリコンとかいうな! ロリコンじゃない! ただ単純に、高貴なる性癖の持ち主なだけだ! ……いや、そうじゃなくて。だな」
ローズ : 「何かしら。煮え切らない男はおモテにならなりませんわよ?」
アニキ : 「モテるわ! 近所の野良猫とかにモッテモテじゃよ! そうじゃなくて、だな……ローズは、それだけ実力があるなら、他の所でもっと幸せになれるだろ。俺のよーな弱小マフィアの一団じゃなくても……」
ローズ : 「わたくしは……おじさまに誉めて頂きたいのですわ」
アニキ : 「ん……」
ローズ : 「貴方の部下になる理由、それじゃ……いけませんかしら?」
舎弟 : 「……そんな、ガキの使いみたいな理由で……」
アニキ : 「そうだな……だが…………」 (ぽむ)
ローズ : 「あ……」
アニキ : 「……だが、それだけでも立派な理由だよな。ローズ……よく、がんばったな。えらいぞ」 (なでなで)
ローズ : 「あ、あ……ありがとうございます、おじさま! ありがとう、ございます……」
かくして、ついにそれまで男連中ばかり投入されていた殺伐としたマフィア世界にも麗しい女性キャラが投入された!
はたして彼女の活躍とは!
そして、バラクーダ東吾のマフィアとしての未来はどちらに!
謎が謎を呼び、次回へ続くのである!
……あ、スイマセン、謎はとくになかったですね、はい。
> マフィア随時募集中編
アクセルとローズ。
二人の仲間が増えたものの、バラクーダファミリーでは、随時マフィアを募集しております。
舎弟 : 「……なーんて、いってましたけど。アニキ、まだインターネットでマフィア募集しているんすか?」
バラクーダ東吾(アニキ) : 「してるよ、当然だろう!」
舎弟 : 「……ホントに人来るんですか、そんな方法で?」
アニキ : 「来るよ、当然だろう! 実は、ちょうど一人、マフィア希望の求人が来てるんだよ!」
舎弟 : 「ま じ で !」
アニキ : 「今から会いに行くから、舎弟もつきあえ! な!」
舎弟 : (そんなので来て、何か敵のスパイとかだったらいけないな……よし!) 「わかりました、お供します!」
アニキ : 「おう!」
・
・
・
舎弟 : 「という訳でおかしいっすね、そろそろ待ち合わせの時刻ですけど……アニキ、本当にこの場所で会ってます?」
アニキ : 「zzz……」
舎弟 : 「アニキ?」
アニキ : 「んぁ……あぁ、風火ちゃん、来た?」
舎弟 : 「風火ちゃん? 誰っすかそれ?」
アニキ : 「風火ちゃんは、ちょっとドジで本が大好きな文学少女で……眼鏡と雀斑が印象的で……でも、眼鏡をとるとかなり可愛くて……で、おっぱいの大きい、シャイな女の子だよ」
舎弟 : 「……マジで誰っすかそれ。アニキの愛人? いや、でもアニキそもそも暇さえあればホットドッグスタンドを片手にホットドッグを売りさばくタイプの人間だから、恋人作っている暇ないはずなんだけど……」
アニキ : 「風火ちゃんは、これから会うマフィア候補生さ!」
舎弟 : 「え、そうなんすか? 文学少女。そんな子がマフィアになるんですか?」
アニキ : 「いや、俺の脳内設定だけど」
舎弟 : 「また何てマフィア向きじゃない娘さんを脳内設定してるんですかッ!」
アニキ : 「でも、そんな可憐な子に違いないよ! きっと……俺のファミリーになりたいって言うくらいだしな!」
舎弟 : 「マフィア=可憐ではないと思うんですが……って、これから会う人どんな人だか知らないんすか、アニキ」
アニキ : 「うーん。履歴書おくってもらったんだけど、写真が無かったから……黒髪ってのは分かっているんだが……」
舎弟 : 「へぇ……って、黒髪ってだけでそんな文学少女妄想までしてたんか! どんだけ妄想逞しいんだこの人ほんとにもう!」
アニキ : 「早く来ないかな、風火ちゃん……」
舎弟 : 「さぁ、来ますかね……少なくても文学少女は来ないと思います……!!」
アニキ : 「〜♪ 〜〜♪」
舎弟 : (……切れるような殺気……何処だ!?)
