梨を育てる人々

  • ■じ-ちゃん

    梨作り4代目の園主。この道40年毎日梨園に通い梨を育て る大ベテラン。酒とタバコと農業が趣味?

  • ■ばーちゃん

    梨園にとついで早や40年近く。農作業全般から経理に接客、家事全般から孫の面倒までこなす一家の大黒柱。太極拳に大正琴と趣味も多彩な元気ばあちゃん

  • ■息子

    会社勤めから梨屋に転身の5代目。日々農業の修行中。このHPは勝手に担当。サッカ−・F1観戦、放浪が生甲斐

  • ■ママ

    三児の母で息子の嫁さん。会社勤めの傍ら梨の営業も担当。ぐうたらな旦那を急かすのが一番の仕事?

  • ■ね-ちゃん

    幼稚園&オシャレ&お絵かき大好き娘。勝手に電話番担当。

  • ■おとうと

    闘い大好き小さな怪獣!ねーちゃんのやることを真似るのがブーム。昼寝しててくれると大変助かる(笑)

  • ■赤ちゃん

    髪の毛が逆立つ三番目。生後半年ながら、みんなの会話に入ってくるおしゃべり上手。

  • ■農作業を手伝ってくれる人々

    休日返上、仕事帰りなど、忙しいなか梨の仕事に力を貸してくれる皆さん、本当にありがとうございます。


    • 育てる人

梨栽培の歴史

当園の梨栽培は、3代前の理治朗に始まり、100年近い歴史があります。毎年毎年、梨を作り続けて100年、代々受け継いでいることを誇りに、今年も梨作ってます。

先代の時代の写真(昭和20・30年代)

収穫の様子

■収穫の様子

梨棚は竹で作られて、同じく竹で編んだ籠を首に掛けて収穫していました。体にはとてもキツイ作業ですね。

竹の棚は7年程で劣化し、交換を繰り返していたそうです。現在の棚は鉄線で交換のサイクルは50年以上ですので便利になりました。

また先代は、摘み取った花を実を成らせる花に押し付け、梨の人工授粉を始めました。

選果の様子

■選果の様子

梨の実を入れた籠をリヤカーで、畑から庭先の作業小屋へ運び、選果の作業に移ります。

土間の上にゴザを敷き、その上に収穫した果実を並べ、形や傷の有無を確認し、同じ大きさの果実を揃えて、麦わらで編んだ出荷用のタワラに詰めました。

組合で市場へ共同出荷した他、個人でリヤカーを引き、近隣の市場へ出荷していたそうです。

土壌改良の様子

■土壌改良の様子

樹の回りを直径2m程の円状に堀り、堆肥(たいひ)を入れ畑の土をよりよい状態にしています。スコップで手堀りの作業はかなりの重労働で、現在の私には真似できませんね。

こうして代々続けられた土壌の改良により、現在の園でおいしい梨が育ちます。

ご先祖様には本当に感謝です。先祖伝来の土が農家には何より宝ですね。

耕作の様子

■耕作の様子

牛に鋤を引かせ、父が鋤を地面に押し込み、子供は牛の手綱を引く役目だったそうです。時に牛の角に引っ掛け上げられ、子供が中を舞ったこともあるとか。命がけの仕事ですね。

また、牛の食料となる草を刈り集めるのも子供の仕事。毎朝学校に行く前と、帰ってきてから近所に生えている草を籠一杯集めるのが日課だったそうです。

村中の子供が同じように自分の家の家畜の為に草を刈るので、村中の草が伸びるのを待っているような状態だったとか。

無駄な雑草も無く、家畜の糞は重要な堆肥として畑に還元される。理想的な循環型社会で羨ましいですね。



栽培の工夫

■質の良い果実をならせる

梨の花

その年の実の基礎になるのが、受粉です。

和梨は同じ品種の花粉では受粉し難い性質を持っている為、蜜蜂等の昆虫により他品種の花粉が運ばれ受粉しなければなりません。 現在では人の手により花粉を集め、人の手で受粉させる方法が一般的になっています。

当園では自家園で良質の花粉を採取し、多くの人々の助けを得て、最良の花を選んで一花一花丁寧に花粉をつけるようにしています。 最適な時期に元気な花粉で受粉した果は、その後の細胞分裂が良好に進み、高品質でりっぱな実へと成長します。


■収穫時期の見極め

果実収穫

日本全国には沢山の梨農家がありますが、同じ品種の梨でも味は様々、その農家の味があるといいます。

土地の個性や栽培管理の違いが味を決める要因ですが、収穫時期も大きなポイントだと思います。

基本的に枝上で完熟した実は、糖度が高く肉質も軟らかくておいしい実です。しかし、熟しきった実は痛むのも早く日持ちがしません。 この相反する二点の最良のバランスが取れる時期、美味しくて、かつ日持ちのよいの実。この時期の見極めに細心の注意を払って収穫しています。


■土の力を高める

ホールディガー

植物は葉で光合成を行い養分作り、枝や果実にその養分をいきわたらせていますが、水分と様々な栄養素は根から吸収しています。

枝や葉、果実など地上部分の管理は目に見えやすく、手入れも行いやすいのですが、地下となると大変です。

根を元気に保つには、時々土を掘り起こし、空気や栄養分を入れ土をリフレッシュさせてやることが大切です。 特に、動物の糞や植物の葉、茎などを数年かけて発酵させた堆肥(たいひ)は昔から根を元気にさせる重要な資材でした。

最近はホールディガーと呼ばれる、トラクターに取り付けられる小型ドリルで樹の周りに穴を開け、隣町の牛農家さんの堆肥に籾殻や炭を入れてねかした、完熟堆肥を入れて、根の活動しやすい土作りに取り組んでいます。


■樹の若返り

苗木植樹

ここ10年程、全国の産地で梨樹の高樹齢化による収量の減少が問題視されています。

先代の時代に全盛であった長十郎・二十世紀等の品種は50〜60年は元気で、園主が一度植えれば、その次の代まで活躍してくれる樹でしたが、現在主力の幸水・豊水は30年を超えると樹勢が急激に低下し、収量も年々減少してしまうことがわかりました。

様々な樹勢回復の方法が研究されていますが、決定打はなく、老化は止められない状況です。

老いた樹に見切りをつけて、新しく苗木を植え替えることが園の若返りの確実な方法です。しかし、植え替えるには現在ある樹を切り、根を掘り起こす多くの労力、また植えた苗木が実をならせるまでの収量の低下というマイナス面があり、なかなか実行できないのが現です。

私達は、収量をできるだけ維持しながら計画的な苗木の植替えを行い、若く元気な樹で、高品質なおいしい梨を育てるよう、種を蒔き、苗を育てて、園の若返りをしています。



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