>> 草食系マフィアの受難





 あまりにもマフィアらしくない草食系マフィア、バラクーダ東吾。

 未だ抗争出来ぬチキン体質ではあったが、それでも少しずつ実力をつけており、行動範囲も広がってきたようだった。



アニキ : 「という訳で、少しずつ広がっていた俺のシマを守ろうと思う!」


舎弟 : 「了解です、お供しますよ」


アニキ : 「という訳で、この近隣の店にみかじめ料をせしめにいこうぜ……おらおら、うちのおしぼりを納品しろー! 今なら格安でおしぼり届けてやるぜコラー! 本当に採算ギリギリの格安だぞコラー!!」



舎弟 : 「最早、みかじめをとりにきた。というよりただ、おしぼりの納品に来ているだけな気がするっす、アニキ!」



街の住人 : 「……ふぅ」



アニキ : 「む、どうした住人。溜め息はいかんぞ、幸せを逃がすからな! 笑え! それがお前の人生を豊かにする!」



街の住人 : 「いえ……実はですね。近所の路地裏で最近、麻薬を売買している奴がいるらしくて……」



アニキ : 「麻薬?」


舎弟 : 「そういえば、俺も聞いた事あるっす、このへんに、ヤクの売人がいるって……」


アニキ : 「何と……いかんな、この街に押○やノ○ぴーを増やす訳にはいかん! 早速、成敗してくるから! 待てよ住人、この街の麻薬は俺が仕切る!」



街の住人 : 「! ありがとうございます、ありがとうございます!」



アニキ : 「あはは、まかせておけ ……という訳でいてこましに行くぞ、舎弟!」


舎弟 : 「……アニキ」


アニキ : 「何だ?」



舎弟 : 
「今のアニキ、ただの勤労好青年な上、治安維持までやっているボランティアですよ!」



アニキ : 「あれ……?」



 こうして、順調に正義のマフィアになっていくのであった……。




> ガイちんが遊びに来ていました 〜 そして過保護編



 数日後。

 アニキのアジトにて。



舎弟 : 「何か来る」


アニキ : 「え、何が?」


舎弟 : 「いえ、何か今チキン肌がたったというか……何かよからぬ予感がして。アニキに悪いものが来る気が……」


アニキ : 「嫌だなぁ、俺なんて基本的に危ない目にばっかりあってるから心配するなっての。なぁ!」


舎弟 : 「それを言われると最もですが……ん?」




 
ドドドドドドドドドドドドド…………。



舎弟 : 「このプレッシャー……まさか!」



カラミティ・ガイ(ガイちん) : 
「久しぶりだな、愛しいゴンちゃん!」(真紅の薔薇をさしだしつつ)



舎弟 : 
「そこかッ! 落ちろカトンボ!」 (真紅の薔薇を的確に落としつつ)



ガイちん : 「!? ……何をするんだ、アクセル?」


舎弟 : 「お前こそ、アニキに何をしようとするからバラなんてプレゼントするんだ!?」


ガイちん : 「……俺はただ単純に幼馴染みの成長を確かめたいだけでな」


舎弟 : 「……どういう意味で確かめるつもりだ、お前……!?」


アニキ : 「あれ、ガイちん。どうしたの?」


ガイちん : 「ふふ……ゴンちゃんの顔をみるだけのつもりが、アクセル。お前との闘争で、血が騒いできたな……」


アニキ : 「どうした、ガイちん。邪気眼か?」



ガイちん : 
「うるさい邪気眼とかいうな! ……いや、久しく闘争をしてなかったから、血が騒いできてな。そろそろ敵を血祭りにあげてこようかと思う。少し、闘争に行って来るぞ……」



アニキ : 「そうか、気をつけてな!」


 ・

 ・

 ・



ガイちん : 「という訳で抗争だ。さて、今日は何処のちんぴらを相手にしてやるか……」 (キョロキョロ)



どこぞのちんぴらたち : (きゃっきゃうふふ)



ガイちん : 「奴らにするか! 貴様ら……」


どこぞのチンピラ : 「!! 何だ、敵か! き、貴様はまさかカラミティ・ガイ……東方の殺し屋か!」


ガイちん : 「ククク……その通りだ。俺たちのシマをチョロチョロする目障りな虫を駆除しに来たのさ……俺にあった事を不運と嘆くのだな!」


どこぞのチンピラ : 「ちぃっ、野郎ども……」


ガイちん : 「抵抗するか。面白い……せいぜい、俺を楽しませるんだな……落胆はさせるな? 苦しむ事になる……」



アニキ : 「ちょっとまって、ガイちーん!」



ガイちん : 「!!!」



どこぞのチンピラ : 「え……ガイ、ちん……?」 (ざわ……ざわ……)



ガイちん : 「やめっ、だから小学校の頃のあだ名で呼ぶなっていってるだろゴンちゃん!」


アニキ : 「ガイちんだって、ゴンちゃんって呼んでるだろ!」



どこぞのチンピラ : 「ゴンちゃん……ガイちん……? いい年齢したオッサンだろこいつら……」 (ざわ……ざわ)



ガイちん : 「ほら、チンピラさんたちが何か白い目で見てるだろうがっ! ……それより、何の用事だ! ゴンちゃんは喧嘩とかからっきしだから、とっとと帰れ、な!?」


アニキ : 「いや、ほら。ガイちん抗争だっていうから、俺からこれ。ほら、もってけよ!」


ガイちん : 「……何だこれ?」



アニキ : 「ハルウララの馬券だ。ほらこれ、負けがこんでいる馬券なんだけど当たらないからって、逆に交通安全のお守りになってるんだってさ。これもってればガイちんも敵の鉛玉受けなくなるかもしんないだろ。だからもってた方がいいかな、って思って。やるよ」