アニキ : 「あ、待ち時間にホットドッグでも売ってるかな。キンコンカン♪」
※アニキは最近ホットドッグスタンドを購入し、副業としてホットドッグを売っています。
舎弟 : 「あ、アニキちょ、俺から離れないでください!」 (せめてアニキだけは守らないと……)
??? : 「なるほど……バラクーダ東吾か。噂通り、マフィアとして緊張感の無い男だが……部下は優秀なようだな」
舎弟 : (この殺気の主……こいつか?) 「……お前、何者だ?」
??? : 「そう警戒するな、ただホットドッグを買いに来ただけだ……名前は 風火(フェン・フォー) という。以後お見知り置きを、な」
舎弟 : 「フェン・フォー……風火か。じゃ、アニキが待ってたのは、アンタか?」
風火 : 「そうだな……そのようだ」
アニキ : 「そんな、そんなはずはない! 文学少女! 本当は文学少女なんだろう!」
舎弟 : 「アニキは否定しているんだが……」
風火 : 「現実を直視しろ、と言え」
舎弟 : 「だ、そうですよ。アニキ?」
アニキ : 「う、う、う……」
舎弟 : 「とはいえ……俺としてもアンタの事を認める訳にゃ、いかねぇな」
風火 : 「ふん……そうか。いや……そう、だろうな……」
アニキ : 「? どうしてさ、舎弟?」
舎弟 : 「だってっ、見てわかんねぇんですか、アニキ。こいつの髪の色、いかにも極東出身なうえ、いかにも華僑じゃないっすか。このアタリで華僑っていったら、専らトライアドの息がかかった連中ッスよ。こいつ、トライアドのスパイかも……」
※トライアド→中国系マフィアの事だと思って頂ければ結構。イタリア系マフィアとは互い牽制中。
アニキ : 「俺も極東出身だけど……」
舎弟 : 「アニキやガイさんは極東っていっても華僑じゃないっすからね、例外っす」
風火 : 「……いかにも、私は華僑のものだ。が……華僑の人間と組むのは出来ないか?」
舎弟 : 「あたりまえっすよ! トライアドの連中とうちらとは昔からシマの取り合いしてンだ、ホイホイ手ぇ結んだり出来る訳ないっすよ。ねぇアニキ!」
アニキ : 「うん、いいんじゃなーい?」
舎弟 : 「ほら、アニキも駄目だって……って、いいんかい! いいんですかいアニキ!」
アニキ : 「だって、風火は俺らとダチになりてぇって言ってるんだろ、な?」
風火 : 「そう……だな」
アニキ : 「だったらそれでいいじゃ無ぇの?」
舎弟 : 「アニキっ、いいんすか本当に!?」
アニキ : 「あぁ。俺は別に……大体の所さ、俺も極東出身でマフィアやってる異端だから。俺の下に居る奴らが異端でも、何ら不思議はないだろ?」
舎弟 : 「だからって……」
アニキ : 「まぁまぁ……これからよろしくな、風火!」
風火 : 「…………あぁ」
舎弟 : 「ったく、アニキは……どうなっても知りませんよ!」
風火 : 「何も聞かないんだな、あいつは」
舎弟 : 「……あぁいう人なんだ。平和ぼけというか抜けてるというか天然というか」
風火 : 「バカだ」
舎弟 : 「……そうとも言いますかね」
風火 : 「だが……いいバカだ」
舎弟 : 「そう……ですね」
アニキ : 「おーい、お前ら何やってんのー。早速、風火の歓迎パーティ、俺の酒場でやるぞー!」
風火 : 「酒場か!」 (きゅぴーん!)
舎弟 : (あ、風火さんの目が光った)
風火 : 「酒はいいな! ビールはあるか、焼酎は日本酒というのもあると嬉しいな一度試してみたかったんだ。私は専ら紹興酒なんだが……」
アニキ : 「おお、何でもあるぞ好きなだけ飲め! 今日はお前の歓迎パーティだからな!」
風火 : 「そうか、あははは……これから頼むぞ、兄弟!」
この後。
お酒大好き風火さんに店の酒を殆ど全て飲まれてしまい、大赤字になってしまったのは内緒の方向でお願いします。
> ホットドッグ売り。はじめました。
いよいよファミリーが増えた頃。
いつものバラクーダ東吾のアジトにて。
舎弟 : 「ガイさんに風火さん……アニキも知り合いが増えて、ファミリーもどんどん大きくなっていきますね!」
バラクーダ東吾(アニキ) : 「そうだな!」
舎弟 : 「アニキももぅ、一人じゃない訳ですし……そろそろ、本格的に抗争しかけてもいいんじゃないッスか? 機関銃もトミーガンももってる訳だし……多分、アニキも簡単にやられる程弱くはないっすよ。俺もサポートしますし!」
アニキ : 「いや、確かに抗争も大事だ。マフィアとして……だが俺にはその前に、やるべき事がある!」
舎弟 : 「うぁっ……い、いつになく、アニキがやる気だ! これは……まさか、アニキは相当すごい事をやるつもりなんじゃ……で、何すかアニキその、マフィアとしてやるべき事って」
アニキ : 「それは……」
舎弟 : 「それは!?」
アニキ : 「ホットドッグを売る事だ!」
舎弟 : 「下らない事だと薄々思っていたケド、まさかココまで下らないとはッ!」
アニキ : 「という訳で、仲間が増えた数だけホットドッグスタンドを準備したから! これで何時でもホットドッグを売りにいっていいぞ! もう仮にマフィアを首になったとしても大丈夫だぞ、ホットドッグ売りとして生計を立てていけるから大丈夫だ!」
舎弟 : 「マフィアにそんな副業を準備するの、心底どうかと思うッスよ?」
アニキ : 「ほぇぇぇー」
そんなこんなで。
当マフィアに所属した際に、仮にマフィアとして成功しなくとも、副業を準備してあるので大丈夫ですよ!
