大ケヤキの大手術 (其のU)
6月29日

巨大な折損落枝を整理除去した後引き続いて、整枝剪定の作業が行われる。剪定といってもこれ
ほどに大きいと危険も伴う難しい作業であるが、ここでは大型クレーンのオペレーターと樹上の職
人、樹下でサポートする人達の意気の合った連携で進められ見る間に樹形が整えられていった。
このケヤキは昭和30年代の映画「野菊のごとき君なりき」(伊藤左千夫原作、野菊の墓)のラスト
シーンに登場し地元にも親しまれてきた樹である。
再び鬱蒼とした枝葉を蓄えた逞しい姿に復活してほしいと願う。

作業員は樹上太い枝上に足場を取り、チェンソーを引き寄せ、剪定に取り掛かる前作業を慎重に進める。地上20m余の高所、住宅近く作業は慎重を求められる。 作業者は、命綱に身の確保を任せて次々と枝を移動しながら剪定作業を進めていく。年齢を感じさせない身のこなし、こうした特殊作業の技能保持者も少なくなっているという。
太いといっても丸みのある枝上作業、バランスをとりながらのチェンソー操作、切断した枝を安全に吊下ろす作業、樹上の作業者とクレーンのオペレーターとの密接な連携。 剪定された枝を落下させないよう切断するそばから吊り上げて運び出す大型クレーンの働きは、安全にそして効率的に作業を進めるうえで大きかった。
上から下へ剪定作業はクレーンオペレーターと作業者の連携で安全かつスムーズに終了して最後に大きな切り株や枝の切り口の傷を雨水や腐朽菌の浸入を防ぐための処置がなされた。 当初の樹高25mの梢部分5〜6m程を下ろし、枝の配置を考慮しながら安定した樹形に調整、樹体も身軽になり夏向きのスタイルとなった。これで暫くの間、落雷、台風や雪のプレッシャーにも耐えられるだろう。
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