チンピラさんたち : 「え……お守り……?」 (ざわ……ざわ……)



ガイちん : 「あ、あぁ……ありがと……」


アニキ : 「あと、これ弁当! 中身はステーキカツサンド。 敵に勝つ! の意味合いを込めて手作りだから」



ガイちん : 「……ちょ、何だよそれ、受験生に渡す弁当かよっ!」



チンピラさんたち : 「え……弁当……?」 (ざわ……ざわ……)



アニキ : 「あと、ガイちんちゃんと鉄砲もった? かえのマガジン忘れンなよ……」


ガイちん : 「あぁ、もった……かえのマガジンも忘れてない……」


アニキ : 「防弾チョッキちゃんと着てるな……あ、こらガイちん、ここのベルトまた止めてないな! 危ないだろこういうのは説明書通りに使わないといけないって、いつも言ってるのに……」




ガイちん : 「あぁ、悪い……って、いい加減にしろよゴンちゃん! お前はおかーさんかよ!!!」



チンピラさんたち : 「……何だ、敵かと思ったらただの漫才師か……」(ぞろぞろ)



ガイちん : 「あー! ほら、お前がヘンな事で呼び止めるからチンピラたちが呆れて帰っちゃっただろーがー!」


アニキ : 「あ! ま、まぁいいじゃないか、これで敵も、ガイちんも怪我しなくて済んだ訳だし……」


ガイちん : 「おまっ……どれだけ草食系なんだよ、ホントに!」



 それでも。

 怪我をしなくて心底安心する程度に、バラクーダ東吾は草食系マフィアです。





> ガイちんは実は雑食系マフィアです。




 ガイちんが仲間になってから数日後。

 バラクーダ東吾のアジトにて。




アニキ : 「ういー……」(ボロッ)


舎弟 : 「アニキ、何か随分怪我してるっすね」


アニキ : 「あぁ……最近、また庄屋様の取り立てが厳しくなってきたんだ……」


舎弟 : 「庄屋様? あぁ、敵対勢力の連中がアニキを狙って殴りに来てるんスね。全く、アニキ仕返ししないから……舐められてるンすよ! 仕返しに相手血祭りにしてやればいいだけッス!」




アニキ : 「そ、そっだら恐ろしい事、オラたち百姓には出来ねぇだ!」





舎弟 : 「搾取する事に慣れすぎてすでにたてつくという発想がないんですかっ!?」





アニキ : 「だって俺のような奴があがるなんて無理、っていうか不可能……」


舎弟 : 「カイジで聞くよーな気の滅入る台詞を吐かないでください! 全く……アニキは本質的にはやれば出来る子なんですから、ちゃんと武闘派の方にご教示頂ければすぐに抗争にも勝てるようになりますよ!」


アニキ : 「えー、そんな暇あったら深夜アニメの乳揺れを堪能している方がよっぽど有意義だし楽しいよー」


舎弟 : 「だったら最初からマフィアなんかにならんでください! 全く……ほら、こっちですよ!」


アニキ : 「やめてー、お肉も残さず食べるからー」


舎弟 : 「アニキはお肉大好きでしょーが! ギャグ日ネタこっそり入れるのやめてください!」




 ※という訳で、アニキが、武闘派の方の所までエスコートされています、暫くお待ち下さい。




ガイちん : 「で、俺の所か?」


舎弟 : 「えぇ。何だかんだいっても、アニキのファミリーの中でガイさんが一番の武闘派ですからね。アニキを、鍛えてやってください」


ガイちん : 「……いいだろう、こいつのスタミナと攻撃力を眠らせておくのも惜しいしな」


アニキ : 「うぇぇ……ガイちんが虐める……」


舎弟 : 「ありがとうございます、ガイさん!」


ガイちん : 「その代わり、俺のやり方に文句をつけるなよ……?」


舎弟 : 「はい、アニキの事を鍛えてくれるなら!」


ガイちん : 「了解した、さぁてゴンちゃん!」


アニキ : 「うぇぇ……」


ガイちん : 「……そんなに怖がるな。初めては最初誰だってそういうモンだ、が……じきに慣れる?」


アニキ : 「う、そうかなぁ……俺、マジで血とか全然駄目なんだけど……」


ガイちん : 「大丈夫だ。とりあえず、お前が落ち着く為に……そうだな、海岸沿いにあるホテルのレストランを予約した。そこで食事でもしながらゆっくり、コツを語り合おうではないか」


アニキ : 「ん、いいな! 俺も久しぶりにガイちんと飲みたいしな」


ガイちん : 「あぁ、大丈夫だ。お前が酔いすぎてつぶれてしまっても、ちゃんと部屋はとってあるから安心するんだな」


アニキ : 「そうか、だったら朝まででも大丈夫だな!」


ガイちん : 「あぁ……俺と一緒に朝日を見よう……綺麗だぞ?




舎弟 : 「……って、ちょっと待てカラミティ・ガイ!」




ガイちん : 「どうした、アクセル・ガンズ君? 俺のフルネームを呼ぶなんて珍しいな?」


舎弟 : 「アンタこそ俺のフルネームを呼ぶな! というか、アニキに何教えるつもりだっ、お前……?」


ガイちん : 「嫌だなぁそんなよがった視線いけないよアクセル?  そんな、ちゃんと抗争についても教えるさ! 5分くらい」



舎弟 : 「抗争以外の部分のウエイトが明らかに大きい気がするんだがッ!」



ガイちん : 「いいだろ、少しだけ成長した幼馴染みがどんなモンか確かめておきたいだけだから」


舎弟 : 「涼しい顔してアニキにトラウマを植え付けようとするなー!」


アニキ : 「? どうした、舎弟」


舎弟 : 「いえ、アニキ……やっぱり草食系でいいっすから、ガイさんから何かモノを教わろうとだけはしないでください!