というハナシです、はい。
蛇足>
アニキ : 「ガイちん! ホットドッグスタンド買ったから、ホットドッグ売りにいこーぜ!」
ガイちん : 「駄目だな、血とケチャップの区別がつかないくらい血まみれだから……」
アニキ : (((( ;゜Д゜)))
風火 : 「どうした?」
アニキ : 「風火! どうだ、俺と一緒にホットドッグ売りにいかないか。せっかく買ったから……」
風火 : 「肉まんの作り方なら知っているが、ホットドッグは知らないな? 犬を焼くのか?」
アニキ : 「あ、いいや……」
・
・
・
アニキ : 「という訳で、ファミリーの為に買ったホットドッグスタンドだが、誰も使わないから結局全部、俺が一人で転がして、運営してるぜ!」
舎弟 : 「アニキ勤労青年! アニキほんと、マフィアというより勤労青年だよ!」
ファミリー分あるホットドッグスタンドですが、きちんと運営されてないのが現状です。
>ホットドッグスタンドですよ、モブストライク
ホットドッグスタンド。
収入こそ安いが、安価で手に入る為、仲間の数だけ欲しい物件である。
アニキ : 「とはいえ、収入はやっぱり安いよなコレ……」
舎弟 : 「マフィアがウロウロする所で、ホットドッグなんて買う奴居ないって事ッスよ……」
アニキ : 「うーむ、そう思い今日は少し景色のいい所まで運んだんだが、集客はさっぱりだな……」
舎弟 : 「そうっすね、何でっすかね……」
※いかにも火薬の匂いがしそうな人たちが接客しているからです。
舎弟 : 「ふぁ、暇になってきちゃったなァ。昼食は、店のホットドッグをつまんだから腹はいっぱいですが……」
アニキ : 「だなぁ……」
舎弟 : 「少し身体動かしてスッキリしたい所ッスねぇ……何かないっすか、アニキ」
アニキ : 「そうだなぁ……だったら、俺の股間のホットドッグを食ってみる、ってのはどうだいッ、舎弟!」
舎弟 : (ギロッ)
アニキ : (あ、しまった、この冷たい視線……罵られるッ!? あぁ、だがそれはそれで、実に楽しみだ!)
※アニキは、常人には分かりにくい複雑な性を抱えています。
舎弟 : 「それ…………いいかもしんないッスね」
アニキ : 「えっ!?」
舎弟 : 「店、どうします? 閉めて……しましょうか?」
アニキ : 「え、あれ……ちょ、ま! まだ、俺準備出来てないからね! その、ちょっと教科書(エロ本)買ってくるからまって……」
ぱんぱんぱんぱんぱん!
