カモシカ君‐食わないで‐

12月3日
10月下旬ヒノキの造林地を訪れると今春植栽した今春植栽したヒノキの幼木をカモシカの食害から護るため忌避剤を一本一本に塗布する作業が行われていた。この薬剤はチウラム25%を有効成分とするヤシマレントという、カモシカにとっては、好ましい味ではないようで口に合わないかヒノキは食害を免れるようだ。この薬剤効果は3ヵ月から長くて6ヵ月位という、また樹高が150cm以上に成長すると被害も避けられということからそれまでの5,6年ぐらい或いはそれ以上毎年の塗布が必要だろう。

ヒノキの幼木には腰に付けたケースからペースト状のヤシマレントをビニール製の手袋に塗り両手でヒノキの枝をはさむように押さえて塗布していく。 ヒノキの幼木はしっかりと根付いて成長の跡が見られるが、注意してみると先端部の柔らかい部分が既に食われた跡が見られる。つまみ食いをされてしまった。
カモシカの舌は通る道すがら目にする草木を何でも口にするのか歩道際のクマノミズキは150cmの高さまで葉が食われていた。 背丈の低いヒノキ幼木を一本一本探しながら薮を掻き分けてまわる。地蜂の巣を掘った跡があったという、熊の仕業か?
カモシカは、日本固有種として昭和9年「天然記念物に指定」昭和30年に文化財保護法により「特別天然記念物」に指定され、昭和41年長野県の「県獣」にも指定されて保護されてきたが、昭和40年代後半より中南信地区を中心にヒノキ造林地など林業への被害が見られるようになり以降個体数の増殖と分布域の拡大により造林木への被害が急増してきた。県の調査では、県下の被害面積は昭和60年代初めは600ha以上あったが造林面積の減少とともに少なくなり近年は200ha程度という。
昭和20年代の初め、山で仕事する大人たちが、今日はクラシシ(カモシカのこと)に行き会ったなどと話しているのを聞いて、深い奥山に住んでいる神秘的な動物として子供心には憧れの動物であったが、それが今ではこんな里山に下ってきて“ご迷惑様な存在”になろうとは思いもしなかったことである。

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