アニキ : 「? そっか、わかった……」




ガイちん : 「チッ!」




 そんなこんなで。

 バラクーダ東吾は、比較的草食系のまま植物のように生きています。



舎弟 : 「植物というか、すでに草くらいですよね」


アニキ : 「底辺……俺、食物連鎖の底辺なのね……」




> 空気読めないッスか、舎弟さん!



アニキ : 「ふぅ……海軍の払い下げ品を強奪してきたのはいいけど、やっぱ軍関係の仕事はデンジャーだな……流石、GTAでは少し触れただけでサイレンカーがガンガン攻めてくるデンジャーゾーンだけあるぜ……ん?」


 ぽぱーん!


アニキ : 「うぉっ! な、何だ……ビックリした……何だよ、舎弟! クラッカーなんぞならして! 俺は抗争でボコられるのが日課な所があるから、そういう銃声的な音には敏感なんだからな!」


舎弟 : 「あ……サーセン、アニキ。でも、記念ですから……」


アニキ : 「記念……あれ、俺何か達成したっけ?」


舎弟 : 「はいっ! アニキ、今日の仕事で通算500仕事達成ッス! おめでとーござーいまーす!」


アニキ : 「え!? あ、ぁ……もう、そんなにコツコツ仕事達成してたか……そっか、気付かなかったな。ありがとう、舎弟」


舎弟 : 「いえ! これ、お祝いのケーキっす。良かったら、どーぞ!」


アニキ : 「はは、悪いな、いただくよ!」


舎弟 : 「あと、アニキこれも! はい、記念です」


アニキ : 「あれ……他にも俺、何か達成したもの、あったのか?」



舎弟 : 「うぃ、抗争敗北数通算100回が達成されてるッス! その記念に、プレゼントを買ってきたッスよ!」



アニキ : 「………………なぁ、舎弟」



舎弟 : 「何すか?」



アニキ : 「それは記念するところじゃないだろっ、フツー!」


舎弟 : 「あれ?」


 舎弟でも、空気がよめない日もあるようです。






>リワードポイント編



 それから数日後。

 ダラダラしていたマフィアから一転、アニキはバリバリ働くようになっていた……。



アニキ : 「さて、体力も回復してきたし。そろそろ仕事に行くか!」


舎弟 : 「……アニキ、前から思ってたんですけど」


アニキ : 「ん?」


舎弟 : 「いえ、最近休まず働いているじゃないですか」


アニキ : 「あぁ、そーだな」


舎弟 : 「以前、確かに俺は働けといいましたけど、少し休みながらでもいいですよ。一応、アニキは資産家……今は寝ていてもお金が手に入る状態です」


アニキ : 「おお! 寝ていても一時間に3万ドル稼ぐぜ俺は!」


舎弟 : 「でしたら、もう他のマフィアに狙われても上納金に困る事はないですよね? 休んでもいいと、思いますよ」




 ※このアニキが金を稼ぐ理由は、いい武器をかう為ではなく、他のマフィアさんに殴られた時にお支払いするお金を得る為です。




アニキ : 「そうだな、毎時間3万ドルも稼いでいれば、他のマフィアさんもまぁ、文句は言わないだろうな」


舎弟 : 「それなら、無理して仕事に励む必要はないんじゃないですか?」


アニキ : 「そうだけどよ……」


舎弟 : 「何でわざわざ仕事に出るんですか? 俺は正直、アニキはマフィア向きじゃないと思ってますから、あんまり危険な事はしなくても……」


アニキ : 「……でも、そうしねぇと……リワードポイントが増えないだろ?」




※ 説明しよう!

 リワードポイント とは、レベルが上がると得る事が出来るポイントの事である。

 このポイントがあれば、マフィアのボス(ゴッドファーザー)から特別な恩恵を得る事の出来るのだ。

 その効果は、整形や新たな偽名を得る事。

 体力の回復や筋力増強。

 はては、仲間を増やす事だって可能なのである。
 (説明はだいたいあってる)