舎弟 : 「あ、アニキがまた敵対マフィアに抗争を!」
アニキ : 「あー、すまん舎弟。今日やっぱ無理っぽいわ……健康、20きっちまったよ……げふんげふん」
舎弟 : 「……別にいいっすよ、俺も冗談でしたから」
ショタっこにしてはやや大人な舎弟は、大人をからかってみたいお年頃。
> 空き家でドッキリ編
説明しよう。
バラクーダ東吾はマフィアだが、基本的に闘うのは苦手である。
故、普段は資産運営などをして生計をたてていた。
(マフィアというより、土地転がしである)
舎弟 : 「あにき、郊外の土地に借家にちょうど良さそうな空き家があるらしいっすよ」
バラクーダ東吾(アニキ) : 「マジでか! よし、少し下見に行くとするか……ついてこい、舎弟!」
舎弟 : 「はいッ」
郊外移動中……。
舎弟 : 「つきました。前は老夫婦がつかってたみたいっすけど、治安が悪くて手放したみたいっす」
アニキ : 「物件としては確かだな……うん、案外ガタもきてないし……」 (ギィイ)
舎弟 : 「中も思ったより広いッスね」
アニキ : 「あぁ……これなら少しリフォームすれば使えそうだな」
舎弟 : 「あ、アニキ。二階も見ておきましょう!」
アニキ : 「そうだな、不法侵入の輩が住んでたりするといかんし……うん、二階は寝室か?」
舎弟 : 「ベッドがあります……」
アニキ : 「あぁ、ホントだ……だが……うん、少し痛んでるなこれは……これは、撤去しなきゃな……」
舎弟 : (どんっ)
アニキ : 「ぶはっ! なっ、何するんだ舎弟! っ……ベッドに顔から突っ込んじまったじゃねぇか……おい、お前!」
舎弟 : 「……アニキ」
アニキ : 「!! あ、アクセル……さん? ちょ、お前っ、何するんだっ! コラ、コラ待てっ……」
舎弟 : 「……アニキ、バカじゃないっすか。こんな郊外の空き家にノコノコ一人で……」
アニキ : 「ちょ、待て! こラっ……駄目でしょー! もー、駄目でしょー! 俺はアクセルさんをそんな下克上するような子に育てた覚えはありまっ……こらー!」
舎弟 : 「……きです」(ぼそっ)
アニキ : 「!?」
舎弟 : 「俺、アニキが……好きです。アニキになら、何されてもいい……アニキの為なら何だって出来ますし、どんな汚い事だって……アニキの為ならします。死ねと言われれば、喜んで死にます。だから、俺……」
アニキ : 「アクセル……」
舎弟 : 「嘘でもいい……気持ちなんてなくてもいい、愛してくれなくてもいい、だから……アニキ、俺の事、ぎゅって……して、ください。アニキ……俺……」
アニキ : 「……」
舎弟 : 「……アニキに滅茶苦茶にされたい……身体ん中、全部アニキので満たして欲しい……アニキのそれ、欲しいよ……」
アニキ : 「……わかった。もぅ、わかったから。な、アクセル」
舎弟 : 「……アニキ」
アニキ : 「だからもう、泣くな。アクセル……な?」
舎弟 : 「……うぇっ……っぇ、アニキ……アニキ……」
アニキ : 「……でも、嘘とかそういうのは駄目だ、アクセル」
舎弟 : 「……あにき?」
アニキ : 「ちゃんと、愛してやるから……俺の、たった一人のアクセルでいてくれないか。俺……俺も、お前じゃなきゃ……駄目だ……」
舎弟 : 「!! アニキっ……俺」
アニキ : 「……こ、こら! 本気でくっついてくるな……」
舎弟 : 「……嬉しいです、アニキ」
アニキ : 「……あぁ。それで、アクセル……そ、そのっ……やっちゃって、いいのかなぁ、コレ!?」
舎弟 : 「……あ、当たり前じゃないっすか! もぅ……いいっすよ、今日は俺を……好きにしてください」
・
・
・
アニキ : 「なんてぇ夢を見たんだけど、アクセル。お前、俺の事大好きで俺のケフィアを身体で飲み込むつもりはないかね?」
舎弟 : 「夢を見るのは勝手ですがそれを現実に持ち込もうとしないでくださいっ!」
アニキ : 「いって〜、殴らなくたっていいじゃねーかよー」(ぶー)
舎弟 : 「殴りたくなるような発言謹んでください! まったく、アニキ何て夢見てんだよ……もぅ……さて、俺も寝るかな……」
ばふっ。
舎弟 : (うと、うと、うと)
ごそっ。
舎弟 : (足音……いや、こんなに気配を消してない足音はアニキの足音だな……何しにきたんだろ。ま、いいか……寝よ)
アニキ : 「……アクセル」
舎弟 : 「……ん、何すかあに……!!」
アニキ : 「…………」
舎弟 : 「ちょ! やっ……やめて下さいアニキっ! そんなっ……だ、駄目っすよそういうのはっ!」
アニキ : 「あ、そ? 駄目って言っちゃってる割には、随分元気になってるみてぇだけど……?」
舎弟 : 「ちがっ! コレは……アニキがそんな事するからっ……ひゃぅっ!」
アニキ : 「へぇ、アクセル。お前こぅいう風にすると、女の子みてぇな声出ンだな……」
舎弟 : 「だ、だっ……め、です……アニキぃ。俺、そこ弱いから……それに、いやです俺、こんな風に……されるの……」
アニキ : 「こんなに喜んでる癖にか? ったく、何言ってんだ……いつも俺の事、そーいう目で見てたんだろ?」
舎弟 : !!
アニキ : 「バレてんだよ……お前が俺で抜いてんのな。さて、と……」
舎弟 : 「だっ、駄目っす! アニキ、ほんとっ……それ、駄目っ……俺っ、まだ……」
アニキ : 「……いいじゃ無ぇかよ、ずっと俺にしてもらいたかったンだろ? ほら、あんまり動くな……力入れると、痛ぇからな」
舎弟 : 「……そう、です。けどっ……俺」
アニキ : 「喋ンなよ、力抜け。すぐに終わらせてやるからよ」
舎弟 : 「けど、俺……アニキに、こんな風にされたくないっ!」
アニキ : 「!!」
舎弟 : 「……アニキの事っ、ずっと……き、だったから……アニキと、ちゃんと……アニキには、ちゃんとしてほしい……俺、こんな風には……アニキとの初めてが、こんなのは……いやだ……」
アニキ : 「……アクセル」
舎弟 : 「……? アニキ?」
アニキ : 「……悪かった、その……俺……」
舎弟 : 「あ……べ、べ、別に、その……」
アニキ : 「……こんな風じゃなくて……してやるから。もう一度、俺にチャンスをくれないか。アクセル……?」
舎弟 : 「あ! あ……い、いいですよ。俺、アニキなら……アニキなら、別にいいです」
・
・
・
舎弟 : がばっ!
アニキ : 「……ん、どうした舎弟? 急にビックリした顔で起きたりして、悪い夢でもみたか?」
舎弟 : 「あ……夢。夢か、そうか……そうだよな、あははははは!」
アニキ : 「舎弟が笑い出したぞ」
まったく人の事を馬鹿に出来ないアニキと舎弟である。
> 風火さん案外辛辣編
その日。
バラクーダ東吾はいつも通り、抗争で負けたり仕事をしたりして戻ってきた……。
アニキ : 「暇だな……」
舎弟 : 「アニキも、一頻り仕事を終えて今は体力もないから、仕事出来ませんもんね……」
アニキ : 「あぁ……暇だからラブプラスでもやってるかな……」
舎弟 : 「ちょ、アニキ! それ遊ぶマフィア、マフィアとしてどうかと思いますよ!」
アニキ : 「いいだろ、マフィアだって彼女くらい欲しい時がある!」
舎弟 : 「マフィアはゲーム画面の中に居る娘さんを彼女とか言い出しませんよ!」
アニキ : 「いいだろ、世界に一人くらいはこんなマフィアがいても……俺はナンバーワンより、オンリーワンを目指している訳だし……」
舎弟 : 「そんな方面のオンリーワン、心底どうかと思いますよ……それより、GTAでも遊んで、マフィアの勉強をもっとしてください」
ピンポーン。
アニキ : 「……ん、誰か来たみたいだぞ? 誰だろ……」 (ガチャ)
風火 : 「失礼する」
アニキ : 「!! あ、何だ、風火か……うぁっ!」
ばふっ。
と、大量のバラの花束を手渡す。
アニキ : 「ちょ、いきなり何だ風火!」
舎弟 : 「うぁ、すごっ……風火さん、どうしたんですかこのバラの花束!?」
風火 : 「いや……今日、ふとお前の事を見たら……どうやら、今日はお前の記念日だ、という事を思い出してな」
舎弟 : 「あ、そうなんですか! アニキ、記念日なんですね、おめでとうございまっす。俺何も準備してなかったけど」
アニキ : 「え? いや……俺、記念日とかじゃないよ? 別に、誕生日でもないし……」
舎弟 : 「あれ、そうなんすか? 風火さん、アニキこう言ってるけど……」
風火 : 「いや、記念日だ。バラクーダ東吾、胸に手をあてて、よく考えてみろ……今日は何の日か、思い出さないか?」
アニキ : 「胸に手……何だろ。うーん……お前と会った日でもないし……」
風火 : 「わからないか?」
アニキ : 「さっぱりだ! いやぁ、お手上げだよ……何の記念日だ?」
風火 : 「はは、わからないか。だったら教えてやろう、今日はな……」
アニキ : 「今日は?」
風火 : 「お前の敗北数300達成記念日だ!」
アニキ : 「いや、それ記念する所じゃないから、常識的に考えて!」
舎弟 : 「あ、そうなんですか! アニキおめでとうございます!」
ローズ : 「あら、気付きませんでしたわ? おじさま、おめでとうございますですわ」
アニキ : 「み、みんなしてこぞって! う、う、うぁぁん! いじめ、これはいじめです、いじめカッコワルイだよ!」
風火 : 「そう言われたくなければ、もっと強くなれ……」
アニキ : 「う! あー……が、頑張ります……」
という訳で。
無事300回、他の方にお金と経験値を提供するに至りました。
今後もボチボチ、お金と経験値を提供していこうと思います、はい。
風火 : 「って、負ける気満々か、バラクーダ東吾!」
アニキ : 「いいじゃないか……所詮、俺は草食系よ……」
>酒場ですよモブストライク