舎弟 : 「リワード……アニキ、ファーザーに何か頼みたい事があるんスか?」


アニキ : 「あぁ……」


舎弟 : 「何頼むつもりっすか? あぁ、名前変えるとか? 確かにカッコワルイッスもんね、アニキの名前……」




アニキ : 「俺が大いに気に入っている名前をカッコワルイと抜かすな!」




舎弟 : 「あれ、違うんすか?」


アニキ : 「違うッ……」


舎弟 : 「じゃ、整形? 確かにアニキはかっこわる……」



アニキ : 「整形でもない! この美青年をつかまえて、カッコワルイとか抜かすなホント……怒るぞ!」


舎弟 : 「……じゃぁ、何すか?」



アニキ : 「…………お前を、正式に俺のファミリーにしてもらおうと思ってな」



舎弟 : 「え!?」



アニキ : 「ほら、お前はいま……俺の配下じゃないだろ?」


舎弟 : 「え、えぇ……まぁ……」


アニキ : 「でも、よく俺の所に来るって事は……俺の配下として、働いてもいいって事、だよな?」


舎弟 : 「……そう、ですね。アニキの、部下ってのは……悪くない、かな、と」


アニキ : 「だったら、ウチに来るといい。そうやって、ボスに掛け合ってみようと思ってな。その為の、リワードポイントだ」


舎弟 : 「アニキ……」


アニキ : 「最も、お前が俺の下で働くのが嫌だってんなら無理強いはしねぇけど……どうだ。正式に、俺と家族にならないか?」


舎弟 : 「あ……は、はい! いえ、全然嫌じゃないっす、あの……待ってるんで、早く俺の事……迎えに来てくださいね?」


アニキ : 「あぁ! よし、お前の気持ちも決まった事だし、それなら俺もはりきってリワードポイントの為、働いてくるとするぜ! さぁ、舎弟行くぜ!」


舎弟 : 「はい! あ、あのアニキ、何処に行くんですか!?」




アニキ : 「バットもって、借金の取り立てだ!」



舎弟 : 「アニキそれごろつきの仕事!」



アニキ : 「いいだろ、ごろつきの仕事でも何でも、経験値稼げれば……」


舎弟 : 「でもその仕事で稼げる経験値は微々たるモノッスよ……俺、いつになればアニキのファミリーになれるんですか?」


アニキ : 「……さぁ?」


舎弟 : 「はぁ……でも、待ってますよ。下手に危険な仕事されてアニキがいなくなったら、俺を迎えに来てくれる人はマジで居なくなっちゃいますからね」




> コロンビア遠征編


 モブストライクの舞台はニューヨークである。

 だが、レベルがあがるとコロンビアに行く事も可能であった……。




舎弟 : 「という訳で、いよいよコロンビアに上陸する為に準備をしますよアニキ!」


アニキ : 「ラジャー!」 (ビシッ!)


舎弟 : 「行き帰りの航空チケットと……向こうでの滞在費と……」


アニキ : 「浮き輪、サンオイル、デジカメだろ……あと、イギータと会った時の為の、サインペンとユニフォーム準備しておかなきゃな! サインしてもらうから!」


舎弟 : 「……アニキ、何してるんですか?」


アニキ : 「何って、準備だけど? コロンビア観光の?」


舎弟 : 「観光に行くんじゃないでしょーが、アニキは!」


アニキ : 「あれ?」


 ・

 ・

 ・



舎弟 : 「かくかくしかじか」



アニキ : 「……」 (←アニキは正座で聞いています)



舎弟 : 「……という訳で、アニキはコロンビアにいって、仕事をするんですよ、わかりましたか!?」


アニキ : 「マジかよ……てっきり、普段働いている俺のご褒美として、ボスから観光旅行のご褒美だと思ったのに……」



舎弟 : 「違います! そんなに働いてなじゃないっすか、アニキは!」



アニキ :「しょぼーん」



舎弟 : 「それに、今のコロンビアは観光のんびりって程治安も良く無いッスよ……」



アニキ : 「治安良くないの!? 何でそんな危険な所に俺を行かせようとするのさ!」


舎弟 : 「アニキがマフィアだからです! ……つべこべ言ってないで、とっととコロンビアに行ってきてください!」


アニキ : 「いやー、だー!」(じたじた)


 ・

 ・

 ・



 かくして、コロンビア遠征に行くハメになったバラクーダ東吾。

 はたして、コロンビアではどんな運命が待ち受けているのか!


 そして、コロンビアにはどんな試練があるのか。

 謎が謎を呼び、次回へ続くのであ……。



アニキ : 「ただいま、舎弟!」


舎弟 : 「えっ!? も、もう帰ってきたんすか、アニキ? は、早かったですね……?」


アニキ : 「あぁ! 向こうにいって敵マフィアにスパイをおくりこんできたら、身体が動かなくなるくらいの疲労でな……」


舎弟 : 「はぁ……」


アニキ : 「おまけに、到着してすぐ生水のんだら腹壊したから、もうとっとと帰ってきた!」



舎弟 : 
「早ッ! アニキもう少し忍耐、忍耐が欲しいよ!」



 続く前に、戻ってきてしまったようですが気にしない方向で。




> 草食系マフィア海外遠征編



 コロンビアはボゴタのお仕事は、熟練度が2に到達する(銀メダルを出す)と、新たな仕事が解禁になる仕様である。




アニキ : 「という訳で、警察の内部資料をちょろまかしてたら ボゴタを散策 って仕事がオープンになったけど」


舎弟 : 「そうっすね」


アニキ : 「散策だけで体力を31も使うのか……」


舎弟 : 「本国だと銀行の取引記録をチョロまかしてきたり、敵マフィアを引き抜くよりしんどい仕事ッスね……」


アニキ : 「散策って、観光だろ……たかが観光でそこまで体力使うのも不思議だが、折角のチャンスだ舎弟、今日はコロンビア観光としゃれ込むか!」


舎弟 : 「うぃっす、お供します」


アニキ : 「で、舎弟。コロンビアの観光名所って、何処だ?」


舎弟 : 「そうっすねぇ、エクアドルの国境沿いにあるラス・ラッハスが有名ですが、ここからじゃ時間がかかりすぎますから……そうですね、ボゴタといえば黄金博物館が有名ッスから、そこ行ってみますか? アニキ」



 …………。



舎弟 : 「……アニキ?」



 バタン。



アニキ : 
「たすけーてー、舎弟ー! 何か屈強な男に強引に車につれてかれ……あー」



ボゴタのギャングらしい人物 : 「Quedese callado!」 (だまらっしゃい!)