ファミリーが増えると酒場を買う事が出来るのである。
舎弟 : 「という訳で、アニキ、バーボンをダブルで!」
アニキ : 「はいよ、って……お前、未成年だろ?」
舎弟 : 「ニューヨークでは18で成人ですよ。俺、一応18才……大人です」
アニキ : 「でも、酒は21才まで駄目だ。21才未満に酒飲ましたとなると問題だからな……大人しくミルクでも飲んでろ」
舎弟 : 「アニキ、マフィアの癖に真面目だなァ……」
アニキ : 「勤労マフィアだからな……っと、だが……一つ、そうだな。コレ」
舎弟 : 「ん、何すか牛乳?」
アニキ : 「お前のその少し小麦色に焼けた柔肌に、この牛乳をぶっかけるビジュアルを楽しみたい欲求があるんだが……少しそれ、楽しませてくれんかね? もししてくれたら……酒くらい、見なかった事にするが!」
舎弟 : 「え、いいんすか?」
アニキ : 「犯罪は駄目だがっ、このサイトに出てくる人物は皆、表現のいかにかかわらず20才以上ですという文章を付け加えるから大丈夫だ! さぁ……やってくれる、かな?」
舎弟 : 「えへへ、いいっすよ、牛乳かけるだけですからね!」
・
・
・
舎弟 : 「と、思ったけど……何かこれ、すげぇ……ん。んんんっ……は、恥ずかしいッスね……」
アニキ : 「……だなぁ……俺も何か、想像していた以上のクオリティで……」 (じゃ、じゃじゃじゃ……)
舎弟 : 「あ! 駄目っすよアニキ、顔は……」
アニキ : 「あ、そ……何処ならいい?」
舎弟 : 「お腹なら……お腹に一杯、注いでください……お腹にアニキの、あったかいみるく、いっぱい……欲しいっす……」
アニキ : 「あ! あ、あぁ、そう、か。わかった……こう、だな……」 (じゃじゃじゃ……)
舎弟 : 「んんぅ……来るぅ……アニキのみるく、お腹にいっぱい……アニキのミルクのにおいぃ……俺、少しヘンになっちゃいそうです……」
アニキ : (わざとか? 天然か?)
風火 : (扉を開けながら) 「近くまで来て、お前の店がここにあると聞いてな。よってみたんだが、開いてるか……!?」
アニキ : 「あ、風火。いらっしゃい」
舎弟 : 「あ、風火さん……どうも、久しぶりです」
風火 : 「!! あ、いや……すまん見なかった! というかもう来ないから悪かった、後は好きにしててくれっ、グッバイフォーエバー!」
アニキ : 「!! あ、ちょっと待て風火、誤解だ!」
舎弟 : 「そうっすよ、俺、アニキのみるくぶっかけてもらっただけですから!」
アニキ : 「いや、お前その方が誤解が……」
風火 : 「いや、説明無用! 来るな不埒モノめー!!!」
説明してわかってもらう為に、酒樽一つが必要でした。
> ローズ様暗躍編
バラクーダ東吾は極当出身の草食系マフィアである。
だが、草食系すぎて、血を見るのが怖く抗争はおろか、仕事も危険そうなのは出来ない体たらくだった……。
アニキ : 「うーむ……」
カラミティ・ガイ(ガイちん) : 「どうした、ゴンザレス?」 (※ゴンザレス→バラクーダ東吾の小学校時代のあだ名)
アニキ : 「いや、俺は昔からどうも、 「暗殺」 とか 「殺害」 とか書いてある仕事が苦手でサ……これまで頑なに行う事を拒否していたんだが……」
ガイちん : 「何だ、抗争だけじゃなくそういうのも駄目なのか!? 昔から、ゴンちゃん好き嫌い多かったからなぁ……」
アニキ : 「あぁ……でも、な。最近になって俺の仕事の履歴で、 ライバルファミリーの皆殺し とか 非協力な証人を殺害 とか、そういう物騒な仕事がやってある事になってんだ……」
ガイちん : 「そうなのか? まぁ、いいんじゃないか。自分の仕事の成果が増えている訳だし、金も入っているなら良いことづくしだろ?」
アニキ : 「そうなんだがッ……俺が知らない間にこう、増えてると……怖いだろ!」
ガイちん : 「確かにそうだろうが……気にする事ないんじゃないか? 減っているならまだしも、増えている訳だし……」
アニキ : 「でも、勝手に増えてるんだぞ! これは……ひょっとして、俺、二重人格者とか! 俺の知らない間にもう一人の俺が、勝手に仕事をこなしているとか、そういうのかもしれないじゃねぇか!」
ガイちん : 「それはないだろ! ……まぁ、普段温厚なお前の中に、まるで残忍で人を嬲るようなのが趣味だって変態が潜んでいるんだとしたら、それは一度俺の相手をしてほしいが……」
アニキ : 「? ガイちん今何かいったぁ?」
ガイちん : 「いや、別にな」
アニキ : 「あるいは俺、実は狼男だったのかも! 満月を見ると狼に変身して、勝手に仕事をしているのかも!」
ガイちん : 「この前一緒に月見した時、お前変身しなかっただろ? というか、狼どころかとんだ羊だったぞお前は……」
アニキ : 「だったら一体何故……謎が謎を呼ぶな! 藤岡弘、に探索してもらわなければいけないレヴェルだ!」
ガイちん : 「そうか……藤岡弘、がマフィアな俺たちの所に来るとは思えないが……ん?」
舎弟 : (トントン、ガチャ) 「アニキ、失礼します」
ガイちん : 「アクセルか、どうした?」
舎弟 : 「あ、ガイさん。こんにちは……実は、アニキに頼んでいた事があって……アニキ、前のアレ、準備してありますか?」
ガイちん : 「前のアレ……?」
アニキ : 「あ、あぁ。アレか? 機関銃が5つに、ボディーアーマーが5つ。それと、強化セダンが2台だろ? ちゃんと準備出来てるぜ」
ガイちん : (何!? 機関銃……5つに、ボディーアーマー? あれ、それって……確か、非協力的な証人を殺害する仕事の、必須装備だったよな……)
舎弟 : 「アニキ! 助かりました。じゃ、ちょっとお借りします!」
アニキ : 「あぁ、気をつけて使えよ。機関銃、間違うと人とか殺しちゃうからな!」
舎弟 : 「はい、気をつけてやってきます! 失礼します!」
アニキ : 「うぃ、気をつけてな〜」
ガイちん : 「気をつけてなぁ〜……って、ちょまっ、お前、アクセル、あんな物騒なモンもって、何処行くってんだ!? どう見ても殺人武装だぞあれは!」
アニキ : 「さぁ。前聞いたら、友達と鍋パーティするって言ってたけど?」
ガイちん : 「明らか様に鍋の装備じゃないだろあれ! そもそも鍋もってないし!」
アニキ : 「いや、鍋は現地調達かもしれないだろ……」
ガイちん : 「ニューヨークの何処に鍋を現地調達出来る環境があるってんだ!? ……ん?」
ローズ : (とんとん、がちゃ) 「おじさま、いらっしゃいますかしら?」
アニキ : 「あ、ローズ。いらっしゃい」
ガイちん : 「……お前、ゴンちゃん! ロリコンだと思ってたけど、まさか誘拐まで!?」
アニキ : 「違うッ! 彼女は、俺の新しい部下……ローズだよ!」
ガイちん : 「そうか……いや、俺はてっきり、とうとうゴンちゃんが法を犯したのかと思ったぜ! 主にリアル的な意味で」
アニキ : 「そんなギリギリの危険球、アグネス的にも投げるかよ……それより、どうしたローズ? おじさんに、何か買って欲しいモノとかあるのかなー?」
ガイちん : (すでに現状、アグネス的に危険なロリコンだけどな、ゴンちゃんは)
ローズ : 「おじさま、以前お頼み申し上げておりましてよ? 私、強化セダンが20台必要ですの。準備してくださらない?」
ガイちん : 「きょうっ……ちょ、それ、キミの年代がご所望するにゃ、かなり豪華な部類じゃないかっ!?」
アニキ : 「あぁ、わかった準備してあるぜ!」
ガイちん : 「しかも準備しちゃったのかお前は!」
ローズ : 「ありがとう、おじさま! でも私、逃走用車両も欲しいんですの……わがままですわね?」
ガイちん : 「ワガママというか、何に使うんだそれっ!?」
アニキ : 「我が儘なモンか! 年頃の娘が逃走用車両を欲しがるのは必然だからな! わかった、すぐ手配しよう! 金ならあるからな!」
ガイちん : 「しかも買うのかお前はっ!」
ローズ : 「すてきですわ、おじさま! タウンカーも6台ほどほしくてよ!」
アニキ : 「あはは、6台か。いいだろう、いいだろう! よかよか、買うてやるぜ!」
ローズ : 「流石ですわおじさま! それでは、ワタクシ、少し出かけてきますわね」
ガイちん : 「で、出かけるって何処にだ、お嬢さん……」
ローズ : 「素敵な、舞踏会ですわ……では、ごめんあそばせ?」
アニキ : 「あぁ、気をつけてな……ローズちゃん、忙しいんだよなぁ、いつも舞踏家だ晩餐会だって、あぁやって出ていくんだ……」
ガイちん : (というか、彼女の所望した装備はどう考えても ライバルファミリー皆殺し の装備だった気がするんだが……まさか……)
アニキ : 「帰ってくると、白いドレスが適度に赤い色になっているし……」
ガイちん : 「……ゴンちゃん、俺、ゴンちゃんの仕事が知らない間に終わっている理由、少し分かった気がするわ」
アニキ : 「マジで!? 何で!?」
ガイちん : 「でも、ゴンちゃんは知らない方がいいと思う。知らない方が、いいと思うよ……」
そんなこんなで。
アニキが頼れない分、周囲が頑張っているというハナシです。
アニキは水滸伝でいうと宋江だ! 宋江だね!