アニキ : 「あぁ、何か黙れって行ってる、黙れって……舎弟ー。舎弟ー、あっー!」



 ブロロォー……。



舎弟 : 「あ! あ、あ、アニキー!」


アニキ : 「あーれー……」




 ※コロンビアでは比較的に誘拐が多発しています、注意しましょう。


 ※優秀な舎弟がアニキを奪還しています、暫くお待ち下さい





舎弟 : 「はぁ……はぁ、やっと、取り戻せた……大丈夫でしたか、アニキ?」


アニキ : 「はらほろひれ〜」


舎弟 : 「アニキ! しっかりしてください、アニキ!」


アニキ : 「らーりるーれろー」


舎弟 : 「あーぁ……誘拐された時に悪いモノを飲まされたか打たれたかしたんだな……とにかく、これじゃ駄目だ。とりあえず、休ませて……」


アニキ : 「らりるれろ! らりるれろ!」


舎弟 : 「病院の手配かな、それともホテルの手配……航空チケットとって、本国に戻らないと……アニキ、待っててくださいね」



 …………。



舎弟 : 「アニキ?」


どこぞのマフィア : 「Un caidas japonesas en tal un lugar」(こんな所に日本人が落ちてるぞ)


わるそうなマフィア : 「Diez conseguiran el dinero del rescate」(ひろって身代金せしめようぜ)



アニキ : 「わー、くっきょうなお兄さんがぼくを黄金を見るような目で見てるよー」



どこぞのマフィア : 「Lo recogi」(ひーろった)


わるそうなマフィア : 「Lo hice」(やったな)



舎弟 : 「こらー! アニキをひろうなー! それ駄目! 落とし物じゃありませんよー! それ、俺の! 俺のでーす!」




 ※舎弟さんが屈強なマフィアと、アニキの所有権を巡って拳での話し合いをしています。暫くお待ち下さい。




舎弟 : 「はぁ、はぁ……久しぶりに全力で人を殴った……大丈夫だったかな、あの人。鼻が見た事のない形に膨れてたけど……」


アニキ : 「ふぁ……」


舎弟 : 「あ、アニキ気が付きました? お早う御座います」


アニキ : 「ふぁ! 舎弟、お前服血だらけ!」


舎弟 : 「はは……まぁ色々ありまして……それより、アニキ怪我とかしてませんか。大丈夫ですか?」


アニキ : 「あぁ、俺大丈夫。何か首とからりるれろとか、節々がいたいけど……」


舎弟 : 「そっか、よかった……」


アニキ : 「しかし、これでわかったな舎弟」


舎弟 : 「はい!」



アニキ&舎弟 : 
「ボゴタは散策だけで命がけだ!」



舎弟 : 「アニキがこけしのようにトラックにつめられているのを見た時、流石にマズイと思いましたよ……」


アニキ : 「俺も、三本目の麻酔薬を打たれた時には命の危険を感じたさ……」



 という訳で。

 ボゴタ散策だけでも体力が減る理由は、こういう事だと思います。


 はい。

 (ただしバラクーダ東吾のアニキに限る)



アニキ : (体力はまだしも、お金を稼げるのは何故だろう)


舎弟 : 「あ、あの鼻をペキ折った奴のサイフから無期限に借りたお金」


アニキ : 「え?」


舎弟 : 「ドルにして8000はありますよ、アニキに渡しておきますね」


アニキ : 「なるほど!」



 アニキの収入。

 その半分は舎弟の活躍で出来ています。





> 不動産ッスか! バラクーダさん



 そんなコロンビア遠征から数日後。

 再び地元に戻ったバラクーダ東吾は、元もともっているデリカテッセンの運営に励んでいた。



アニキ : 「と、言うけど、デリカテッセンって何だ?」


舎弟 : 「あぁ、極東出身のアニキはデリカテッセンって馴染みがないンすね……ようは、弁当屋ですよ。サンドウィッチとか、惣菜とかを売ってるッス」


アニキ : 「ほぅ。それなら、営業努力してさらにいい稼ぎが出るようにしないとな!」


舎弟 : 「営業努力ッスか?」


アニキ : 「と、言う訳で……」


 ・

 ・

 ・



ガイちん : 「ここがバラクーダ東吾……ゴンちゃんの店か、さて、近所まで来たから飯でも買ってやるとするか! おーい、ゴンちゃん、居るか……ッッ!!!



舎弟 : 「い、いらっしゃい……うぁ、ガイさ、ん!」 (ふりふり)


ガイちん : 「……えー、アクセル、だよ……な」


舎弟(本名:アクセル=ガンズ) : 「は、はい……」(ふりふり)




ガイちん : 「ど、どうしたその、格好は……妙にふりふりというか、レースとフリルというか……というかこれ、メイド服! メイド服だろ!」




舎弟 : 「うううう、やっぱりおかしいじゃないっすか、アニキ! メイド服接客してメイド接待で有名なデリカテッセンにすれば人気出るよ! って、これ絶対おかしいッスよ! ジャパニーズメイド文化は、ニューヨークには新しすぎるッスよ!



アニキ : 「いいだろ別に、お前可愛いから。可愛いは正義だから!」



舎弟 : 「正義って、大体ジャパニーズメイド文化だって、女の子がメイドるんでしょっ。俺みたいな男でメイドったら、何か違うモノじゃないっすかそれ! ねぇ、ガイさん!」


ガイちん : 「アクセル。ジャパニーズオタク文化にはな……男の娘、というジャンルがある」


舎弟 : 「男の……何すかそれ?」



ガイちん : 「顔があたかも女の子であったり、女の子にちんこが生えているだけの外見を持つ少年の総称だ」



舎弟 : 「はァ……?」



ガイちん : 「アクセル、お前の外見はまさにそれなのだよ」



舎弟 : 「はっ!?」


ガイちん : 「という訳で、私は一向にかまわん、続けてくれ! 欲を言うならもう少し短いスカート丈にしてくれ!」


舎弟 : 「え!」


アニキ : 「安心しろ、そんなガイちんの為に……下着はちゃんと、着用してないからな!」(ぺら)


舎弟 : 「!! な、何するんすかっ、アニキ! め、めくらないって言ったからぱんつ、はかないで接客してるんスよ、俺! チラリズムがいいっていうから……」



ガイちん : 「!! さ、流石我が幼馴染み……分かってるな! 同志よ!」 (がしっ!)


アニキ : 「あぁ、我ら生まれた所はちがえど志は一緒よ!」 (がしっ!)