> ローズ様心情編
ローズが加入して数日。
いつものバラクーダ東吾のアジトにて……。
舎弟 : 「そういえば、ローズ」
ローズ : 「何ですの?」
舎弟 : 「一体、どうして君はアニキの部下になったんだ。こういうのも何だが、アニキはマフィアとしては弱小……君ほどの人物が来る理由はないでしょう?」
ローズ : 「私ですの? 私は……」
・
・
・
誰かと手を繋ぎたかった。
だけど。
「……うかつに触れるなよ、そいつはガキの格好してるが怪力の……化けモンだからな」
皆がそれを許してくれなかった。
そう。
ワタシは、化け物(モンスター)。
人の姿をしているけど人とは違う、化け物なのだ。
そう、思っていたから。
「……この店のドレス全てわたくし用に誂えてくださらない? いやならいいですわ。ワタクシ、このお店を壊すのに5分とかかりませんの」
暴虐に振る舞った。
絵本に出る化け物のように。
「お代はいりませんわよね。こんなマズイ食事、ワタクシの口に入れて貰えただけでも感謝しないと」
ワタシは化け物なのだから、絵本に出るお姫様みたいに王子様は迎えにこない。
そう思っていたから。
だからせめて絵本の化け物が、ほんの一時でもその心を埋めるように、ワガママに振る舞った。
残酷に振る舞った。
綺麗な花や美味しいお菓子に包まれる時だけ、自分が醜い化け物だという事を忘れる事が出来たから。
でも。
「近づくなよ、握りつぶされるぞ!」
「怪力の化け物の握力は、万力みたいなモンだからな」
朝起きると思い出す。
ワタシは化け物。
皆が恐れるだけの化け物で、いつか王子様に倒されるだけの醜い敵役なのだという事を。
だけど。
「ローズ、遊園地行かないか?」
あの方は、違っていた。
まるで普通の女の子にするように、ワタシに手を差し伸べて。
「ほら、握れよ。迷子になるといけないだろ?」
笑顔でそう言った。
ワタシの手が、人の手をうっかりすると握りつぶしてしまう程握力があるのを忘れていたのかもしれないけれども。
はじめて、ワタシの前にある手。
ワタシはそれが嬉しくて、驚いて……戸惑いながら、その手に触れる。
「ぎゃぁぁぁあああああ!」
すぐにあがる絶叫で、ワタシは強く握りしめた事に気付く。
「大丈夫ですの、おじさま!」
やってしまった。
たった一度のチャンスなのに、ワタシはそれを自分で潰してしまった。
やっぱり化け物。
人間とは違うんだと思って、悲しくなったけど。
「あはは……大丈夫大丈夫!」
握りつぶされたはずの手と反対の手を、その人は差し出して。
「今度は気をつけてな!」
その人は笑っていた。
化け物じゃないワタシを、その人は見ていた。
「……ありがと、おじさま」
この世にたった一つだけ。
化け物じゃないワタシを、見てくれるひと。
化け物の手では、何もつかめないと思ってたけど。
「痛くないですの、おじさま?」
「ん、大丈夫」
この手で守っていきたいと思う。
この世にたった一つだけ。
ワタシをワタシと見てくれる、たった一人のこの人を。
・
・
・
ローズ : 「ナイショ、でーすわ」
舎弟 : 「そっか……いつか教えてくれるのか?」
ローズ : 「気が向いたら、ですわね」
子供に好かれる体質のアニキなのである。