舎弟 : 「もうやだ、この大人たち!」



 ちなみに、デリカテッセンの集客率は全然あがりませんでした。




> シマ荒し編



 バラクーダ東吾の周辺が、最近賑わっているらしい。



アニキ : 「という訳で、最近、うちのシマを荒らしている奴が居るらしい」


舎弟 : 「そうみたいっすね。この前もうちのファミリーと繋がっている銀行が襲われたっていってました」


アニキ : 「そうか。俺はこの前ガイちんに寝込みを襲われたからそれと比べればまぁ、精神衛生上よろしい気がするが」



舎弟 : 「えっ!?」



アニキ : 「シマをあらされるのは、やはり気分がいいモンじゃないな。ボスからも原因究明しろと命令されているし……ここは一つ犯人を捜しに行くぞ、ジッチャンのナニにかけてな!」



舎弟 : 「名にかけないとアニキ! というか、寝込みって……何かされたンすかアニキ!? 色々スルーするにはショッキングすぎる内容が随所に散らばっていたんですが。アニキー!」



アニキ : 「よし、行くぞ」


舎弟 : 「アニキー!!!」


 ・

 ・

 ・


アニキ : 「という訳で被害の多い地区へとやってきてみた、早速警戒するぞ舎弟!」


舎弟 : 「うぃっす。ン、でも警戒してすぐに敵が現れる訳ないと……」



 がっちゃぁああぁあん!

 バキ、ドカ、ガス!

 うわぁああぁあ、銀行強盗だー!!!



舎弟 : 「出た!?」


アニキ : 「向こうだ、舎弟! 早速強化セダンでおいかけるぞ!」


舎弟 : 「わかりました、お供します。待て、こら待てー!」


アニキ : 「とはいえ、向こうはバイクか。このシマを荒らすことで有名な奴だったら、簡単には捕まらないかもしれないな……」


舎弟 : 「そうっすね……あ!?」



 どんがらがっしゃぁん!



舎弟 : 「と、思ったら転けました! アニキ、あいつコケましたよ!」


アニキ : 「どじッ子!? まさかのどじッ子か……まぁいい、すぐに捕まえるぞ!」


舎弟 : 「ラジャりました! この……」



??? : 「うぁ、寄るな来るな近づくな、刀のサビにしてくれるっスよ!」



舎弟 : 「うぁ、あぶね!」


アニキ : 「あぁ。だが、刀のサビといいつつ、振り回しているのがバットなのは激しく気になるところだがな……」


??? : 「ば、バットじゃないっすよ! イチローが使っているのと同じ形の刀ッス!」




舎弟 : 「それは平たく言うとバットだ! って、お前何者だ! どうして俺たちのシマを荒らすんだ!?」




??? : 「んぁ。俺ッスか。 俺の名前はヒデヨシ! ジャパニーズヤクザ、堂島会組長の息子ッスよ」


アニキ : 「どう……何だ?」


舎弟 : 「アニキ本当にマフィアとかヤクザとかの情報に疎いッスね……極東では最近、ビジネス組織ヤクザが広がっている最中、今時珍しい人情優先のヤクザですよ。最も、その関係で全盛期よりかなり弱体化しているはずですが」


アニキ : 「お前が詳しすぎる気がするけどな……マフィア情報に。雷電か? あるいはテリーマンか?」


ヒデヨシ : 「何ッスか! うちの組をバカにしてるっすか! あったまきた、刀のサビにしてやるっす!」


アニキ : 「それはバットだろ! というか、何でそのヤクザがうちのシマを荒らしたりするんだ!?」


ヒデヨシ : 「それは、武者修行に決まってるッスよ!」



アニキ・舎弟 : 「は?」



ヒデヨシ : 「より強く逞しい、真の武士(もののふ)になるには、本場のマフィアと戦(や)りあえるくらいの胆力がねぇといけないって、親父に言われたッスよ!」


アニキ : 「だからって、バット一本でマフィアのシマに乗り込んでくるかフツー!?」



ヒデヨシ : 「普通じゃないッスか?」


アニキ : 「普通じゃねぇよ、な舎弟?」


舎弟 : 「俺からすると草食系マフィアのアニキも相当普通じゃないんすけど……」



ヒデヨシ : 「でも、沢山の連中を狩れば強くなるっす! 普通ッス、経験値得てレベルアップッス!」


アニキ : 「……まぁ、こいつがシマあらしの犯人だって事はわかったが、どうする舎弟」


舎弟 : 「どうするって……このままだとうちのシマを荒らされるから野放しには出来ないですが……」


ヒデヨシ : 「レベルアップっす! レベルアップっす!」


舎弟 : 「……正直、こういうタイプの人間はどうしていいのか俺には分かりかねます。ほっとくのがいいんじゃないっすか?」


アニキ : 「そうもいかないだろ……このままシマを荒らされるのは困る。仕方ない、おいヒデヨシ!」


ヒデヨシ : 「何ッスか?」


アニキ : 「お前、俺のシマを荒らしているが……それでレベルアップしてもいいレベルアップとはいえんぞ!」


ヒデヨシ : 「何でっすか! マフィアは悪ッス。悪の組織を倒すのが正義のヤクザの仕事ッスよ!」


舎弟 : (マフィアに正義も悪もあるか?)



アニキ : 「違う! ここは俺のシマだ……俺はな、日々住民の安心・安全な暮らしを守る正義のマフィアなのだ!」



舎弟 : (とか思ったらアニキが何か言いだした!?)



アニキ : 「という訳で、正義のマフィアの領土(シマ)を荒らすのは正義のヤクザがすべき事じゃないだろ。ここを荒らすのはやめて、とっとと他の場所にいってくれ」


舎弟 : (なるほど、確かにココから離れれば向こうは敵のシマだからな……)


ヒデヨシ : 「なるほど。分かったッス! 俺、ここ荒らすの辞めるッス!」


アニキ : 「本当か!」


ヒデヨシ : 「武士に二言はないっす!」


舎弟 : 「一件落着っぽいっすね」 (ひそひそ)


アニキ: 「そのようだな」 (ぼそぼそ)



ヒデヨシ : 「そして! これからは、正義のマフィアである貴方の為に俺の力をお貸しするッス!」




アニキ・舎弟 : 「は!?」




ヒデヨシ : 「ともに行きましょう、アニキ! 正義のマフィアとして、大義をうち立てるッスよ!」



舎弟 : 「アニキ、これどうするんですか?」


アニキ : 「さぁ、どうしようかね?」


 かくして正義のマフィアとして戦う事になったアニキご一行。

 だが、草食系マフィアだから別にいいのか。


 戦え、バラクーダ東吾!

 飛べ、バラクーダ東吾。


 正義のマフィアが世界征服をするその日まで。



舎弟 : 「アニキ本当色々間違えているよ!」


 間違いがデフォルト。

 そんなマフィア人生を、我々はおくっています。




> マフィア人生 〜 拾いモノ編



アニキ : 「今日も正義のマフィアとして戦うぞヒデヨシ!」


ヒデヨシ : 「アニキお供するッス!」



舎弟 : (何だかんだいってアニキと似た人材だから気はあっているようだな)



アニキ : 「という訳で、敵対密輸組織を壊滅させようと思う。ついてこい!」


ヒデヨシ : 「分かったッス! 密輸はいけないッス、悪ッス! そしてそれを壊滅させる俺たちは正義ッス!」


 ・

 ・

 ・


 敵対組織壊滅中。


 ・

 ・

 ・


アニキ : 「お仕事終了〜、はいお疲れさまー」


ヒデヨシ : 「バラクーダのアニキ! こんなモノ拾いましたぜ!」


アニキ : 「こんなものって、どうした……!?」



 50口径キャリバーライフル は拾って欲しそうにこちらをみている。 どうしますか?



アニキ : 「!! あああ、何かひろった! 何か拾っちゃったよ舎弟うぁらばあべしひでぶ!」


舎弟 : 「あぁ、密輸組織の連中の落とし物ですね。いいんじゃないっすか、そのまま貰っちゃえば」


ヒデヨシ : 「アニキ猫ばばッスね! 流石正義のアニキ! 猫ばばも正義ッス!」


アニキ : 「でもライフルだよこれどうしよう俺ちょっとこういうの初めてだから」 (おろおろ)


舎弟 : 「落ち着いてアニキ!」

アニキ : 「あぁ、落ち着いて、落ち着いてしまおう……」 (ぽいっ!)



舎弟 : 「といいながら海に捨てないでくださいアニキ!」


ヒデヨシ : 「あああ! あぶねっ、何とか拾いましたよ!」



舎弟 : 「もう、武器見ただけでテンパるなんてどれだけですかアニキ!」



アニキ : 「あわわわ、そうだ、落とし物は交番に!」


舎弟 : 「交番いったらすぐに逮捕されますよこれ!」


アニキ : 「あふー?」


ヒデヨシ : 「アクセルさん、この人大丈夫なんすか……?」


舎弟(アクセル) : 「知らねぇけど、まぁ、多分大丈夫だよ……」



 新人にも心配される程度のマフィア人生を、アニキは送っています。




> 舎弟加入編



 そんなマフィア生活が続いたある日。

 バラクーダ東吾のアジトにて。



舎弟 : 「えーと……機関銃……よし。逃走車両……よし、あとはタウンカーの手配だけだけど、アニキどうだろうな……アニキ、ただいまぁ……!!」




 ぱんぱんぱんぱんぱんぱん!




舎弟 : 「!! 銃声? 敵かッ、この……」 (チャカッ)


アニキ : 「わわわ! ちょ、ちょ、武器はまった! 武器は駄目だ!」


舎弟 : 「アニキ? どうしたんですか……何だ、銃砲かと思ったら、これ、クラッカー?」


アニキ : 「そうだ、クラッカーだ! まったく、どうして俺の家で銃砲なんてしないといけないんだ!」




舎弟 : (アニキ、よく抗争けしかけられて家の中まで敵が入ってたりするから、銃砲がする可能性も否定できないんだよな)




アニキ : 「それより、今日は奮発してご馳走準備したから! ほら、ま、入れよな!」


舎弟 : 「え? あ……でも、今日何かありましたっけ」


アニキ : 「さぁ、何だと思う?」


舎弟 : 「えー……アニキの誕生日じゃないし……俺の、誕生日でもない。わかんないっす。何ですか?」


アニキ : 「……今日は、その、な」


舎弟 : 「何すか、言い渋るなんてらしくない……」


アニキ : 「だったら、思い切って言うけどよ……その、俺の……家族(ファミリー)に、なっちゃくれないか?」


舎弟 : 「へっ!?」


アニキ : 「……昨日、ボスにかけあって、正式に部下になるよう頼んだ……リワードポイント使った甲斐あってさ、オッケーをもらったんだ。後は、お前の気持ち次第なんだが……」



舎弟 : 「…………」


アニキ : 「……俺じゃ、駄目か?」


舎弟 : 「アニキは……」


アニキ : 「?」


舎弟 : 「殴られても仕返しもしない上、資産運営ばっかり好きで……仕事も、暗殺とか殺害とかはビビってやらない駄目で、チキンで、どうしようもなくって……」


アニキ : 「なぁっ、わ、悪かったな!」


舎弟 : 「……そんな、駄目なマフィアの部下やりたい奴なんて……数多いゴッドファーザーの部下の中でも、俺くらいのモンでしょうから……ね」


アニキ : 「舎弟……」


舎弟 : 「仕方ないッスね、他にやりたいって人、居ないんすから、俺が部下になってやりますよ!」


アニキ : 「……何だよ、素直じゃねぇなぁ……まぁいいや。それじゃ、記念に飯食って……少し、遊びに行くか? 今日は好きな場所つれていってやるぜ!」


舎弟 : 「マジッスか!」


アニキ : 「あぁ、俺が大人の遊びを教えてやるッ! 動物園でも、遊園地でも、好きな場所に行こうぜ!」



舎弟 : (アニキの大人の遊びって、動物園とか遊園地なんだ……まぁ、いいけど)



アニキ : 「そうだ、車出してきてやるか。舎弟、飯くってろ。飯の後、何処か遊びに行くからな」 (ガチャ)



 ぱんぱんぱんぱんぱんぱん!



舎弟 : 「あ、アニキがまた抗争に巻き込まれてるッ!」


アニキ : 「……あー、今めっちゃ、体力減らされたわー……何かもう、健康数値が20切ったから動けないっぽい……け、ど、舎弟、何処行く……?」


舎弟 : 「アニキ、無茶しないで今日は寝ててください!」


アニキ : 「ふぁ〜い……うわー、めっちゃ血ぃ出てるわー。俺死ぬのかな? 俺死ぬのかな?」


舎弟 : 「健康の数値が30下まわってますから、そんな喋らない方がいいっすよ。今、病院いけるよう手配しましたから……」


アニキ : 「死ぬまえにポニテ美女のパンチラ見たかったー。パンチラじゃなければブラチラ見たかったー」


舎弟 : チラ


アニキ : 「……何やってんの?」


舎弟 : 「いや、パンチラ見たいっていうから……」


アニキ : 「………………やばい今めっちゃ俺の健康度下がったわー」


舎弟 : 「あぁあぁ、アニキ、サーセン! マジ、サーセンでした!」


 ・

 ・

 ・


舎弟 : 「しかし救急車来ないッスね」


アニキ : 「あー……そうだなぁ、この領域はしょっちゅう抗争があるから、救急車は来ないかもしれんなー」


舎弟 : (まぁ、抗争の原因9割はアニキがここに住んでるから、狙って来た敵対勢力のマフィアたちの抗争だけど)


アニキ : 「仕方ない、車出すか……」 (よろ)


舎弟 : 「あ、アニキ! 動いちゃ駄目ッスよ!」


アニキ : 「? そうか、でも、来ない救急車を待つよりは自分で車出した方が早いか、と思ってな……」


舎弟 : 「駄目っす、少し安静にして、傷がふさがるまで待たないと」


アニキ : 「そう言うが、健康は病院に行かないと治らないからな……待っても快復しないんだが……」


舎弟 : 「それに……今は、俺とアニキしか居ないじゃないっすか」


アニキ : 「…………」


舎弟 : 「今日だけ、俺だけのアニキで居てください。今日だけで、いいですから……」


アニキ : 「……仕方ねぇな、今日だけだぞ?」


舎弟 : 「……はい!」


 何だかんだいって、アニキに甘えたいお年頃の舎弟である。





> 舎弟回想編



 狙撃銃を持つと思い出す。

 幼い頃、狩りに出かけたあの頃を……。



舎弟 : 「ふぅ……」


 舎弟、本名はアクセル=ガンズ。

 元もとは湖岸の小さな村で獣を狩り、細々と生計をたてていた田舎の純朴な少年だった。


 しかし、父祖伝来の土地に鉱脈がある事をマフィアに知られ、追い立てられるハメに。

 借金を背負わされ、土地を取り上げられた挙げ句、彼自身もマフィアの労働力として取り込まれる事になる。


 血で血を洗う暴力をはじめとした、汚い仕事を強いられながらマフィア世界へ踏み入れ。

 田舎から急に都会に出て戸惑うアクセルだったが、猟の経験から射撃は抜群の精度を誇り、何時しか組織でも有名な暗殺者……。


 白い死神と呼ばれる程の腕に成長していく。


 だが、その存在を疎ましく思っていたモノもいた。

 そして、あの日。


 宛われた任務は、偽の依頼だった。


 ハメられた……。

 それに気付いた時、アクセルすでに撃たれていた。



 倒れた場所は敵対勢力の最中。

 救急車も警察もこない無法地帯。

 助けがくるはずもなく、薄れ行く意識の中、彼を救ったのは一人の男だった。


 よほどマフィアの事を知らない無知な男か、あるいはとんだお人好しか。


 その男は倒れた彼を病院に運ぶと、なけなしの金で彼の命を救う。



 「何で俺を助けたんですか?」



 意識を取り戻したアクセルは、当然の疑問を男にぶつけた。

 路地裏で倒れている死にかけた餓鬼。

 金にならないのは一目でわかるはずだった。


 だが、男は、当然の如く言う。


 「わからん! ただ、死にそうだ! と思ったらとっさに身体が動いてたんだ」



 こんな事を言う男が、マフィアになるのだというのだ。

 きっと生き残れないだろう。

 この世界はそういう所だ。


 が……。



 「……わかりました。俺は、今持ち合わせがないです。だから……傷がなおったら、貴方の手伝いをします。いえ、手伝わせてください。俺は、貴方の役に立ちたい」


 その日。

 殺し屋としての白い死神は死に、一人の舎弟が生まれた。



アニキ : 「おーい、いくぞー、アクセル!」


舎弟 : 「……はい、お供します!」



 それから。

 役目はかわったが、舎弟は血で塗られた運命ながらそれでもひたむきに生きているらしい。





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